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2022年9月16日 (金)

ソニア・スキアヴォーネ Sonia Schiavone 「WAYNE SHORTER's LEGACY」

独特な歌声でウェイン・ショーターの世界へ迫る

<Jazz>

Sonia Schiavone 「WAYNE SHORTER's LEGACY」
Da Vinci Jazz / Import / C00573 / 2022

Wayneshoterslegacyw

Sonia Schiavone (voice, vocal background and effects)
Fabio Gorlier (piano)
Stefano Profeta (double bass)
Donato Stolfi (drums)
Gianni Virone (tenor saxophone on 03, 06, 08, 10) (soprano saxophone on 02) (bass clarinet on 04) (clarinet on 09) (possibly baritone saxophone on 03, 10)
Cesare Mecca (trumpet on 03, 08, 10)
Aldo Caramellino (trombone on 03, 08, 10)

Recording:22,23,24,September 2021, Riverside Studio, Italy

Avatars0002010517029jwr44t500x500   イタリアのキャリアある本格派女性ヴォーカリスト:ソニア・スキアヴォーネの、小コンボ伴奏でのウェイン・ショーター名曲集。ゴスペル、オペラ、アカペラ、ジャズ、その多彩な音楽スタイルを究めんとする彼女だが、今回のアルバム・コンセプトは「彼女が深く魅了されたというコンテンポラリー・ジャズの第一人者、ウェイン・ショーターの詩学と芸術哲学への小さなオマージュ」というところのようだ。
 彼女は7歳からクラシック音楽を学んできており、その芸術性をベースにした即興ボーカル・インプロヴィゼーションで迫っている。

Waynew  ウェイン・ショーター(Wayne Shorter、1933年8月25日 – )は、あえて説明することのないジャズ・サックス奏者だが、作曲家としての評価も高い。米国合衆国ニュージャージー州ニューアーク生まれ。ジャズ・メッセンジャーズのメンバーとして活躍。1960年代にはマイルス・デイヴィスのクインテットに参加し、その後ジョー・ザヴィヌルとともにウェザー・リポートを結成。即興演奏家としての技量の高さも人気。

(Tracklist)
01. Deluge
02. Footprints (Follow The Footprints)
03. Yes And No (To Be Or Not To Be)
04. Infant Eyes
05. Touches Of Colours
06. I Sing
07. Iris
08. Speak No Evil (All For One)
09. Miyako (How Do I Love Thee)
10. Black Nile
All Tracks by W.Shorter and arranged by sonia schiavone

 とにかくまずオープニングから彼女のヴォーカルの特異性に驚く。それぞれの曲の大半は彼女の作詩による歌であるし、かなり高音まで響かせ、イタリアっぽい歌唱とその節回しがなんとなく怪しげ、というか陰影を漂わせて、ちょっと音程が外れたのではないかと思わせるところが異様。おそらく即興的な因子が加味されての歌と思われるが、惑わすミステリアスな世界も見えて、これが私の印象にあるウェイン・ショーターとはどうも重ならない。
 バックはピアノが重要な役割を果たしつつサックス、トランペット、トロンボーンがリズムを刻むように演奏する。ベース、ドラムスも快適に演ずる。そこにはなかなか洗練されたサウンドを聴かせる。

Soniaschiavonecoverjazzit1

 しかしM4."Infant Eyes"のバラード調に彼女のじっくり歌いこんだ声が響くと、成程ここまでにショーターの曲を華やかに展開させて、ここにきてそこに心を置いてて行く様が見事で、聴く方もうっとり。途中から彼女のヴォーカルを受けてクラリネットが歌いあげて曲が美しく完成ている。
 M5."Touches Of Colours"も同様に心をもって歌い上げるところはショーターの世界を知り尽くして迫っていくところが伺えて、その世界にいつの間にか聴く方もどっぷりつかってしまう。続くM6." I Sing"と共に歌声とピアノが美しい。そしてこのM6.でサックス・ソロの歌い上げが顔を出して最高潮になる。     そして異様と思った彼女のヴォーカルがM7." Iris"となると、なんとその彼女の描く世界に充実感すら感ずることになる。凄い洗練された音楽性が迫ってくる。M8." Speak No Evil (All For One)"は彼女のアカペラの技法がみなぎっている。
 M9."Miyako "、M10."Black Nile"とまとめに入るが、最後は何とショーターの世界とシンクロして聴き惚れてしまう彼女の世界となった。
 ハイレベルのコンテンポラリー・ジャズ・アルバムだ。

(評価)
□ 曲・編曲・作詞・歌  88/100
□ 録音         88/100

(試聴) お勧め"Infant Eyes"
 

 

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コメント

前回ご紹介のものより、わたしとしては、遥かに安心して聴けます。
これはショーターの曲なのですか?

投稿: iwamoto | 2022年9月19日 (月) 11時33分

iwamoto様
コメント有難うございます、台風が心配ですね
そうなんです、全てウェイン・ショーターの曲ですが、彼女なりきの編曲と歌詞が付けられています
なかなか芸術性の高いジャズ・ヴォーカル・アルバムですね、このようなもののご評価がよろしいようで・・・(ニッコリ)

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年9月19日 (月) 19時11分

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