« 山本剛 TSUYOSHI YAMAMOTO TRIO「MISTY for Direct Cutting」 | トップページ | ボブ・ジェームス Bob James Trio  「FEEL LIKE MAKING LIVE!」 »

2022年2月22日 (火)

ハリー・アレン Harry Allen 「My Reverie」

テナー・サックスの
ウォーム・リラクシングな憂い有る詩情演奏の結果は如何

<Jazz>
Harry Allen 「My Reverie by special request
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1102 / 2022

Harryallenw

Harry Allen (tenor saxophone)
Dave Blenkhorn (guitar)
Mike Karn (bass)
Quentin Baxter (drums)

  寺島レコードからハリー・アレンHarry Allen(1966年ワシントン生れ)の登場。私はサックスものはそう聴かないのだが、寺島レコードの音に拘った録音ものとして聴いてみた次第。
 ハリー・アレンは、歌心あるサックス・プレイということで定評のある訳だが、これはそのまま実現したバラード集。選曲も寺島靖国によるものと言うことで、ゆったりとしたメロディックな哀感を訴えた“歌う”サックスがたっぷり盛り込まれている。日本人好みの曲が多い構成。
 バンドはサックスにギター、ベース、ドラムスとのカルテットのパターンで演奏されている。

Harry2w_20220220213401 (Tracklist)

01. The Rose Tattoo
02. Love, Your Magic Spell Is Everywhere
03. La Rosita
04. Boulevard Of Broken Dreams
05. Carioca
06. My Reverie
07. I Surrender Dear
08. Close As Pages In A Book
09. Lilacs In The Rain
10. St. James Infirmary (ts & g duo)

 

 

 

   まあとにかくテナー・サックスの音がリアルでファンにはたまらないでしょうね。そしてギター、ベース、ドラムスも完全にメロディーはサックスにお任せのサポート・スタイル。それでも少しはと、ギターが静かな夜のややクールな憂鬱感のある世界を描いている程度が聴きどころか。
 まあバラード集だから、しっとりとしかも抒情的にしてムーディーなサックスの響きはアレンの得意とするところにあって、全曲一貫してそれを通している。ここまで徹底されると、1曲ぐらいは暴れて、キターやベースと絡んでの曲のアクセントが欲しいと思いつつも、それも無く10曲が終わってしまった。

 実は、こんな昨年のコロナ禍の中であって、録音はリモートで行われていてレコーディングはそれぞれのアーティストが行うというスタイルだったようだ。従ってお互いのアドリブ入りのバトルなんてとても考えられるところでなく、特にリズム陣はアレンのサックス尊重擁護にまわっての演奏となったのだろう。そこが実はジャズとしての面白みに若干欠けたところなんだと思う、致し方ないですね。
 又一方、選曲は完全に日本向けとして聴き慣れたものになっている。ムードもサックス・バラードものということで、ミッド・ナイトの世界にぴったりが続くが、最後のM10."St.James Infirmary"あたりは、寺島氏の要求の曲だと思うが、夜の酒場ムードとぱ、ちょっと異なっている。しかしサックスとギターのデュオによるものだが、基本的にあまり大きな変化はなく、ただただなるほどこうなるのかとそのバラード演奏を聴いているのである。

(評価)
□ 演奏 85/100
□ 録音 88/100

(参考視聴) Allen と Blenkhorn のデュオ

 

|

« 山本剛 TSUYOSHI YAMAMOTO TRIO「MISTY for Direct Cutting」 | トップページ | ボブ・ジェームス Bob James Trio  「FEEL LIKE MAKING LIVE!」 »

音楽」カテゴリの記事

JAZZ」カテゴリの記事

寺島靖国」カテゴリの記事

コメント

別々に録音したのですか、それは合奏とは言えないですよね。
そこが面白い、ということも無くはないでしょうが。
この手の音楽は互いの音を聞きながらの語らいが面白いでしょうにね。

投稿: iwamoto | 2022年2月25日 (金) 18時38分

iwamotoさん、こんばんわ
そうですね、結構このコロナ禍ではリモートによる演奏が行われていますね。同時進行で相手の音を聴きながらという演奏もあるみたいですので・・・少しはそれなりの作用による合奏の形も出来るのしょうが・・・、それでもそれが最良とは思えませんね。特にジャズはインプロの掛け合いが面白いのですから・・・・。
 このアルバムは、トリオの形はとっていても、完全にHarry Allenに寺島靖国が迫った事によって出来たモノですから、外の二人はそれに合わせての演奏と言うことは考えられるところですね。

投稿: photofloyd | 2022年2月25日 (金) 20時43分

ボッサ・テナーとして、かなり前から、私イチオシは、ハリー・アレンです。ハートウォーミングで、その聞きやすさに魅かれていましたが、最近は聴いていませんでした。寺島レコードからですか ・・・。

投稿: 爵士 | 2022年3月 2日 (水) 23時55分

爵士さん、こんばんわ、コメントありがとうございます
そうですね、おっしゃることはよくわかりますが・・・どうも彼のソロのようなトリオ・アルバムで、彼のサックスの好きな人にはサウンドはリアルな録音で、きつくもなく美しく良いのではと思うところです。
 私的にはトリオの面白さがなく、もともとサックスはあまり聴かないので・・・イマイチかなとなりました。

投稿: photofloyd | 2022年3月 3日 (木) 20時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 山本剛 TSUYOSHI YAMAMOTO TRIO「MISTY for Direct Cutting」 | トップページ | ボブ・ジェームス Bob James Trio  「FEEL LIKE MAKING LIVE!」 »