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2024年5月24日 (金)

ミシェル・カミロ、トマティート Michel Camilo & Tomatito 「SPAIN FOREVER AGAIN」

息の合ったラテン・ジャズ・ピアノとフラメンコ・ギターのデュオ作品

<Jazz>

Michel Camilo & Tomatito 「SPAIN FOREVER AGAIN」
Universal Import / UNIP58786422 / 2024

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Michel Camilo : piano
Tomatito : Guitar

 ラテン・ジャズ・ピアノのドミニカ共和国出身の超絶技巧ピアニスト=ミシェル・カミロと(下左)、フラメンコ・ギター界のトップ・アーティスト=トマティート(下右)のコラボレーションのデュオ作品第4弾。

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 この両者のコラボレーションは1997年のバルセロナ・ジャズ・フェスティヴァルでの共演で意気投合してからスタートし、その後『スペイン』(2000年)、『スペイン・アゲイン』(2006年)、『スペイン・フォーエヴァー』(2016年)と3枚のアルバムを発表し、ここに8年ぶりに再び両者でのニューアルバムである。
 情熱的なエモーショナルな演奏で喝采を浴びてきた中で、総決算アルバムと思わしきアルバムの登場である。そして私としては、好きなロドリーゴの「アランフェス協奏曲」が演じられているので、興味深々であった。

Michelcamilotomatitow (Tracklist)

1.Alfonsina Y El Mar 04:40
2.Mambo Influenciado 03:31
3.Antonia 04:23
4 Remembrance 06:29
5.Nardis 04:36
6.La Leyenda Del Tiempo 03:41
7.Aranjuez: 1. Allegro Con Spirito 05:58
8.Aranjuez: 2. Adagio 09:57
9.Aranjuez: 3. Allegro Gentile 05:09

 ピアノとギターのデュオは、聴きようによってはピアノが意外に引っ込んでしまうのだが、このアルバムでは録音・ミックスにおいても、もちろん演奏も全く両者対等に仕上げられている。交互に旋律を演奏して片方がバックに廻って美しく又楽しく聴かせ、時にユニゾン、時にハーモニーといった形をとって、どちらかというと楽しさが感じられる演奏であった。
   演奏曲はフォルクローレ、マンボ、フラメンコから、パット・メセニー、マイルス・デイヴィスのナンバーまで、多種多彩ジャンルに及んだ選曲。

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 M1."Alfonsina Y El Mar"はアリエス・ラミレスの曲でなかなかロマンテイックな味を出し、M3."Antonia"は、パット・メセニーの名曲で、味わい深い世界を描く。
   M5."Nardis"マイルス・デイヴィスが書いた佳曲、哀愁漂うエキゾチックなメロディが聴ける。
 しかし注目は何といってもM7.,M8.,M9.のロドリーゴの名曲ギター協奏曲「アランフェス協奏曲」(1940年初演)全楽章をデュオで演奏していることだ。アルバムのクライマックスで、圧巻のパフォーマンスを披露。この曲は第2楽章のメロディーが最も有名で私の好きな曲。戦争の悲惨な状況でのスペインと古都アランフエスの平和への想いを込めて作曲したと言われている。それは病によって重体となった妻や失った初めての子供に対する神への祈りが込められているとも言われているものだ。ここでは、ピアノ、ギターの旋律が交互に響き非常に美しくもあり、何となく哀しくもあり、真摯に心に響いてくる出来だ。

 久々にピアノとギターのデュオを聴いたが、それぞれの持ち味を十分に生かした編曲演奏で文句ない出来だ。聴くにあたっても意外に楽しく気楽に聴ける。そしてアランフェスでしっかりと気持ちを清らかに落ち着かせてくれて旨いアルバム造りでもあった。

(評価)
□ 選曲・編曲・演奏  88/100
□ 録音        88/100
(試聴)

 

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コメント

今度はドミニカ出身の音楽家ですか!まさに世界をまたにかけた幅広い知識に驚きます。
(PS)ボン・ジョヴィ 「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」を公開していますのでまた覗いてみて下さい。昨年、お茶のCMで毎日流れていた曲です。八村塁が「颯ォォォォォ!」と叫ぶ元気が貰えるかっこいいハードロックナンバーです。興味がないかもしれませんね。(笑)

投稿: ローリングウエスト | 2024年5月24日 (金) 11時19分

ローリングウエスト様
コメント有難うございます
こうゆうジャズの世界も時にはよろしいと思いますので・・・・どうぞ。
 私はそれなりにミュージックはのめり込んで聴いて来たという歴史はありますが、それでもジャンルを超えて結構いろいろと聴いてきました。アメリカン・ハードロックとしてのボン・ジョヴィはグラミー賞ロック・グループですからそれなりには知るところにはありましたよ。日本のドーム球場でも頑張ってましたよね。ただアルバム購入までは行ってませんでしたが・・・ローリングウエスト様のお話を拝見し参考にして、今はサブスク・ストリーミングで聴ける時代ですから聴いてみたいと思ってます。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2024年5月24日 (金) 23時00分

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