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2023年9月 7日 (木)

ニッキ・ヤノフスキー Nikki Yanofsky 「Nikki By Starlight」

懐かしのアメリカン・ソングを若き力で歌い上げる

<Jazz>

Nikki Yanofsky 「Nikki By Starlight」
MNRK Music Group / Import / MMUC286912 / 2023

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Nikki Yanofsky : Vocals 
Produce : Nikki Yanofsky、Paul Shrofel

 いままでその気で聴いたことのなかったカナダ・モントリオール出身のニッキ・ヤノフスキー。今回のニュー・アルバムはグレイト・アメリカン・ソングを取り上げたジャズ・ヴォーカルものということで考察を兼ねて聴いてみた。

Iha024382nikkiyanofsky400x600  彼女は、2006年、当時12歳でモントリオール・ジャズ・フェスティバルで最年少のアーティストとして単独公演、その後ジャズなど音楽界で活躍を続けるヴォーカリスト。子供の頃からエラ・フィッツジェラルドを敬愛し、2007年にはトリビュートアルバム『We All Love Ella』にNatalie Cole、Chaka Khan、Dianne Reevesなどの中に弱冠13歳で参加し世界中のジャズファンに知られることになった。2008年アルバム『Ella…Of Thee I Swing』でデビューした。又、2010年にはバンクーバー冬季五輪の開会式で、カナダ国歌を歌唱し世界中の注目を集めたまさに経過は驚きのヴォーカリストだ。

 2010年2ndアルバム『Nikki~for Another Day』では”A列車で行こう”などのジャズスタンダードも歌うが、若さのポップ路線を披露し、2014年『Little Secret』、2020年『Turn Down The Sound』とR&Bからポップ系でのアルバムを多くリリースしている。
 今回は全編ジャズ・スタンダードとちょっと大人の味に傾いてきたというところが聴きどころのようだ。

(Tracklist)

1.Hoagy Carmichael: I Get Along Without You Very Well (Except Sometimes)
2.Lew Brown, Sam H. Stept, Charlie Tobias: Comes Love
3.Carl Sigman, Sidney Keith Russell: Crazy He Calls Me featuring Greg Phillinganes(p)
4.Cole Porter: I Get A Kick Out Of You
5.Murray Grand: Comment Allez Vous
6.Victor Young, Ned Washington: Stella By Starlight
7.Bob Haymes, Marty Clarke:They Say It's Spring
8.Lorenz Hart, Richard Rodgers: It Never Entered My Mind featuring Greg Phillinganes(p)
9.Andre Hornez, Henri Betti: C'est Si Bon
10.John Wes Montgomary: West Coast Blues
11.Bart Howard: Let Me Love You
12.Antonio Carlos Jobim, EUGENE LEES: Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado) featuring Nathan East(eb)
13.Bruno Brighetti, Bruno Martino: Estate featuring Arturo Sandoval(flh)
14.Gus Kahn, Nacio Herb Brown: You Stepped Out Of A Dream
15.Lennard Bernstein,Beetty Comden,Adolph Green: Some Other Time


  確かに選曲はアメリカン・ジャズの多岐にわたっているのに気が付く。彼女は、このアルバムのレコーディングを、「自分の最も純粋な部分を再び引き出すことができた楽しい時間だった」と回想しているようで、もともと入り口がエラ・フィッツジェラルドであってやはりアメリカン・ジャズが好みだという事が解る。まあ30歳前後であってここらあたりから、ポップは卒業してもいいのかもしれない。

Nikkiyanofsky

 M1." I Get Along Without You Very Well " ストリングス入りのバックでスタートするもあいさつ程度で、メインはギター、ピアノ、ベース、ドラムスのカルテットでオープンニングにふさわしくリズムカルに比較的オーソドックスな歌。
 M2."Comes Love"になってニッキ節が始まる。バックはビック・バンド・スタイルで意外に古臭い印象。ヴォーカルは中高音にウェイトがある。
 M3."Crazy He Calls Me" ピアノとのデュオ・スタイル、ちょっと節回しに彼女らしさが。
 M4."I Get A Kick Out Of You"ベース誘導型で疾走してジャズっぽさがある。ここでもバックは管楽器が入って古臭い。
 M5."Comment Allez Vous" バックの女性コーラスのハモリで聴かせる。
M6."Stella By Starlight", M8."It Never Entered My Mind" のスロー曲は、意外に女性っぽい味を出していて味がある。しかしM6は、相変わらずバックの複数の管楽器がうるさい。M8.はピアノとストリングスでいい味だ。
 M7."They Say It's Spring"は意外にオーソドックス。M9."C'est Si Bon"は軽快でいい。
 M10." West Coast Blues"ハモンド・オルガンのバックで楽しい。
 M12." Quiet Nights Of Quiet Stars" バックのギターが生きていてムード良好。歌はやっぱりうまいし、発声も余裕たっぷり。
 M13."Estate " 待ってましたの登場、Arturo Sandovalのflhのサポートも気が利いていて旨く仕上げている。
 M14."You Stepped Out Of A Dream" ごくオーソドックスに。最後のM15."Some Other Time" アルバムの締めをゆったりと語り聴かせてくれる好感。

 なんと想いの外、極めてオーソドックスなスタイルのヴォーカルで逆に驚いた。優しさの編曲でジャズ入門型のアルバムで角もなく聴き応えは気持ちいい。女性ヴォーカリスト王国のカナダで彼女は成長していることが解る。更に旨く育ってジャズを楽しませてほしいものだ。

(評価)
□ 編曲・歌   87/100
□ 録音     87/100
(試聴)

 

 

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