ニッキ・パロット Nicki Parrott 「Great 70's」
いつものヴォーカルであるが、ややしっとり感が入った
<Jazz>
Nicki Parrott 「Great 70's」
Venus Records / JPN / VHCD01291 / 2021
ニッキ・パロット Nicki Parrott - vocals & bass
ジョン・ディ・マルティーノ John Di Martino - piano
デイブ・ブレンクホーン Dave Blenkhorn - acoustic & electric guitar
クエンティーン・バクスター Quentin Baxter - drums
Produced by Tetsuo Hara
Recorded at Trading 8's Studio in New York on December 28 &29, 2020.
Engineered by Chris Sulit
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Venus Hyper Magnum Sound Direct Mix
とにかく、Venus Recordsの看板となっているニッキ・パロットNicki Parrott (オーストラリア出身、1970年生れ)だが、後から後からこれでもかこれでもかとアルバムがリリースされてくる。この最近作を聴いてから時間が経ったが、ここに紹介しておく。ちょっとした高齢ジャズ・ファンに取り入ろうと言うことか、なんと70年代のヒット曲をジャンルを問わず取上げて彼女に歌ってもらっている。勿論彼女のベース演奏を伴ってのヴォーカル・アルバムだ。
所謂アルバム作成には、構想を練り一般的には充実した曲を仕上げるための努力や演奏、として録音、ミックスなどに工夫を入れて、まあ最短でも一年から一年半の間隔は必要なようなのだが、とにかく彼女のヴォーカル・アルバムは半年に一枚というハイ・ペースのリリース。ちょっとその点が心配しながら聴いているのである。Venus Recordsも、少々所謂作品作りという感覚をもう少し持っても良いのではと思うのだが。
(Tracklist)
1. 溢れる愛 / Lotta Love (N.Young)
2. うつろな愛 / You're So Vain (C.Simon)
3. ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー・トゥモロウ / Will You Still Love Me Tomorrow? (G.Goffin - C.King)
4. 僕の歌は君の歌 / Your Song (E.John - B.Taupin)
5. 愛ある別れ / If You Leave Me Now (P.Cetera)
6. マイ・ラブ / My Love (P.McCartney)
7. やさしく歌って / Killing Me Softly With His Song (C.Fox - N.Gimbel)
8. アローン・アゲイン / Alone Again Naturally (G.O'Sullivan)
9. イマジン / Imagine (J.Lennon)
10. 恋するチャック / Chuck E's In Love (R.Lee Jones)
11. 愛はきらめきの中に / How Deep Is Your Love (B.Gibb, R.Gibb, M.Gibb)
12. サンシャイン・オブ・マイ・ライフ / You Are The Sunshine Of My Life (S.Wonder)
13. 雨に微笑みを / Laughter In The Rain (N.Sedaka, P.Cody)
14. ウイ・アー・オール・アローン / We're All Alone (B.Scaggs)
黄金の70年代ビルボード・グレイテスト・ヒットの名曲をベーシスト・ヴォーカリストとしてのニッキ・パロットが、自分流ジャズのパターンで展開している。
先ずはニール・ヤングのM1."溢れる愛"のスタート、相変わらず"Mixed and Mastered by Tetsuo Hara, Venus Hper Magnum Sound Direct Mix Stereo"と言うことで、バックは基本的にはピアノ・トリオであるが音は例の如く派手である。しかし70年代ということか、意外に彼女の歌声はゆったりと、しかも語り聞かせるような落ち着いたところにある。エルトン・ジョンのM4."Your Song"がその典型、寧ろ抑制した発声でしっとり歌っている。
M6."My Love"のポール・マッカートニーも、しっとりタイプ仕上げ、なかなかこのアルバムでは聴かせるところにある。二重録音かハモっているところもある。
ただ、M8."Alone Again Naturally"のように、演奏も、歌も特別な工夫もなく、ただ歌っていると言ったところは、若干空しい。
M9."Imagine"のジョン・レノンは、心が入っていて、このアルバムの中では出色の出来。このあたりはあっさり歌ってしまうと言うわけには行かなかったようだ。
M12." You Are The Sunshine Of My Life "のスティーヴィー・ワンダーも、いやはやニッキ節で、変哲のない標準的なジャズに。
M13."雨に微笑みを"のニール・セダカは懐かしいです。これも歌い語り聞かせるバラード調の仕上げ。
まあ、ニッキ・パロットらしいと言えばらしいのだが、何時ものアルバムから大きな変化は特になく、70年代回顧版としてややしっとり感がでたアルバムと言うところであった。しかし私がそうであるように、このままだと・・なんとなく飽きられやしないだろうか。
(評価)
□ 選曲・演奏・歌 80/100
□ 録音 80/100
(試聴)
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コメント
彼女についてお話しすることが見つかりませんので、
今更ですが、「灰とダイアモンド」は有名な映画ですよね。
「月の裏側」の意味はさっぱり分りません。
タイトルの写真は地球のようですし。
この探査機のようなものは何でしょうか。
専門的な解答でも大丈夫です。
投稿: iwamoto | 2021年9月12日 (日) 11時52分
iwamotoさん
こんにちわ、コメント有り難う御座います。
これはこれは、私のブログのスタートした時を思い起こさせていただいて有り難う御座います。
このプログは、2006年にスタートさせまして、既に15年の経過となりました。
当初、ここでは映画、音楽、写真、カメラ、絵画などなどを取上げることとしました。私の映画に関しては、左のカテゴリー「私の映画史」を見ていただくとなんとなく解っていただけるかと思います。原点は1958年アンジェイ・ワイダ監督作品「灰とダイアモンド」です。絵画は「絵画」を見ていただけると有難いです。
問題の「月の裏側の世界」は、音楽のテーマの重要な一つとしてのプログレッシブ・ロックのピンク・フロイドの「The Dark Side of The Moon」からの私の描くところから付けたテーマです。
是非、このスタート記事を見ていただけると有難いです。→http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_20ad.html
写真については、「瞬光残像」のプログを独立させましたので・・・ここでは、少々語っています。
そんなところですが・・よろしくお願いします。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年9月12日 (日) 18時24分
拝読。
投稿: iwamoto | 2021年9月12日 (日) 23時19分
iwamotoさん
どうもどうも・・・です
音楽に関しては、私は演奏者でなく、あくまでも聴く方のみですが、昔から多方面に聴いてきました。
10-20代のリアルタイムにロックの流れは現在まで続いています。〇十年の経過では、時にはクラシックのみとか、近年のように圧倒的にジャズが多いとか、変遷はありますが・・・。
ロックは特にプログレッシブのジャンルに傾倒しましたが、その時代に生きてきたロックは愛着があります。60年末から70年代のエネルギーが、良かったですね。イタリア・ロックに夢中になったのも懐かしいです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年9月13日 (月) 16時49分