ジャン-ピエール・コモ Jean-Pierre Como Trio 「MY DAYS IN COPENHAGEN」
やはり躍動性としっとりした世界の美は一級品
<Jazz>
Jean-Pierre Como Trio 「MY DAYS IN COPENHAGEN」
Bonsaï Music / IMPORT / BON220901 / 2022
Jean-Pierre Como (piano)
Thomas Fonnesbæk (double bass except 06, 10)
Niclas Campagnol (drums except 09, 10)
Recorded at The Village Recording Studio in Copenhagen, Denmark
フランスの人気ピアニスト、ジャン・ピエール・コモ(1963年パリ生まれ、両親はイタリア人(→))の18枚目となるリーダーアルバムの登場。今回はデンマーク出身の人気ベーシスト:トーマス・フォネスベック(1977〜)とスウェーデン出身の中堅ドラマー:二クラス・カンパニョル(1973〜)という北欧ミュージシャンとのトリオで、スタンダード曲を中心としたコペンハーゲン録音のアルバムだ。
(Tracklist)
01. You And The Night And The Music 6:16
02. You Don't Know What Love Is 4:03
03. Oleo 3:29
04. Stella By Starlight 10:08
05. Triste 5:26
06 Leading To… 1:13 (piano & drums duo)
07. My One And Only Love 5:29
08. Bye Bye Blackbird 5:10
09. Lover Man 6:27 (piano & bass duo)
10. Starry Sea 2:54 (solo piano)
10曲中2曲(M6.,M10.)がコモのオリジナル曲で、その他の8曲はスタンダード曲。
M1."You And The Night And The Music"は、オープニングにふさわしい演奏で、軽快にして流麗なピアノ・タッチに、ベ-ス、ドラムスが後半にはソロ展開も加えてのビートを加味し、ジャズはこれだと訴えてくる。彼らの紹介みたいな演奏。なかなか期待が持てる。
M2."You Don't Know What Love Is "となりぐっと落ち着いてピアノとベースが交互に旋律を哀感の展開。
そしてこのアルバムの一つの目玉曲M4."Stella By Starlight "が素晴らしい。雰囲気をがらっと変えて、ぐっと心の奥に響く深い内省型の世界、なんと10分を超える演奏で、三者のインプロブィゼーションの洪水、ビクター・ヤングという世界を超越して迫ってくる。
M5."Triste"で、軽快に流れるようなピアノに変化。そのあとは、今度は変化してM6."Leading to..."で静かに旋律を奏でるピアノまるで間奏曲。
そしてもう一つのこのアルバムの目玉曲M7."My One And Only Love"に続き、ここでは思索的で哲学的ともいえる中に美しさのあるピアノが印象的で、しかも流れる水のごとくの演奏の変化を加えてやっぱり一級品だ。ベース、ドラムスの状況を描くサポートも奥深く素晴らしい。
M9." Lover Man"のピアノ、ベースのしっとり感も、さすがユーロ・ジャズ。
とにかくこのアルバムは、最後まで飽きさせない構成で、端麗であり歯切れがよく流麗なクリアー・タッチのピアノが、ヨーロならではのロマンティックなところと哀感のある抒情的なところを聴かせつつ、一方ダイナミック・アクションのある躍動的変化を織り交ぜて描く世界はお見事である。スイングしながら歌うがごとくのしなやかさとハーモニーがあり、時としてリズムカルに迫りくるというベースや、やや軽めにシャープでスピーディーに安定したドラム、まさに三者の技量が織り成す世界と、トータル・アルバムとしての曲の構成が素晴らしく、一級品のジャズ・アルバムと言いたい。
(評価)
□ 曲・演奏 : 90/100
□ 録音 : 88/100
(試聴)
*
"stella by starlight"
| 固定リンク
« レナード・コーエン・トリビュート・アルバム「HERE IT IS : A TRIBUTE TO LEONARD COHEN」 | トップページ | ドリーム・シアター Dream Theater 「Rock in Rio 2022」 »
「音楽」カテゴリの記事
- マニュエル・ヴァレラ Manuel Valera Trio 「 Live At l'Osons Jazz Club 」 (2024.09.17)
- ダニエル・ガルシア Daniel Garcia Trio 「Wanderland」(2024.09.12)
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
「JAZZ」カテゴリの記事
- マニュエル・ヴァレラ Manuel Valera Trio 「 Live At l'Osons Jazz Club 」 (2024.09.17)
- ダニエル・ガルシア Daniel Garcia Trio 「Wanderland」(2024.09.12)
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
「北欧ジャズ」カテゴリの記事
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- フランス・バク、シーネ・エイ Frans Bak feat.Sinne Eeg 「Softer Than You Know」(2024.05.29)
- ダグ・アーネセン Dag Arnesen Trio 「ICE BREAKING」(2024.05.19)
- インギ・ビャルニ・スクラソン Ingi Bjarni Trio 「 Fragile Magic」(2024.05.04)
- インガー・マリエ Inger Marie 「Five Minutes」(2024.04.11)
「ピアノ・トリオ」カテゴリの記事
- マニュエル・ヴァレラ Manuel Valera Trio 「 Live At l'Osons Jazz Club 」 (2024.09.17)
- ダニエル・ガルシア Daniel Garcia Trio 「Wanderland」(2024.09.12)
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」(2024.08.17)
「ユーロピアン・ジャズ」カテゴリの記事
- ダニエル・ガルシア Daniel Garcia Trio 「Wanderland」(2024.09.12)
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」(2024.08.17)
- クラウディア・ザンノーニ Claudia Zannoni 「STURDUST ~ Love Nancy」(2024.08.12)
コメント
風呂井戸さん、こんばんわ。
私もこのアルバム入手しています。
新年にに聴く予定で、まだ聴いていないのですが、風呂井戸さんの"一級品"との評価により入手は正解だったと確信できました。
来年しっかり聴いてから感想をFBにあげたいと思います。
投稿: baikinnmann | 2022年12月 6日 (火) 21時21分
baikinmmannさん
コメント有難うございます
本質的に技量的にも音楽的センスにおいても深いものを持っているという事を感じせる演奏でした。
イタリアと北欧がいい意味で生きていると思いました。
是非御感想をお願いします。・・・と、言いますのは、いろいろと評価のあるアルバムのようですので。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年12月 7日 (水) 17時13分