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2023年3月 6日 (月)

ゴンザロ・ルバルカバ Gonzalo Rubalcaba & Aymee Nuviola 「Live In Marciac」

ピアノと女性ヴォーカルのデュオ・ライブ
圧巻のパフォーマンスで会場をラテン世界に

<Jazz>

Gonzalo Rubalcaba & Aymee Nuviola 「Live In Marciac」
5PASSION / US / 5P076 / 2022

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Gonzalo Rubalcaba : piano
Aymee Nuviola : Vocals

  キューバのその圧倒的なテクニックとセンス、そして独自のアプローチでグラミー賞を受賞の我が愛するピアニストのゴンサロ・ルバルカバ(キューバ・ハバナ出身1963年生まれ:下左)と、同じくラテングラミーを獲得するなど、キューバから羽ばたいている女流歌手アイメー・ヌビオラ(Aymée Regla Nuviola Suárez キューバ・ハバナ出身1973生まれ:下右)のデュオ・ライブ版。
 ラテンのスタンダードからオリジナル曲までを幅広く披露する圧巻のパフォーマンスが聴ける。
 ロックダウン後、2021年ヨーロッパ各都市でのライブ活動が出来るようになって披露された二人のラテンのスタンダードからオリジナル曲までを幅広く披露する圧巻のパフォーマンスが聴ける、更にフランスの南西部で開催されるジャズインマルシアックフェスティバルでの模様をも収めたアルバム。

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(Tracklist)
1. Besame Mucho
2. Lágrimas Negras
3. Mi Mejor Canción
4. Bemba Colorá
5. Dos Gardenias
6. El ratón
7. Nada es para ti
8. El Manisero
9. El Ciego

 透明感たっぷりの情感にあふれたルバルカバのピアノ、時には会場を圧倒するところまで盛り上がり、ヌビオラの歌と共鳴する。歌手とのデュオの方法論は、彼はピアニストとしての立ち位置、いつボーカルをリードするかを経験的深みを持って知り尽くしている。ボーカルの流れを妨げないだけでなく、ヌビオラが流れてゆく道を導いている。彼の左手は、ラテンリズムのリズミカルな流れ作り、右手では、リズムを刻むこともあるがメロディを美しく描いて会場のオーディエンスに語り掛け訴える。共に曲の世界に誘うヌビオラのパフォーマンスも板についていて、歌唱力の高さと相まって、ルバルカバのピアノの音をバックに、歌だけでなく歌と歌の間をピアノ演奏十分楽しませてくれるように導いたり、両者の息のあったところは凄い。パンデミックの間中、ルバルカバとヌビオラはデュオの共同作業を開始していたようで、かなりの充実ぶりが感じられる。

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 パンデミックを乗り越えてのライブが行えるようになって、ルバルカバは「再びライブで演奏することは、生き返ることです。それは私たちがそれを行う方法を知っているように再び生きることであり、アイメと一緒にそれをすることは神聖です」と語っている。

 この二人の関係の紹介を見ると、"もともと二人は生まれ故郷のハバナ出身の幼なじみ、ピアニストで作曲家のゴンサロ・ルバルカバ、歌手、女優、ソングライターのアイメ・ヌビオラは、どちらも音楽コンテンツの高い環境で育ちました。アイミーの母親は確かに歴史の教師であり、ピアノのレッスンを行い、古典的な音楽院の教訓に従い、ゴンサロは地元のクラブの多作なシーンに没頭し、オルケスタアラゴンやロスヴァンヴァン、オマラポルトゥオンド、エレナバーク、アイザックデルガドなどの有名人と肩を並べ、ビル・エヴァンスなどのマスターの和声の概念を研究しました"とある。昔から気ごころを知っての仲という事でその実績は既にベテランの域にある。

 聴き慣れた曲M1."Besame Mucho"では、ここまで歌い込むヌビオラに圧倒される。それはM4."Bemba Colorá"においても同様だ。
 M2."Lágrimas Negras"ではしっかり両者の技法の虜となり、ラテンの世界に会場は引っ張り込まれる。
   M3."Mi Mejor Canción"の心に訴える歌には感動ものだ。
 M5."Dos Gardenias"は、流れるようなルバルカバのピアノの音から始まって、しっとり歌い込むヌビオラ、そして語り聴かせるようなピアノが響き心に迫る。
 M6."El ratón"での跳ねるようにピアノの音とヌビオラのリードによっての会場との拍手と合唱が印象的。彼らのお気に入り曲のM7."Nada es para ti"の情感の入った歌い込みはやはり超一流。 
 最後のルバルカバがチャーリー・ヘイデンとフェデリコ・ブリトと一緒に名盤『Nocturne』で録音したM9."El Ciego"のしっとりとした演奏と歌で幕を閉じる。

 このデュオによる描く世界は、そこには人間の機微を描ききっていて、聴く者をして容赦なく彼らのラテン世界に没入させられる。まさにライブの素晴らしさが凝集している。

(評価)
□ 演奏・歌  90/100
□ 録音    88/100

(試聴)

* (参考)

 

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コメント

Blue Note Tokyo のライブ盤はイマイチのような気がして躊躇しましたが、このライブはすごい。即、手に入れました。

投稿: 爵士 | 2023年3月14日 (火) 16時37分

爵士様
コメントどうも有り難うございます
さすが、このコンビですね・・・
一枚上を行ってますね
即、入手ですか・・・その価値ありと私は思います

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2023年3月18日 (土) 10時45分

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