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2022年6月22日 (水)

バティ・ロムーショ Patty Lomuscio 「STAR CROSSED LOVERS」

女性ヴォーカルとケニー・バロンのピアノがジャズの醍醐味を披露

<Jazz>

Patty Lomuscio meets
K.Barron, V.Herring, P.Washington, J.Farnsworth

「STAR CROSSED LOVERS」
CHALLENGE RECORDS / JPN / CR43548 / 2022

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Patty Lomuscio(vo),
Kenny Barron(p)
Vincent Herring(as), Peter Washington(b), Joe Farnsworth(ds)

C772953b   私にとっては初物であるイタリアの女性ジャズ・シンガー、パティ・ロムーショ(ジャケでしっかり顔を売っている)のヴォーカル・アルバム。なんとしても大御所ピアニストのケニー・バロン(→)が全曲に共演しており、ピアノ・トリオ(3曲のみヴィンセント・リングのアルト・サックスの加わったカルテット構成)でバックを固めているスタンダード集だ。よく見ると、ピーター・ワシントン(b)、ジョー・ファーンズワース(ds)というビッグネームが揃った超豪華リズム・セクションであり、ガーシュウィン、マル・ウォルドロン、デューク・エリントンらの曲を歌っている。そんなところから私はバロンのファンというわけではないのだが、ちょっと気になって入手に至ったアルバム。

 彼女はイタリアのジャズ・シンガー兼チェリストとのこと。 イタリアでチェロとジャズを学び、2011年にニューヨークに短期留学し本格的なジャズを深めたという。現在はイタリアのマテーラ、レッチェ、バーリなどの音楽院でジャズ・ヴォーカルを教えながら、イタリアやニューヨークの他、スペイン、オーストリア、モンテネグロ、アルバニア、ドイツなどをはじめ世界各地の一流ジャズ・クラブやジャズ・フェスティヴァルに出演しているようだ。

(Tracklist)
1.LULLABY(K.Barron, P.Lomuscio)Lomuscio3w
2.STAR CROSSED LOVERS (D. Ellington B. Strayhorn)

3.THIS CAN’T BE LOVE (R. Rodgers L. Hart)
4.LEFT ALONE* (M. Waldron B.Holiday)
5.YOU’RE MY EVERYTHING (H. Warren M. Dixon J. Young)
6.E SE (M. Rosini)
7.CEDAR BLUES* (C. Walton P. Lomuscio & J. Farnsworth)
8.BODY & SOUL* (J.Green E. Heyman, R. Sour & F. Eyton)
9.LOVE WALKED IN (G.Gershwin I. Gershwin)

 このアルバム、聴いてみて驚いたが非常に録音が良好だ。録音場所はNew Jerseyの名スタジオ=ルディ・バン・ゲルダー・スタジオであり、エンジニアはMaureen Sicklerとなっている。彼女の歌声は中・高音寄りが特徴的でそれを見事に捉えているし、ケニー・バロンの軽やかなピアノ・タッチが生き生きしていて明瞭に聴きとれ、ピーター・ワシントンのベースの特に低音部が深く響き、ジョー・ファーンズワースのシンバル音は繊細に高く響きスリリングなリズムを展開、ピアノトリオとしての演奏がなかなか魅力的に聴けるところである。

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 そしてこの最も注目すべきパティ・ロムーショのヴォーカルだが、幸か不幸かこのアルバムは、実はここで既に取り上げたメロディ・ガルドーの新作『Entre eux deux』(UCCM-1268)とほゞ同時に購入したのだが、ガルドーの魅力のほうに圧倒されて、こちらの考察がちょっと遅れること1ケ月となった。それは私にとっての魅力は、ガルドーとの比較ではイマイチというところであったのだ(ちょっとヴォーカルの質の世界が違う)。しかしロムーショの歌の澄んだ中・高音と独特の節回しは、かなりファンもいるのではないかと推察する。ヴォーカルは理屈でない好みがあって、まあそれは致し方ないと思うのだが。

  しかしそうは言っても、なかなか聴きどころもあって、私好みのところはM2."STAR CROSSED LOVERS", M4."LEFT ALONE* ", M6"E SE "の3曲のバラード調のスローな曲がいいイメージを掴ませてくれた。
  そして一方トリオ演奏とヴォーカルの繋がり等で、曲の仕上げの楽しさと魅力というところではM5."YOU’RE MY EVERYTHING "を私は取り上げたい。そこにはバロンのトリオ演奏の魅力、ヴォーカルの技巧などがジャズの味がつまっていて聴きごたえありであった。
 私の推薦の M2."STAR CROSSED LOVERS"は、D.Ellingtonの曲、バラード調で仕上げてていて、彼女のヴォーカルもゆったりと響き、この線はなかなかいい。
  M4."LEFT ALONE*" もスローな展開だが、ベースが響き、彼女のヴォーカルがじっくりと歌いこんでくれ、ピアノが美しく後押しする。そしてブラッシ音がリズムを刻み、ここではアルトサックスが登場して、彼女の歌と交互に歌い上げ、ピアノが続いて美旋律を演じてと、静かに聴く者の心に響いてくる。
 アルトサックスは、M7, M8でも登場するが、そう魅力は感じない。この2曲ではむしろトリオのままの方がいいと思った。
   最後M9."Love Walked In"は、彼女とバロンのピアノとのデュオで明るく締めくくる。

 結論的には、ジャズ・アルバムの出来はやはり老獪なケニー・バロンの流れがあっていい線を行っていると思うし、録音も良く聴きごたえもある。むしろいいアルバムであると評価したい。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  86/100
□ 録音      88/100

(視聴)
 "LEFT ALONE"

 

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コメント

なんと言いますか、難しいのです、わたしには。
もっと飛び抜けたものを期待してしまうというか。
優等生的な感じがしてしまいます。
で、それは悪いことか? いえいえ、とんでもない。
後衛がしっかりしてないと戦えませんからね。
齢も重ね、穏やかなものも聴きたくなります。
好みというのでしょうか、それで片付けて良いものやら分かりませんが。
歌って、自分にとっての入り口が狭いのかもしれません。

毎度、新譜のご紹介、楽しみにしています。
いつも有難うございます。

投稿: iwamoto | 2022年6月23日 (木) 12時56分

iwamoto様
おはようございます。コメント有難うございます
 音楽に求めるもの・・クラシック、ジャズ、ロック、ポピュラー等の分野。
ジャズでも、楽器、編成、ヴォーカルなどによる違い。又歴史的なスタイルの違い。
などなど・・・・・
 そんな中で自己の好みがあって、それを聴くことにはなんらの問題はないでしょう、それでよいと思いますね。又他人に紹介するは良いが押し付けるものではないでしょう。
 自分の好みの世界があること自体素晴らしいことです。

投稿: photofloyd | 2022年6月24日 (金) 09時15分

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