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2021年12月 6日 (月)

ペトラ・ヴァン・ナウス Petra Van Nuis 「Lonely Girl - I Remember JULIE 」

ジュリー・ロンドンに捧げたソフィスティケートなトリビュート・アルバム


<Jazz>
Petra Van Nuis & Andy Brown 「Lonely Girl - I Remember JULIE 」
MUZAK / JPN / MZCF-1446 / 2021

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Petra Van Nuis : Vocals
Andy Brown  : Guitar

 ペトラ・ヴァン・ナウスのヴォーカル・アルバムは、2018年に、ここでPetra van Nuis & Dennis Luxion 『because we're night people』を取上げたのだが、あれはピアノとのデュオ作品であった。その彼女の今度は亭主Andy Brownのギターとのデュオ作品である。2010年に、この両者による『FAR AWAY PLACES』(JZ100222-02) というアルバムがあるが、それ以降も時々お目見えしたテュオ作品、これがなかなかAndy Brownのギターが繊細にして温かみが有り、心に安らぎを与えてくれるタイプで、聴くものに好評である。
 今回は、そんなギターと共に、かってギターとのヴォーカルの一つのタイプを築いたと言われている故ジュリー・ロンドン(今年生誕95周年)に思いを馳せ、ペトラがトリビュート・アルバムとして挑戦している。これはギター面からは、Andy Brownの発想から生まれたのかも知れないし、ペトラ自身は、ジュリー・ロンドンに一つの憧れを持っていたという事の結果によるのかも知れない。

(Tracklist)

Unnamed-1_20211205222701 1.ロンリー・ガール
2.トラベリン・ライト
3.ユーヴ・チェンジド
4.この世の果てまで
5.サムシング・クール
6.ヒアズ・ザット・レイニー・デイ
7.ミーニング・オブ・ザ・ブルース
8.ブルース・イン・ザ・ナイド
9.イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド
10.アイ・シュッド・ケア
11.ベイビー・ウォント・ユー・プリーズ・カム・ホーム
12.春なのに
13.クライ・ミー・ア・リヴァー

 やっぱりこのアルバムにおけるペトラ・ヴァン・ナウスのヴォーカルは、シックでスウィートと言われる魅力をそのまま発揮している。又アンディ・ブラウンのギターが、やや控えめに静かに繊細にしてメロウに演じられ、彼女の世界にぴったりで、夫婦の意気投合した世界かと思わせる出来栄えだ。

 とにかくジュリー・ロンドンの歌う曲と言えば、私的には"Cry me A River"(M13.)というところに尽きるのだが、あの恨み節の歌がなんとペトラに歌わせると、なんか清々しさを感じられるところにくるのであるから不思議なモノだ。私はこの歌が好きでいろいろと聴いてきた。最近では、Diana Krall、 Alexis Cole、 Halie Loren、 Nicki Parrott、  Cheryl Bentyne、 Lyn Stanley、 Hetty Kate、Tierney Sutton 、Imelda May、Ilse Huizinga などなど・・・、女性ヴォーカリストであれば誰でも歌いたいという曲であろうが、ペトラの歌は誰にも似ていない。それほど彼女の歌というのは個性があるのである。とにかくマイルド・テンダーで、エレガンスな世界は特筆もの、更に力みない素直さが魅力だ。そして私からみると、ちょこっと音程が正規のところから外れたような変化が見られ、そこに何とも言えない危うさを秘めていて、コレも又魅力となっている。

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 とにかくM1."Lonely Girl"からゆったりと静かにスタートし、語り聴かせるような彼女の歌が全曲雑音無しの小さな部屋でしっとりと聴く感覚の世界である。そしてギターの調べはあくまでも彼女の歌を支え、静かさと描くドリーミーな世界は、単にジャズという世界なのか、私には解らないところにある。おやM4."The End Of The World"もジュリーの歌だったのかと疑いながら聴いたが、この歌もこんなお話をしているような歌になってしまっていて良いのかと、興味のある変化に驚くのである。

 この清楚にしてデリケートな可愛らしさ(そんな歳では無いのだが)と共にソフィスティケートなところが彼女の売りだろう。そしてここまでアカペラに近いしみじみとしたムードの歌声が、そのまま手に取るように聴かれその味を十分に表現している録音である。とにかくヴォーカル・ジャズ作品としても良い意味での特異な部類に入るといって良いだろう。

(評価)
□ 編曲・演奏・歌   90/100
□ 録音        88/100

(視聴)

(ちょっと少し前のこの二人のデュオ)

 

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コメント

ギターが忙し過ぎるように聞こえました。
もっと、引くところを作った方が聞きやすいし、客に対して順当な誘導が出来ると思います。

彼がギターで彼女がヴォーカル、
気恥ずかしいスタイルですが、これが逆転したら、興味深いです。

ジュリーに捧げるなら、あと5年待っても良かった?
ギターを一曲ひとりにすれば、面白い味が出るかもしれませんね。

投稿: iwamoto | 2021年12月11日 (土) 11時57分

iwamoto様、コメント有り難う御座います
 視聴のYutube映像は、今回のアルバムものはアップされていませんので、別物を付けましたが、究極のスタイルは変わっていません。
 聴く人によって違うのだなぁーーと思いました。私はギター・テクニックには詳しくないので、何も申し上げられませんが・・・・彼女のヴォーカルを生かした極めて控えめで有りながらテクニカルに優れたギターだと思っています。なかなかのギタリストだと。
 ジュリーはあと5年で丁度生誕100周年ですね。^^

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年12月11日 (土) 12時28分

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