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2021年11月22日 (月)

アデル Adele 「30」

またまたポピュラー界に嵐は起こるか・・・涙と過去の精算

<Pop, Country, Rock>

Adele 「30」
Sony Music / Japan / SICP 6425 / 2021

30w

Adele – vocals (all tracks), background vocals (3), tambourine (5)
Ludwig Göransson – bass, keyboards, melodica, piano, synthesizer (1)
David Campbell – strings (1, 3, 7, 10, 12)
Greg Kurstin – bass, piano (2–5, 7); drum machine (2), melodica (3, 4, 7), steel guitar (3), clapping (4, 5), guitar (4), organ (4, 5, 7), drums, keyboards, percussion (5, 7); synthesizer (7)
Chris Dave – drums (3–5, 9), percussion (3, 9, 12), bongos, vibraslap (4)
etc

 6年ぶりというお久しぶりのアデルAdele Laurie Blue Adkins(1988-)のアルバム登場、と言うことで「メガジャケ(24cm×24cm)」付きCDを買って聴いてます。
 このところどこに行ったのか解らず状態であってなんとなく忘れかけた時に、突然リリースされた先行シングル「Easy One Me(イージー・オン・ミー)」は米Billboardの全米シングルチャートでNo.1の座を4週以上キープしているだけではなく、ストリーミングの世界でも、1日あたりに再生された楽曲としては最大の数字を叩き出し新記録を樹立しているとか、いやはやブランクは何処に行ったのかと思わせる。

 アルバム題材の彼女の三年前の30歳当時は、私生活はやっぱり悲しい状況にあった。2012年に当時の恋人慈善活動家サイモン・コネッキとの間に男児を出産。サイモンとは2016年に結婚するも、2019年9月に離婚。得意のと言うと叱られそうだが、またまた失恋をテーマにした世界で迫ってくるのかと思うのである。しかし内容は、シングルマザーで育った自分を思うに付け、むしろ愛する9歳の息子に自分を何時か理解してもらいたいとの意味が強いとか、いろいろと説はあるが、まあそんなところだ。

Adeleperformsw


 思い起こせば、2008年のデビュー・アルバム『19』で世界は圧倒された。ポップ界は、一気に色が塗り替えられた思いで、私にとっては、凄い"じゃじゃ馬"の登場という感じでのスタートだったが、なんとグラミー賞「最優秀新人賞」と「最優秀ポップ女性歌手」の2部門を受賞。とにかく当時英国でエリザベス女王のお気に入りになって人気のあったケイティ・メルアも吹っ飛んでしまった。
 続く2ndアルバム『21』(2011)は、これも19カ国で1位を獲得し全世界で2,500万枚を販売、今世紀最大のセールスを記録。全米アルバムチャートでもヒット記録を樹立、ギネス記録にもなる。また2012年第54回グラミー賞に主要3部門を含む6部門でノミネートされ、すべての賞を受賞。当時の話題の歌唱力のルーマーも圧倒されてしまう。
 2015年3rdアルバム『25』でもグラミー賞計5部門を受賞し、史上初めて主要4部門のうち3部門を2度も制覇したという世界No1のアーティストとなった。
 
 なんだかんだと言っても、今世紀を代表する英国出身のSSWアデルは現在33歳。張り上げる歌声にはハスキーな魅力があって、歌声と自身のオリジナル曲による恋愛経験などを基にしたあからさまの歌詞が訴えてきて、曲のとっつきやすさもあって人気を集めているわけだ。

Singeradelew(Tracklist)

01. STRANGERS BY NATURE | ストレンジャーズ・バイ・ネイチャー
02. EASY ON ME | イージー・オン・ミー
03. MY LITTLE LOVE | マイ・リトル・ラヴ
04. CRY YOUR HEART OUT | クライ・ユア・ハート・アウト
05. OH MY GOD | オー・マイ・ゴッド
06. CAN I GET IT | キャン・アイ・ゲット・イット
07. I DRINK WINE | アイ・ドリンク・ワイン
08. ALL NIGHT PARKING(WITH ERROLL GARNER)INTERLUDE | オール・ナイト・パーキング(with エロル・ガーナー)インタールード
09. WOMAN LIKE ME | ウーマン・ライク・ミー
10. HOLD ON | ホールド・オン
11. TO BE LOVED | トゥ・ビー・ラヴド
12. LOVE IS A GAME | ラヴ・イズ・ア・ゲーム
(Bonus Tracks)
13. Wild Wild West | ワイルド・ワイルド・ウェスト
14. Can't Be Together | キャント・ビー・トゥゲザー
15. Easy On Me (with Chris Stapleton) | イージー・オン・ミー(with クリス・ステイプルトン)

 M1."STRANGERS BY NATURE " おお!これは、大人っぽくなったなぁーーと思わせるスローバラードでスタート。雰囲気はこりゃ聖歌ですね。そしてM2."EASY ON ME"の先行リリースのヒット曲に続く。これも昔の声の張り上げるところで無く、ちょっと抑制しているところは大人のムード。このあたりで自己の離婚の状況に迫り、その結果M3."MY LITTLE LOVE"が彼女にとっては重大なテーマ、このアルバムの焦点にある息子に対しての自分の親の姿として許しを請うのだ。その泣きの語りに涙を誘う。
 そしてM5."OH MY GOD" ,M6." CAN I GET IT"では、特にM6.には、軽快な曲で心に展望が開けている様を歌っているように聴ける。
 ただ、この流れは、恨み節に終わっていないところが、彼女の大人になった姿と言って良いのだろうか。
 M8."ALL NIGHT PARKING",M9."WOMAN LIKE ME"のスローな歌が如何にも大人の心の歌だ。ここにみるアデルの30年の歴史が一つの結論に向かっている。
 M11." TO BE LOVED"なかなか説得力のある歌、過去の清算を行っているのだろうか、解らない。
   M12." LOVE IS A GAME "の最後の結論にいたるところ、ここには暗さが無い。一つの納得と達観の世界をゆったり歌い上げる。

 やはり究極の処、彼女らしい自己の心の歌だ。過去と違うところは息子を持った母親としての強さも感じられる。「アデルも恨み節から卒業して・・・」と、この4thアルバムの評価も私にはその術も持ち合わせず、人間的発展の世界として受け止めておこう。

(評価)
□ 曲・歌 :  88/100
□ 録音  :  85/100

(視聴)

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コメント

そろそろこれが出て来るかな、と思っていました。
ビリー・アイリッシュを聞いた後のアデル。
もう少し時間が無いと判断出来ないですが、アデルの声は魔力がありますね。

それにしても、「007」は凄いなと思いました。

投稿: iwamoto | 2021年11月24日 (水) 12時04分

iwamotoさん
コメント有り難うございます
アデルがこれで四枚目のアルバムですね。
いっやーーほんとにこの10年間+αのアデルは世界をあっと言わせましたね。
今回のアルバムで一段落でしょう。
今度は、次の世代のビリー・アイリッシュですね、でも彼女も先日の2ndアルバムで、一つの壁に当たると思いますが・・・。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年11月24日 (水) 22時53分

Photofloydさんもアデルの記事やっていたんですね~!彼女の事は大好きです!「アデル21」でグラミー賞・主要3部門を含む最多6部門を受賞!英国ではシングル2曲とアルバム2枚が同時にトップ5内にランクイン(ビートルズ1963年以来の快挙)を成し遂げてギネスブック認定。マイケル・ジャクソンの名盤「バッド」38週連続も抜き歴代1位を記録。オリジナル盤ではビートルズ金字塔「SGTペパーズ」に次ぐ記録2位、世界セールス3千万枚突破の超絶的記録を打ち立て、本当に凄い歌手が現れたものだと驚いたものです。3rd盤「アデル25」グラミー賞5部門を受賞、th盤「アデル30」も聴き込みました。ソウルフルな素晴らしい歌声、40~50歳と言われても不思議のない堂々たる貫禄姿、「何事にも動じないガハハと大笑いの大阪オバちゃんイメージ」を抱いてましたが、意外にも「ガラス細工の様な繊細なアデル」の一面を再発見して増々彼女に魅せられました。
実業家サイモン・コネッキと恋に落ち2012年に授かった第一子を出産、結婚して名声と富を得たもののその後破局を迎え離婚、現在はシングルマザーとして子育てをしながら「アデル25」では嘆きの失恋歌のオンパレード、「アデル30」では三十路を過ぎても癒えぬ傷心。自分を責め、息子に罪悪感を抱く母親の心境を歌っていました。「こんなにもガラスのハートで自責の念に駆られ続ける女性だったのか!」と意外な気持ちでした。吹っ切れない未練に数年間も苛まされ続け引き摺る感傷から抜けきれないアデル、彼女にとって時間の経過は苦しみ・哀しみを忘れ去るどころか渇望感が一層増しているように思えました。今後アデルは再び人生を歩み直すことができるのか少し心配な気持ちもあります。

投稿: ローリングウエスト | 2024年9月10日 (火) 15時12分

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