ロレンツォ・ナルドッチ Lorenzo Nardocci Trio 「Secondo Me」
メロディアスでの軽妙な躍動感
<Jazz>
Lorenzo Nardocci Trio 「Secondo Me」
Losen Records / EU / LOS256-2 / 2021
Lorenzo Nardocci (piano)
Andreas Dreier (bass except 8)
Terje Evensen (drums except 6)
Recorded June 28 & 29, 2021 by Martin Abrahamsen at Rainbow Studio, Oslo, Norway
実力派のイタリアのピアニスト、ロレンツォ・ナルドッチ Lorenzo Nardocci(1974-)の2ndアルバム。彼は、日本ではまだそれ程なじみが無い遅咲き、1999年からノルウェーに住み、フリーランスのピアニスト、オルガニスト、ピアノ教師として活動。ノルウェー国立音楽大学を卒業した45歳の時、作曲家としてのキャリアをもスタートさせたと。北欧ジャズと即興の世界に、彼のイタリア伝統のメロディ・センスを盛り込んでの新天地を構築している。
このアルバムは、ベーシストのアンドレーアス・ドライエル Andreas Dreier とドラマーのテリエ・エヴェンセン Terje Evensen と一年間共演してきた中で作り上げた6曲と、彼らとの3つの即興モノ"ImproⅠ,Ⅱ,Ⅲ"で構成されている。
(Tracklist)
1. Secondo Me (Lorenzo Nardocci)
2. Dicembre (Lorenzo Nardocci)
3. Impro I
4. Al Quinto Piano (Lorenzo Nardocci)
5. Birozza (Lorenzo Nardocci)
6. Impro II (p & b duo)
7. Rubato (Lorenzo Nardocci)
8. Impro III (p & ds duo)
9. B.M.W. (Lorenzo Nardocci)
このトリオの印象は、小気味の良いリズムカルな流れにあって、そこにはいろいろなリズムがミックスされている。どちらかというと重くない、むしろ軽い調子と言えるが、その為に難しくならない。そこにピアノのイタリア音楽風のメロディーが加味されてくるが、決して抒情的というか、哀愁的というか、郷愁を誘うといったところには流れない。このあたりは抒情指向の日本人好みとはちょっと別かも知れない。
M1."Secondo Me"は、サンバのリズムが基調にあって、メロディアスな軽さの世界だ。ピアノというものの味を感じての曲らしいが、しかしあまり面白さは感じない。こんな調子でどちらかというと軽妙な曲群で構成されたアルバム。
ただし、M4."Al Quinto Piano "は、中でも軽妙というので無く、ジャズ・トリオの音楽に対する真摯な姿をちらっと見せる。
M5."Birozza"は、かなり軽い展開だが、家族への愛の表現らしい。
それとM7."Rubato"が、珍しくどこか郷愁的な心の流れを感じて、このアルバムでは私のお気に入り。
そして不思議なのは3曲の即興曲。ここにに見るのはコンテンポラリーな本質が見えて、全体を形作る6曲とは全く異質。M3." Impro I"のトリオが三者の交錯の面白さ、M6."Impro II "のピアノとベースのデュオ、結構前衛的な展開。ただしM8." Impro III "のピァノとドラムスのデュオだが、こちらは意外におとなしく流れて期待外れ。
私から見ると、これらのインプロの異質性ある曲を挟んでのアルバム作りとなっているが、むしろこの即興タイプを主流にした方が面白いのではと思ったところだ。これはスタジオ録音の合間の楽しんだ演奏らしい。
トータルにみると、北欧ジャズの叙情性とか哀愁感は少なく、メロディアスな因子の持った軽妙な躍動感が感じ、三者の技術的高さは各所に見えるが、"まあ・・そうですか"といった訴えるところの少ないアルバムだった。
(評価)
□ 曲・演奏 85/100
□ 録音 85/100
(試聴)
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