エレオノラ・ストリーノ Eleonora Strino Trio「 I GOT STRINGS」
実力派女流ギタリストの何よりも心地よい演奏で素晴らしい
<Jazz>
Eleonora Strino with Greg Cohen & Joey Baron
「I GOT STRINGS」
CAM JAZZ / Import / CAAMJ7971 / 2023
Eleonora Strino (guitar)
Greg Cohen (double bass)
Joey Baron (drums)
Recorded in Berlin, Germany in November 2021 at Emil Berliner Studios
イタリア人女流ジャズギタリスト:エレオノラ・ストリーノEleonora Srino(下左)のデビュー・アルバムがリリースされた。今回はベース(グレッグ・コーエン(米1953-)下中央)とドラムス(ジョーイ・バロン(米1955-)下右)とのトリオ作品である。
彼女は 10 代の頃からギターを弾き始め、初めてジム・ホールとビル・エヴァンスの演奏を聴いたときから、ジャズギタリストになりたいと思い、ナポリの音楽院で学び、その後ヴァン・アムステルダム音楽院で経験を積み腕を磨く。そして彼女は、イタリアの作曲家ロベルト・デ・シモーネのオーケストラのファースト・ギターとしてプロとしてのキャリアをスタートさせたと言う経歴の紹介がある。
そしてその後彼女は既に数多くのコラボを重ねヨーロッパや多くのフェスティバルで演奏してきていて、ここに初アルバム・リリースと言えども、現在、多くのソロプロジェクトを持っている。又、彼女はイギリスの出版社ファンダメンタル・チェンジズのためにギターの取扱説明書を書いており、アメリカで配布される予定あると。更に一方、彼女自身のギターと声をフィーチャーしたソングライターとしてのファーストアルバムに取り組んでいる模様でもある。
いずれにしても、これは国際コンクール受賞歴のあるギタリストであり作曲家でもある大物のデビュー・アルバムとして注目だ。
(Tracklist)
1.I Let A Song Go Out Of My Heart 7:49
2.Somewhere Over The Rainbow 6:16
3.I Got Rhythm 4:04
4.Il Postino 5:30
5.I Got It Bad And That Ain’t Good 5:47
6.It Don’t Mean A Thing 3:28
7.Estate 4:58
なんと言っても、聴く者に気持ちよく聴かせるところがいいですね。スタンダードを彼女らしい編曲の妙で迫ってくる。
M1."I Let A Song Go Out Of My Heart"は、ジャズはこうなんだと、スウィングして演じてくれる。中盤のベース・ソロを交えての演じ合いが楽しい。
M2."Somewhere Over The Rainbow "多彩な編曲を成している割には難しく聴こえないところがいい。映画全盛期の始まる1939年の映画『オズの魔法使い』でジュディ・ガーランドが歌ったハロルド・アーレンの曲「虹の彼方に」で、あの優しさを失わず聴かせるところが憎い。
M3."I Got Rhythm "ジャズらしい高速展開にドラムス・ソロ、そしてギターのベースとのコードが秀悦。
M4."Il Postino" 再びしっとりとメロディアスに聴かせます。
M5."I Got It Bad And That Ain’t Good " ドラムスのシンバルで軽くリズムをとる音との交錯がいい。
M6."It Don’t Mean A Thing" この曲のイメージを生かしての今度は軽快なシンバルの刻むリズムとのギター音との流れがにくいところ。
M7."Estate"イタリアらしくこの曲、ボサノバ・ジャズの私の好きな"夏の出来事の恨み節"を聴かせて締める。
ギターとベースとドラムスの組み合わせによるトリオを十分考えての曲展開も見事で、それぞれの力量が聴き応え十分。とにかく聴きやすく展開してくれるのであっという間に聴き終わってしまう感じだ。いっやーーなかなかの大型新人でした。推薦アルバム。
(評価)
□ 選曲・編曲・演奏 88/100
□ 録音 87/100
(視聴)
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