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2022年2月 5日 (土)

フレーデリク・ヴィルモウ Frederik Villmow Trio 「Motion」

ジャズ心を身につけたヨーロツパ叙情派の展開

<Jazz>

Frederik Villmow Trio 「Motion」
Losen Records / EU / LOS 261-2 / 2021

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Vigleik Storaas (piano)
Bjørn Marius Hegge (bass)
Frederik Villmow (drums)

Recorded Dec.19,2020 by Kyrre Laastad at Øra Studio,Trondheim, Norway
Mixed April 2021 by Frederik Villmow

120097320325047958tr2  なぜか、私の持つCD群のなかで、派手さが無いためか埋れていたアルバムだが、なかなか味のあるのでここに取上げる。
 ノルウェー-オスロを拠点にヨーロッパ一円で活躍しているドイツ出身の若手ドラマーであるフレーデリク・ヴィルモウFrederik Villmow の、Losenからのセカンド・アルバム。
 ドラマー・リーダーのトリオだが、ピアノ・トリオ・スタイルであり、ピアニストのウェイトも大きいが、今回はヴェテラン・ピアニスト:ヴィーグライク・ストロース(1963〜)をフィーチュアし、ベースのビョルン・マリウス・ヘッゲと組んだトリオ作品。初メンバートリオだが、実はトロンハイムのジャズ・シーンでは何度か共演を重ねてきたトリオだという。彼の作曲したオリジナル曲4曲と3曲のスタンダード曲によって構成されている。

 いずれにしても、私にとっては初物であるが、ヴィルモウはドイツのケルン1993年生まれの新進気鋭だ。父は、ケルン・ビッグバンドのリーダーでサクソフォーン・プレーヤーのミヒャエル・ヴィルモウとか。ジャズシーンで名声の高いトロンハイムのノルウェー工科自然科学大学(NTNU)ジャズ科で修士号を取得。オスロに住んでドラマー、作曲家、バンドリーダーとしての活動を行っている。
 彼は、幅広い人脈をもち、北欧デンマーク、スウェーデン、ノルウェー始めイングランドでも活躍、そしてビッグバンドやオーケストラなどでの共演している。
 
(Tracklist)

1. Open Landscape Two (Frederik Villmow)
2. December Waltz (Frederik Villmow)
3. Slow Motion (Frederik Villmow)
4. Blame It On My Youth (Oscar Levant)
5. Like Someone In Love (Jimmy Van Heusen)
6. A Lovely Way To Spend An Evening (Jimmy McHugh)
7. Open Landscape One (Frederik Villmow)

 基本的にはアメリカン・ジヤズの歴史をしっかり身につけた王道のヨーロッパの叙情派というスタイルが展開される。
 リーダーであるドラマーのヴィルモウは、スタンダードや彼自身のオリジナル曲においても、メロディーを演ずるピアノやベースの盛り上げ役にて主として演じており、曲のファンタジックであったり、ドリーミーなところ、さらには牧歌的な哀愁感などロマンティシズムの溢れるリリカルな演奏に、繊細なスティック音・シンバル音でサポートし、曲を充実させている。

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 全体にアルバムを通して聴きやすく、刺激性は少ない。北欧らしい内省的な世界の色合いは比較的少なく、むしろ意外に親しみやすい優しさと美しさが感じられる。
 M6."A Lovely Way To Spend An Evening "のバラード調のゆったりした美しさ優しさのピアノのメロディーが流れたり、M5."Like Someone In Love "のように結構スウィング感たっぷりで三者の交錯も面白い。
 M3."Slow Motion "では、ベース・ソロに近い展開でピアノ・ドラムスが曲に色づけするスタイルもみせる。
 最後のM7."Open Landscape One "は、このアルバムの総集編的な曲作りで、スタートはピアノの静かな美メロディーでスタートし、例の如くベースがサポート、そしてシンバル・スティツク音が静かに味付けするが、次第に変調し軽快な展開となり、ここに来て初めてドラマーの本領発揮、かなりシンバル音も前面に出ての軽快な展開は心地よい。

 抒情的で有りエレガンス溢るるファンタスティックな展開と夢物語的な色合いも加味された極めて紳士的な世界に魅力があった。

(評価)
□ 曲・演奏  88/100
□ 録音    88/100

(視聴)

 

 

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コメント

どのように崩してゆくか、崩れてゆくか、
それが楽しみになります。 ときに引き戻したり。

たゆたう感じに身を任せて音を楽しむ、そういう音楽ですね。
ドラマーの雰囲気が良いと思いました。

投稿: iwamoto | 2022年2月 7日 (月) 11時36分

iwamotoさん
コメント有り難うございます
今やユーロ・ジャズが愛される一つとして、こうしてピアノ・トリオをベースとし、抒情的な世界をエレガンスなスタイルで描いてくれるミュージシャンが多いことでしょうね。
それぞれの国の歴史的音楽感がきちんとあるところも魅力と思ってます。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年2月 8日 (火) 10時07分

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