« マデリン・ペルー Madeleine Peyroux 「Let's Walk」 | トップページ | ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」 »

2024年8月12日 (月)

クラウディア・ザンノーニ Claudia Zannoni 「STURDUST ~ Love Nancy」

'50年代活躍のナンシー・ウィルソンのトリビュート・アルバム

<Jazz>

Claudia Zannoni 「STURDUST ~ Love Nancy」
Venus Records / JPN / VHGD-10011 / 2024

Xat1245782263

クラウディア・ザンノーニ CLAUDIA ZANNONI - VOCAL
マッシモ・ファラオ MASSIMO FARAO' - PIANO
ダヴィデ・パラディン DAVIDE PALLADIN- GUITAR
ニコラ・バルボン NICOLA BARBON - BASS
ボボ・ファキネッティ BOBO FACCHINETTI - DRUMS

Produced by Tetsuo Hara
Recorded at Art Music Studio - Bassano Del Grappa - Italy
On March 3 & 4, 2024.
Sound Engineers : Diego Piotto
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Photos by Designed by Artplan

366318949_1023126539w   イタリアのキャリア十分の歌姫クラウディア・ザンノーニ(→)がVinus Recordsからアルバム『 NEW GIRL IN TOWN』で2020年に日本デビューして以来の3作目のニュー・アルバムが、同じVenus Recordsからここにリリースされた。彼女は1990年からキャリアを積んできており、アルバム・リリースもあるが、日本では殆ど知られていなかった存在。少女時代から歌うことが好きで、特に1950年代と60年代のジャズに強い影響を受け、ナンシー・ウィルソン、アニタ・オディ、エラ・フィッツジェラルドを吸収して本格的ジャズ・ヴォーカルを学び、ベースも習得している。90年代末からプロ・シンガー&ベース奏者としてその活動を拡げてきた。
 このアルバムもナンシー・ウィルソンに捧ぐと言うモノで、溢れる愛のスタンダード・ソング集と言ったところだ。

 かっては何というかちょっとえげつないアルバム・ジャケが多かった日本のVinus Recordsからのリリースものだが、これは、それがなんとこの7月リリースであって、それが見ての通りのザンノーニの冬の恰好の写真、この暑い夏にどうもしっくりしない。収録曲が冬物でもないので、どうも対応がいいかげんというか、配慮が足りないというか、言い訳としてリリースが遅れたのであっても、その様な事への対応が準備してあっても良さそうなのに、・・・どうもいただけない。

Nww  さて、ここにザンノーニによりトリビュートされているナンシー・ウィルソンNancy Wilson(1937-2018)(→)は、アメリカのジャズおよびR&Bの歌手であり、その暖かく豊かな声で知られ、1950年代後半から活躍。スタイルはジャズだけでなく、ポップスやソウルミュージックにも影響を受けており、クロスオーバーアーティストとしても高い評価を得ている。彼女の代表的なアルバムには、「Something Wonderful」(1960年)や「How Glad I Am」(1964年)があり、「How Glad I Am」はグラミー賞を受賞。長いキャリアの中で合計3回のグラミー賞を受賞している。テレビや映画にも出演し親しまれた。
 ここでは彼女をそもそも人気者にした曲"GUESS WHO I SAW TODAY "も取り上げられている。

(Tracklist)

1 過ぎし夏の想い出 THE THINGS WE DID LAST SUMMER - (SAMMY CAHN - JULE STYNE)
2 君を想いて THE VERY THOUGHT OF YOU (RAY NOBLE)
3 君住む街角 ON THE STREET WHERE YOU LIVE (ALAN LERNER - FREDERIK LOVE )
4 ネバー・レス・ザン・イエスタデイ NEVER LESS THAN YESTERDAY (LARRY KUSIK - RICHARD ALHERT )
5 オン・グリーン・ドルフィン・ストリート ON GREEN DOLHIN STREET ( BRONISLAV KAPER - NED WASHINGTON)
6 ジス・タイム・ザ・ドリームス・オン・ミー THIS TIME THE DREAM'S ON ME (HAROLD ARLEN -JOHNNY MERCER)
7 スターダスト STARDUST (HOAGYCARMICHAEL- MITCHELL PARISH)
8 恋をしたみたい ALMOST LIKE BEING IN LOVE (FREDERICK LOEWE -ALAN JAY LERNER)
9 アイ・ウィッシュ・ユー・ラブ  I WISH YOU LOVE ( CHARLES TRENET )
10 ゲス・フー・アイ・ソー・トゥデイ GUESS WHO I SAW TODAY (MURRAY GRAND - ELISSE BOYD)
11 君の瞳に恋してる CAN'T TAKE MY EYES OFF OF YOU (FRANKIE VALLI )

  ザンノーニの歌は、極めて標準的なヴォーカルを展開している。声の質も高音も低音もそれなりの美で無難にこなす。そしてそれを見事に支えているのは、前作同様ベテラン、マッシモ・ファラオ(↓左)のピアノである。彼は以前から彼女と共演していて、呼吸はピッタリでの美しい演奏を繰り広げている。 

12378096_102084249w453071384_18035947w

 このアルバムの目的を訴えるように、オープニングのM1."THE THINGS WE DID LAST SUMMER " は、ギターと彼女のスキャットがユニゾンスタイルで明るくスタート。
 M2."THE VERY THOUGHT OF YOU" 好きな人を想って歌うしっとりとした曲、ナンシーのムードをうまく取り入れ、バックもベース、ピアノて語り聴かせ、ギターが更にムードを高めている。こうしたバラード曲はナンシーを知らしめたM10."GUESS WHO I SAW TODAY "も、なかなかいい感じだ。
 M3."ON THE STREET WHERE YOU LIVE" 「マイ・フェア・レディ」からの有名な曲を軽快に明るく、ファラオのピアノも軽快に踊る。
   M5."ON GREEN DOLHIN STREET"では、ギターとドラムスが健闘し、リズムに乗っての彼女の歌と楽しさを助けている。
   アルバム・タイトル曲のM7."STARDUST"は、誰もが歌う超有名曲。やはりこのアルバムでは出色の出来。ここでは彼女の歌唱力を見事に発揮して、ピアノの繊細にしてゆったりとしたメロディーの美しさに乗り歌い上げる。

 こんな調子で、戦後の懐かしのアメリカ・ヴォーカル曲を思い出させてくれるが、肩ぐるしいところがなく、気楽に聴くアルバムとして取り敢えず完成されている。

(評価)
□ 選曲・演奏・歌  87/100
□ 録音       87/100

(試聴)

 

|

« マデリン・ペルー Madeleine Peyroux 「Let's Walk」 | トップページ | ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」 »

音楽」カテゴリの記事

JAZZ」カテゴリの記事

女性ヴォーカル」カテゴリの記事

ユーロピアン・ジャズ」カテゴリの記事

マツシモ・ファラオ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« マデリン・ペルー Madeleine Peyroux 「Let's Walk」 | トップページ | ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」 »