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2022年2月27日 (日)

ボブ・ジェームス Bob James Trio  「FEEL LIKE MAKING LIVE!」

60年キャリアーの年齢を感じさせないフュージョンの流れのトリオ演奏

<Jazz>

Bob James Trio 「FEEL LIKE MAKING LIVE!」
evosound / IMPORT / MQA-CD / EVSA834M / 2022

Bob1

Bob James : Piano, Keyboads
Michael Palazzolo : Bass
Billy Kilson : Drums

 ボブ・ジェームス(Bob James、1939年生まれ)は、Fourplayで親しんだ人も多いと思うが、アメリカ合衆国ミズーリ州生まれのベテラン・ピアニスト、音楽プロデューサー、作曲家である。どちらかというとクラシックまでも演ずるようだが、ジャズ分野ではクラシック・タイプでなく、ジャズ・フュージョンぽいところとアダルト・コンテンポラリーな世界にいるミュージシャン。従って、クラシック・ピアノ以外の各種キー・ボードをこなしている。もう80歳を超えているので、恐れ入るところだ。
 まあユーロ系に傾く私にとっては、はっきり言ってニュー・アルバムだといって飛びつくこともないのだが、一つの魅力は好録音のevosoundレーベルで、今回は新録音、そしてサラウンド録音、DSA、MQAなどのハイレゾ版でとあって、まあちょっと聴いてみるかという気持ちになった状況だ。

 演奏中身は、かってのソロ盤とかFourplay時代の代表曲をセルフカバーというスタイルだ。しかし彼自身のオリジナル曲は7曲で、・エルトン・ジョンの"Rocket man"、エロル・ガーナーの"Misty"のカヴァー曲など収録。トリオのスタイルで新結成した仲間とのライブレコーディングしたということでちょっと注目されている。
 私は、オーディオ環境としても興味のあるMQA96KHz/24bit盤で購入。彼の60年というキャリアの総集編として聴いたわけである。

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(Tracklist)

1. Angela*
2. Rocket Man
3. Maputo
4. Topside*
5. Misty
6. Avalabop*
7. Nautilus*
8. Downtown
9. Niles A Head*
10. Feel Like Making Love/Night Crawler
11. Submarine*
12. Mister Magic
13. Westchester Lady*

*印:Bob Jamesオリジナル曲

3_20220227122601  もう演奏スタイルは、やはりこのところの前作『Espresso』(2018,EVSA572M)と同様で、珍しさは感じないし、おおこれは彼のパターンだなとフュージョンぽいところが前面に出ている。ただ歳を感じさせない若々しさは立派。しかし、このタイプのコンテンポラリー・ジャズは、そのスタイルは、なんとなく逆にいつの間にか古めかしく感じてしまうのは私だけだろうか。

 それでも、期待というか関心は、M5."Misty"がどのように仕上げるかと思っていたところだが、彼のスタイルだと、優しさと美しさは感じられるが、内省的な心の深層に響いてくると言うものでなく、・・・・このあたりが私の感動のないところである。
   このアルバムの代表的なものは、アルバム・タイトルにも匂わせているM10."Feel Like Making Love/Night Crawler"だろうと思うが、意外に面白かったのはM12."Mister Magic"、中盤にドラム・ソロが入ったりとなかなか威勢が良くてこの手も聴き応えあって楽しい。

 さて期待の音質の録音・ミックス内容だが、今回はライブ映像版もあり、4Kカメラで撮影され、イミーシブ・オーディオといって臨場感を目指して多くのマイクを配して録音されたとか、なかなか凝っている。私はこの映像版は観てないのでなんとも言えないが、CD版においてはSACD,MQAなどハイレゾ版のスタイルでリリースされたので、それを聴いている。

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 確かにシンバルなどの音は繊細高音域で美しい。しかし臨場感というところでどうだろうか、ミックスの関係とも思うが、トリオ三者の音が常識的な中央配置でそれほど感じない。それぞれの奥行き感や響きもイタリアのアメリオの録音をこのところ色々としっかり聴くことの機会が多いので、どうしても比較してしまうとちょっと不満足だ。ハイレゾといっても音そのものの良質は感じられるが、元になる音場構成が不十分だとその意味も薄れてしまう。近年の寺島レコードの目指しているそれぞれの楽器のリアルさを求めた方向とも違っているのは、それはそれ求めるところが違うので、決してそれが全てとは言わないが、しかしそれらの両面から見ても、私自身の万歳の部類には入らなかった。

 未鑑賞の映像版は、日本人のイマーシブ・オーディオの第一人者である入交英雄氏がミキシングで参加していて、"今回の作品はこれまで親しんできた「ステレオ(2ch)」によるライブ録音から、さらにスケールをアップした「イマーシブ・オーディオ」を採用することで、これまで表現出来なかった音域を実現することにより、まるでライブ会場に来ているかのようなサウンドを実現しました"ということなので、CDハイレゾ版でなく、そちらの映像サラウンド版のほうも視聴してみようかと思っている。

(評価)
□ 演奏  :   88/100、
□ 録音 :    88/100

(視聴)

 

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コメント

こりゃまた、難しい問題を(笑)
新しいものは古くなる、古いものは古くならない。
ドラキュラの台詞だったでしょうか。
30年すると、グルッと一周して蘇るなんてことも言いますね。
この手の音楽は、現状では、古さも感じてしまいます。
この世の全ては時代の中にありますので。

nhkの大河ドラマ、最後に歴史紹介的に小さなコーナーがありまして、背景にギターが流れます。
MR.BIGのポール・ギルバートが弾いています。
こういうのって古いようですが時代性を超越している部分もあるのかな、と思われました。
うまい、とだけは言えます。

今回ご紹介の音楽、エレピですよね。
楽器の音の歪みについて、話し合う機会があったら嬉しいです。

投稿: iwamoto | 2022年2月27日 (日) 21時59分

iwamotoさん、こんばんわ、コメント有り難うございます
演者の記載が落ちていましたので追加しましたが、Bobは、クラシック(アコースティック)・ピアノとエレピを使いこなしています。美しさではアコースティック・ピアノですが、その点は録音でも感じ取れます。
 私は好みにはエレピは有りません。しかしそれはそれ、一つの世界を持っていて曲によっては良い役割も果たしていることも解らないでは無いと言うところでしょうか。
 近年、エレクトリックでわざと歪みを演じているのも解ります。面白い事も解ります。オーディオ装置が壊れたかと・・思うような音が多用されている事もありますね。
 写真でも、鮮明にピリッと焦点があっモノ、わざと手ぶれで描くモノ・・・いろいろですが、そこが味なのかも知れません。
 

投稿: photofloyd | 2022年2月27日 (日) 23時23分

こんばんは。

私はボブ・ジェームスとなるとメロメロになる派でして、何でも受け入れてしまう45年ほどファンをしています。最初に聴いたのが中学生の頃の「Two」だったので、彼がいちばん長いでしょう。ですので、セルフカバーをピアノ(キーボード)トリオで、というだけで小躍りしてしまい、まあ、無批判で受け入れてしまいました。のめり込みすぎるのもあまり良くないかもしれませんが...。

当方のブログアドレスは下記の通りです。
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2022/03/post-39938e.html

投稿: 910 | 2022年3月10日 (木) 21時40分

910さん
 コメントどうも有難うございます
 ボブ・ジェームスって、ほんとにファンは多いのですね。私はかってから深入りなしでしたので、気楽な事を言ってますが、メロメロになる派は、そうなることができるだけ幸せと思います。好きなものは理屈抜きに好きなんですから・・・・。
 寺島靖国氏が言うように"ジャズは音で聴け"ということでしょうか、今回の記念的アルバムは相当気合が入っていたと思いますが、ボブの技量とは別に、MQA,SACDは音質と音場と3者の配置がイマイチだったのも音質のevosoundとしてはちょっと残念でした。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年3月11日 (金) 21時59分

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