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2023年6月17日 (土)

トーマス・フォネスベック Thomas Fonnesbaek & Justin Kauflin 「Danish Rain」

欧州美学と米国ジャズの融合による世界

Thomas Fonnesbaek & Justin Kauflin 「Danish Rain」
STORYVILLE / Import / 1018532 / 2023

1008690098

Justin Kauflin (piano)
Thomas Fonnesbaek (bass)

Recorded in Village Recording Studio March 28,29-2022

 このところエンリコ・ピエラヌンツィやジャン・ピエール・コモとのトリオとかシーネ・エイとのデュオ・アルバムでお目にかかっているデンマーク出身の気鋭ベーシストのトーマス・フォネスベックThomas Fonnesbaek (下左)のニュー・アルバムである。タイプはジャズ界の若きピアニストのジャスティン・カウフリン(下右)とのデュオで、シンプルな構成だけに彼のベースの生み出す多彩な音や流れをしっかり聴きとれるアルバムの登場だ。

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 このフォネスベック(1977年生まれ、46歳)は、ニールス・ペデルセンやラーシュ・ヤンソンに師事し、ラーシュ・ヤンソン・トリオやトーマス・クラウセン・トリオで活躍し、北欧ジャズシーンで今やなくてはならないベーシスト。テクニックは素晴らしくリズム感に富んでいて、そして師匠であるニールス・ペデルセンを思わせるメロディとハーモニーの感性が、彼独自のスタイルの基になっていると評されている。前述のシーネ・エイとのコラボ作品は、デンマーク音楽賞の「Best Vocal Jazz Release that year」を受賞したという事だが、最近のデュオ・スタイルを旨く造り上げた。
 今回の相手カウフリンJustin Kauflin(1986年生まれ、37歳)は若き米国のスーパースターのジャズピアニストで作曲家 / 教育者 /レコード プロデューサーとしての顔も持っている。彼は 病により11 歳のとき視力を失い、以降は盲目のピアニストとして活躍を続け来ていると。全米のジャズフェスティバルで最高の栄誉を獲得し、15歳にしてジェイ・シネット・トリオとしてプロとして演奏を始めたという驚きの経歴。

(Tracklist)
1.Danish Rain (Thomas Fonnesbæk) 6:27
2 Everything I Love (Cole Porter) 6:33
3 Windows (Chick Corea) 6:17
4 Falling Grace (Steve Swallow) 5:48
5 You Must Believe In Spring (Michel Legrand) 5:24
6 Cake Walk (Oscar Peterson) 5:29
7 Imagine (John Lennon) 6:45
8 Country Fried (Justin Kauflin) 4:47
9 Driftin (Herbie Hancock) 5:43

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 演ずるは、彼らのオリジナル2曲とスタンダード7曲の9曲構成。
 やっぱりデュオとなると、ベースもかなり旋律演奏にもウェイトがある。それにピアノがうまく乗って曲を美学の心で作り上げているのは、 M.7." Imagine "が典型で、かなりのインプロのウェイトも大きく力が入っている。インタープレイの面白さも見事で彼らの曲に仕上がっている。
 フォネスベックの曲M1."Danish Rain"も、意外に明るい雨。ピアノの透明感ある旋律美を生かして欧州らしい美を演じている。
 ポーターのM2."Everything I Love"は、さすがアメリカン・ジャズの流れ。
   M5."You Must Believe In Spring " 旋律美のこの曲、まずベースの旋律演奏から始まって中盤からピアノが引き継ぎ、そしてベースのアドリブが効果を発揮して、更にピアノが美しく応酬する。なかなか仕上げが旨い。
 M8."Country Fried"はカウフリンの曲。意外に陽気なところがあった。
 M9."Driftin" カウフリンのピアノはなかなかエモーショナル聴けるリズム感たっぷりだ。後半ベースが安定感に誘導し見事にデュオのハーモニーも聴ける。

 アメリカン・ジャズとユーロ・ジャズの融合として面白く聴ける。やはりデュオだけあってベースの味もしっかり手に取るように聴けますね。
 フォネスベックのヨーロッパのトラッドやクラシックの歴史の上にアクロバティックな味つけが特徴の美学は、カウフリンの力強いアメリカンジャズをベースとしたところによってスリリングな味つけが増しているように感じられジャズの醍醐味が深まっていると思う。相互作用が面白い組み合わせのデュオ・ジャズ演奏だ。

(評価)
□ 曲・演奏 :   90/100
□   録音    :    87/100

(試聴)  "Imagine"

 

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コメント

風呂井戸さま、リンクをありがとうございました。m(_ _)m

仰っていること、ひとつひとつ、納得です!
力強いスウィング感と躍動感・推進力を持つアクロバティックなベースと、
ゆったりとした遊び心のあるピアノが巧妙に混じりあって、、
2人が生み出す相互作用が半端ないです♪

そして、好きな曲が並びました!!

私もリンクを置いていきます。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2023/08/post-95010b.html

投稿: Suzuck | 2023年8月23日 (水) 09時15分

Suzuck様
わざわざ、コメントそしてリンク有難うございます
ピアノ、ベースのデュオとなると、特にベースが生き生きしていて聴き応えあるところに、このピアノの味付けで見事な演奏になっていますね
いいアルバムでした。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2023年8月23日 (水) 15時51分

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