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2024年1月17日 (水)

アルネ・トールヴィーク Arne Torvik Trio 「Songs for Roman」

ウクライナ戦争勃発の衝撃から生まれた人間主張(?)のアルバム

<Jazz>

Arne Torvik Trio 「Songs for Roman」
Losen Records / Import / LOS2862 / 2024

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Arne Torvik アルネ・トールヴィーク (piano)
Bjørnar Kaldefoss Tveite ビョルナル・カルデフォス・トヴァイテ (double bass)
Øystein Aarnes Vik オイスタイン・オールネス・ヴィーク (drums)

Recorded june 2022 by Peer Espen Ursfjord at Newtone Studio, Oslo, Norway

  ノルウェー西岸のジャズ・フェスティバルでも有名なモルデを拠点とするピアニストのアルネ・トールヴィーク Arne Torvik(1981‒)、ヴォス出身のベーシスト、ビョルナル・カルデフォス・トヴァイテ Bjørnar Kaldefoss Tveite (1987‒)、そしてオスロ生まれのドラマー、オイスタイン・オールネス・ヴィーク Øystein Aarnes Vik(1990‒)の3人による(ピアノ・トリオ)新作2ndアルバムである(デビュー作は『Northwestern Songs』(2020/LOS240))

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 「ノルウェー・モダンジャズ」を「今」の感覚で発展させる活動を続けていると言われるトールヴィーク、この新作の『Songs for Roman』は、ウクライナがロシアの侵略を受けたという衝撃的な出来事によるショックを受けた2022年の春に作曲された曲を中心に作られたものであるという。タイトルの"Roman"というのは、彼がノルデで教えていた「ジャズ国際コース」でインプロヴィゼーションを学んでいたウクライナ出身のトランペッターの名前という事だ。

Aaspen_arnetorviktrw <アルネ・トールヴィークの言葉>
「私たちはニュースで見聞きしていることを当初あまり信じていませんでした。数年前、私はキエフを観光客として訪れ、この街を心から楽しみました。しかし突然、街は爆撃を受けて街路が破壊され、人々が命の危険に絶えず恐怖を感じながら暮らさなければならない場所となったのです。この間、私はモルデの「Landslinje for jazz」でローマンという若いトランペット奏者に即興演奏を教えていました。会話を通じて、彼にはウクライナに家族や親戚がいることが明らかになり、彼は混乱と悲しみを感じさました。
 このとこが、私に衝撃を与え、「For Roman」という曲を書くきっかけになりました。新作は、2022年3月にローマンと戦争について話したことからインスピレーションを受けて誕生しました。この作品をリリースすることが、何らかの形で意味のあるものになれば幸いです。(アルネ・トールヴィーク)」

(Tracklist)

1 Going Home
2 Cinematic
3 Longing For The Woods
4 Eastbound
5 Places To Write
6 Geert
7 For Roman

  クラシック・ピアノの雰囲気のある打鍵法の正確性は、聴く者に不快感を与えない。そんな中でのどちらかというとユッタリに寄った端正にして爽快なるピアノが主体性を持ってリードしてゆく。トータルの印象はエレガントで、昔のアメリカン・ジャズ世界は全く感じない。曲は全てオリジナルな為、このトリオの目指すところは何かと聴き込むが、そう抒情派の耽美主義というのでなく、むしろロマンテイックな世界に流れてゆく傾向を感じた。

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 バックに北欧の牧歌的なトラデッショナルな曲調も取り込んでいるように思えたが、そのあたりはあくまでも想像である。
 とにかく聴きやすい展開と、テーマからして真摯な印象を受ける。ベースはあまり主張しないで、ピアノを支える。ドラムスも基本に忠実な展開を見せる。
 私としては、特に印象に残った曲は、M4."Eastbound"は"東へ"と言う意味か、どこか静かな中に人間的な世界を感ずる詩的な真摯な曲。
 M3."Longing for The Woods"は自然へのオマージを感ずる世界で気持ちも洗われる。
 M7."For Roman"は主テーマの曲であろうが、優しく抒情的なピアノが美しく流れるが、終盤には意志の強さも感ずる展開に。

 ただ、ぐっーーと引き寄せられ心情を揺らすような哀愁メロディーに遭遇して痺れたというところはなかった。極めてヨーロッパ的詩的な世界である。テーマがテーマであるが、そう暗さが満ち満ちて沈んでゆくというパターンではない。むしろ人間的な美しさを礼賛して慰めの方向に流れて希望を抱く方向にあるような印象を受けた。

(評価)
□ 曲・演奏  87/100
□ 録音    88/100

(試聴)

 

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