ジョー・ファンズワース Joe Farnsworth のピアノ・トリオ作品「City of Sounds」
ドラマーのピアノ・トリオは・・・快調な展開で楽しませる
<Jazz>
Joe Farnsworth Kenny Barron Peter Washington
「City of Sounds」
SMOKE SESSIONS RECORDS / USA / SSR-2105 / 2021
Kenny Barron (piano)
Peter Washington (bass)
Joe Farnsworth (drums)
脂がのったドラマーのジョー・ファンズワース(1968年米マサチューセッツ州生まれ、音楽一家で育って10歳からドラムを習い始めたというドラマー人生。エリック・アレキサンダーとの共演が多かった)のピアノ・トリオが、前作『Time to Swing』(2020)がなかなか好評で、同メンバーのケニー・バロン(p)&ピーター・ワシントン(b)と組んだ強力の盤が再び登場。ユーロ・ジャズに明け暮れしている私だが、時にはニュー・ヨークの本場ジャズに触れておいて我がジャズ鑑賞生活に味付けするのである。
実は、ピアノ・トリオ好きの私にとって、ちょっとこのあたりで80歳近い大御所ケニー・バロンとなると聴いてみたいというのもこのアルバムに手つけた一つの理由でもあり、又「ジャス批評」誌において、"Jazz Audio Disc Award 2021"の5位に入っていたということも後押しした。
(Tracklist)
1. New York Attitude (Barron) 5:39
2. The Surrey With The Fringe On Top (Rodgers / Hammerstein II) 7:17
3. Ojos Cariñosos (Farnsworth) 7:44
4. Bud-Like (Barron) 5:51
5. Moonlight In Vermont (Suessdorf / Blackburn) 6:53
6. City Of Sounds (Farnsworth) 4:02
7. No Fills (Farnsworth) 8:34
8. Softly As In A Morning Sunrise (Romberg / Hammerstein II) 8:02
典型的なニューヨーク・ジャズのメリハリがはっきりして歯切れがよく、急流の流れのようなピアノ、そしてバネの効いた踊るが如きのベース、それにも増して俊足な展開の叩き込むようなドラムスが基調となっての快調に展開するスウィング感、これぞ大衆向けのハード・パップ・ピアノ・トリオだとの展開はなかなか見事ですね。時にはこの流れを聴いておくのがいいですね。
ドラマーのリーダー・アルバムということだが、三者を基調としての味付けを大事にしたピアノ・トリオ・プレイが好感ですね。そうは言っても三者の息の合ったエキサイティングなプレイが聴けるM4."Bud-Like" や、圧巻の高速プレイのM7."No Fills"にみせるドラムス・ソロの解放感たっぷりの明るい攻めは、なかなかうねりのあるワイルド・タッチもあって、やっぱりジャズの一大要素をしっかりドラマーとして主張している。
又、ワシントンのベースもリラックス・サポートの世界かと思いきや、結構攻めてきてバロンも歳を顧みず奮戦していて面白い。
録音も、三者対等の位置にいてそれぞれが明快に聴きとれるところがなかなかの出来だった。このあたりは「ジャズ批評」誌で好評だった因子なんだろうと思うところ。
私的には、少ししっとり聴きたいところがあるので、M3."Ojos Cariñosos "、M5." Moonlight In Vermont"、M6."City Of Sounds"あたりの曲が、バロンのピアノでほっとして聴けて、そんなところも混在させてくれたため非常に聴きやすいアルバムとなった。
今や、ジャズも多方向に流れ発展しているが、ふと難しいことなしに乗りのよいリズムに乗って、脳天気に解放感をアドリブを生かして演じ切るジャズの楽しさを味わうに徹したものも良いのではないかと聴いた次第である。
(評価)
□ 曲・演奏 88/100
□ 録音 88/100
(視聴)
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コメント
いかにもアメリカンミュージック、という感じのジャケットですね。
手練の演奏、心地良いものです。
リズムがキープされてゆく快さ、ドラムの活躍が軽快。
ドラムの仕事が分りやすいですね。
そういう音楽観は古いのかもしれませんけど。
投稿: iwamoto | 2022年3月15日 (火) 19時13分
iwamoto様
コメント有難うございます
アメリカン・ジャズもこのところちょつと下火ですが・・・それなりに楽しいです。
残念ながら、若い人があまり出てきていませんね。それに引き換え、ユーロは若さで満ち満ちています。ジャズと一口に言っても、スタイルは別物ですね。
ドラムスの頑張っているユーロ・スタイルもなかなかいいところありますが・・・
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年3月16日 (水) 16時18分