ニコール・ズライティス Nicole Zuraitis 「How Love Begins」
キャリア十分の実力派のファースト・アルバム
<Jazz>
Nicole Zuraitis 「How Love Begins」
Outside In Music / Import / OUIA23132 / 2023
Nicole Zuraitis (vocals,piano #1-3,7,9,10,rhodes #8)
Christian McBride (bass)
Gilad Hekselman (guitar)
Maya Kronfeld (organ,wurlitzer,rhodes)
Dan Pugach (drums)
With *special guests:
David Cook (piano # 5,6,8)
Billy Kilson (drums #3,5,6)
Sonica (Thana Alexa / Julia Adamy)
on background vocals (Track 1)
8 度のグラミー賞に輝き、現代ジャズ界の雄クリスチャン・マクブライド(→)を共同プロデューサーに迎えて制作された、キャリア十分のナチュラルな歌声を披露しエモーショナルな表現力で訴える女流ピアニストでSSWのニコール・ズライティスの歌アルバム登場。わたしにとっては、初物である。
なんといっても、彼女の唄声を盛り込んでのマクブライドのプロデュース・ワークが見事で、ジャズの聴きどころ満載の強力な作品。
ニコール・ズライティスは、ニューヨークのブルックリン在住。2016年コーヒーミュージックプロジェクトNYCソングライティングコンペティション優勝。2015年サラ・ヴォーン国際ジャズボーカルコンクール準優勝。2014年ハーブアルパートヤングジャズコンポーザーズASCAPアワード受賞者、アメリカントラディションコンクール(ジョニーマーサー賞とピープルズチョイス)の2015年全国ファイナリストなどの経歴あり。現在ニューヨーク市の有名な55バーで彼女のバンドが活躍。
1. The Good Ways
2. Travel
3. Reverie
4. Let Me Love You
5. Burn
6. Two Fish
7. Well Planned Well Played
8. 20 Seconds
9. Like Dew
10. The Garden
11. Save It For A Rainy Day (BONUS TRACK)
12. Travel (Alt Take) (BONUS TRACK)
ブライティスは、なかなかゴージャスでしなやかな声を持ち、低音域に温かみのある共鳴、中・高音域はまあ標準的発声力。私的には少々耳に負担となる声で、静かなバラード調の方が良い。其れにもまして彼女は熟練したピアニストであり、素晴らしいSSWでそちらにも注目すべきと思っている。目下年齢は明らかならず、まあ1980年前後の生まれでしょう、ドラマーのDan Pugach は亭主だ。
演ずるところM1."The Good Ways"からしてアメリカンですね。rhodes、そしてギター、ベースこの快調なリズムと彼女のやや派手な歌声が響く。冒頭の低音部はなかなか味があるが中高音部は少々キツイ。
M2."Travel"ガラっと印象が変わる。彼女のピアノにギターが印象的に描くところ新天地に思いを馳せる。
M3."Reverie"の彼女のピアノが美しく流れ、おもむろにヴォーカル・・珍しくヨーロム-ド。後半にギターとドラムスの描くところからエモーショナルに一変。
M4." Let Me Love You" ギターとの歌のデュオでのバラード、もう一つささやき調が良かったかも。M5."Burn"一転してジャジーな高速展開。歌とギターとベースのソロがジャズですねぇ。なかなか手慣れています。こんなところはキャリアですね。M6." Two Fish"はぐっと落ち着いたアメリカ・スウィング・ジャズ。
なかなかここまでに既に全て異なった多彩な展開をみせ、飽きさせない、マクブライドの旨さなのだろうか。
後半もどうように変化に富む。M7."Well Planned Well Played"なつかしのムード。
ちょっと異様なM.8" Like Dew"を経て、聴かせどころはM9."Like Dew"か、彼女の詩と曲で女心をしっとり歌っている。哀愁を聴かせるGilad Hekselman(→)のギター、彼女のピアノも訴える。
いずれにしても彼女の曲、演奏、歌という世界はお見事、曲の変化、演奏の変化とアルバムの構成が多彩で充実度が高い。バックの演奏はかなり良い線をいっている。女性ヴーカルものは、その声の質も好みに影響が大きい。若干彼女の声の質が私の好みとして少々異なるのでその点がちょっと残念だった。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 90/100
□ 録音 87/100
(視聴)
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