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2024年1月12日 (金)

ジョージー・ブラウン Georgie Brown 「My Gramps Was A Jazzman」

初のお目見えアルバム、中身は多種・多芸なジャズ

<Jazz>

Georgie Brown 「My Gramps Was A Jazzman」
Bam Productions / Import / CD1299GEOMY / 2023

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Channels4_profile Georgina Brown (vo)
Oliver Oliver (p)
Jean-Hugues Billmann (b)
Eric Bourciquot (ds,per)

Geraldine Laurent (as)
Sebastian Munoz (ts)
Varery Bertrand (g)
Lionel Berthomes (congas)

  ジャズ・ヴォーカルは今や圧倒的に女性の世界ですね、これはフランス系英国人女性シンガーソングライター・ジョージー・ブラウンの初のジャズ・アルバムで、彼女自身はかなりの実績を積み上げてきたようで、両親からも音楽の影響を受け、13歳でスウィング・ジャズ・バンドのメンバーになり初めてジャズを歌い始めた。その後新しいジャンルを探求することに情熱を注ぎ、兄とEDMトラックに取り組み始め、2020年にはロンドン・グラマーのサウンドにインスパイアされた初のエレクトロニック・ポップ・ソング「Free」をリリースした。
 しかし現在、パリでジャズを学んでいる彼女は、初のジャズ作品アルバムをここにリリースにこぎつけ、単なる新人という感じではなく、これまでの彼女の人生から得たインスピレーションをもとに、書き上げられたオリジナル曲で独自の個性を発揮したアルバムとなっている。
 演奏陣はピアノ・トリオを中心に、曲によってサックス、ギター、コンガなどの数人のゲストアーティストが加わるスタイル。一貫したコンセプトのある作品というよりは、私はこんなジャズを歌いますといったてんこ盛り的アルバムだ。

404292863_17983trw (Tracklist)
1.I Can Try
2.Entre deux
3.The River
4.My Gramps Was A Jazzman
5.Conmigo
6.Not In My Arms
7.Le temps est changeant
8.Rêve d'un inconnu
9.Valentine
10.Music To Me 

 彼女の歌声は、中低音部が深く充実したところにある。バック演奏はゲスト・ミュージシャンとしてはサックスの因子が大きいスタイルの印象が強い。曲は極めて多様、伝統ジャズの世界から、現代的しっとりムードのフィーリングを取り入れたり、ボサ・ノヴァの世界などと多様に楽しめる作品に仕上げている。又言語も英語、フランス語など曲により使い分けているところも多芸ぶりを発揮している。

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 M1."I Can Try"は、静かなピアノからスタートし、ゆったりと充実感たっぷりのややハスキーの低音で歌いはじめ、ジャズ・ミュージシャンの意気込みを力みなくサックスの間奏を挟んで歌い上げる。なかなかジャズ向きの感あり。
 M2."Entre deux" ぐっとリズムは軽快、言語もフランス語で軽く・・・、流れはオールド・ジャズ調。
 M3."The River" ピアノとサックスがしっとりと演じて、歌声もバラード調でぐっと迫ってくる、ここでは高音も優しくのびる。このあたりが本領発揮なのだろう。彼女は初お目見えと言っても場数は踏んでいると推測する。
 M4."My Gramps Was A Jazzman" オリジナルのアルバム・タイトル曲。全曲から一転して古き良き時代の速攻ジャズ。彼女は家系的にジャズとの付き合いのある事を訴えているのか、後半にスロー転調をみせるところは旨い。
   M5."Conmigo" ギター、コンガなどでボサノバ・スタイルでムードを一変。
 M6."Not In My Arms" 自分の世界をしっとりと訴える。切なさの心情を訴えているように。
 M7."Le temps est changeant" ここでもサンバ調。
   M8."Reve d'un inconnu" スローな展開も結構旨い。
   M9."Valentine" 憧れ的訴えを歌い上げているのか。
   M10."Music To Me" 最後は明るい軽快な曲で。

 まあ、彼女としては自己のキャリアの中で、これだけジャズを歌ってきましたという自己アッピールの作品で、Facebookを見てもアルバムが出来たことを喜んでいる姿が見れる。ヴォーカルとしては、ダイアナ・クラールなどが目標のようだが、さあ、どこまで迫れるかはこれからだろう。声の質は高音美声というよりは中低音で聴かせるところに魅力があるといったタイプ。
 陽気な軽快なジャズ歌唱もこなしているが、一方バラードものをしっとりとした歌いまわしで郷愁、思慕、切なさの心情を深く歌うというところも聴かせて、なかなか芸は広く期待株。

(評価)
□ 曲・歌  87/100
□ 録音   87/100

(試聴)

*

 

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コメント

何とお美しい!エレクトロニック・ポップ・ソングをやっていた方がこんなしっとりとしたジャズも歌えるなんて・・。天は二物どころか三物も与えるんですね~!

投稿: ローリングウエスト | 2024年1月13日 (土) 18時29分

ローリングウエスト様
コメント有難うございます
彼女のエレクトロニック・ポップ"Free"も、あの残響の効かした歌も良かったですが・・・こうしたジャズに変身して、これからは又一つの展望が出来たのではないでしょうか。
これから彼女のスタンダート・バラードも聴いてみたいです。^^

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2024年1月14日 (日) 09時11分

こんにちは、あちらは別室だったのですね。
もの凄いジャンルの音楽を、実に沢山聞いているのですね。驚きました。

これからも、ぼちぼち寄らせていただきます。拝

投稿: バイオマスおやじ | 2024年1月14日 (日) 16時16分

バイオマスおやじ様
コメント有難うございます。よろしくお願いします。
今やプログレも死語のような・・・しかし、これを愛する人はしっかりといますネ。
ロックの存在意義に現代の若者にはどう映っているのでしょうか・・・60年代70年代をリアルタイムに生きてきた人間として何かを訴えたいのですが・・・

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2024年1月15日 (月) 11時55分

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