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2021年9月18日 (土)

MQAハイレゾで蘇る・・(1) シェルビィ・リンShelby Lynne 「Just A Little Lovin'」

Image_20210917195701 MQA-HyRes

 ハイレゾ(ハイレゾルーションHygh-Resolution)による音楽鑑賞も一般化してきた。中でも「MQAハイレゾ」の誕生によって、我々にとっては更に身近になった。その音質の良さがあってのことだが、製作の廉価、CDとしての取り扱いの便利さ、ストリーミングやダウン・ロードによる配信の便利さなどから、私も既にその世界に没頭することが出来ている。 

 かってPCを介してのハイレゾに挑戦してきたのはもうかなり前からのこととなるが、ここに来て最も音が良く、身近に取り入れられたのは「MQAハイレゾ」である。このMQAについてはこのブログで2018年に、その可能性に触れたのだが、あれから3年、今や特別のものでなく高音質で聴きたいのなら誰でもすぐに取り入れられるところまでようやく来た。

  ハイレゾというのは・・・・CD(44kHz/16bit)よりも高いレゾルーション(解像度)を持つデジタル楽曲ファイルで、CDよりは高音質を特徴とする。PCM(Pulse Code Modulation=ファイル形式WAV,FLAC)とDSD(Direct Stream Digital=ファイル形式DSF)の二つの音源ファイルが存在するが、その高解像度を記録するためにはファイルが大きくなる欠点がある。
 ところがMQA(Master Quality Authenticated)は、ファイル圧縮技術により、その量を1/2以下には縮小でき(場合によっては1/5)、しかも音質面の時間軸の精度を高め高音質化した。ファイルの縮小化はダウン・ロード、ストリーミング、ディスクメディアにとって有利で応用範囲が広い。

Unnamed_20210917200401RoonEonkyologo_big

 これは英国のオーディオ・メーカーMedirianが開発したもので、今やMQAストリーミングとして統合型再生リゾルーション「Roon」を介しての配信サービス「TIDAL」が、欧州、米国、オセアニアに広く普及している。従って既にCDは影に追いやられストリーミング時代になった。遅れたアジアの日本も、もうそれが普及するのは時間の問題となっている。
 又日本では、現在「e-onkyo music」が、MQA音源を提供していて、何時でもダウン・ロードが可能だ。

 MQA方式は、こうして配信が容易で音質がよいことでストリーミング・ユーザーには有難い。一方CD派にはMQA-CDがあり、今まで記録できなかったハイレゾが記録が出来、再生も従来のCDプレイヤーでOKという利点がある。現在Universal Musicを中心に多数リリース。

█ MQA-CDの再生においては・・・・・

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  ①<従来のCDプレイヤーの場合>・・・・アンプと間に「MQAフルデコード対応DAC」を入れるのみでOK (これは「PC」からのデジタル・データの場合も、これにUSBで入れれば良い)。((例)上写真の上段=「ifi NEO iDSD」・・これはヘッドホーン・アンプ機能あり、USB-DACであり、又スマホなどからBluetoothによる無線入力も可能)

  <「MQA対応CDプレイヤー」の導入> ・・・これはそのままアンプに接続でよい(中・高級機が主であったが、普及機も出てきた)。((例)上写真の二段目 「N-mode X-CD3」) 

 この①②のどちらの方法でも良い。

 私の場合は、上の写真のように、①及び②の両方をいろいろな用途を考えて使っているが、それぞれ優劣無く高音質効果を発揮。ただし機種によりその音質は違うので好みを見つけるのも楽しみである。

        * * * * *

 さて、そんなMQAで高音質にCDが変身することにより、かってのアルバムが再び脚光を浴びるようになった。もともと録音の質の良くないマスターのCDはMQAにしたからといって、そう良くなるものでないが、製作時の録音の音質に力を入れて造られたものは、時代が古くても 現在にその価値が蘇ってくるのである。音の高音質化によって見違える程の傑作盤になって蘇る。そんなものを少し紹介する。

█  蘇ったシェルビィ・リン

<Pop-Folk, Folk, Rock, Jazzy not Jazz>

Shelby Lynne 「Just A Little Lovin'」(2008年作品)
Lost Highway Records / e-onkyo : MQA(96kHz/24bit) ダウンロード

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Shelby Lynne[Vocals],  Rob Mathes[Keyboards],  Gregg Field[Drums],  Kevin Axt[Electric Bass],  Dean Parks[Guitar]

 シェルビィ・リンShelby Lynnは1968年ヴァージニア州クワンティコで生まれ、父親の関係で人口200人足らずの田舎町アラバマ州フランクスヴィルに住む。妹と共に大自然の中での少女時代を過ごしたとか。音楽好きの母や祖母の影響を受ける。
 結婚後、ナッシュヴィルに移住し音楽経験を積む。やがてCBSと契約を交わした彼女はカントリー系のシンガーとしてデビュー。アルバムをEPIC等から5枚発表するが鳴かず飛ばず。1999年にロック・シンガーとして再デビュー、 アルバムは派手でないがそれなりに売れ、2000年度のグラミー賞ではベスト・ニュー・アーティストを授賞する。そして、2001年グラミー受賞後初のアルバム『ラヴ、シェルビィ』をリリース。
 このアルバムはその後の2008年作品で、あの故ダスティ・スプリングフィールドDusty Springfieldのトリビュート盤である。

Shelby_lynne_2014w (Tracklist)

 01. Just a Little Lovin' (05:20)
 02. Anyone Who Had a Heart (03:35)
 03. You Don't Have to Say You Love Me (04:13)
 04. I Only Want to Be With You (03:52)
 05. The Look of Love(03:22)
 06. Breakfast in Bed (03:22)
 07. Willia & Laura Mae Jones (04:10)
 08. I Don't Want to Hear It Anymore (04:38)
 09. Pretend (03:08)
 10. How Can I Be Sure (03:37)

 M1のアルバム・タイトル曲、ドラムスからスタート、ギター、ヴォーカルが続く。ブルースロックぽく、ややJazzyでもあり、彼女のヴォーカルには何ともいえない情感があるのだが、やや冷めた雰囲気もあってそこがなんとも魅力。
 とにかく、音質がよく心地よい、これが一つのポイントだ。静かな中に、バックのシンプルな構成でのシンバルの音、更にギターの音は繊細にしてクリア、ヴォーカルをしっかり支えていて変な刺激もなく、ムードがじっくり迫ってくる。ストリングスやフォーンのない構成である為、それぞれの楽器を明瞭に聴けるのも、MQA高音質の利点そのものである。
 M2,  M5 , M8はバカラックの曲。バラード調やボサノバ調など旨くこなしている。
   聴いてゆくとやっぱり彼女らしいカントリー風なところが出てくるも、ムードは牧歌的というのでなく意外に都会的ムードもはらんでいて現代調。多くはバラード調の曲で聴かせ、いずれもじっくり聴けて快感である。
 M9."Pretend"は、彼女の自作、これは彼女のギターでの弾き語りである。
 とにかく聴かせるタイプのアルバムで、聴いてゆくうちに愛着の出るアルバム。

(評価)
□ 曲・歌・演奏  90/100
□ 録音・音質   95/100

(試聴)

 

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コメント

彼女は分ります。 CDあるかもしれません。
これはダスティ・スプリングフィールドの曲ですね。

ジャケットが、彼女の実力より遥かに下だと思います。

投稿: iwamoto | 2021年9月18日 (土) 17時03分

iwamotoさん
こんにちわ、コメント有り難う御座います
Dusty Springfieldあたりはお得意様でしょうか ?
"Just a Little Lovin'"がいいですね、バックと曲の仕上げは、かなり違ってますが、私はこのShelby Lynneに軍配上げますが。^^
 このジャケは、それなりに出来ていると思いますが、それはDustyのこの曲のおさまっているアルバム「Dusty in Menphis」のジャケのオマージュなんでしょう(古いオリジナルのジャケの頬に両手を当てているヤツです、リマスターされたものは違ってますが)。・・・と、言うことでこんなところで許してやってください。又Shelby Lynneの他のアルバムよりは良いほうだと思いますが・・・いかがでしょうか。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年9月18日 (土) 17時58分

オマージュなんですか、なる程、それは失礼しました。

こういう、南部的と言うか、田舎っぽいイメージで売らなくてもな、と思っていたものですから。

ご紹介のストラトを持ってる姿なんて、とても自然ですね。

マスクしてるような写真のジャケありませんでしたっけ。
デザイン的には、アレが宜しいかと。

投稿: iwamoto | 2021年9月19日 (日) 12時33分

iwamotoさん
どうも・・です ^^
ありましたね、まさかマスクでは(笑い)。
おお、あのようなデザインが評価されますかね・・実は、私も昔のLP時代の名残で、いくつになってもアルバム・ジャケは大切なものだと思っています。
とにかく、昔は(1960年代)は高価なLPを買って、じっくりジャケを見ながら聴いたものです。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年9月19日 (日) 17時48分

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