ドリーム・シアターの新譜 Dream Theater 「A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD」
ダイナミックな世界に回帰しての超絶技巧の壮大な世界
<Progressive Metal Rock>
Dream Theater 「A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD」
Sony Music Labels / JPN / SICP 31492-3 / 2021
Produced by John Petrucci
(ジャパン・リミテッド・エディション)
CD1(高品質Blu-spec CD2仕様)+Blu-ray1(5.1サラウンド・ミックスと制作ドキュメンタリー映像収録)
ジェイムズ・ラブリエ (James LaBrie) - Vocals(1991年– )
ジョン・ペトルーシ (John Petrucci) - Guitar (1985年– )
ジョン・マイアング (John Myung) - Bass (1985年– )
ジョーダン・ルーデス (Jordan Rudess) - Keyboad (1999年– )
マイク・マンジーニ (Mike Mangini) - Drums(2010年– )
1992年の2nd『Images and Words 』(James LaBrie新規加入)(→)以来もう30年になろうとしているDreamTheaterとのお付き合いで、その作品にもいろいろな試行錯誤があったが、前作『Distance over Time』よりは、やはり彼らのProgressiveと言われる流れを感じ取れる新作品15thアルバムの登場となったと言っておこう。
思い起こせば、1993年夏に中野サンブラザで彼らの演奏を目の前にしてから私は勿論だが、日本でも多くの支持者に支えられてきた彼らだ。当時のメンバーとしては変化はあるが、現在のこの五人は、硬い結束で今も歩んでいる。
ロックは時代を反映して築かれてきた音楽分野と私は思っている為、30年前から社会事情は変わり、彼らも30歳の歳を加えているわけで、現在もこうして創作意欲が確実に流れていることに実は驚きを感じ得ない。過去のヒット曲に身を任せているミュージシャンとは、そんなところに一線を画するバンドとして、私は評価しながらアルバムを通じてお相手させていただいているのである。
私のロック好みはかなりの偏りがあるが、当時彼らは英国プログレ・バンドのイエスやピンク・フロイドから影響を受け、メタル・バンドの世界に足を入れ、一方のRushそしてFate Warningの流れに乗っての登場で、私の興味を獲得した。
残念なのは、当初からのキーボーディストのKevin Mooreが1994年にアルバム『Awake』で去ったことは、若干私をしてこのバンドから距離が空いた感もあった。
最近では、2010年のMike Pertnoy(Drums)の脱退と、2013年のバンド名をアルバム名とした12枚目『Dream Theater』で、彼らは一つの区切りを付けるのかと思っていたが、その後試行錯誤があったとは言え、ここに15thアルバムが登場するのは目出度いことでもある。
いずれにしても力の入ったアルバムで、しかも20分以上の大作アルバム・タイトル名の曲の登場には意欲が感じられ嬉しいことだ。
(Tracklist)
Disc 1 (CD)
1.The Alien
2.Answering The Call
3.Invisible Monster
4.Sleeping Giant
5.Transcending Time
6.Awaken The Master
7.A View From The Top Of The World
Part1 The Crowning Glory
Part2 Rapture Of The Deep
Part3 The Driving Force
Disc 2 (Blu-ray)
1.The Alien (5.1 Surround Mix)
2.Answering The Call (5.1 Surround Mix)
3.Invisible Monster (5.1 Surround Mix)
4.Sleeping Giant (5.1 Surround Mix)
5.Transcending Time (5.1 Surround Mix)
6.Awaken The Master (5.1 Surround Mix)
7.A View From The Top Of The World (5.1 Surround Mix)
8.Digging For A Spark - A View From Inside DTHQ (Documentary)
7曲と曲数は少ないが、アルバムは70分の大作。M1."The Alien"(9:31)、M4."Sleaping Giant 眠れる巨人"(10:05)、M6."Awaken The Master"(9:47)とアルバム・タイトル曲M7.が(20:25)と大作のオンパレード。
オープニングを飾るM1"The Alien"は、おおドリーム・シアターと思わせてくれる強烈なビートをからませてのメロディー展開、ハイエナジーかつ壮大さをめくるめく超絶技巧が繰り広げられる強力なナンバーだ。これで一安心といったところ。
M3."Invisible Monster"での中盤の美しいギター。M4."Sleeping Giant"では詩情のラブリエのヴォーカル、M6."Awaken The Master"の重低音からスタートしてのキーボードのメロディー、ギターの泣きなど、これまでのドリーム・シアターの総決算みたいに聴ける。
そして究極は20分25秒という超ロング曲M7."A View From The Top Of The World "、これは三部に分かれていて、曲名のように頂点に立っての異様な感覚と虚無感だろうか、Part1は9分少々、荘厳から広大な世界そして不安な情景の展開にしてスリリングな演奏、Part2は約5分、美しく過去への回顧につながるキーボード、ギターの美。Part3は、再び重低音のリフの展開中に限界への挑戦、自己を信じての挑戦の世界。リズムの変調をからんでのダイナミックな演奏の華。
昔を思い出す久々のスリリングなめくりめくる変調のダイナミズム。美を描きつつも不安と恐れ希望の混在に展開は激しい。とにもかくにもドリーム・シアター節に彩られた傑作と惚れ込んだ。
(評価)
□ 曲・演奏 : 93/100
□ 録音 : 88/100
(試聴)
"Awaken The Master"*
"Invisible Monster"
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コメント
綺麗な音ですね。
不純物が取り除かれ、濁りが消えたように聞こえます。
メタルというのは、ヘヴィメタルとは違うのですか。
重金属感はあまり無いように感じますが、如何ものでしょう。
この文法の音楽って、まだ生産されてることが驚きでした。
このバンドのこと、全く知りませんでしたが、お互い、偏ってるってことですね。
投稿: iwamoto | 2021年10月30日 (土) 18時19分
iwamotoさん
コメント有難う御座います
>お互い、偏ってるってことですね
わっはっは、そうですかねぇーー ^^
彼らは、もう死語のProgressive因子は確かにありますが、やっぱりヘビー・メタルの因子は強いと思いますね。おっしゃるのはツイン・ギターのリフがないところでしょうかね。
夜にしっとりムードのジャズ・ヴォーカルとか、ピアノ・トリオの描く世界も最高ですが、時にはロックの激しさが私は生きてる証拠なんですが・・・
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年10月31日 (日) 12時07分