ビル・エヴァンス・リマスター・シリーズ Bill Evans 「Waltz for Debby」etc
2023年リマスタリングにて、ハイレゾにてSACD盤、MQA-CD盤にて登場
ビル・エヴァンス・リマスター・シリーズ Bill Evans Trio
3アルバム 「Waltz for Debby」 「Sunday at the Village Vanguard」「You Must Believe In Spring」
50年以上の経過の中で、LP、CD にて何回かリマスタリングされリリースされてきた名作中の名作が、ここに来て10年ぶりの2023年リマスターを施し、Hi-Res盤として、SACDとMQA-CD(UHQ-CD)の二本立てでリリースされた。
■ Bill Evans Trio 「Waltz for Debby」
MQACD(UHQCD) 176KHz/24bit
CRAFT REcordings / JPN / UCCO-46012 / 2023
ビル・エヴァンス(piano)
スコット・ラファロ(bass)
ポール・モチアン(drums)
1961年6月25日 ニューヨーク、ヴィレッジ・ヴァンガード・ライヴ録音
2016年にRIAJゴールド・ディスクにも認定され、日本で最も売れているジャズの名盤『ワルツ・フォー・デビイ』が、10年ぶりにオリジナル・テープからオール・アナログ・マスタリングが施されたことを受け、同日録音された下のアルバム『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』と共に最新リマスターリング音源でHi-Res高音質盤でリリースされた。そして後期の高品質録音での名盤である『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』も同時に同様にHi-Res盤でリリースされた。
今や、Hi-Res時代迎え、CD盤よりビニール盤(LP)の方が売れる時代となり、音楽産業も大変革を迎えている。もともとネットによるストリーミングという便利で高音質の世界が構築され、それが当たり前となってきた今、一般CDの意味が無くなってきてしまった、そこで高音質盤ということでHi-Res盤として"SACD"、"MQA-CD"という世界なのである。
そこで、私としては廉価で高音質ということで、現在いろいろと話題の絶えないMQA盤を取り敢えず購入してみたと言うことである。まあ手元には過去のアルバムが存在しているのであるが、果たして音質でも何処まで改良されたかと言うことが聴く目的になってしまったが、この「Waltz for Debby」「Sunday at the Village Vanguard」の2枚を仕入れた。「You Must Believe In Spring」の方は既にHi-Res-MQA版192kHz/24bitのMQA-FLACで手に入れて聴いているため、今回は購入してない。
なお、このCD、ビル・エヴァンスが兄の愛娘デビイに捧げた可憐なタイトル曲や、何処か優美な知的あふれる永遠のピアノ・トリオ名盤である。そしてこれは本ライヴの11日後に突如亡くなってしまった天才ベーシスト、スコット・ラファロとの最後の共演版で、ポール・モチアンとの至高のトリオの4枚目作品で、ニューヨークのクラブでの録音モノである。
(Tracklist)
01.マイ・フーリッシュ・ハート My Foolish Heart
02.ワルツ・フォー・デビイ Waltz For Debby
03.デトゥアー・アヘッド Detour Ahead
04.マイ・ロマンス My Romance
05.サム・アザー・タイム Some Other Time
06.マイルストーンズ Milestones
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■ Bill Evans 「Sunday at the Village Vanguard」
MQACD(UHQCD) 176KHz/24bit
CRAFT REcordings / JPN / UCCO-46013 / 2023
ビル・エヴァンス(piano)
スコット・ラファロ(bass)
ポール・モチアン(drums)
上の超人気アルバム『Waltz for Debby』と対をなす同日同場所録音のライヴ盤である。
(Tracklist)
1 グロリアズ・ステップ Gloria's Step 6:11
2 マイ・マンズ・ゴーン・ナウ My Man's Gone Now 6:27
3 ソーラー Solar 8:59
4 不思議な国のアリス Alice in Wonderland 8:37
5 オール・オブ・ユー All of You 8:19
6 ジェイド・ヴィジョンズ Jade Visions 3:45
今回は、米国オリジナル・アナログ・マスターを基にした2023年リマスタリング音源192khz24bitを採用。ジャズ愛好家ならもう既に手を変え品を変えしてリリースしてきたアルバムなので聴き飽きているといっても過言でないだろうが、ビル・エヴァンスものは素晴らしい録音物って殆どと言っていいくらい無いので、どのくらい良くなったというところが今回の興味であって、その為なんとSACDとMQAの二種のHi-Res盤のリリースなんですね。MQAに関しては英国MQA社の経営破綻という事で今後にいろいろと噂されているわけであるが、私の場合はオーディオ装置はMQA対応している為、SACDよりは廉価であるMQA盤でHi-Res音源として聴いている。
なお今回のリリースでも、オリジナルLPのライナーノーツの日本語訳を収載している。
結論的に、そんなに目の覚めるような画期的高音質を実現したという事はない。しかし右から聴こえてくるピアノの音は確かに透明感をました感がある。それよりも私は今回は、アルバム『Sunday at the Village Vanguard』の方に興味を持った。それはもともとビル・エヴァンスはピアノ・トリオものといっても、ピアノ・ワンマンというのでなく、トリオそれぞれ3者の味を大切にする演奏スタイルであり、このアルバムでは、特に演奏時間が8分を超える曲が3曲あって、それらではスコット・ラファロのベースがより温かみを持って前面に配置されしっかり聴きとれるようになった事だ。更にポール・モチアンのドラムスでもブラッシによるスネアやシンバルなどの音がより繊細に明瞭となっているように感じ、この点でも実に楽しい演奏となっている。そんなことからトリオ演奏の楽しみが増したアルバムとして評価したくなったのである。
とにかく、いくら技術的に音質改良が進歩したと言っても、元の録音がどうであったかが命であって、その上での改良だという事は知っているべきところである。今回も取り敢えず記念的に購入してみたが、それでも効果があってよかったと思っているのだ。
(評価)
リマスター・Hi-Res盤としての効果 80/100
(参考試聴)
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