アルマ・ナイドゥー Alma Naidu 「Alma」
繊細にして澄んだ美声で歌い上げるデビュー・アルバム
<Jazz>
Alma Naidu 「Alma」
DELTA Music / IMPORT / D77096 / 2022
Alma Naidu(vocals)
Wolfgang Haffner(produce, drums)
Simon Oslender(piano,fender-rhodes, vocals)
Dominic Miller (Guitar)
Nils Landgren (Trombone)
Recorded In November 2020, March & April 2021
ミュンヘンを拠点に活動する歌手 ・作曲家 ・ 作詞家のアルマ・ナイドゥーAlma Naiduのデビュー・アルバム。ドイツの今や重鎮ドラム奏者ウォルフガング・ハフナー(1965-)(→)によって2019年にブルクハウゼン国際ジャズウィーク2019のステージで、才能を見出され、ここにプロデュースされた作品。
もともと彼女は指揮者の父とオペラ歌手の母の音楽一家で育ち、幼い時からジャズ・ポップスソングに親しんだ。2016年にミュンヘン音楽・演劇大学でジャズ歌唱を学んだのち、ロンドンの王立音楽アカデミーでも研鑽、ノーマ・ウィンストンに師事をして才能を磨いた。
豪華ゲストとしてスティングのギタリストのアルゼンチン出身のドミニク・ミラー(Guitar 1960- 下左)や、スウェーデンのニルス・ラングレン(Trombone 1956- 下中央)の名前が見れるし、ドイツの新進気鋭シモン・オスレンダー(piano 1998- 下右)らを迎えて、かなり気合いの入ったアルバムとして制作されている。
1.Just A Word Feat. Nils Landgren_3.50
2.Hold On To Me_3.55
3.Something ‘bout The Rain_4.34
4.And So It Goes_4.46
5.Illusion_3.31
6.Interlude_1.17
7.Silence Plays Your Song_3.37
8.Heart Pace_5.13
9.Walberla_4.03
10.Wondering Feat. Dominic Miller_4.11
11.White Tulip_4.20
12.Another Kind Of Love_4.46
確かに、はっきり言ってこれは美声だ。高音部がややきついこともあるが、これはこれから場数を踏んでもっと柔らかくなる要素は十分。母親がオペラ歌手だというので美声は血筋ですかね。ドイツのジャズ誌「ジャズシング」も "繊細で素晴らしく澄んだ声と完璧なイントネーション"と絶賛されたとか。
オープニングのM1."Just A Word Feat. Nils Landgren"ピアノの調べと共にアルマ透き通った美しい歌声が響く、ゲストのニルス・ラングレンの温かく叙情的なトロンボーン・ソロが加わってなかなかいい仕上げ。スタートから心に響く。
M2."Hold On To Me, M3."Something ‘bout The Rain"と語り聴かせるような響き、オレスランダーのピアノの響きがなかなかムードを盛り上げて納得。
M4."And So It Goes" ここではオスレンダーのピアノが美しく演じられ、彼女の歌とデュオのスタイルで聴かせ魅力的な曲。
とにかく曲によっては、ジャズと単に言えないクラシック様な響きもあって聴く方もちょっと襟を正して聴いてしまう。
M6."Interlude"のバック無し彼女の歌い上げは見事。
M7."Silence Plays Your Song"これは不思議な世界へ。
M8."Heart Pace"ピアノでなくフェンダーとドラムスのバックで、珍しくモダン・ジャズの雰囲気
M9."Walberla"はスキャットによるトラッド調の世界
M10."Wondering Feat. Dominic Miller"ドミニクの優しく美しいギターのバックでバラードを歌う。ここらは哀愁も感じられなかなかの注目曲。
25歳のデビュー作となるようだが、そこには一筋ならない広い世界を持っていて、さらに名手のサポートもあって驚きのミュージックの深さだ。ドイツから久々の芸術をも感じさせる見事なアルバムの誕生だった。
(評価)
曲・演奏・歌 90/100
録音 85/100
(視聴)
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コメント
清楚で美しいです。
加えて声が若いので、繊細過ぎて怖いくらい。
喉が大人になると違うのでしょうね。
伴奏は、このピュアな感じを包むためか、不協性が少し足りないように思えました。
投稿: iwamoto | 2022年3月29日 (火) 18時57分
iwamotoさん
コメント有り難うございます
ドイツは時にこうした世界を作り出しますね。
ユーロもジャズに対する世界はかなり確立していて、アメリカ・ジャズとの違いが明確になってきていますし、それぞれの国の歴史をちゃんと持っていて素晴らしいです。
彼女も一つの世界を作り上げそうで期待です。
私は、バックは、ハフナーのドラムス、オスレンダーのピアノはもちろんですが、ドミニクのギターといい、ラングレンのトロンボーンといい、彼女の世界をささえつつもただそれだけでなく、なかなか味のあるところを聴かせ、いい線を行っているとと思っています。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年3月30日 (水) 09時45分