リリ- LILLY feat. Gilad Hekselman「Tenderly」
充実感たっぷりの説得力十分な女性ヴォーカル
<Jazz>
LILLY feat. Gilad Hekselman「Tenderly」
SOMETHIN'COOL / JPN / SCOL-1058 /2021
Lilly リリー (vocal)
Gilad Hekselman ギラッド・ヘクセルマン (guitar)
2015年10月20日デンマーク-コペンハーゲンのValby録音(2017年発表作品)
デンマークのキャリア豊富な女性歌手:リリー(LillyまたはLilly-Ann Hertzman = ソングライター、作曲家、プロデューサー)のイスラエル出身の人気ギタリスト:ギラッド・ヘクセルマンとのデュオによる、2015年10月コペンハーゲンで吹き込まれた一編(Gateway Music原盤)の今年日本初CD化されたもの。日本で彼女が知られたのは、これより後の2017年作品『Te Song Is You』(DMCHR71386)であったかも知れないが、彼女のジャズへの傾倒の第一作としてか、ここに振り返っての日本リリースとなったようだ。
彼女は日本人の母親とデンマークの父親との間に生まれている。曲のジャンルはジャズ、フォーク(伝承)やポップなどの境界を越えたモノとして捉えてもいいのではと思うが、このアルバムからジャズ色が明瞭になったといえるようだ。
1. Tenderly
2. You Go To My Head
3. Skylark
4. First Song
5. Voice From The Mountain
6. Hvem Kan Sejle / Whistling Away The Dark
7. You're Everything
8. Day Dream
収録曲は、ジャズのスタンダード曲"Tenderly"から、チャーリー・ヘイデンの静かな"First Song"や、ちょっとマニアックなチック・コリアの"You’re Everything"など広くジャンルを超えた曲を収録。とにかくデュオではあるが、ヘクセルマン(下左) のギターはリリ-(下右)の力強い表現豊かな歌を支える世界にあって、非常に優しく耽美的で繊細にしてテクニカルなギターの音色である。録音・ミックスも彼女の歌声を前面に出していて、ア・カペラを聴いているかの雰囲気すらあり、微妙なところまで手に取るように聴ける。
とにかく彼女のヴォーカルは、ごまかしの無い芸達者と言える充実度の高いところにあって、一声ごとに情緒がしっかり込められ丁寧に流麗にしてソフト・マイルドな膨らみの華あるところは聴き応え十分、高音部がややハスキーになるところが特徴的。
M1."Tenderly"から、優しいギターに圧倒的な充実感と説得力でリリーのヴォーカルが迫ってくる。M3."Skylark"などジャズへの流れを十分意識しているとみる。
ジャズ・スタンダード集にとどまらず、M6." Hvem Kan Sejle / Whistling Away The Dark"は、スウェーデン・トラッドの様だが、しっとりとしたメローにしてテンダーな情感たっぷりなヴォーカルなどは、最高潮。
M7."You're Everything"などはヴォーカル曲としてよく解らないが、デューク・エリントンのM8."Day Dream"の締めでは、ギターも美しく安らぎを誘うヴォーカルはさすがである。
充実感あるヴォーカルにヘクセルマン(g)の粋なギターは、リラクシング・グルーヴィーと表現されたのを見たが、まさにそのとおりで有り、なんとそこにはエレガンスをも持ち合わせ、フォーク色やファンク色まで描く巧みな技巧で、曲の情趣の姿まで描ききるところは注目すべき処でもあった。
(評価)
□ 歌・演奏 88/100
□ 録音 88/100
(視聴)
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コメント
彼が抱えてるギターが、Victor Baker というものでしょうか。
綺麗な音ですね、透明感がありますが細すぎない。
投稿: iwamoto | 2021年9月 1日 (水) 16時51分
iwamotoさん
コメントどうも有り難う御座います
デュオと言っても、女性ヴォーカルを生かすギターという手法を熟知しているとしか思えない演奏で、彼女も彼との共演は非常に歌いやすいと言っているようです。
ギターそのものの種類はちょっと私には解らないところです。エフェクターの駆使にも長けているんでしょうね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年9月 1日 (水) 17時58分