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2023年3月15日 (水)

シモーネ・コップマイヤー Simone Kopmajer 「With Love」

ジャズといういっても、聴きやすいポップよりの歌で・・・

<Jazz>

Simone Kopmajer 「With Love」
Lucky Mojo Records / Import / LMR232 / 2023

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Simone Kopmajer (Vocals)
Harry Allen (Tenor Saxophone)
John Di Martino (Piano)
Boris Kozlov (Bass)
Reinhardt Winkler (Drums)

Wesley Amorim (Guitar #1)
Gottfried Gfrerer (Guitar #7)
John di Martino (Vocals #13)
Sheila Jordan (Vocals #11)
Sara Caswell (First Violin)
Tomoko Akaboshi (Second Violin)
Benni von Gutzeit (Viola)
Mairi Dorman-Phaneuf (Cello)

*All Arrangements by John Di Martino

 既にここでも過去のアルバム2作の紹介で登場しているオーストリア出身の歌姫シモーネ・コップマイヤー(1981年生まれ)の2年半ぶりの新作登場。本作は彼女のオリジナル曲2曲を織り交ぜてのラブソングなどを主としてカバーしたアルバムで、グラミー賞を受賞したNYの弦楽四重奏を迎えたおり、ジョン・ディ・マルティーノのピアノにサックスの実力派ハリー・アレンもバックに参加して、いままでの中では、良いか悪いかは別として最もロマンティックな作品として仕上がっている。しかもレジェンド、シーラ・ジョーダンがゲストとして一曲参加している。

Ab6761610000e5eb45a82346e6c497bw  彼女は8歳で歌い始め、12歳で音楽学校のディレクターでありジャズの大ファンであった父親のバンドで歌い、16歳でグラーツの音楽演劇芸術大学に受け入れられ入学。在学中、彼女はマーク・マーフィー、シーラ・ジョーダン、ミシェル・ヘンドリックス、ジェイ・クレイトン、ニューヨーク・ボイスなどの多くの有名なアーティストと仕事をする機会を与えられたと紹介されている。
 2000年に彼女は米国でデビューし、エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラ、ジョン・ヘンドリックスなどのジャズに影響されながらも、次第に歴史あるオーストリア・シュタイアーマルク生まれの彼女は、ユーロ的感覚の独自の世界を持つようになり、ジャズとポップの因子のある多様な世界にあって、2004年の『Moonlight Serenade』から始まって、2011年のアルバム『Nothing's going to Change』で現在の人気を作りあげた。

(Tracklist)
1.The Look of Love(Burt Bacharach / Hal David)
2.How Wonderful You Are(Gordon Haskell)
3.Until It ́s Time for You to Go (Buffy Sainte-Marie)
4.I Can ́t Make You Love Me (Mike Reid / Allen Shamblin)
5.Opposites Attract (Simone Kopmajer / Karolin Tuerk)
6.How Can You Mend a Broken Heart (Barry Gibb / Robin Gibb)
7.Cold, Cold Heart(Hank Williams)
8.I ́m Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter (Fred E. Ahlert / Joe Young)
9.For Once in My Life (Ron Miller / Orlando Murden)
10.Take It All In(Simone Kopmajer / Karolin Tuerk)
11.Everything Happens to Me (feat. Sheila Jordan)(Matt Dennis / Tom Adair)
12.Tell It Like It Is (George Davis / Lee Diamond)
13.You Don ́t Know Me(feat. John Di Martino)(Eddy Arnold / Cindy Walker)
14.Over the Rainbow ( Harold Arlen / Yip Harburg)

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 さてこのアルバムは、「Love」がテーマのようだが、オープニングはバカラックの人気曲M1."The Look of Love"からスタート、昔はセルジオ・メンデスで良く聴いて、近年はダイアナ・クラールの歌が印象深いが、ここではちょっと軽快さから離れて、シモーネらしいストリングスをバックにしたちょっとねっとりムードで仕上げている。
 M2."How Wonderful You Are"はサックスのバックでいわゆるジャズっぽい。そしてM3."Until It ́s Time for You to Go "は、ピアノの調べと共に、落ち着いたエレガントさと優しさのある彼女の味の良さの出たヴォーカルが聴ける。私はこっちの仕上げが良いと思うのだが。
 M4."I Can ́t Make You Love Me"もサックスが入り、しっとりと優しく、M5."Opposites Attract"は彼女のオリジナルだが、可もなく不可もなく、M6."How Can You Mend a Broken Heart "のバラード調に仕上げた歌いこみは聴きどころあり可
 M7."Cold, Cold Heart"ちょっぴりウェスタン・スタイル。M9."For Once in My Life "は、比較的低い音程の歌を美しいストリングスをバックに古めかしくゆったりと。
 M10."Take It All In"も彼女の曲、どちらかというとエレガントの方だ。
 M11."Everything Happens to Me"驚きの90歳代のジョーダンの貫禄の声とのデュオ、対照的で面白い。アメリカン・ムード。
 M12."Tell It Like It Is"ピアノとサックスのゆったりとしたバックでの味のある歌。
 M14."Over the Rainbow " なぜかこの曲で締めくくり。ストリングス・バックに美しく・・・と言ったところか。
  

 なかなか売れ筋のアルバムである。曲の仕上げが非常に聴きやすいし、彼女の歌声、テクニックは相変わらず良好で嫌みとかの因子は少なく、広く一般的に・・というスタイルだ。ただ表現が難しいのだが、私が彼女に描いていたところと若干違った方向に流れているようにも感ずる。それはもう少しユーロ的ニュアンスが増すのかと思ったのだが、そうでもなくさりとてアメリカン・ジャズに迫るという感じでもなく、極めてポピュラーな感覚に聴けるところだ。まあ、悪いことではないので良しとしておこう。

(評価)
□ 曲・編曲・歌  87/100
□ 録音      87/100

(試聴)

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