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2022年10月16日 (日)

ケイティル・ムレリド Kjetil Mulelid Trio 「who do you love the most?」

北欧ジャズの味と醍醐味

<Jazz>

Kjetil Mulelid Trio 「who do you love the most?」
Rune Grammofon / RCD2229 / Hi-Res flac96kHz/24bit / 2022

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Kjetil Andre Mulelid (p)
Bjørn Marius Hegge (b)
Andreas Skar Winther (ds)

Mastered By – Karl Klaseie
Mixed By – Kyrre Laastad
Recorded By – Dag Erik Johansen

recorded june 21st and 22nd 2021

7033662022083w2  ノルウェーのジャズ・ピアニストのケイティル・ムレリドKjetil André Mulerid(1991年2月4日ノルウェーのHurdal生まれ)は、久しぶりの出会いのような感じであった。いつぞや彼らのトリオ2ndアルバム『What You Thought Was Home 』 (Rune Grammofon 2019)(→)で知ってから久しぶりであった。今回はこのトリオの3作目で、私はこれもCDでなく外国配給会社から"Hi-Res flac96kHz/24bitの音源"で入手した。

  ムレリドは2014年、ロンハイムのノルウェー科学技術大学のジャズプログラムを修了し、その後、数種のバンドで活動している(「Wako」、「Lauv」など)。そしてこのKjetil Mulelid Trioは2017年にデビューアルバム『Not Near Enough To Buy A House』リリースして以来、メンバーはベーシストのビョルン・マリウス・ヘッゲ、ドラマーのアンドレアス・スコール・ヴィンターと不変。このトリオは、私の好むところのノルウェーのEspen Eriksen Trioとジャズ界では同じ流れの中にあり、賛美歌からフリージャズまであらゆるものに触発されて彼らなりの実績を上げているという。

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 とにかく、トリオの2017年のデビュー作は国際的に広く受け入れられ、キース・ジャレットとビル・エヴァンスとの比較にも挙がった。この称賛は2019年の続編アルバムも同様だった。これは若さ以上の経験が結晶していると評価もある。
 前作もそうだが、下の収録曲リストのように主としてピアニストのトリオ・リーダーのムレリドにより作曲されているが、ベーシスト、ドラマーも、それぞれの即興を交えての特徴が遺憾なく発揮されたなかなか味のあるトリオである。

(Tracklist)

1.Paul  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 4:35
2.Endless  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 5:02
3.The Road  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 4:47
4.Remembering  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 4:43
5.Point Of View  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 3:48
6.The Archetypal Man  (Composed By – Judee Sill) 5:10
7.For You I'll Do Anything  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 5:50
8.Imagine Your Front Door  (freely improvised) 1:30
9.Gospel  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 4:15
10.Morning Song  (Composed By – Kjetil A Mulelid) 3:18

  多くのミュージシャンやヴォーカリストとの競演が多いムレリドだが、こうして彼のリーダー・アルバムは1st以来の鉄壁のトリオ作品に集約されている (昨年リリースされたソロ・ピアノ・アルバム『Piano』があるが)。
 このアルバムの録音は優秀で、ピアノは勿論だがべース、ドラムスも手に取るように聴きとれて、トリオの良さが実感できるところだ。又Hi-Res音源で聴いているだけに、澄んだ音も快感。
 北欧らしいフォークっぽいムードと深淵さと、美しいメロディー、ハーモニーの美と複雑なリズム、民族音楽的な雰囲気にゴスペルの要素も忘れていない多彩さだが、究極は真摯な世界にある。

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 M1."Paul "は、ビル・エバンスとの世界にあったドラマーのポール・モティアンに敬意を表したと。冒頭から思索的で叙情的な曲。
 M2."Endless "は、メロディックで、M3."The Road "は、探求と試練を求めての珍しくダイナミックな活力ある曲。ヴィンターのパーカッシブなドラムスが効果発揮。
 M4."Remembering " ピアノの優しさあるメロディーにヴィンターの一風変わったパーカッシブな伴奏、ヘッゲのベースも大いなる貢献している曲。
 M.5."Point Of View " ピアノ・ソロ・アルバムにある曲、シンバル音が印象的にピアノ美旋律に色付け。
 M7."For You I'll Do Anything" 深いベース・ソロからスタート。これもムレリドのソロ曲でピアノの調べは何かに語り掛けるような優しさが。
 M8.".Imagine Your Front Door " は、遊び心のトリオ集団即興演奏。
 M9."Gospel" は、ムレリドの心地よさのゴスペル。M9."Morning Song" は爽やかな展望の心地になる曲。

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 ムレリド自身のピアノで描くメロディックな曲が、このトリオとなると複雑なジャズ曲と変化し、トリオ効果が大きいところが魅力。それは録音においてもその効果を助長されいると思う。かってのピアノ主流でベース、ドラムスは一歩下がって影の支えというスタイルから脱却し発展して、三者の挑戦的に描くトリオ音楽として描く因子も感じられ全てが新しいというわけではないが、興味深い。

(評価)
□ 曲・演奏   90/100
□ 録音     92/100
(試聴)  
"Poul"

*
(参考) トリオ映像

 

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