トルド・グスタフセンTord Gustavsen ノルウェー少女合唱団 「Sitlle Grender」
純粋さ漲る少女合唱と・・・・
重量級から澄んだ透明な世界までを描くグスタフセンのピアノ
<Classic, Jazz>
Det Norske Jentekor,Tord Gustavsen,Anne Karin Sundal-Ask
「stille grender」
2L-164-SABD, EAN13, 7041888525721, ISRC-code,NOMPP2007010-150
Release date:November 2020, Recording date:February 2020
Det Norske Jentekor(ノルウェー少女合唱団) / Anne Karin Sundal-Ask, conductor
Tord Gustavsen, piano
Recorded at February 2020, Uranienborg Church, Norway
Disc 1 Hybrid SACD,MCH 5.1DSD,Stereo DSD , RedBook PCM: MQA CD
Disc 2 Pure Audio Blu-ray,2.0 LPCM 192/24, 5.1 DTS HDMA 192/24, 7.1.4 Auro-3D 96kHz, 7.1.4 Dolby Atmos 48kHz mShuttle: MQA + FLAC + MP3
欧米文化において、クリスマス・ソングというのは一つの文化であって、ある一定のレベルに到達したヴォーカリストは、必ずその関係のアルバムをリリースする事が多い。一年のクリスマス行事を経て神聖な幕閉じ続く新しい年のスタートには、無くてはならない社会的宗教的文化であるからだ。従ってジャズの分野でもクリスマス・ソング・アルバムが多くお目見えするが、どうも日本文化の私にとってはしっくりしない事も多い。音楽であるからジャズも聖歌も讃美歌も同じと考えるのだろうか、いささか私には難しい問題である。
さて今日ここに取り上げたアルバムには、そんな疑問もなく素直に聴き入ることが出来る為、このストリーミング時代を迎えて今や完璧にじっくりこの世界に入れる環境も整って、日本文化・欧米文化という事は関係なく、この新しい新年に敬虔な気持ちになれる。又更に私の好むノルウェーのトルド・グスタフセン(→)のピアノも堪能できるのであるからこの上ない。アルバム・リリースから2年以上経ったが、今にしてこの世界がHi-Res環境の良好なる音世界として身近になって、新年の一時を心新たに心安らぐ時間を持つのである。
アルバム・タイトルは「静かな集落(村)」と訳してよいのか、とにかくこの主役であるノルウェー少女合唱団の世界は、惚れ惚れする。上の写真のごとく、ほんとに幼い子供から小中学生ぐらい(?)で構成されていて、指導者であり指揮者であるアン・カリン・スンダル・アスクの描くところとトルド・グスタフセンのピアノに浸るのである。
(参考) 又、トルド・グスタフセンのピアノ・ソロ演奏は、別建てのアルバムとしてもリリースされている。彼の独特なる即興を交えてのトラデッショナル、フォークや聖歌などを聴かせてくれるのである。(下のDISC-2)↓
<Classic, Jazz>
Tord Gudtavsen 「Stille Grender (solo piano)」
Pure Audio Blu-ray, 2.0 LPCM 192/24, 5.1 DTS HDMA 192/24, 7.1.4 Auro-3D 96kHz, 7.1.4 Dolby Atmos 48kHz
mShuttle: MQA + FLAC + MP3
(Tracklist)
DISC 1
01. Carol of the Bells 2:06
02. The Bells [solo piano] Tord Gustavsen 2:04
03. Det lyser i stille grender 2:49
04. Deilig er den himmel blå Det Norske Jentekor,Anne Karin Sundal-Ask 3:05
05. Jul i svingen Det Norske Jentekor,Anne Karin Sundal-Ask 2:17
06. Glade jul [Stille natt] 2:23
07. Joleklokker over jorda 3:45
08. Eg veit i himmerik ei borg Det Norske Jentekor,Anne Karin Sundal-Ask 2:32
09. Jul, jul, strålande jul 4:03
10. Jeg er så glad hver julekveld Det Norske Jentekor,Tord Gustavsen,Anne Karin Sundal-Ask,Janna Dons Strøm,Elida Angvik Hovdar,Agnes Onshus Grønn,Anna Elisabeth Giercksky Russnes,Amalie Eikenes Randen,Anne Magdalene Bru Rem 6:28
11. Nå tennes tusen julelys 3:31
12. Mitt hjerte alltid vanker 8:28
13. Folkefrelsar Det Norske Jentekor,Tord Gustavsen,Anne Karin Sundal-Ask,Janna Dons Strøm,Elida Angvik Hovdar,Agnes Onshus Grønn 5:48
14. Ljoset nytt i natti rann [solo piano] Tord Gustavsen 4:15
15. Deilig er Jorden 3:41
DISC 2
01. Ved myrke midnattstid [solo piano] Tord Gustavsen 6:04
02. Sjelenes pilgrimsgang [solo piano] Tord Gustavsen 1:58
03. Ingen krok er mørk [solo piano] Tord Gustavsen 2:56
04. Inkarnasjon I [solo piano] Tord Gustavsen 2:36
05. Inkarnasjon II [solo piano] Tord Gustavsen 1:21
06. Inkarnasjon III [solo piano] Tord Gustavsen 3:14
07. Inkarnasjon IV [solo piano] Tord Gustavsen 1:21
08. Til lave hytter [solo piano] Tord Gustavsen 4:14
09. Klårt di krubba skina kan [solo piano] Tord Gustavsen 4:05
10. Inkarnasjon V [solo piano] Tord Gustavsen 3:14
11. Inkarnasjon VI [solo piano] Tord Gustavsen 4:28
とにかく、幼い声まで聴きとれる合唱団が見事です。特にM5."Jul i svingen (スウィンゲンのクリスマス)"は、おそらくまだ日本でいえば小学校前の幼い少女たちの歌声のようだ。あどけなさの残ったかわいらしさと美しさだ。多くの曲は、中学生ぐらいまでの少女達だろうか、一緒に作り上げる世界が見事なのである。
こんな世界がクリスマス聖歌・讃美歌としては貴重なんでしょうね。
少女による合唱団は、その独自性に細心の注意を払っているといわれる指揮者であるアン・カリン・スンダル・アスク(→)が率いている。そしてそこにはピアノ演奏者グスタフセンとの密接性が旨く構築され、何とも言えない温かい音楽的関係の中で、合唱団同志自体にそして聴く我々に・・・語りかけてくれる。
アン・カリン・スンダル・アスクAnne Karin Sundal-Ask は、2005年からノルウェー少女合唱団の芸術監督兼指揮者として働いていて、彼女はトロンハイムの音楽院とノルウェー音楽アカデミーで指揮者、フルート奏者、教師として教育を受けた。そして2017年から、彼女はノルウェー少女合唱団の全てにおける責任者となり、合唱団の指揮でいくつかの賞を受賞し、又合唱団を多くの国際コンクールでトップの地位に導いたと。更に彼女は、国際合唱コンクールの審査員も務めてきているとのこと。
彼女は、特に質を意識し、目標志向で刺激的なリーダーであり、各団員個人が最高のパフォーマンスを発揮できるように、音楽の目標を歌手に伝える能力を備えていると説明されている。指揮者のイントネーション、サウンド、アンサンブル音楽への焦点はトレードマークになり、彼女は合唱団の音楽表現の開発に継続的に取り組んでいるようだ。
ピアニストのトルド・グスタフセンは、特にECMレーベルで実績がある。私は彼のピアノ・トリオにぞっこん惚れ込んでいるのだが、彼の描くところ北欧の自然からの影響と、学んだ心理学の世界とも密接に相乗的に音楽に反映され、それは日本人との感覚にも共通性があるのか支持者は多い。このアルバムでは、彼の役割は、様々なクリスマス・キャロルにイントロを付けたり、得意のジャズ風の伴奏を弾いたり、メリハリのあるアバンギャルドなリフを入れたり、あるいはかなり長いソロを披露したりと、様々な形で合唱と絡み、敬虔さと不思議さの世界を形作る。
最初の有名な曲M1."Carol of the Bells"では、低音の弦を使ってエレキ・ベースのようなエッジの効いた音のリフを披露して、少女達の密度の高いハーモニーに色づけする。続けてM2."The Bells"この曲のテーマを今度はソロでアレンジして聴かせるなど、単なる伴奏ピアノには終わっていない。
又M14."Ljoset nytt i natti rann(昨日の夜、新たな光が)"のグスタフセンのソロはダイナミックで、展開も圧巻である。
とにかく、聴きなれた曲M6."Glade jul (Stille natt)(きよしこの夜)"も含めてのクリスマスキャロル(私の知識レベルでは聖歌、讃美歌、クリスマスソングも含めている)、フォークソングなどの曲群で、ノルウェー少女合唱団とトルド・グスタフセンが見事な連携プレイを披露している。この緊密な優しくのどかで美しい歌声とピアノの透明感のある音との相互作用の中で、我々は表現を倍増させる即興演奏を介して静かな心の安らぎの世界からうっとりとした瞬間へと導かれるのだ。M12."Mitt hjerte alltid vanker (常に待ち望む心を)"、M15."Deilig er jorden(この世はうるわし)"はそのさえたる出来だ。単なる聖歌でないこの世界は貴重であった。
(「Disc-2」のグスタフセンのピアノ・ソロ集は、低音の響きの荘厳さから優しさ美しさに満ちたピアノの音の流れに満ちている。又次の機会に詳しく)
(評価)
□ 曲・合唱・演奏 90/100
□ 録音 90/100
(試聴)
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