アレッサンドロ・ガラティ Alessandro Galati Trio 「Plays Standards vol.2 & vol.3」
展望感ある美の展開(Vol.2)と、哀愁の美旋律世界(Vol.3)
<Jazz>
Alessandro Galati Trio 「Plays Standards vol.2」
(SACD) Terashima Records / JPN / TYR-1122 / 2024
Alessandro Galati (piano)
Ares Tavolazzi (bass)
Bernardo Guerra (drums)
Recording at Larione 10 studio, Florence
Mix & Mastering :Stefano Amerio (Artesuono Recording Studios)
前回紹介の寺島レコードからの抒情性豊かなアレッサンドロ・ガラティ・トリオのスタンダード演奏集3作の第2巻である。
(Tracklist)
1 Stella by Starlight
2 All the Things You Are
3 I Remember Clifford
4 My Romance
5 Someone to Watch Over Me
6 Lament
7 Old Folks
8 Body and Soul
こちらも、アレッサンドロ・ガラティが「相互作用とプロフェッショナリズムの面で最高の結果を出すために最高のミュージシャンを選びました」と語る同一メンバーにての8曲。やっぱりCD盤としては収録曲が少々少ない。寺島氏に言わせると、曲数を多く収録すると一曲一曲の聴く方の集中力が落ちて、その良さが少し落ちてしまうので、2枚のアルバムで良かったものを3枚にしたと言うが、どうもそのあたりは「?」で、おそらく当初は2枚組のアルバム一つと考えていたのではと、疑ってしまう。いよいよここに来て商業主義もちらっと頭を上げたのか(笑)、はたまたLPリリースの為か、なんと3枚盤で計23曲とした感じだ。おそらく2枚組としたら購入する方はもう少し安上がりだったのではと、ちょっと苦言を呈したい。
アレッサンドロ・ガラティについては(過去の作品等)、こちらへ→http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/cat54938545/index.html
まあ、それはさておき、この2巻目は、日没後の夜になんとなく哀愁を湛えながらも、夜の帳を下ろした後の期待感を感じさせるM1."Stella by Starlight"から始まり、M2."All the Things You Are"、M4."My Romance"などは、人生の楽しさすら感じさせるガラティがちょっと弾んだ世界だ。なるほど、2巻目はそんな意味付けを大切にしている。そしてガーシュウィンのM5."Someone to Watch Over Me"になって、ぐっと真摯な誠実な世界の美を感ずる。
M6."Lament"でも、ピアノ奏でる流れはインプロの自由が主体で、そしてベース・ソロが続き、高揚感の演奏が演じられる。
この3作でも、この2巻目は、かなりプラス思考の展開の美が演じられている。
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<Jazz>
Alessandro Galati Trio 「Plays Standards vol.3」
(SACD) Terashima Records / JPN / TYR-1123 / 2024
Alessandro Galati (piano), Ares Tavolazzi (bass), Bernardo Guerra (drums)
(Tracklist)
1 The Old Country
2 Last Tango in Paris
3 I'll Be Seeing You
4 My Old Flame
5 I'm Glad There Is You
6 Never Let me Go
7 Russian Lullaby
最後の第3巻は、寺島靖国がライナーノーツを書いているが、このところ彼の力でガラティに、ヨーロピアン・トラッドを集めた『European Walkabout』(TYR-1100,2022)、ジョビンの名曲を集めたボサノヴァ作品『Portrait in Black and White』(TYR-1109,2022)などのアルバム作成をさせてきたというのは、私にとっては嬉しいことで、ここにスタンダード集をピアノ・トリオでのバラッド中心演奏として聴かせてくれて、これも大きな功績だと評価する。近年、コロナ禍によってミュージシャンの活動低下は顕著で、アルバム・リリースも減少していた中での快挙である。
さてこの最後の第3巻は寺島靖国節を高揚させたM1."The Old Country"だが、確かに出来がいいですね、やや暗めのイントロによる入りが文句なく私はこの世界に導かれ、微妙な主旋律を聴いて暗さでない美を感じさせるところが憎い。ベースの語りを織り込む流れもうまい。
M3."I'll Be Seeing You"においてもベースの聴かせどころをちゃんとおいて、美旋律へ繋げるところの哀感への誘いが心憎い。
M4."My Old Flame"のピアノのゆったりとした旋律の間と、ドラムスのブラッシングとシンバルの音の入りの微妙な関係が、これぞトリオ・バラードと言えるものだ。そしてM5."I'm Glad There Is You"の聴きなれたメロディーで、ほっとさせるのである。
この最後の第3巻は確かに寺島世界を知らしめられた感じで、それはガラティがその急所をとらえるセンスの素晴らしさの結晶でもある。いずれにしても今年最後の長い夜のこの時に、これを提供してくれたことをこのうえ無く喜んでいるのである。
(評価)
□ 選曲・編曲・演奏 : 92/100
□ 録音 : 90/100
(試聴)
(今年最後のご挨拶)
今日は今年最後の日曜日ですね、例年になく冬型の天気が続き、我が信州は毎日のように雪が舞い落ちてきます。今年は皆さまは如何な年であったでしょうか?。何かと実りの多かった方々は良かったですね、私自身は何とか無難に過ごせたことで喜んでおります。災害の多い年でしたので、それに遭遇された方々は、是非無事に立ち上がって、来る令和7年は佳い年でありますよう祈念いたします。
当ブログは、今年は今日が最後となります、いろいろと有難うございました。2006年から私自身の備忘録としてスタートして20年続いてきました。取り上げた音楽アルバムも膨大になってしまってます。更に音楽を愛してゆきたいと思いますが、その他にもまだまだアプローチしたいと思ってますので、来る年も頑張りの年として迎えたいと思って居るところです。ご指導ください。皆様には佳い新年をお迎えになられますように。
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