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2022年8月26日 (金)

ブライアン・ブロンバーグ Brian Bromberg 「WOOD」

ウッド・ベース低音の魅力は永遠か・・・・

<Jazz>
Brian Bromberg 「WOOD」
King Record /e-onkyo / Hi-Res MQA 96kHz/24bit / 2022

4909346022fw

Brian Bromberg (bass)
Randy Waldman (piano)
David Bromberg (drums)

  キングレコードの名物企画「低音シリーズ」で、ブライアン・ブロンバーグBrian Bromberg(米国)がウッド・ベースに拘って2001年にピアノ・トリオ・スタイルで作り上げたアルバム『ウッドWOOD』はベース・ファン、低音ファン、オーディオファンに圧倒的な支持を得て大ヒット作品となった。
 このアルバムはオーディオ界の支持は意外に大きく、各地で行われるオーディオフェアなどでも機器の性能チェックとしても重宝がられてきたが、確か2015年にはアルバムが再発され、その後なんと2017年にはLP化(33回転盤2枚組)され、アナログファンにも圧倒的な支持を得た。

 その後さらに音質にこだわって、リマスタリングもされ、2020年に初SACD(kkj-146/2020)化された。
 そして結局のところ、通常CD盤、33回転盤LP、45回転盤LP、SACDハイブリッド盤とそれぞれの録音フォーマットが出そろったのであるが、そこに今になってHi-Resサウンドの登場となり、今話題のMQA-flac 96kHz/24bitものの登場もあって、それならばとe-onkyoより仕入れた次第である。

(Tracklist)

06_0103_02 1 The Saga of Harrison Crabfeathers
2 Dolphin Dance
3 Come Together
4 Goodbye for My Father
5 Speak Low
6 Freedom Jazz Dance
7 I Love You
8 Straight No Chaser
9 All Blues
10 The Days of Wine and Roses 酒とバラの日々
11 Star Spangled Banner 星条旗よ永遠なれ

 私はこのブロンバーグは、それほど意識したことはなかったが、彼は1960年12月5日の米国アリゾナ生まれ。父と兄がともにドラマーであり、彼自身もドラムをプレイしたが、10代はじめに既にアコースティック・ベースに転向し、そして79年、スタン・ゲッツのグループに参加して名前も知られるようになり、89年には初のリーダー作『A New Day』をリリース。アニタ・オデイ、リー・リトナーのサポートを務めるなど、ジャズ/フュージョン界での活躍も大きい。

 このアルバムは、ピアノ・トリオ演奏ジャズだがM1."The Saga of Harrison Crabfeathers"、M3."Come Together"などでは、冒頭からベース・ソロで始まりそのコントラ・バスの低音で圧倒する。近年は寺島レコードからのリリース・アルバムでもベースの音で圧倒する録音ものもあって、昔ほどは驚かないが、それでも一般にピアノ・トリオものではベースは"縁の下の力持ち"的な存在で、地味な立ち位置にあって、ピアノと同等に前に出てくる録音は少ない。しかしここでは指ではじくピチカット奏法のその弾き音と共にリアルに迫ってきて圧巻。このアルバムではドラムスも生きていて、近年の録音に近いスタイルだ。
特にM3ではその荒々しさが響いてくる。
 M4."Goodbye for My Father"、M10."The Days of Wine and Roses"は、ピアノの美旋律が響いて気持ちの良い演奏だが、ここではさすがに前面に出ることではなく、そのピアノ音とほゞ対等な位置で美しい演奏を響かせる。
 M5."Speak Low"でのベースは、低音というよりは、その演奏技巧の披露だ。M8."Straight No Chaser"のようなトリオ演奏の対等な三者の演奏も楽しい。
 M6."Freedom Jazz Dance"、M9."All Blues"、M11."Star Spangled Banner "はベース・ソロ演奏で、低音の響きにスラップ奏法やサムピング音も交えてリアルな録音により、ベース演奏をたっぷり楽しめる。

Iimgw  このように、単なるベースの音を聴くというのでなく、ピアノ・トリオの楽しさと美しさを聴かせながらも、ドラムスも含めてトリオとしての味を見せつつ、そこにウッド・ベースのいろいろな奏法を交えての低音の楽しさをソロ演奏を交えて教えてくれる。なんと20年間楽しませてくれている見事なアルバムである。(なお人気があって2005年には続編『WOOD 2』(KICJ-488)もリリースされた →)
 そしてこのようにHi-Resサウンドで楽しめるのも良き時代になったと実感する。

(評価)
□ 演奏 88/100
□ 録音 88/100

(視聴)

 

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コメント

特に低音がグイグイとは聞こえませんでしたが、当方の装置のせいなのでしょう。

低音って、不思議だなぁと思います。

投稿: iwamoto | 2022年8月26日 (金) 19時46分

iwamoto様
こんばんわ、コメント有難うございます
そうですね、私もこのYouTubeの参考ものでは、パソコンのスピーカーではこのベースの重低音は響いてきませんですね。
別の安物の別売りスピーカーを付けたPCでは、やつぱりまあまあ少しはましに出てきました。こればっかりはしょうがないですね、PCの音をオーディオ装置に繋いでみたらどうでしょうか。
まあ、ソフトをそれなりの装置で再生するのが一番いいと思いますが。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年8月26日 (金) 22時39分

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