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2022年9月11日 (日)

ヨハンナ・リネア・ヤコブソン Johanna Linnea Jakobsson 「ALONE TOGETHER」

北欧の自然と文化を匂わせる演奏とヴォーカル

<Jazz>

Johanna Linnea Jakobsson 「ALONE TOGETHER」
AMP MUSIC & RECORDS / Import / DUATO112 / 2022

Alonetpgether

Johanna Linnea Jakobsson (vocal except 4, 6, 7) (alto saxophone on 2, 4, 5, 6, 7)
Robin Petersson (guitar)
Gustaf Rosenberg (piano)
Anders Fjeldsted (bass)
John Fernold (drums)

2021年6月デンマーク、コペンハーゲンのHHH Music録音

  まだまだ若さそのものの1991年生まれの北欧デンマークの女流アルト・サックス奏者でSSWのヨハンナ・リネア・ヤコブソンのデビュー・アルバム。彼女は現在はスウェーデンで活躍中。ほゞ同世代の北欧のギター、ピアノ、ベース、ドラムとのクインテット作品。
 彼女はアルト・サックスを演じ、ヴォーカルも披露。そして収録曲の半分の4曲を作曲している。
しかしこれは直輸入CDだが、アルバム・ジャケの安っぽさは日本では考えられないもの。

41fmsxvp9sl_uxnan_fmjpg_ql85_ (Tracklist)
1. Alone Together
2. Itinerant
3. Anything
4. Opaque (instrumental)
5. She's Leaving Home
6. Stolen Moments (instrumental)
7. The Single Petal Of A Rose (instrumental)
8. Blue
*all compositions by Johanna Linnea Jakobsson except #1 by A.Schwartz & H,Dietz, #5 by P.McCartney & J.Lennon, #6 by O.Nelson and #7 by D.Ellington

  ジャズの即興演奏の要素を十分生かしたアコースティックな演奏を彼女自身のユニークなクロスオーバーの世界に溶け込ませての曲作りは、違和感なくを自然な世界を作り出しているところに驚く。
 ポップ風の作曲と組み合わせてはいるものの、やはりジャズの心地よさが十分に伝わってくるちょっと不思議なアルバム。クインテット・メンバーがそれぞれの持ち味を力むことなく非常に気持ちよく演じているところが楽しい。
 そして彼女の歌もやや高めのトーンで、線は細めなのでその質とともに丁寧な歌い方が嫌みがない。結構しっとりと優しく軽妙流麗という表現にぴったりで、若さと共に時にハスキーなところもあってデビュー・アルバムっぽい瑞々しさがあって好感度が高い。

Pressphoto411024x728

   
  スタートのM1."Alone Together"は彼女のヴォーカル曲、ちょっと静かなしっとり物憂い歌い方でジャズ・ムードは十分。歌ものと言ってもかなり演奏のウエイトも多く、それぞれがクリアーに録音されていていい。
 M2." Itinerant"はオリジナル・インスト曲、ギターの演ずるところが彼女のASとが交互にインプロ交じりのメロディーを静かにソフトに流す。
 M3."Anything"やはり歌声は優しい。M4."Opaque"この曲でもASはソフトでゆったり描きベースが静かなピアノのバックで語るところは私好み。
 M5." She's Leaving Home"ビートルズ・ナンバーをアシッド味の味付けのあるジャズに変身。
 M6."Stolen Moments "リズム感のあるインスト演奏で深い世界に導く。
 M7."The Single Petal Of A Rose "じっくりと歌い上げるASは、ベテランの境地でピアノと共にバラード演奏。
 M8."Blue"彼女のヴォーカルが軽快なギターをバツクに清涼感たっぷりに。

 とにかく力みのない抒情性豊かな演奏と、ちょっとキュートであり、清楚感もありの北欧の自然と文化を匂わせるジャズはなかなかのもの。それに透明感を描いてのクリアな音色に仕上げた録音もいい。なかなか一つの世界観があるアルバム造りは素晴らしい。

(評価)
□   曲・演奏・歌      88/100
□ 録音      88/100

(試聴)
"Opaque"

*
"Alone Together"

 

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コメント

アンドレア・モティスを第1号とするなら、彼女はあいどる2号。「Jazzy、Not Lazz」派ではなく、POPSとJAZZを全く区別せず、楽器も駆使して、自分の世界で、やりたいようにやっている感じで、ニューアイドルでしょうかね。メロディー・ガルド―はその先駆者かもしてませんね。
ちょっとアイドルとは言い難いが ・・・。

投稿: 爵士 | 2022年9月14日 (水) 10時59分

爵士さん、コメント有り難うございます
 そうですね、私もアンドレア・モティスを頭に浮かべつつこのアルバムに接しました。
 歌も嫌みが無いので今後に期待は十分に持てますね。ユーロ系のジャズ世界は非常に層が厚くなり、そしてこうした新人を生むというなかなかの充実ぶりです。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年9月14日 (水) 20時54分

風呂井戸さま、リンクをありがとうございました。m(_ _)m

ヴォーカルもサックスも、自然体でリラックス感満載でした。
声も好きなので、もう少しヴォーカルも聴きたかったかな。

私のリンクも置いていきますね!

https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2022/09/post-e6f9c8.html

投稿: Suzuck | 2022年9月16日 (金) 18時39分

Suzuck様  コメント有り難うございました
こうした新人が出てくるのは歓迎ですね
ユーロでも北欧系の活躍が目立ちますね・・・私としては喜んでいますが。^^
リンクも有り難うございました

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年9月17日 (土) 17時09分

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