ロブ・ヴァン・バヴェル Rob Van Bavel 「Time for Ballards - The Solo Sessions」
バラードを演じたピアノ・トリオ2作品から最後に登場のピアノ・ソロ作品
<Jazz>
Rob Van Bavel 「 Time for Ballards - The Solo Sessions」
Rob Van Bavel : Piano
オランダを代表するピアノの詩人と言われるロブ・ヴァン・バヴェル(→)による人気のピアノ・トリオ作品『Time for Ballads バラードの時間』2作品に続いて、3部作の最後のソロ・ピアノ・アルバムである。
彼は、1987年にロッテルダム音楽院を最高点で卒業した後、セロニアス・モンク・ジャズピアノ・コンペティションやオランダのグラミー賞Edisonなど数々の賞を受賞する実力派。アムステルダム音楽院(CvA)および王立音楽院(デン・ハーグ)で教師として勤務。 これは2022年から発表してきたバラード集
ピアノは話題のベルギーのChris Maene Straight Strung Concert Piano(下) により最高峰の音を聴かせる。このピアノは、300年以上にわたるピアノ製作の深い知識と最新の技術を組み合わせたクリス・メーンのストレートストリンググランドピアノで、徹底的な研究と、現代のグランドピアノに代わる革新的で芸術的な代替品を構築したいという究極の願望からの大胆な新世代の楽器として制作されたもの。
ロブ・ヴァン・バヴェルについては、過去に日本では2000年に澤野工房がピアノ・トリオ・アルバム『JUST FOR YOU』(Rob van Bavel : piano, Marc van Rooij : bass, Hans van Oosterhout : drums / AS007/ 2000)をリリースしてくれて知れたところであるが、躍動感あるリズムにのりつつ、リリカルで爽快な一枚として受け入れられた。
そしてこの2022年にリリースされた『Time for Ballads』は、彼のピアノと別メンバーのベース、ドラムスのトリオで「The The Maene Sessions」と「The Studio Sessions」の2アルバムが、リリカルにして優雅、優しさとリズムが快感で好評であった。そして2023年になってストリ-ミング及びダウンロードという方法で、このピアノ・ソロ版がお目見えしたという経過だ。
(Tracklist)
1.Everything Happens to Me 05:07
2.Love Dance 03:47
3.Ballad of the Sad Young Men 05:23
4.Two for the Road 03:26
5.Always and Forever 04:08
6.Bob's Piano Bar 04:18
7.Cinema Paradiso 02:45
8.Guess I'll hang my Tears out to Dry 03:19
9.For Lieke 02:54
10.Ballad for René 03:19
11.Ballad for Danny 02:52
12.Your Nocturne 01:24
もともと私はジャズに於いてのピアノものは何よりも好むのだが、それはソロよりはベース、ドラムスとのトリオ好きである。しかしこのアルバムはピアノ・ソロである。しかし、実は前作の『Time for Ballads』の2つのアルバムは、トリオものであったが、実はその内容は、バヴェルのピアノ主導型のアルバムで、それぞれ3者のインタープレイも楽しめるが、インプロヴィゼーションもピアノ主体であってトリオとしての面白みは若干少なかった。ただ比較的優しい演奏であったため、今回はソロということだが、それほど大きな違和感はなく続編的な受け入れが出来た。
M1."Everything Happens to Me"スタートから情緒たっぷりのバヴェルの流麗なピアノが聴ける。フランク・シナトラ、チェット・ベイカーなどの歌が有名だが、しっとり感も十分。
こんな流れで全編スタンダードなど美しい詩的なメロディで綴ってくれる。M11"Ballad for Danny",M12"Your Nocturne"の締めくくりも刺激の少ない万人向けのピアノトリオ・ファンの心を掴むであろう演奏である。夜に、部屋にそう大きな音でなく適音量で流していると快感の作品。ときにこうしたアルバムも精神衛生上良いのではとお勧めである。
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『Time for Ballards 』の前作2アルバムは以下のようなものである
🔳Rob Van Bavell『Time for Ballards - The Maene Sessions』
Dox Records / Import / Dox5881 / 2022
Rob van Bavel - grand piano
Frans van Geest - bass
Marcel Serierse - drums
(Tracklist)
1.Ballad for Rene 03:44
2.In A Sentimental Mood 05:15
3.Your Nocturne 03:42
4.Search for Peace/Peace 05:53
5.Bob's Piano Bar 04:57
6.Elegie 05:08
7.I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry 03:24
8.Ballad For Danny 04:26
9.De Tor Ahead 04:50
10.For Lieke 02:40
11.Roaring Heights 04:18
12.The Shadow Of Your Smile 06:31
13.Body And Soul 04:46
とにかくピアノ・トリオ・ファンから圧倒的支持があった人気アルバム。何んといっても難しい演奏でないところが万人受けしたと言って良い。若干トリオとしての三者のインタープレイのスリリングな味が少し薄いところが残念なところか。
🔳Rob Van Bavell『Time for Ballards - The Studio Sessions』
Dox Records / Import / DU8192R001CD / 2022
Rob van Bavel (piano)
Marcel Serierse (drums)
Frans van Geest (bass)
(Tracklist)
1.A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE 4:15
2.MANHATTAN 4:23
3.TWO FOR THE ROAD 3:25
4.ALWAYS AND FOREVER 4:33
5.MISTY 4:52
6.BALLAD OF THE SAD YOUNG MEN / LARGO 5:24
7.SLOW BOAT TO CHINA 4:09
8.HARD TO SAY GOODBYE / THREE VIEWS OF A SECRET 4:58
9.EVERYTHING HAPPENS TO ME 5:07
10.THE PEACOCKS 4:49
11.DAYDREAM 4:49
12.LOVE DANCE 3:45
13.CINEMA PARADISO / I'VE NEVER BEEN IN LOVE BEFORE 5:38
『Time for Ballads』プロジェクトの第2弾、チック・コリアの影響を受けているといわれるバヴェルのピアノが、相変わらず心地よいメロディーを展開。期待のM5."MISTY"は、意外に軽妙なアップテンポでちょっと驚いた。
<当シリーズ3作の総合評価>
(評価)
□ 編曲・演奏 : 88/100
□ 録音 : 88/100
(試聴)
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コメント
風呂井戸さん、こんにちは。
いつも記事拝見させていただいております。
さっそくですが、
数日前にFbのやり取りでRob Madna Trioのアルバム「I Got It Bad And That Ain't Good」が良いとの情報をいただき、いろいろ見ていてこの同じオランダのRob van Bavelを見つけ、偶然にもいろいろ試聴していたところでした。
かなりの技量の持ち主との感じでアップテンポの曲などでちょっと弾きすぎ(音数多)だと思う演奏もありますが、この「Time for Ballards」などはなかなか良いですね。
ドラムレスでギター参加のトリオなどもありいろいろ迷った末、トリオ作のチックコリアに捧げたplays Chick Corea(ベースがビーツ・ブラザーズのMarius Beets)が特に気に入り、まずはと昨日ネット注文したところでした。
投稿: baikinnmann | 2024年3月10日 (日) 15時30分
baikinnmannさん
コメント有り難うございます
このRob van Bavelは、もう20年も前に澤野工房が紹介してくれたのですが、日本ではあまり知れ渡りませんでしたね。それは彼の作風がイタリアもののような色気がないところかもしれません。
このBallards集で、ちょっと馴染みやすくなったのではと思います。Chick Coreaを尊敬しているようですね、お選びになられたアルバムの方が、ジヤズ的な深みはあるのではないでしょうか。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2024年3月11日 (月) 10時43分