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2023年5月18日 (木)

レイヴェイ Laufey 「A Night at the Symphony」

アイスランド出身の女流SSWのオーケストラとの競演版にまたもや話題騒然

 

<  Contemporary Jazz>

Laufey 「A Night At The Symphony」
Label: AWAL Recordings / Release Date: 2023年3月2日

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 Laufey : Vocals & Cello, Guitar
 Iceland Orchestra 

 時代は流れていますね、このところCDアルバムのリリースが低調で話題作も少ない。しかし一方SNSを中心にストリーミングによるアルバム・リリースなどが盛り上がっている。又さらになんとAudioファン向けとしては、ビニール盤(LP)のリリースが好調だ。

 そんな中で、ストリーミング時代の申し子というか、今や人気沸騰のアイスランド出身の女流SSWのレイヴェイLaufeyであるが、昨年に続いてのニュー・アルバムの登場だ。EP盤を含めると第3弾という事になる。

Laufey5te221108w (Tracklist)

1. Fragile*
2. Valentine*
3. Dear Soulmate*
4. I Wish You Love(Keely Smith)#
5. Night Light*
6. Ég Veit Þú Kemur(Elly Vilhjálm)
7. Falling Behind*
8. Best Friend#
9. Like The Movies#
10. The Nearness Of You(Hoagy Carmichel)
11. Let You Break My Heart Again(2021)
12. What Love Will Do To You*
13. Beautiful Stranger*
14. Every Time We Say Goodbye(Cole Porter)

*印: 1stフル・アルバム「Everything I Know About Love」から
#印: デビューEP盤「Typical Of Me」から

 現在はロサンゼルス在住の彼女が、去年10月、生まれ育った故郷のアイスランドはレイキャビクの歴史あるハルパ・コンサートホールでアイスランド交響楽団と共演したときのパフォーマンスをライヴ収録したアルバムである。
 昨年リリースし話題となっている1stフル・アルバム『Everything I Know About Love』(*印、アルバムは下に紹介)の自作曲を中心に、以前のデビューEP盤『Typical Of Me』(#印)からと、スタンダード曲のカヴァーなどが収録されている。
 まさにチェロやギターなどを弾きながらオーケストラをバックにしての相変わらずの魅力たっぷりの歌いっぷりは見事と言わざるを得ない。クラシックに通じている彼女としては、オーケストラとの競演はこれ又一つの目指すところであろう。ジャージーな味付けも忘れていないところが見事。
 しかし、私としては、このオーケストラ版も面白いが、やっぱり昨年リリースされたジャズ的味付けによるヴォーカル・アルバムの方が好みである。そこで、その人気アルバムを以下に紹介する。

                  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 

<Jazz, Contemporary Jazz>

Laufey 「Everything I Know About Love」
(LP) LAUFEYLLC / Import / LAULP001R / 2022

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music Artist  :  Laufey

 CDリリースの空白感を感じている時に、このアルバムは、昨年ストリーミングとLP盤のみのリリースで話題が集中した。SNSでも評判のこのアルバムは、クラシックのバイオリニストである中国人の母親とジャズ好きのアイスランド人の父親をルーツにもつ女性チェロ奏者/シンガーソングライター、レイヴェイLaufey(1999年、アイスランド・レイキャビク生まれの23歳)のヴォーカル・デビュー・フル・アルバムだ。これはアナログ盤(LP)でのリリースなのである。
 デビュー盤としては、その完成度が高いこと、彼女の声やヴォーカル・スタイルが好評である事、曲も懐かしさと同時に新感覚の世界にあって、音楽好きには楽器の選定やアレンジの妙が出色で、しかもドリーミーな造りに共感した。そんなことでアナログ盤の良さを十分に感じ取れるという事で高評価を獲得している。

 彼女は2021年にバークリー大学を卒業。現在は本拠地をロサンゼルスに移して活動中とのこと(チェロ奏者、ギタリスト、ピアニスト)。今回のフル・アルバムは以前にミニ・アルバムをリリースして好評だった延長にあって、同様な音楽的資質と学習・研究成果を反映したものと受け止められたのであった。
 2021年にEP『Typical of Me』でデビューし、収録曲“Street by Street”が瞬く間にアイスランドのラジオチャートでトップに。さらに東南アジアとアメリカではTikTokから人気に火がつき同じZ世代の支持を獲得し、SpotifyのJazzチャートでは世界1位を記録した曲“Valentine”がある。

(Tracklist)

Maxresdefaultw_20230517124901 01.Fragile

02.Beautiful Stranger
03.Valentine
04.Above The Chinese Restaurant
05.Dear Soulmate
06.What Love Will Do To You
07.I've Never Been In Love Before
08.Just Like Chet
09.Everything I Know About Love
10.Falling Behind
11.Hi
12.Dance With You Tonight
13.Night Light
14.Slow Down
15.Lucky for Me
16.Questions For The Universe

  ちょっと前置きしておくが、私はアナログLPでなく、サブスク・ストリーミングのHi-Res版で聴いている。従ってM14-16の3曲はLP盤にはない(又M3.Valentineは初期LPには収録無し )。

 とにかく、彼女独特の優しさの上に何となく深みのあるロマンティックな美声の歌は、若さとは違ったむしろ大人っぽさのある歌いまわしで驚く。このアルバムの曲は、M6."初めての恋 I’ve Never Been in Love Before"以外はオリジナルであり驚く。クラシックで育ったこともあってか、さすがロック系でなくポピュラー、ジャズ、ボサノヴァといった曲との融合した世界であり、又バラード調も得意としているし、かなりの説得力だ。これなら、大人のジャズ・ファンもお気に入りになりそう。

Laufey_metalmagazinew


 往年のジャズボーカルのスタイルを現代風の表現で一部語り聞かせるところもあって、心憎いほどの親密感のある歌声をしっとりと聴かせる。ただヒットしたアルバムタイトル曲M9."Everything I Know About Love"は、ちょっと一風変わっていてクラシック・ストリングス演奏から入って、変調してBillie Eilischに歌わせても面白そうな現代調を感ずさせるバック演奏の曲で、"私は愛について何も知らない"と迫ってくる。
 スタートのM1."Fragile"はギターをバックにボサノヴァの展開を匂わせつつ、彼女の曲の特徴のとしてのクラシック調の味付けを交えての異なるジャンルの曲の融合が旨い。
 M2."Beatiful Stranger"M5."Dear Soulmate"の優しげなムードもなかなか出色。
 一方ジャズ・バラード調も得意で 人気曲M3."Valentine"(この曲はLPでは収録無かったり入ったりしているようだ)は女性コーラスとの交わりに味付けが旨い。ギターのみの弾き語りによるM11."Hi"などもしっとりとした歌が見事。
 又ジャジーな味付けもM6."What Love Will Do To You",M7."I've Never Been In Love Before"に聴かれるし、M8."Just Like Chet"のChet Bakerを哀しく描くところはジャズ心だ。
 M12."Dance With You Tonight"は、懐かしポピュラームード。M13."Night Light"は、LP締めの曲、ストリングスが入ってコーラスとの歌が見事。

 とにかく多彩な曲展開と、昔からのジャズ・ヴォーカルを思わせたり、物語を語り聴かせたり、クラシック調の味付けが心を休めさせたりと、彼女のめざすところの伝統的な音楽性と新世代ならではの感覚をうまく融合させた独自の世界を構築している。今後が楽しみだ。 

(評価)
□ 曲・演奏・歌  88/100
□ 録音      88/100

(試聴)


*

 

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コメント

本筋からは離れるのですが、4枚目の写真。
テイラーのギターを構えているところ。
わたしがギタリストなら、この左手の指の形は撮らせません。
ハ長調の主和音です。 難しいコードを抑えろとは言わないですが。

それで、もっと気になるのは右手の形です。
もちろん、どのように弾くのも自由なんですが、もっと弦に対して直角に弾いて欲しいのですね(笑)
素人さんに多い形なので、ちょっと意外でした。

発表されるかもしれない写真は、自分やチームでチェックいたしましょう。
プロとしてのアピールの仕方、という観点で。

このコメントは、何の参考にもなりませんでしたでしょうが、ことほど左様に、人が見るところ感じるところって違うのですよね(笑)

投稿: iwamoto | 2023年5月20日 (土) 12時52分

iwamoto様
コメント有り難うございました。
いっや・・・、そうゆうことなんですか。
実は私は変に思っていたのは、彼女のギターを弾いている姿の写真は2通りあるんです。
この姿は右利きのいわゆる普通の向きにギターを構えているんですが、この反対の左利きに構えているのがあります。・・と、いう事はほんとは左利きでこの格好ではないのではと思うのです。
チェロは完全に右利きのスタイルですが・・・
と、どうも裏事情がありそうですが。
(参考) 
https://www.youtube.com/watch?v=PU5lKIAW6qE

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2023年5月21日 (日) 12時22分

これは右利き用のギターで、右利き用に弦が張ってありますね。
これを左利きの人が使うことはできます。
名人が何人いもいます。

わたし、姪が二人いるのですが、そのうちの下の子のことを思い出しました。 ちょっと似てたので。
勿論これほど美人ではございませんが。

投稿: iwamoto | 2023年5月21日 (日) 12時44分

iwamoto様
コメントどうも・・・
 ギターは子供の頃から接していることも多く、左利きにとってはやはり左手で弦を弾くことからのスタートになるんですね。
 彼女の場合、右に修正したんでしょうね(よく出来ますね)・・しかし弦は右用とは違ってます。
 左利きの名手・・私はdoyle bramhallⅡが頭に浮かびますが、さすが左利き用ギターですね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2023年5月21日 (日) 17時15分

今晩わ。初めて知りました。声がいいですね。深くて味わいのある歌声。好みです。知ることがてきて感謝です。

投稿: zawinul | 2023年6月 4日 (日) 21時54分

zawinul様
ご無沙汰しております。コメント有難うございます。
女性ヴォーカルもの・・・やつぱり声の質が好みかどうかは重要ですね。
今やジャズ界は圧倒的にヴォーカルものは女性に軍配が上がってますが・・・そんな中でもいろいろな要素があって、好みに合致していると嬉しいですね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2023年6月 5日 (月) 17時53分

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