オリアンティ Orianthi 「Rock Candy」
懐かしのハード・ロック・スタイル満載
<Rock>
Orianthi 「Rock Candy」
Frontiers Records / Import / FRCD1261 / 2022
・Orianthi - Vocals, Guitars
・Jacob Bunton - Bass, Guitar, Keyboards, Piano, Violin, Backing Vocals
・Kyle Cunningham - Drums
Produced, Engineered, & Mixed by Jacob Bunton
今回はちょっとここでは異色アルバムの登場。こうゆうアルバムをたっぷり聴けるのもサブスク・ストリーミング時代のありがたさですね。(笑)
オリアンティ(Orianthi Panagsris 1985年1月22日オーストラリアに生まれる)はマイケル・ジャクソンに天才的女性ギタリストとして見いだされ、あっという間にスター・ダムに躍り出たわけだが、2020年のスタジオ・アルバム『O』は7年ぶりと久々にその名を見たところ。そして今回更にニュー・アルバムの登場となった。
彼女はオーストラリアが誇る人気ギタリスト、わずか15歳でスティーヴ・ヴァイのサポート・アクトを務め、まさに天才の名を欲しいままにし、その後マイケル・ジャクソンのバックバンドに抜擢され、しかしマイケルが急逝してしまいコンサートでの共演実現しなかったが、その死後に公開された映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』によって、我々の知るところとなった。過去に18歳の時のサンタナと共演した映像などがあった。
2009年の彼女のソロ・アルバム『Belive』は、日本でも10万枚を売り上げるヒットを記録。今年7月には私は見ていないのだが『ライヴ・フロム・ハリウッド』と題されたライヴ映像作品もリリースしたばかりという。
(Tracklist)
1.Illuminate, Pt. 1
2.Light It Up
3.Fire Together
4.Where Did Your Heart Go
5.Red Light
6.Void7.
Burning
8.Living Is Like Dying Without You
9.Witches, the Devil
10.Getting to Me
11.Illuminate, Pt. 2
冒頭から、"さー行くぞ"と仰々しくシンセのバックでオリアンティのギターでのインスト曲でスタート。
M2.".Light It Up”で、うーーん懐かしのハード・ロック・サウンドでかっこよいロックが展開する。
彼女のヴォーカルもなかなか芸達者になって聴き応え十分。
M4."Where Did Your Heart Go" バラード・ロックでスタートして途中で懐かしのハード・ロック・スタイルに、彼女のヴォーカルも絶頂に。
M5."Red Light" ややヘビーなリフが響くが、彼女のヴォーカルは極めてオーソドックス。M6."Void" なかなか味な展開で聞きどころ。
M7."Burning" 典型的懐かしハード・ロック。
M8.".Living Is Like Dying Without You" アコースティック・ギターで説得力の色気混じりのヴォーカルで聴かせるロック。
M9."Witches, the Devil" この曲もヘビー・サウンドが。
全曲ハード・ロックの基調で、自らのオリジナル曲により作り上げていて、かってのハード・ロック・ファンにも喜んで受け入れられそうなアルバム仕上げ。
何といっても彼女には、基本的には、かっこよさが期待度の高いところで、そんな意味でも"Light It Up"はその部類で万歳だ。一方女流ギタリストとしての色気も必要であるが、それもバラード調も交えての曲がしっかり組み込まれて見事に演じている。
まあどっちかというと、古き良き時代の懐かしのハード・ロック・スタイルで、むしろおじさんたちに受けるのではないかと思うところで、今の若いロック世代にはどう映るのだろうかと、ふと余計な事を考えてしまう。
スタートと最後の締めくくりの曲"Illuminate Part1, Part2"はインスト・ギター演奏で全曲トータルにまとめ上げ、一曲一曲のストリーミング時代とは言え、トータル・アルバムの様相も作った完成アルバム。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 85/100
□ 録音 85/100
(試聴)
*
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コメント
アンサンブルとしてギターパートを任されたとして、その仕事は完璧だと思います。
でも、もっと個性的なプレイを求めたいですね。
音楽的革新。 この人ならではというものが薄い気がします。
これだけ弾けちゃうと、苦しい心の戦いから逃げてしまうことが多いです。
手が勝手に弾いてしまうものですから。
伝統芸能の担い手として生涯を終わるのか、革命家として名を残すか。
もちろん、シュービズの世界で食べてゆくことは悪いことではありません。
自分で思った音が演奏できるという素晴らしい才能があっても、どこまで新しい世界が切り開けるのか。 それを求めるのは過酷なんでしょうか。 良いスタートを切った人だけに、期待したいです。
久しぶりに見た顔は、少し大人になったように感じました。
良いプロデューサに出会えますように、祈りましょう。
投稿: iwamoto | 2022年12月 8日 (木) 11時34分
iwamoto様
なかなか含蓄のあるコメント有り難うございます
ショービスの世界での生き方、自己の音楽というものへの迫り方、ここにはいろいろな葛藤があるというのが・・・過去においてもそれぞれミュージャンの悩むところでもあるようですね。
私も久しぶりにみた彼女ですが、それなりに歳を重ねて何に向かっているかと言うことはまだ見えていないようにも思います。ギタリストとしての表現も、もう少しウェイトを多くした方がよいようにも感じつつ今回のアルバムを聴きました。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年12月 9日 (金) 08時12分
オリアンティが登場とは意外でしたが(笑)、オーソドックスなスタイルで弾きすぎないギタープレイと弾く時は無茶苦茶弾くプレイが大人の楽しみでしょうか、作品レベルが高い作品ですね。
ま、ただ、斬新さはないのでどうするのかなぁ、と懸念はしますが、年と共に派手になってしまって、その路線もあるのかと勘ぐってしまったり(笑)。
投稿: フレ | 2022年12月 9日 (金) 09時07分
フレ様
コメントどうも有難うございます
ヴォーカルも悪くないのですが、やはり私はヴォーカリストというよりはギタリストにウェイトがある方を期待してしまいます。
従ってヴォーカルの為のギターでなく、ギター演奏に、ちょっと愛嬌でヴォーカルを付けるといった世界の曲も一枚のアルバムに何曲はあっても・・・そんな方向で充実すると面白いのでなんて思ったりもします。
まだ、若さが売り物のうちにあるとしたら、今のこれもありですかね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年12月 9日 (金) 22時18分