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2022年1月30日 (日)

アンナ・グレタ Anna Gréta 「Nightjar in the Northern Sky」

北欧の自然と人間模様を描く神秘性を秘めた風のような歌声

<Jazz>

Anna Gréta 「Nightjar in the Northern Sky」
ACT Music / Germ. / ACT 944-2 / 2021

Annagretatrfw

Anna Gréta (p, keys, vo, backing vocals)
Skúli Sverrisson (b) exc #8
Einar Scheving (ds) exc #2, 3, 11
Hilmar Jensson (g) #2, 6, 7, 10, 12

Sigurður Flosason (sax) #3, 4
Magnús Trygvason Eliassen (ds) #2, 3
Johan Tengholm (b) #8
Ragnheiður Gröndal (backing vocals) #11

Produced by Anna Greta and Albert Finnbogason
Recorded at Sundlaugin Studio, Iceland on January 5-6th 2021; at Studio A,
Iceland during January 2021; and at Studio 1010 in Stockholm during March 2021
Engineered and mixed by Albert Finnbogason
Mastered by Hoffe Stannow at Cosmos Mastering, Stockholm

20200214210844225724w

 
 アイスランド出身のジャズ・シンガーでソングライターのアンナ・グレタAnna GrétaのACTからの初ソロ・アルバム(現在はスウェーデン在住)。私にとっては未体験のミュージシャンものであるが、ピアニストとしても演じており、「柔らかな風のような歌声と最新北欧ジャズサウンドが紡ぎ上げる、北欧の豊かな自然の温もりと神秘的な景色が広がる現在進行形のノルディック・フォーキー・ミュージック」とのことから是非聴いてみたいと入手したもの。
 彼女はアイスランドのレイキャビク近郊生まれ。父親のシグルズール・フロサソンSigurður Flosason はサックス・プレイヤーで(このアルバムでも2曲に参加)、その影響もあって幼いころからビル・エヴァンスとか、そうしたジャズ・アーティストに惹かれながら育ったとか。
 2014年にスウェーデンのストックホルム音楽大学に学ぶようになり、2015年にはアイスランド音楽賞でジャズの最優秀新人賞、2019年には権威あるモニカ・ゼッタールンド賞というものを受賞したり、2020年のノーベル賞授賞式に参加するなど、既に現在アイスランドとスウェーデンでは評価を勝ち得ているようだ。
 
(Tracklist)

Dsc02298w 01 Nightjar in the Northern Sky 4:49
02 Ray of Sun 4:43
03 Sleepless 4:34
04 The Tunnel 3:06
05 Blue Streams 4:26
06 Mountain 4:25
07 Falling Down 3:08
08 Like a River 3:17
09 Home 3:25
10 Waiting Never Ends 5:16
11 Guide the Way 3:04
12 Carry Me Across the Sky 4:06

All music and lyrics by Anna Greta,
except The Tunnel, based on a poem by Robert Creeley

  北欧の一流ジャズ・ミュージシャンをバックに自己のオリジナル曲でジャズ・ピアニストとして演じ、それに更に清楚感のある優しさと美しさのあるヴォーカルが心地よく載ってくる。とにかく北欧の神秘性ある大自然が眼前に浮かんでくる。
 曲はクラシックなトラッド風のフォーキーなところに、ジャズのエッセンスを優しく載せた感じで、気持ちよく清々しく聴ける。
 演奏は彼女のピアノによるトリオ編成が基本であるが、ピアノ・ソロ的な部分も有り、又ギター、サックスが数曲に色を添える。

 M1."Nightjar in the Northern Sky" 北国の空に舞う夜鷹を想っての神秘的世界を、静かなピアノトリオ演奏に乗って、優しくソフトで温もりの感ずるクリーン・ヴォイスで歌い開幕。
 M2."Ray of Sun "にはギターも入るが、ピアノ主導で雰囲気変わらない
 M3."Sleepless", M4."The Tunnel" にはサックスも色を添えるも、やはり静かな音色に止まりピアノの流れを損なわずムードの色に変化を付けている。M4.は、唯一彼女の曲で無いが、そのヴォーカルは夜の暗さを見事に描く。
 M5."Blue Streams", M6."Mountain "は、人生の表現として蒼い水の流れ、そして海、又山の如くの立つはだかる姿をしっとりと歌う。
 M7."Falling Down" の一人二重唱の歌は究極の美。
 M9." Home " は、この中では珍しく躍動感ある曲。世界を旅しても、この地が定まった地と・・・
 M10."Waiting Never Ends" 混迷の幻想からM11." Guide the Way"の展望への道
 M12."Carry Me Across the Sky " の静かに言い聞かせるようなしっとりとした優しさは締めくくりにピッタリの曲。

 

 北欧の大自然と人生をオーバーラップさせての全12曲と想うが、この曲がどうだのこうだのでなく、アルバムをトータルに流れを感じながら、この北欧の世界を聴き込んでゆくのが良いと思う。
 ジャジーというか、Jazzy not Jazzに近いパターンであるが、クラシカルで、フォーキーで詩情豊かな静謐さのある演奏と歌の世界、そこに人生の綾と大自然の神秘性を交錯させる。安らぎと不安感と緊張感、更に幻想と夢とを静かに描く出色のアルバム。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  90/100
□ 録音      85/100

(視聴)

 

 

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コメント

大自然に敬意を持たないと暮らせない地域。
そこに育まれるものは、すべてに敬虔なイメージがありますね。
トラックを一周する毎に、これはジャズか、という言葉が投げかけられそうですが。
厳然として存在し、育っている印象を受けますね。

投稿: iwamoto | 2022年2月 2日 (水) 13時15分

iwamotoさん
お早うございます、コメント有り難うございます
 おっしゃるとおりの北欧の地・アイスランドでの自然とのふれあいは敬虔なるモノがあるんでしょうね。一度は行ってみたかった国です。
 全編そんなところがしっかりと迫ってくるアルバムでした。
 かってMelody Gardotがデビューした頃、Jazzy not Jazzという言葉がありましたが、今や十数年経って、パターンは違っても、この世界は立派にジャズを支えていますね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年2月 4日 (金) 08時23分

何回も訪れた北欧の自然が目に浮かびます。私にとっても今年初めての収穫となったアルバム。

投稿: 爵士 | 2022年2月 6日 (日) 09時46分

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