リ-・リトナ-、デイヴ・グルーシン Lee Rittenour & Dave Grusin 「BRASIL」
久々に心地よい南国ブラジルのボッサに浸れる
<Jazz, Samba, Latin>
Lee Rittenour & Dave Grusin 「BRASIL」
Pony Canyon / Jpn / PCCY-01996 / 2024
Lee Ritenour リー・リトナー (acoustic guitar, electric guitar)
Dave Grusin デイヴ・グルーシン (piano, keyboard, electric piano)
Bruno Migotto ブルーノ・ミゴット (electric bass, bass)
Edu Ribeiro エドゥ・ヒベイロ (drums)
Marcelo Costa マルセロ・コスタ (percussion on 3, 5, 6, 7?)
Unknown (flute on 3)
Ivan Lins イヴァン・リンス (vocal on 4)
Tatiana Parra タチアナ・パーハ (vocal on 1, 4) (possibly? also on 5, 8)
Celso Fonseca セルソ・フォンセカ (vocal, guitar on 5)
Chico Pinheiro シコ・ピニェイロ (guitar on 6) (vocal on 7)
Grégoire Maret グレゴア・マレ (harmonica on 1, 2, 8)
夏の海岸砂浜でのリラックス向きのアルバムの登場である。いやはや40年前の1985年に発売され、グラミー編曲賞を受賞したブラジリアン・フュージョン・アルバム『HARLEQUIN ハーレクイン』(→)の続編ということだが、今年の作品だ。ギターのリー・リトナーと ピアノ・キーボードのデイヴ・グルーシンの超ベテランによるものだ。おそらく二人のブラジル音楽によせる想いがここに結実しているものだと言うが。
そして上記のように多くのミュージシャンが集まっているが、4曲にヴォーカルも登場する。それは世界的に名が通っているイヴァン・リンス、ブラジルで人気のセルソ・フォンセカ、シコ・ピニェイロ、新進女性ヴォーカリスト:タチアナ・パーハ(下右)だ。
又ハーモニカ界の重鎮のグレコリア・マレ(下右から2番目)が参加しているのが注目される。
(紹介)
▶リー・リトナー(G)(下左):1952年米カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。1970年代、10代でスタジオミュージシャンの活動を始め、70年代80年代のクロスオーバー、フュージョン、AOR シーンのトップ・ギタリストとして脚光を浴びる。『キャプテン・フィンガーズ』(1977)、『RIT』(1981)が大ヒット。デイブ・グルーシンとの合作『ハーレクイン』(1985)にてグラミー受賞。その後スーパー・グループ、フォープレイを結成。また自身のソロ・プロジェクトで意欲的な作品を数多く残している。
▶デイブ・グルーシン(Piano, Key)(下左から2番目):1934年米コロラド州リトルトン生まれ。幼少から音楽を学び、ジャズ・ピアノと編曲を身に着けNYで活動。その後LAに移りTV、映画の世界でも活躍。「卒業」「トッツィー」「グーニーズ」「恋のゆくえ」他の音楽を担当し、グラミー賞、アカデミー賞などを獲得する。一方1970年代に始まったクロスオーバー、フュージョンのムーブメントと共に、プレイヤー、アレンジャーとしても活躍。リー・リトナーとの合作『ハーレクイン』(1985)にてグラミー受賞している。1978年GRP Recordsを設立し、ヒット作品を世に送りだす。現在もリー・リトナーとの共演で世界広く活躍中。
(Tracklist)
1. Cravo e Canela (Cloves & Cinnamon) クラヴォ・イ・カネーラ(クローヴ・アンド・シナモン) – featuring Tatiana Parra, Grégoire Maret
2. For The Palms フォー・ザ・パームズ – featuring Grégoire Maret
3. Catavento カタヴェント
4. Vitoriosa (Victorious) ヴィトリオーザ – featuring Ivan Lins & Tatiana Parra
5. Meu Samba Torto (My Crooked Samba) メウ・サンバ・トルト – featuring Celso Fonseca
6. Stone Flower ストーン・フラワー – featuring Chico Pinheiro
7. Boca de Siri (Keep It Quiet) ボーカ・ヂ・シリ – featuring Chico Pinheiro
8. Lil' Rock Way リル・ロック・ウェイ – featuring Grégoire Maret
9. Canto Invierno (Winter Song) カント・インヴィエルノ
とにかく楽しく聴けるので、楽しむのが一番。ブラジルにしては意外に清涼感に満ちたアコースティック・ギターと魅惑のエレクトリック・ギター、ピアノもこれ又意外にさらっと繊維な音で、エレピもしつこさが無く快感、これが枯れた味なのかもしれない。それに女性ヴォーカルも情熱的と言うより爽やかな印象、そして特にハーモニカの音も哀感があっていい。それらがサンバのリズムに乗って実に軽妙でお洒落な世界を演じている。ブラジルの爽快感のあるリオ デ ジャネイロのコパカバーナ ビーチやイパネマビーチ、コルコバードの丘などを想像してしまう。
そもそも古い昔の話だが、私はジャズを少々かじった頃、ジャック・ルーシェのピアノ・トリオと一方"セルジオ・メンデスとブラジル66"のファンであつたので、このブラジリアン・ボッサは懐かしさも加わって気分最高である。
M1. "Cravo e Canela" 軽快なリズムと 新進のTatiana Parraの優しい充実感あるヴォーカルが楽しい。
M2. "For The Palms" ギターとこのセッションの特徴のGrégoire Maretのハーモニカが哀感をもってぐっと落ち着いた世界を描く。
M3. "Catavento" パーカッションの軽快サンバ・リズムでスタート、それに乗ってピアノとギターの競演。
M4. "Vitoriosa" 男性Ivan Lins と女性 Tatiana Parraのデュオ・ヴォーカルでしっとりと歌い上げる。
M5. "Meu Samba Torto" Celso Fonsecaのヴォーカルとエレクトリック・ジャズ・ギターでサンバで南国を描く。
M6. "Stone Flower" 聴きなれた曲だが、Chico Pinheiroのギターも加わってリズムカルな充実演奏。
M7. "Boca de Siri" ここでは人気のChico Pinheiroのヴォーカル、軽快なパーカッションとギター。
M8. "Lil' Rock Way" ここでも Grégoire Maretのハーモニカが頑張り、特異な女性ヴォーカル・リズムで盛り上がる。
M9. "Canto Invierno "ピアノ、ギターが美しく演じて締める。
かってのアルバム『ハーレクイン』とは作風は異なっていて、一層ブラジル色が前面に出ている。やはり女性ヴォーカルのムードがいいですね、昔のラニ・ホールを思い出して懐かしい。リトナーの渋いギターが描き上げる南国ムードが聴きどころで、グルーシンのピアノの展開の妙も聴きどころ。
いずれにしても、快適なリズムと若干染み入る哀愁とが洗練されていて楽しいアルバムであった。
(評価)
□ 曲、演奏、歌 87/100
□ 録音 87/100
(試聴)
"Meu Samba Torto"
*
"Cravo e Canela"
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