« [好録音シリーズ] Three Blind Mice の思い出(2) : 山本剛 「MIDNIGHT SUGER」,「MISTY」,「GIRL TALK」etc | トップページ | [好録音シリーズ] Three Blind Mice の思い出(4) : 菅野邦彦「慕情」 »

2022年7月12日 (火)

[好録音シリーズ] Three Blind Mice の思い出(3) :    山本剛(2)「SUMMERTIME」,「Midnight Sun」

(前回からの続き) 山本剛の絶頂期

   Three Blind Miceレーベルのジャズ界に及ぼした功績は大きかった。その一つとして前回から紹介しているピアニスト山本剛もこのレーベルからの1974年デビューで、全国区のジャズミュージシャンとして知られることとなった。とにかくリリースされたアルバムの好録音から、オーディオ・マニアにももてはやされ、日本ジャズの普及にも一役買った。その好録音の功績者は神成芳彦であった。
 前回から続いて、このレーベルの主役の一人でもあった山本剛のアルバムを取り上げる。

<Jazz>

5⃣
TSUYOSHI YAMAMOTO TRIO 「SUMMERTIME」
CRAFTMAN RECORDS / JPN / CMRS-0040 / 2019 (Original LP 1976)

711o3bu2i2l_acw

山本剛 (p), 大由彰 (b), 守新治 (ds)

 TBMレーベルからのアルバム「Midnight Sugar」でデビューを果たした若手実力派ピアニスト山本剛率いるトリオが、76年5月17日東京ヤマハホールにて行われた伝説のコンサート「5 Days in Jazz」に出演したときの音源を収めたライヴ盤

1a6abe14aafd96b47a5fbd300535103

(Tracklist)
1.Like Someone In Love 8:40
2.If You Could See Me Now 6:30
3.Misty 7:43
4.Summertime 7:55
5.Cookin' The Blues 7:51
6.The Way You Look Tonight

  収録全6曲のうちオリジナル曲は、鈴木勲「黒いオルフェ」に"Blues"として収録されているM5."Cookin' The Blues "のみだが、ここでは彼のブルース・フィーリングが満開。一方M1."Like Someone In Love"は、なかなか軽快にしてスウィング感バッチリの曲。
 M2."If You Could See Me Now"は、タッド・ダメロン作曲のバラード曲で、ここでは彼らしい繊細さが出ているが、時にダイナミックにと変化があり、全体に彼の得意の優雅な演奏。そして誰もが喜ぶM3."Misty"の登場、演ずる場によっての変化も聴けメイン・テーマで拍手が起きる。
 M4."Summertime"は、このアルバム・タイトル曲だが、ここでは大由のベースを大々的に取り入れられ、爪弾き、弓弾きと多彩でベース音録音も迫力ありオーラル・ユニゾンも入り、中盤から変調してピアノとのユニゾンがリズム・カルに演じられジャズの楽しさが堪能できる約8分の演奏。

------------------

6⃣

TSUYOSHI YAMAMOTO TRIO 「Midnight Sun」
CRAFTMAN RECORDS / JPN / CMRS-5295 / 2019 (Original LP 1978 )

71em31askzl_acw

山本剛(P)、岡田勉(B)、岸田恵士(D)
Recording Engineer : Yoshihiko Kannari

  山本剛がデビューから4年後の'78年になって「Three Blind Mice」からリリースしたトリオ作品。これはちょうどアメリカ修行をして帰っての作品で、TBM人気者のなんと第9弾目となる。

(Tracklist)
1 Midnight Sun 6:07
2 Autumn Leaves 5:07
3 Wave 6:13
4 A Shade Of Love 4:23 *
5 Billy Boy 5:32
6 Love Is Here To Stay 8:25
7 Blue Manhattan 4:45 *
8 Kid  2:15 *
*印 山本剛のオリジナル曲

 Lionel Hampton作のメロウなM1."Midnight Sun"は、得意の情感込めての美しいピアノ・タッチが印象的。これは彼が'77年米Monterey Jazz Festivalで喝采を浴びた記念すべきスロー・バラード曲。
 M2."Autumn Leaves"は、名曲を軽快なアレンジで演じている。A. Carlos Jobin作の彼の得意曲M3."Wave"もスウィングして軽快。
 彼のオリジナル曲のM4." A Shade Of Love "及びM8."Kid"は、愛児への想いの優しいバラード曲。M6." Love Is Here To Stay "もピアノ・バラード演奏でしっとり聴かせる。
 オリジナル曲のM7."Blue Manhattan"は、神成芳彦の録音もトリオ・ジャズの味をうまく表現して、ベース・ドラムスも生き生きと充実して楽しい。
 山本剛の世界が完成の域へと歩んだアルバム。

(評価)
□ 曲・演奏  88/100
□ 録音    88/100

(試聴)

「SUMMER TIME」

*
「Midnight Sun」

 

|

« [好録音シリーズ] Three Blind Mice の思い出(2) : 山本剛 「MIDNIGHT SUGER」,「MISTY」,「GIRL TALK」etc | トップページ | [好録音シリーズ] Three Blind Mice の思い出(4) : 菅野邦彦「慕情」 »

音楽」カテゴリの記事

JAZZ」カテゴリの記事

Audio」カテゴリの記事

ピアノ・トリオ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [好録音シリーズ] Three Blind Mice の思い出(2) : 山本剛 「MIDNIGHT SUGER」,「MISTY」,「GIRL TALK」etc | トップページ | [好録音シリーズ] Three Blind Mice の思い出(4) : 菅野邦彦「慕情」 »