中澤 剛 Mr.Jazz Quartet 「Japanese Classics Vol.1」
日本の伝統音楽をジャズ・アレンジしての演奏
<Jazz>
Mr.Jazz Quartet 「Japanese Classics Vol.1」
音奏人-かなでひと / JPN / LRJQ-1004 / 2024
中沢剛 中澤剛(Drs)
遠藤征志 Seiji Endo(Pf)
宅間善之 琢磨義之(Vib)
嶌田憲二 Kenji Shimada(Bs)
Recorded Kanadebito Association Inc.
Mixed by Shigeki Serizawa
Mastered by Shigeki Serizawa
Recorded at Yume Studio / Maebashi
MJQと言えば、私の若き頃一世を風靡したアメリカのModern Jazz Quartetだが、日本のMJQと言えばこのMr.Jazz Quartetだ。2020年 ドラマー中沢剛(↓右から2人目)を中心に、宅間善之(vib, ↓左から2人目)、遠藤征志(p, ↓左)、嶌田憲二(b, ↓右)とにより結成された若きジャズ・バンド。例の如くピアノ・トリオ+ビブラフォンのカルテットで、なんとこれまでにアルバム「Christmas」シリーズは海外ジャズチャート上位にランクインしている。そしてここに登場は待望の4th アルバムで、これまでとは変わって、テーマは『Japanese Classics 』つまり日本の古きよき名曲を取り上げて、MJQならではの独特なアレンジで迫ろうとするモノで、私は今や欧州のジャズ界のように、自国の音楽を大切にしながらも、ジャズ心を揺さぶるというような作品を造り上げるというなかなか良い企画がある中で、ジャズだからといって昔の戦前のアメリカのミュージカルや映画音楽からのスタンダードばかりがジャズでなく、自己を見つめてのこの様に日本伝来の名曲にアプローチするというのは大賛成で、つい応援したくなって取り上げるのである。
(Tracklist)
01. 花笠音頭
02. 上を向いて歩こう
03. リンゴ追分
04. 竹田の子守唄
05. 夕焼け小焼け
06. 花
07. 仰げば尊し
08. 三太郎
09. 港が見える丘
10. 赤とんぼ
11. 花笠音頭
いっやーー並びましたね、誰もが知っている曲群、これはこれでよいと思います。そして肝腎は如何に編曲してジャズらしい演奏が出来ているかですね。アレンジはメロディーを担当することの多いピアノの遠藤征志がほゞ中心で、ビブラフォンの宅間善之も協力してのことであったようだ。しかし曲が曲だけになかなか大変だろうと推測しながら聴いた次第。単なる曲演奏なら何もジャズ・カルテットでなくてもいくらでも聴けるのであるから、このように誰もが聴いてきた曲だけに、ジャズという世界に何を描くかとうむしろ難しさがあるからだ。
オープニングM1."花笠音頭 "は、なかなか景気よくスタートし、ビブラフォンがメロディーを奏で、中盤はピアノのイメージ・インプロが入り、後半のエレキギターがインパクトあり。M2."上を向いて歩こう"はピアノの入りが美しく、しっとりと仕上げてあり、中盤に今度はビブラフォンのインプロで味付けし、後半変調しての流れがジャズしとしての味わいを高めている。
そして快調なM3." リンゴ追分"はベースが印象的で、M4."竹田の子守唄 "はぐっと落ち着いて心の世界。そして前奏がしゃれているM5."夕焼け小焼け"。
なんと私が結構気に入ったのはM7." 仰げば尊し"だ。静かなピアノとビブラフォンで日本的心を描くも決して沈まずバックではブラッシングのリズムが躍動的に刻み、美しさを感ずる世界の編曲も適度で見事。
そして一方M8." 三太郎"は、ぐっと軽く日本的愛嬌を描く。M10."赤とんぼ"は、やはり少年少女時代を郷愁的感じさせながらも、現代ジャズ・アレンジの妙も加味させる展開へと未来志向の展開が良い。
久しぶりに日本的楽しさを感じ取れる編曲に満喫できた。そこにはただ明るいというのでなく、心に染み入る旋律をしっとり聴かせたり、勇壮な活発な祭りの姿が感じられたり、なかなかこの若きトリオはそこまで演じたかと、少々驚きもあった。ジャズが描く日本の一つの世界を作り上げていると高評価したい。
(参照) 中沢 剛 Go Nakazawa (→)
ミュージシャンだった父親の影響 で、幼少の頃より音楽に慣れ親し み、ピアノやフルートを演奏する ようになる。 15歳でドラムを始 め、高校卒業を機に渡米。 ジョー・ポーカロ、ジョエル・テ イラーに師事。 帰国後、劇団四 季をはじめとした様々なミュージ カル、宇崎竜童、小柳ゆき・広瀬 香美、寺井尚子 等のツアーやレ コーディングに参加。自己のバン ド『Kiss The Cats』『Mr. Jazz Quartet』でも活躍中。ジャンル を問わないプレイスタイルには定 評がある。(ネットより)
(評価)
□ 編曲・演奏 88/100
□ 録音 88/100
(試聴)
"上を向いて歩こう"
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コメント
あはは、これはユニーク!日本の歌舞伎が大好きで隈取を取り入れたロックバンド「キッス」を彷彿させますね!(笑)
投稿: ローリングウエスト | 2024年8月 4日 (日) 11時21分
ローリングウエスト様
コメント有難うございます
日本の曲をロックでジャズで・・・・これが実はなかなかのものなんですね
私は、もっともっと外国に売り出してほしいと思ってますが ^^
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2024年8月 5日 (月) 10時29分
こちらこそ、コチラへのご来訪ありがとうございました。次回記事はオリビアと「ザナドゥ」でコラボしたELOを紹介しますが、紹介するELOは1970年代中期の凝った弦楽器プログレが満載時の発展期の特集です。貴殿の好みに合うのではないかと思っています。ぜひお楽しみ下さい。
投稿: | 2024年8月 5日 (月) 19時10分
失礼しました。名前が空白でした。
投稿: ローリングウエスト | 2024年8月 5日 (月) 19時10分