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2022年5月15日 (日)

ジョバンニ・ミラバッシ Giovanni Mirabassi NYtrio「The Sound Of Love」

ミッシェル・ルグランのトリビュート・アルバム

<Jazz>

Giovanni Mirabassi New York Trio featuring Tatiana Eva-Marie
「The Sound Of Love - tribute to Michel Legrand」
VENUS Records / JPN / VHVD-1299 / 2022

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ジョヴァンニ・ミラバッシ Giovanni Mirabassi (piano)
アレキサンダー・クラフィー Alexander Claffy (bass)
ジョー・ペリ Joe Peri (drums)
*Special Guest :タチアナ・エヴァ・マリー Tatiana Eva-Marie (vocals #1,3-7,9)

Recorded at Big Orange Sheepp Studios,Brooklyn,New York on Nov.17,18,19th and 20th 2021

 日本のVENUS Recordsの企画で、出来上がったアルバム。人気のピアニスト:ジョバンニ・ミラバッシ自身も日本にはいろいろと接点があって、結構乗り気であったようだ。特にフランスのポピュラー・ミュージックの大御所で誰もが知ってるミッシェル・ルグランのトリビュートものということと、以前に約束したアバロン・ジャズ・バンドのタチアナ・エヴァ・マリー(1985年生まれ)とのアルバム造りと、いろいろと条件は揃ってのアメリカにての録音ものだ。
 これはニュー・ヨークでの初めて組んだトリオによるもので、単なる女性ヴォーカルものでなく、彼が演じたかったトリオ・ジャズに彼女の歌の色を添えてもらったという感じだの出来。

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(Trackliat)

1.シェルブールの雨傘 Les Parapluies De Cherbourg (I Will Wait For You) 〈J.Demy-M.Legrand〉
2.思い出の夏 Un Ete 42 (The Summer Knows) 〈M.Legrand〉
3.シュフォールの恋人たち Chanson De Maxence (You Must Believe In Spring) 〈J.Demy-M.Legrand〉
4.リラのワルツ La Valse Des Lilas (Once Upon A Summertime) 〈E.Mmarnay-M.Legrand〉
5.アモール・アモール Amour Amour Je t'aime Tant 〈J.Demy-M.Legrand〉
6.サウンド・オブ・ラブ The Sound Of Love 〈Tatiana Eva-Marie-G. Mirabassi〉
7.ウォッチ・ホワット・ハプンズ Watch What Happens 〈J.Demy-M.Legrand〉
8.これからの人生 What Are You Doing The Rest Of Your Life 〈A&M.Bergman-M.Legrand>
9.風のささやき Les Moulins De Mon Coeur (The Windmills Of Your Mind) <A&M.Bergman-M.Legrand>

 もともとイタリア人のミラバッシは、独裁政権下にフランスへの亡命によりパリで活躍することとなったという経過からも、もうすっかりフランス・ムードに包まれている。
 そもそもこの企画は、呼ばれた女性歌手タチアナによるものだったようだが、彼女はスイス生まれだが11歳で演劇を学び、15歳にパリに移住してソルボンヌ大学にて勉学、したがってやはりフランス文化が体にしみこんでいる。そして2011年からニューヨークで音楽・演劇で活躍している。
 従って、このアルバムは昨年ミラバッシが渡米して録音している。そして現地にて若者2人( Alexander Claffy (bass 下左)、Joe Peri (drums 下右))と初トリオをこのアルバムのために組んでの作品だ。しかし、やっぱりフランス・ムードに満ち満ちている。

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 収録曲は9曲だが、8曲はルグランの曲だが、M6."The Sound of Love"のみミラバッシの曲で、ゆったりとしたバラード曲。タチアナのヴォーカルはやや押さえた情感たっぷりの途切れそうに響くトリビュート曲。

 アルバム・スタート曲は、超ヒット作M1."シェルブールの雨傘"で、なるほどこのムードかと、タチアナのヴォーカルは、基本的には美しい声での優しさに満ちているものだ。言葉はフランス語で歌い上げ、ミラバッシのピアノが流れるように展開したトリオ演奏で、なんと後半は主旋律は顔出さずに終わる。
 M2." Un Ete 42" 、M8."What Are You Doing The Rest Of Your Life"は、トリオのみのインスト・バージョンで、M2は、トリオ演奏の醍醐味が伝わってくる演奏で、ゆったりとした説得力ある序奏からはじまり、中盤以降のピアノが躍動、例のミラバッシならではのパッセージの乗りが聴ける。リズム隊それに伴って躍動して面白い。そしてM8は、異色のベースが大きく役割の果たしている曲だ。流れはベースのテーマ演奏がゆったりと低音で響き、ピアノの洒落た静かな支えが見事。
 M4."La Valse Des Lilas"は、しっとりムードの歌と後半のミラバッシのピアノは別世界、そんな洒落た変化が楽しい。
 M5."Amour Amour Je t'aime Tant "は、タチアナの芸達者な歌のムードの中に、ピアノの流れとともに引っ張り込まれる。

 締めのM9.".風のささやき"は、又々有名曲でしっとりと訴えるところはしっかり押さえて、後半のピアノのメロディーは美しさに満ち、ソロ演奏での盛り上がりも見事で、そして静かにヴォーカルとのデュオで幕を閉じる。

 これは単なるヴォーカルものに終わっていないところが聴き応えある。ミラバッシなりの流麗なピアノは全編満ち満ちていて期待を裏切らないし、原曲から彼のジャズ世界に引っ張り込んでゆくところが見事である。 

(評価)
□ 編曲・演奏・歌  88/100
□ 録音       85/100

(視聴) 現在、当アルバム『The Sound Of Love』に関するものが、まだ見当たらないので・・・・G.MirabassiとTatiana Eva-Marie ものを参考までに

 

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コメント

フランスの音楽は難しいです。
構築されないというか、刹那的で流れゆく感じがします。

投稿: iwamoto | 2022年5月17日 (火) 10時34分

iwamoto様
こんばんわ、コメント有り難うございます
ミッシェル・ルグランの曲は難しいと言うより、親しみやすさが売り物と思います。
このアルバムは、私的にはヴォーカルというよりは。ミラバッシの演奏の楽しさにあると思ってます。楽しんでください。

投稿: photofloyd | 2022年5月18日 (水) 21時38分

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