« ロッセ・マイヤー・ガイガー rosset meyer geiger 「Live at Beethoven-Haus Bonn」 | トップページ | ヘルゲ・リエン Helge Lien Trio 「REVISITE」 »

2022年4月14日 (木)

カルロス・フランゼッティ Carlos Franzetti 「IN THE WEE SMALL HOURS」

再起のジャズは、アコースティックなピアノ・トリオだった

<Jazz>

Carlos Franzetti 「IN THE WEE SMALL HOURS」
SUNNYSIDE / IMPORT / SSC 1647 / 2022

81bjwli6dnl_ac_sl820w

Carlos Franzetti - piano, Fender Rhodes, conductor (track 12)
David Finck - bass
Billy Drummond - drums
Allison Brewster Franzetti - celesta (track 12)
The City of Prague Orchestra (track 12)

  アルゼンチン出身の大御所ピアニスト・作編曲家でジャズ、クラシック、映画音楽、ラテン・・と各方面、ジャンルを越えて実力を発揮するカルロス・フランツェティ(1948年生まれ)による最新作。私の彼のイメージではラテンものといった感じが強いのだが、その為という事でもなく、それほど今日まで聴いてきたということではなかった。しかし彼が新型コロナウイルスに感染し、その後硬膜下血腫で入院。重篤な状態に陥った経過の中で3回の脳外科手術と数ヶ月のリハビリを経て奇跡の再起を果たした。隔離の孤独と生命危機を乗り越えての彼にはそんな人生の闘争にも近い経験から、新アルバムの録音に着手した。選んだ素材(曲)は、第二次世界大戦を取り巻く約数十年の間の憧れと希望、混乱、分断など多彩の時代であった厄介で混乱した時代に作曲されたものだという。しかし、ここに完成したアルバムは、聴く者にとっては、"再会のメッセージ、障害の克服の希望ある世界"という評価が聞かれ、しかもジャズの原点に立ったアコースティック・トリオの作品であるということで、とにかく聴いてみようと思ったアルバムである。

Musicianc_krist_58836026_600 (Tracklist)

1. In the Wee Small Hours of the Morning
2. Memories of You
3. How Deep is the Ocean
4. How Long Has This Been Goin’ on
5. Put on a Happy Face
6. Time Remembered
7. I’ll Be Seeing You
8. Alone Together
9. How Deep is the Ocean (Alternate Version)
10. In the Wee Small Hours of the Morning (Alternate Version)

(Bonus Tracks)
11. Memories of You (Alternate Version)
12. Piccola Musica Nocturnabyu

  トリオのメンバーは、ベースは多彩なピアニストとの共演の経験豊富なデヴィッド・フィンク(米国1958 - 下左)で、カルロスとは30年以上のコンビネーション。ドラマーのビリー・ドラモンド(米国 1959 - 下右)も名人級。このような円熟期にあるピアノ・トリオの奥深さやその味を知るメンバーとの共演によって、再起を図った気持ちは何となくわかるところだ。

DavidfinckwBilly_drummond_w

 M1."In the Wee Small Hours of the Morning"いっやー-、カルロスの繊細なピアノ・タッチの音で、優しくむしろ優雅さの感ずる演奏でスタートだ。
 M2.,M11."Memories of You"の有名なジャズの原点的なスタンダードが出てくるところは。いかにも回顧ですね、しかしこのトリオは、平然とためらうことなく2つのバージョンを、しかもなんとなく優雅な雰囲気で演じているところが、やっぱり回復の喜びでしょうね。
 M3."How Deep is the Ocean"も2バージン登場(M.9と)、ドラムスが主張してラテン・ムードもなんとなく加味しながら演奏の深さを知らされる。
 M8."Alone Together"これも超有名、私自身もジャズの歴史を思い起こして楽しくなるのだが、トリオ・メンバーの溌溂とした演奏が聴ける。
 M6."Time Remembered" Bill Evansも登場、しかも彼ららしい感情たっぷりのアレンジが新鮮。
 M12."Piccola Musica Nocturnabyu"はBonus Trackだが、オーケストラがバックで、それにfender Rhodesの音などが広がり、ムードは変わるが、静かにこのアルバムを収める。
 
 このような聴いていて難しくもなく、特別な心構えも必要なく、心和む世界のジャズもそれなりに良いものである。

(評価)
□ 選曲・演奏   88/100
□ 録音      85/100

(試聴)

 

|

« ロッセ・マイヤー・ガイガー rosset meyer geiger 「Live at Beethoven-Haus Bonn」 | トップページ | ヘルゲ・リエン Helge Lien Trio 「REVISITE」 »

音楽」カテゴリの記事

JAZZ」カテゴリの記事

ピアノ・トリオ」カテゴリの記事

コメント

民族音楽にして、伝統音楽。
時代時代の洗練を纏い、時をたゆたう。

スコッチ、ダブルで。
いや、トリプルにしてくれたまえ。

投稿: iwamoto | 2022年4月16日 (土) 18時01分

iwamoto様
コメント有り難うございます
人生のある困難を超えた人間の一つの姿として・・そこには、旧友との和みのある世界。
そんな一面をみた思いです・・・とにかく祝ってやりたいと、・・・それにふさわしいアルバムとして私は受け止めました。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年4月17日 (日) 10時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ロッセ・マイヤー・ガイガー rosset meyer geiger 「Live at Beethoven-Haus Bonn」 | トップページ | ヘルゲ・リエン Helge Lien Trio 「REVISITE」 »