チャンピアン・フルトン Champian Fulton Trio 「I'll See You In My Dreams」
洒落た酒場の歌付きジャズ・トリオ演奏といった世界
<Jazz>
Champian Fulton Trio
「I'll See You In My Dreams 夢であえたら」
Venus Records / JPN / VHCD-1293 / 2021
チャンピアン・フルトン Champian Fulton - vocals and piano
ハンス・バッケンロス Hans Backenorth - bass
クリスチャン・レス Kristian Leth - drums
Produced by Tetsuo Hara
Recorded on November 23rd and 24th, 2020 at FinlandStudio, Aarhus Denmark.
Recording Engineers: Jacob Worm and Rune Hauge
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara / Venus Her Magnum Sound Direct Mix Stereo
ピアノ弾き語りの米国歌姫:チャンピアン・フルトンChampian Fulton(1985年米オクラホマ州ノーマン生まれ)の、ハンス・バッケンルート(b)&クリスチャン・レス(ds)、というスカンジナヴィアンのリズム陣によるピアノ・トリオ・アルバム。デンマークでのスタジオ・セッション編でヴィーナス・レコードからのリリース盤。
彼女のジャズに関しては、過去にもここでアルバム『BIRDSONG』(2020)など取上げてきた。
彼女のジャズ・ピアノは、女性的とか繊細にして情緒的というものでなく、これがジャズだと言わんばかしのなんとなく豪快さを感ずるアメリカン・ジャズを演ずるのだが、其の辺りがなんとなく注目してしまうところであるのだ。実際に4曲は歌無しのInstrumentalものである。しかし今回はかなりヴォーカルのウェイトも多く、その歌唱と演奏とのバランスも良好で、如何にもジャズの原点的な酒場向きの軽妙な演奏が聴ける。
(Tracklist)
1)オール・オブ・ユー All Of You
2)ビーズと腕輪 Baubles, Banges & Beads
3)ブルース・フォー・ジェイ・マクシャン Blues For J.McShann *
4)ボディ・アンド・ソウル Body And Soul
5)エヴリ・ナウ・アンド・ゼン Every Now And Then
6)あなたに首ったけ I've Got A Crush On You
7)ハッピー・キャンパー Happy Camper
8)アイ・ドント・ウォント・トゥ・セット・ザ・ワールド・オン・ファイア I Don't Want To Set The Wolrd On Fire *
9)夢であえたら I'll See You In My Dream *
10)恋に寒さを忘れ I've Fot My Love To Keep Me Warm
11)オパス・デ・ファンク Opus De Funk *
12)ペニーズ・フロム・ヘブン Pennies From Heaven
*印 Instrumental
やはり聴いてみると、彼女の歌はピアニストらしく、さりげなくスウィング・ジャズとのバランスが絶妙に歌い上げるところにある。それはキュート&メロウなといったところにあり、ハミングやスキャットもおりまぜての芸達者。ただ私的好みからすると声の質などちょっと違うところが残念でもある。まあそれはそれとして何時もジャズ演奏バー的雰囲気を醸し出す世界で、湿っぽくなく寧ろ軽快な心地よさにあり、それはそれでジャズとしては良い線を行っているのではと思うところにある。
とにかく披露するピアノの演奏パターンは女性的というので無く、精悍なプレイが続発して、それがソロでは一層顕著となり、ジャズ・アクセントとして楽しめる。全体を通じて趣味よく洒落た酒場の歌付きジャズ・セッション方式が一貫して演じられ快適な時間となるし、お父さんたちの憩いの場としては最高というスタイルだ。
インストもののM3."Blues For J.McShann "のブルースものも、ベースやドラムスとのゆったりテンポに乗りつつ、ピアノ旋律とベースのアルコ奏法が歌い上げてなかなか楽しいし、M9."I'll See You In My Dream "のアルバム・タイトル曲は、これぞと軽快に嫌み無くピアノを弾きまくって、ブシ奏法も軽快でジャズを楽しませる。
そんな調子で、難しいこと無しに軽くジャズを楽しもうという世界で評価したいアルバムだ。
(評価)
□ 演奏・歌 88/100
□ 録音 88/100
(視聴)
"Every Now And Then"
"I'll See You In My Dream "
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コメント
酒場の音楽、ですか。
酒場に行かないのでよく分かりませんが。
ライヴハウスのブッキングマネジャーは何年間かやったことがありますけど。
酒場といっても大きく違うものでしょう。
この彼女の顔立ちとか声が、やや個性に欠ける感じがします。
インストになると、全く誰が演奏してるのかわたしには判断出来ません。
弾いて歌う、となると例えばダイアナ・クラールなどはあの顔、あの雰囲気、そして圧倒的な声の魅力を殆どの人が感じると思うのです。
個性的、ということが一番だを思います。
それが一撃で分るものが好きです。
人が音楽を聞くときに、全く違うところを聞くものなんですが、これは作るときも同じで、そんなアプローチがあったのか、と思わされることもありますよね。
結果的に、同じモノが好きといっても、プロセスは違うのでしょうね。
話が逸れて申し訳ないのですが、レナード・コーエンの「ハレルヤ」は誰の演奏がお好きですか。
投稿: iwamoto | 2021年12月16日 (木) 17時35分
iwamotoさん
こんばんわ、コメント有り難うございます
ピアニストの演奏もなかなか個性的で面白いデスよ。
トリオでやっても特徴はでますね。
まあ、このアメリカン・スタイルは、なんとも言えませんが。
レナード・コーエンがお好きですか、私は彼のロックは全く興味が無かったんですが、歳を取っての年の取り方がみごとでしたね。そこに魅力はありました。
彼については一〇年前の私の記事を参考にしてください。↓
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/leonard-cohen-c.html
そして彼に纏わる女性狩りと言えば・・ジェニファー・ウォーンズしかいませんね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年12月16日 (木) 19時46分
すみません、レナード・コーエンが好きってことはないです。
でも、あの曲は、イーグルスの「デスペラード」と同じくらいに、数々の名演名唱を誘発していると思います。
わたしは、ジェフ・バックリィの演奏が好きです。
ギターも素晴らしいです、スタジオ版ではギターの音に飾りが付き過ぎていますが、テレキャスのシングルコイルの冴えは見事だと思います。
デスペラードは大好きな曲で、わたし自身のことを言われてる気がするので、胸が苦しいですが(笑)
子どもが歌っても、胸打たれます。
投稿: iwamoto | 2021年12月16日 (木) 21時58分
iwamotoさん
おっしゃりたいことが解って来ました。
私は老年期のレナード・コーエンの"ハレルヤ"の世界に納得なんですが、Jeff Buckleyの若き哀しさの"ハレルヤ"も全く違った意味で素晴らしかったですネ。彼の父親との交流の無かった人生の姿が見えるようです。男には父親が特に幼少期には必要と思います。
今日は、意外なお話で意義がありました。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年12月17日 (金) 12時36分