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2017年1月 4日 (水)

今年の酉年にちなんで・・・ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft 「TRIALOGUE」

その道の達人による未来志向のジャズとは・・・・

<Future Jazz>
Wesseltoft Schwarz Berglund 「TRIALOGUE」
Jazzland / nor / 060253786601 / 2014

Trialogue1

Recorded at Schloss Elmau Feb 2014
Bugge Wesseltoft(p), Henrik Shwarz(computer), Dan Berglund(b) 



 酉(とり)年にちなんで・・・・十二支の「とり」は、「鶏(ニワトリ)」の事になるようだが、まあ拡大して「鳥」ということでは、なんと言ってもこのジャケのアルバムだ。
 もともと「酉」の意味は、”果実などが極限まで熟した状態”を言うようで、従って”物事が頂点にまで極まった状態”を言っていることになる。しかしそんな意味でもこのアルバムの価値を見いだせるのである。

Trialogue2 これは2014年リリースだが・・・・今年新年早々に頭に浮かんだ。とにかく強烈なインパクトのあったものであり、今になったが是非とも記録しておきたい。
 しかしこのタイプのジャズは何と言えばよいのろうか?、フューチャー・ジャズと言う言葉があるが、これも漠然としている。とにかくエレクトロ・アコースティックでアンビエントな世界に、それに止まらずスリリングな味付けの中に抒情性すら感ずるという演奏が見事なアルバムだ。

 とにかくドイツ・ベルリンの奇才エレクトロ・ジャズのヘンリク・シュワルツHenrik Shwarzに、ノルウェー・オスロのジャズ・ピアニストのブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoftが合体、そこにスウェーデンのあのE.S.T.で知られたベーシストのダン ・ ベルグルンド Dan Berglundが合流したんですから、それはやっぱり単なるトリオでなく未来志向の快作になるのは推して知るべしであった。
 又ブッゲ・ヴェッセルトフトは、昨年秋に来日、それも5人の女性を引き連れての再興プロジェクト「ニュー・コンセプションズ・オブ・ジャズ(NCOJ)」2016年版として話題をさらった。しかし彼は私好みとしては、クラシックのイメージすら感じさせる『it's snowing on my piano』(1997, 2013再発)『Songs』(2012)のようなソロ・ピアノのアルバムもあり、更に、同郷のシゼル・アンドレセンとのコラボレーションも印象深く、非常に不思議な人だ。

Wsbjoach

 そしてこのアルバムは非常に録音もリアルで良好。スタートM1.”Interlude”は、我がオーディオ装置が壊れたかと思わせる不思議な雑音様のコンピューター・サウンドを交えて、ピアノが深遠な世界に導く。しかしこうしたテクノ系にしてはベースはアルコ奏法を交え不思議な世界に導き、ピアノの調べは極めて叙情的で美しい。このテクノ感覚の斬新さにクラシック調の演奏がかみ合って聴くものを引き込んでいくのだ。曲はインプロヴィゼイションの流れを取り込んでの彼らのオリジナルもので効果を上げている。又曲によってヴァイオリン、ビオラ、チェロなどが加わって一層クラシック・ムードを盛り上げる。
 ピアノ・トリオを愛する者にはテクノ指向は実は受け入れないところと思うのだが、何故かこのアルバムはおそらく抵抗なく入ってしまうのではと、私自身がそうであったことから想像してしまうのだ。それ程異色快作であった。

(視聴)

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2017年1月 1日 (日)

謹賀新年 2017 =アラベラ・美歩・シュタインバッハー Arabella Miho Steinbacher 「Fantasies・・・・」

明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

                     2017年 元旦

Tr

 (今年の初聴きアルバム)
  惚れ惚れする緊張感と美しさ、そして懐かしの心をくすぐる

<Classic,  Violin Concerto >
Arabella Miho Steinbacher 「Fantasies, Rhapsodies and Daydreams」
PENTATONE / GERM / PTC 5816 536 / 2016

Fantasiesrd

Recorded at Salle Yakov Kreizberg of the Auditorium Rainnier III, Monte-Carlo in October 2014
(演奏)
アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン;1716 年ストラディヴァリウス「ブース」(日本音楽財団貸与))
ローレンス・フォスター(指揮)、モンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団

(曲目)
(1)ワックスマン:カルメン幻想曲(11'41")
(2)サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20(9'01")
(3)ヴォーン・ウィリアムズ:揚げひばり(14'40")
(4)サン=サーンス:ハバネラ Op.83(11'06")
(5)サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ Op.28(9'51")
(6)マスネ:タイスの瞑想曲(5'57")
(7)ラヴェル:ツィガーヌ(10'52")



 名曲のヴァイオリン・コンチェルト集である。ヴァイオリニストは女性で、今や世界的な評価を勝ち取るに至った日本人の血の入ったドイツ人アラベラ・シュタインバッハー、オーケストラはモナコ公国のモンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団である。

927_690x465 アラベラ・美歩・シュタインバッハーArabella Miho Steinbacher (1981年11月14日- )は、諸々の紹介を見ると以下のようなところ・・・・・
 ドイツ女流のヴァイオリニスト。ミュンヘンでドイツ人の父親と日本人の母親との間に生まれた。3歳でバイオリンを始め、9歳でミュンヘン音楽大学にてアナ・チュマチェンコに学んだ。ドロシー・ディレイやイヴリー・ギトリスにも師事した。2000年にハノーファーで開催されたヨーゼフ・ヨアヒム・ヴァイオリン・コンクールで入賞、翌年にはバイエルン州より奨学金を授与された。
 ゲルギエフ、マゼール、パッパーノ、シャイーといった数多くの巨匠指揮者たち、世界を代表するオーケストラとの共演を次々と成功させ、今やドイツ音楽界を担う地位を確立している。繊細さと力強さをあわせもつ演奏で、バッハから近現代作品までレパートリーは広い。
・・・と、知ることが出来る。

 このアルバムでの私の個人的な一つの注目点は、冒頭から登場するワックスマンFranz Waxman(1906-1967)のM1.「カルメン幻想曲」だ。この幻想曲」は、サラサーテのものが有名だが、この映画音楽で名を馳せたワックスマンのものもジョルジュ・ビゼー作曲のオペラ『カルメン』に登場するメロディを用いて、ヴァイオリンの名演技を示し聴かすべくを目的とする作品で、なかなか魅力的。私は幼少の頃から「カルメン」はなんとなく聴かされてきて非常に懐かしさが回顧される曲で有り、それがヴァイオリン協奏曲手法で、ときに懐かしのメロディーの登場にほろっとしてしまう。それが見事にシュタインバッハによってメロディーが歌いあげられるが如く演じきられている。
 その他、「ツィゴイネルワイゼン」、「揚げひばり」、「タイスの瞑想曲」等と名曲がズラーっと並んで登場。M6.「タイスの瞑想曲」にはうっとりとしてしまい楽しめるそのものの一枚だ。
 そして彼女のヴァイオリン演奏の技量と音質とを知りたいならM7.ラヴェルの「ツィガーヌTzigane」(10'52")ですね。この曲にはヴァイオリンのソロ演奏の要素も多く、又各種演奏技術を要するところが要求される。しかし繊細な技術が見事に演じられていて素晴らしい。

  このアルバムは、なかなか力が入っていて、SACDハイブリット盤であり、サラウンド録音も同時に聴ける。このタイプは歓迎ですね。
 今年のオープニングは名曲クラシックで・・・・そして今年一年もジャズやロックに、感動がありますよう願ってのスタートであります。

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<今年の予感>
     昨年から、CD全盛期を迎える前のLPの再生の比率が高くなってきたのが気になります。
     今年はLPの購入に・・・と言うことになって行くのだろうか・・・・・

  (懐かしの機器 DENON Turntable DP-80 及び MICRO Dynamic Balance Tonearm MA-505L
      
そしてDENON Pre-Amplifiyer PRA2000 が健在なのです)

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            *               *
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(視聴) Arabella Steinbacher ”Méditation from "Thais"”

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2016年9月11日 (日)

繊細にして好音質盤が聴きたくなる「秋」の到来

ヘンデル「ハープ協奏曲」

 昼間はまだ暑いとは言え、夜になると秋の到来も感ずる今日この頃。なんとなくそんな夜には繊細にして好録音の音が聴きたくなる。私はそんな時には、もう何十年繰り返して聴いているアルバムがある。

<classic>
G.F.Händel 「KONZERT FÜR HARFE UND ORCHESTER ハープ協奏曲」
Deutsche SchallPlattan / 徳間ジャパン / 32TC-38 / 1985

Photo
ユッタ・ツォフJutta Zoff :ハープ
ハインツ・レーグナーHeinz Rögner : 指揮
シュターツカペレ・ドレスデンSächsische Staatskapelle Dresden」

 1973年7月11-14日 ドレスデン・ルカ教会 録音

 LPからCD時代になって、その当時かってのLP好録音盤がぞくぞくCDで発売されたことがあった。このCD盤もそんなときの一枚である。

Haendel ヘンデルのハープ協奏曲は、音楽史上最初のハープ協奏曲といわれている。もともとはオルガン協奏曲第6番変ロ長調から生まれてたものだが、現在はハープ協奏曲として知られているもの。
 ハープの調べは非常にエレガントと言って良いだろうか、典雅な響きが魅力的で気持ちを安らげてくれるので私は好きだ。気持ち的には真夏向きでは無いが、ふと静かな秋を感じた時には、まことにおあつらえ向きなのである。

 このアルバムはなんと1973年録音であるがとにかく音が良い。ハープの響きは繊細さのある切れの良い音で広がる。ストリングスも繊細な高音、低音の響きで美しい。特徴はホール感の充実であり、非常に品がある。

 このレーベル「Deutsche SchallPlattan ドイツ・シャルプラッテン」は、旧東ドイツ時代に、唯一の国営レコード公団として1946年に設立されて以来、実に数多くのクラシックの名演を残してきた。このレーベルの振るっているのは、クラシックばかりでなくロック、ポップス、現代音楽と多岐に渡っている。
Dresden_lukaskirche_2 又名演、名録音で名高いのが、このアルバムの録音場であったドレスデンの「ルカ教会」ものである。この教会は住宅街の中に古びた外観のものであるが、1945年2月に連合国軍がおこなった無差別空爆(ドレスデン爆撃)で被爆、教会内部までも破壊されたが、戦後になって修復され、東ドイツで唯一の国営レコード会社であったドイツ・シャルプラッテンによって、レコーディング専用の施設として使われることになったというもの(現在も空爆による破壊で尖塔が無い)。
 ここは「名盤の聖地」と呼ばれ、最近オリジナル・アナログマスターの持つ音質を楽しむために、かっての録音ものをキングでハイレゾ配信も行った。
 とにかく天井も高く、技術陣によって響きも改良され、ここの地元の名門楽団シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)をはじめ、オペラから室内楽、歌曲まで数々の名録音を残している。

Juttazoff2_2 このハープ協奏曲も、この名門楽団もので有り、ハープ奏者は女性ユッタ・ツォフJutta Zoff で(←)、この楽団シュターツカペレ・ドレスデンの首席ハープ奏者である(1967年以降)。
 彼女は東ドイツを代表する存在で、ヨーロッパ各国に知られていた。
 幼いときはピアニスト、その後はサキソフォン奏者の経験もある。とにかく演奏はノーブルという表現がぴったりの品のあるものであった。

Hrogner 指揮はハインツ・レーグナーHeinz Rögner (1929-2001)で(→)、既に十数年前に亡くなっているが、彼はどちらかというと地味な指揮者であったが、ブルックナー、ワーグナー等の名演がある。1958年、ライプツィヒ放送交響楽団の首席指揮者、1962年、ベルリン国立歌劇場の常任指揮者、1973年、ベルリン放送交響楽団の首席指揮者。1983年4月から1992年3月には読売日本交響楽団の第5代常任指揮者。

 この「ヘンデルのハープ協奏曲」は、3楽章構成。
 第1楽章は、4分の4拍子。テンポは「アンダンテ アレグロ(歩くように快速で)」でリズムカルで快調。オーケストラは静かな時が多く、ハープの響きを堪能できる。
 第2楽章は、4分の3拍子。ラルゴの短調の緩徐楽章、哀愁感が見事。ハープの高音も美しい。
 第3楽章は、8分の3拍子。テンポはアレグロ・モデラート。かなりハープの弾きが最高潮に響く章。

61viubfhckl_2
 なお、参考までに、現在
『ハープ協奏曲 ツォフ・レーグナー&シュターツカペレ・ドレスデン』(KING / KICC3599)
というCD盤(→)が手に入るが、多分これはここで紹介した1985年リリースものと録音日も同一であり、確認はしてないが同一で、これが現在売られている盤だと思われる。なかなか長生きのもの。

収録曲
■ヘンデル/ハープ協奏曲変ロ長調作品4-6
  第Ⅰ楽章 アンダンテ・アレグロ
  第Ⅱ楽章 ラルゲット

  第Ⅲ楽章 アレグロ・モデラート
■ディッタースドルフ/ハープ協奏曲イ長調

  第Ⅰ楽章 第Ⅱ楽章 第Ⅲ楽章
■シャン・フランセー/ハープとオーケストラのための六楽章の詩的な遊戯
  第Ⅰ楽章 第Ⅱ楽章 
第Ⅲ楽章 第Ⅳ楽章 第Ⅴ楽章 第Ⅵ楽章

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2016年7月13日 (水)

<美女狩りシリーズ>オーディオ・マニアを凌駕するリン・スタンレーLyn Stanley

オーディオ・マニアが愛する?女性ヴォーカル3枚
「Lost in ROMANCE」、「POTIONS」、「Interludes」

Lynstanley62 いっや~~、これは事件でした。ジャズ愛好家には結構オーディオ・マニアがいる。そして彼らはジャズ・ミュージックを聴いているのだか?、サウンドを聴いているのだか?、よくどっちか解らない事がある。まあ私はその気持ちが実はよく解るんですが、とにかくよい音でよい音楽をというのはやっぱり人間の欲求だろうから・・・。
 そんな中で登場したのがこのリン・スタンレーLyn Stanley(←)だ。なんとSACDは勿論、LPそれも45回転盤とくるから、マニアが喜ぶ仕立てである。それと同時に、ほんとにオーディオ関係で講釈を言っていた昔が懐かしくなりながらも・・・・このデジタル時代によくもまぁ懲りずに・・・・と、思うのである。

 もちろん私はこれほどのモノには発掘力は無くて、オーディオ・マニアの友人から仕入れたアルバムが”狂”ではなくて”今日”のお話。

 まあ”美女狩り”と言っても、このポートレイトが今日話題の彼女。しかしこれは相当手の入った写真。年齢は問わずにいたほうが良さそうだ。

 アルバムは一挙に以下の3枚。2013年、2014年、2015年リリース。

Lost_in_rom<Jazz>

(1stアルバム)
Lyn Stanley
「LOST IN ROMANCE」
A.T.MUSIC / US / ATMSA3101 / 2015

From_the_50s_pot<Jazz>

(2ndアルバム)
Lyn Stanley
「FROM THE 50'S POTIONS」

A.T.MUSIC / US / ATMSA3103 / 2015

               
                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

      <Jazz>
             (3rdアルバム)
      Lyn Stanley 「Interludes」
       A.T.MUSIC / US / ATMSA3104 / 2015

Interludes

(Tracklist)
1.How Long Has This Been Going On?
2.Just One of Those Things
3.Black Velvet
4.More Than You Know
5.Boulevard of Broken Dreams
6.Whole Lotta Love
7.Last Tango In Paris
8.Don’t Explain
9.Nice’n Easy
10.The Island
11.It’s Crazy
12.In A Sentimental Mood
13.I Was A Little Too Lonely
14.I’m A Fool To Want You

Lynunderstars_websmall どうですか、如何にもクラシック・ジャズ・ジャケに仕上げていますね。この辺りから狙いは解りますね。唄うリン・スタンレーは、まさに大人のフィメール・ジャズ・ヴォーカリストですね。そして過去の誰でも知ってるポピュラーなスタンダード・ナンバーを歌い上げる。その声の質は簡単に言うと宝塚の男役そのものですね。低音にヴォリューム感があって高音部は伸びますが、澄んで清楚というタイプではなく、ちょっとマイルドに若干故意に作り上げているパターン。

 彼女はワシントン州タマコ生まれ、年齢不詳。デューク・エリントン、ジュディー・ガーランドを敬愛しているといことからも推して知るべしというところ。
 ミシガン州立大学博士課程でマスメディアを学び米国有名企業で働き、宣伝広告、マーケティングなどの指導をしてきたという。社交ダンサーも交通事故を克服してナショナルチャンピオンとなっているらしい。

 2010年にピアニストの大御所ポール・スミスと出逢い、ヴォーカリストとしての訓練の後、’13年1stアルバム「LOST IN ROMANCE」リリースに至る。好評の為’14年には、2ndアルバム「FROM THE 50'S POSTIONS」をリリースして、1950年代を意識してのジャズ・ヴォーカルを展開し、これはその50年代と同じにアナログ・テープを用いて録音。ハイレゾダウンロードDSD音源、SA-CD、45回転LP、2トラ38㎝オープン・テープなどのオーディオを十分に意識し、自己レーベルでのリリースで、ハイエンドオーディオ愛好家に支持されるに至った。
 これまでの2枚とこの3rdアルバムのバックの演奏は特に際立った特徴は無い。まあ素直な演奏というか、現代的ジャズというアプローチでなく、ヴォーカルものの伴奏というところか。やはり録音は非常に素直で癖が無く音域が広い。それぞれの楽器の特徴が究めて繊細に録音されていて好感が持てる。ここがオーディオ・マニアに捉えられるところだろう。

 こうしてオーディオをかなり意識してのアルバムの出現というのは、デジタル時代にアナログの良さを原点回帰している今日、タイムリーな攻めなのであろうと思うのである。

(視聴)

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2016年3月21日 (月)

スティーヴン・ウィルソンSTEVEN WILSON ニュー・アルバム 「4 1/2」

これぞプログレッシブ・ロックの道だ!!

   <Progressive Rock, Progre Metal>
       STEVEN WILSON  「4 1/2」
       KSCOPE / UK / KSCOPE529 / 2016 (Blu-ray Audio)

45

Steven Wilson(vocal, g, mellotron, perc ), Adam Holzman(key), Nick Beggs(b), Guthrie Govan(g), Dave Kilminster(g), Craig Blundell(dr), Marco Minnemann(dr), Chad Wackerman(dr), and Theo Travis(sax) 

 まずこのアルバムは、とにかく今やプログレッシブ・ロックの屋台骨となっているスティーヴン・ウィルソンのポーキュパイン・ツリーを離れてのソロ作品だ。アルバム・タイトルが示す通り、好評のソロ4枚目だった前作『HAND. CANNOT, ERACE.』とこれからの次作5枚目を結ぶ作品と言う位置づけにあるようだ。従って前作から1年という短期間をおいてのリリース。
(参照) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/hand-cannot-era.html

45list しかし、繋ぎものとは言え、これもなかなかインパクトのあるアルバムに仕上がっている。私の仕入れたのはBlu-ray Audio盤。これには、DTS HD Master Audio 5.1の他、96/24 5.1 LPCM 及び96/24 stereo LPCM の三通りが収録されている(さすがミュージック・エンジニアですね)。

 [Tracklist]は左の如くだが、前作のレコーディング・セッションで作られた未発表音源がメインで4曲、それと『The Ravin that refused to sing』時のレコーディングを1曲を収録している。更に最後の”Don't hate me”は、ポーキュパイン・ツリーの『STUPID DREAM』に収録されている曲で、2015年ツアーのライブ音源をベースにスタジオ録音を加えたセルフ・リメイクもの。

Sw2
 とにかく全て聴きどころがしっかりとした曲で、特にやや陰影のあるM4.”Sunday rain sets in”から、続くM5.”Vermillioncore”のヘビーにして軽快なる前衛的アプローチも見事、これぞロックの醍醐味というところ。この両曲の繋がりが私には好感度100%である。

Sw1b_2 又オープニング曲M1.”My book of regrets”のロックの多要素の組み込んだ曲展開は、やっぱりプログレですね。
 M1、M6では、なんとなくピンク・フロイド風のギター・サウンドが聴こえてくるが、あのロジャー・ウォーターズの「The Wall Tour」のリード・ギターを務めたDave Kilminsterが参加していまる。彼は好評だった昨年の「HAND. CANNOT, ERACE.」ツアーにも参加していた。
  M6.”Don't hate me”は、イスラエル出身のシンガーNinet Tayebをフィーチャーしており、哀愁感あるヴォーカルが聴けて、9分を超える曲に仕上げて説得力十分。スペーシーなプログレ因子の入ったところも聴きどころの1つ。

 さて御本家の「PORCUPINE TREE」はどうなるのか?と、何時も心配しているのだが、とにかく今やプログレ界は彼の肩にかかっていると言っても過言ではない。次のソロ作品にも期待が大きくなるのである。

(試聴) ”Don't hate me”

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2014年9月29日 (月)

マリス・ヤンソンスによるショスタコーヴィチ「交響曲第10番」

マリス・ヤンソンスの執念的ショスタコ10番の録音

<Classic>

          MARISS JANSONS (Chief Conductor)
         ROYAL CONCERTGEBOUW ORCHESTRA AMSTERDAM

       
SHOSTAKOVICH  SYMPHONY No. 10 in minor,OP.93
                                     
  RCO RCO13001 ,2013
                  Recorded Live at Concertgbouw Amsterdam
                  on 29 january 1 and 4 February 2009
        SACD(Hybrid)  DSD multichannel surround 5.0

No10

  久々にクラシックの話題である。マーラー、ブルックナーなど比較的難解にして長大な交響曲に対してきているマリス・ヤンソンス(Mariss Ivars Georgs Jansons 1943-)であるが、彼にとってはマーラーと共にこのショスタコーヴィチは更に一層生涯をかけてのテーマであることは想像に難くない。既に過去にショスタコーヴィチ交響曲の全曲録音は成し遂げているが、更にこうして新録音にも意欲たっぷりである。

 
 (参照) ①http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/11-8bab.html
       ②http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-b798.html
      ③http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-b181.html

Dmitrishostakovich1
 私が惹かれるショスタコーヴィチの第10番こそ彼の真の姿の交響曲とも言えるのかも知れない。
 しかしこの交響曲の悲劇的発想により、共産国家に対しての反体制的発想とのジダーノフ批判を再び呼び起こした「第十論争」という物議をかもした問題作であった。
 しかしこの前作「第9番」が共産国建設礼賛を期待した国家的期待を裏切った作品であったことによる彼の立場の急落後、8年というブランクを開けての作品であったが、批判とは裏腹に、初めて彼の心を描いた作品としての評価も勝ち取ったものでもある。それはスターリンの死を見届けて一気に書き上げた作品として、スターリンと自己の対比を描ききったものとの解釈と、その悲観的な世界が何を意味しているかが、今でも批判と感動の交錯するショスタコーヴィチの重要な交響曲なのである。

 チェロとコントラバスによる序奏から始まる第一楽章、真寡の問われた「証言」によるとスターリンを描いていると言われる猛烈な勢いの弦楽合奏を展開する第二楽章、そして彼の名前を旋律にした暗示的な第三楽章、悲痛な序奏から彼の音名の連呼で終わる第四楽章。こうした内容に、個人の表現の自由を訴えた切実な声と理解されている。

 さてこの交響曲は、あのカラヤンも多くのショスタコーヴィチの交響曲の中で、この第10番のみを二度録音している(Dg Originals  4775909 , 1981年ベルリン・フィル)。その意味はどこにあるのかは想像によるしか無いが・・・・

Jansons1
 ここに紹介した盤の指揮者マリス・ヤンソンはショスタコーヴィチを演ずるにエネルギーを注いでいるラトビアの指揮者だ。彼は前にも触れたように、この盤の録音前にも「ショスタコーヴィチ全集」を出している。この全集の最初の録音は第7番で1988年、最後に録音されたのが第13番で2005年のもので、18年の作業であった(この全集の第10番は、1994年にフィラデルフィア管とセッション録音)。
 彼は、ショスタコーヴィチの理解者であったムラヴィンスキーで有名なレニングラード・フィルファーモニーの指揮者でもあったアルヴィド・ヤンソンスの子で、リガで生まれた。母親はユダヤ系で父親や兄弟をリガ・ゲットーで殺害された人だ。ショスタコーヴィチがソ連の反ユダヤ主義に批判的であったこと(交響曲第13番)からもマリス・ヤンソンのショスタコーヴィチへの理解を試みるところは当然想像できるところだ。そしてムラヴィンスキーの下で共同作業も経験してきている。
 現在は、レニングラード・フィル(現サンクトペテルブルグ・フィル)の指揮者から始まって国際的に広く招請を受け指揮をとっている。

Sym10 さてこのヤンソン指揮盤は、SACD盤でDSDマルチチャンネルによっての録音も素晴らしい。ハイレゾ・オーディオの時代になって、CDへの要求も厳しい昨今であるが、繊細な音の表現も良く臨場感に於いても最右翼である。
 私は旧来ムラヴィンスキー盤(←Victor VICC-40256、1976年録音)を愛聴してきたが、最近聴いたこのヤンソンには、演奏の緻密さとダイナミックスさが充実していて喝采を浴びせるのである。

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2013年8月 8日 (木)

[ハイレゾ音源]  寺村朋子「Capriccio お気に召すまま」

ハイレゾ音源(PC-Audio)で聴く醍醐味

<Classic> Tomoko Teramura-harpsichord 「Capriccio」
                DVD-ROM   WAON Records     WAONXA-156/157

Capricciodvdrom

 しかし時代は新しいものを生み出すと言うことをしみじみと実感する。カメラがいつのまにかあっという間にフイルム機がどうのこうのと言っても、デジタル機がメインとなったこと。そしてオーディオについてもついにデジタル時代の第2期(もしかしたら第3期)に入った。
 もともとオーディオ界では、デジタルの冴えたる物がCDであったわけだが、SACDの出現、DVD-Audio、Blu-ray-Audio の流れはそれなりに理解できるが、いよいよデジタル録音そのもののデジタル・データをユーザ供給して、それを我々がPCを介してリアルに再生して聴くという新時代を迎えた訳だ。
 もう既に音質を追求する輩には、CDの100倍以上の情報量をもつ「ハイレゾHigh resolution 音源」というものは、それなりに浸透してきている”PC-オーディオ”であるが、多分まだまだ二の足を踏んでいるものも多いと思うが、それなりに手を付けてみると、新し物に結構興味のある私にとっては久々に刺激があった。

 現在のところ所謂高音質高解像度ハイレゾ音源には2つのタイプがある。一つはデジタル録音の「リニアPCM」、それともう一つはソニーが開発したSACDの原理になる「DSD(Dirct stream Digital)」がある。もともとPC-オーディオはPCからダイレクトにデジタル信号出力してUSB-DAC(USB-Digital to Analog Converter)を通して再生と言うことから、リニアPCMを考えて構築されたが、DSDのアナログ世界の良さ評価が上がりASIO(Audio Stream Input Output)というドイツ・スタインバーグ社規格が取り入れられ、USB-DACでこの両方のハイレゾ音源の再生が可能となっているのだ(これから購入の場合は、このLPCMとDSD両対応をお勧めする)。

 さて前書きが長くなったが、今回はクラシックの話題である。このアルバムはクラシックとは言え、気軽に聴ける寺村朋子のチェンバロ演奏集である。私がここで取り上げたのは、これはLPCMの24bit/192kHzハイレゾ音源DVD-ROM(WAVEファイル)であり、如何にもハイレゾ音源と高音質を感ずることの出来る一枚であるからだ。

List

 そもそも”Capriccioカプリッチォ”とは、音楽的には奇想曲(綺想曲)と言われるが、イタリア語では”気まぐれ”という意味らしい。従って音楽としては芸術の規則の遵守よりは想像力が成功を収めている音楽作品を指すらしい。特定の技法とか形式があるわけで無いのだが、時代(ルネッサンス、バロックなど)により性格を異にしてきたという経過があるようだ。フランス語でcaprice(カプリス)とのこと。
 とても快活で面白みのある戯れ的な楽曲と表現されているが、17世紀のバロック時代には自由な初期のフーガの一つを指していて、19世紀にはいって、ロマン派の作曲家によって、自由で気まぐれ、軽快な器楽曲の名称に用いられ、性格的小品の一種として多くの曲が作曲されたのだという。
 我々の知るところではチャイコフスキー 「イタリア奇想曲」 、リムスキー・コルサコフ「スペイン奇想曲」 などが有名であるが、このアルバムで寺村朋子が演奏するのは16-17世紀の8人の作曲家の作品で、それぞれどちらかというと難しくなく気楽に聴ける小品集。

 私は彼女の演奏の質に関して評論できるところには無いのだが、聴いて気分が良いか悪いかは、それこそ私の自由の世界、このアルバムは少なくとも音質の良さの快感と共に極めて楽しい世界に入って行ける。
 イタリア語でのチェンバロCembalo(英語ではHarpsichord)は17-18世紀に全盛期を迎えた楽器で、その後ピアノ取って代わられてしまったものだが、しかし20世紀にはその音の繊細さと響きのある優雅さに魅力を感じて復活しているものだ。このアルバムでも、その魅力がハイレゾ音源により、目の前で弾いている実感とともに肌に伝わってくる。ここまでくると我が家が演奏会場に変身だ・・・と言うくらいの醍醐味を感ずる。又Capriccioという曲の気楽さとともに如何にもリラックスした優雅な時代を感じつつ聴くことが出来て非常に価値あるアルバムである。

Tomoko_teramura2
寺村朋子[Tomoko Teramuma│チェンバロ]

東京芸術大学音楽学部チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。チェンバロと通奏低音を、山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。
第7回古楽コンクール・チェンバロ部門第2位入賞。イタリア、オーストリー、ベルギーなど国内外のアカデミーに参加し研鑽を積む。NHK「FMリサイタル」出演、その他多くの団体と様々な演奏活動を行う。
トリム楽譜出版より1999年「フルート・バロックソナタ集」、2002年「J.S.バッハ作品集」(2009年再版)を編曲、出版。小金井アネックス(宮地楽器)チェンバロ科講師。

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2013年5月24日 (金)

ハイレゾ音源再生への道~PC-オーディオ 始末記

全く知識の無い私にとっては久々の難題であった

 近頃話題のPC-オーディオ、これが何故話題かと言えば、高音質を求めるオーディオ・ファンにとってその役割がはっきりしてきたことである。つまり高音質を手に入れる便利で安く出来上がる一つの手段である事だ。
 又、このシステムを完成しておけば、ネットを通じて、安易に安くCDよりは格段の高音質の音源が手に入ること(ハイレゾHigh Rasolution 音源)。そして音源の収納はパソコンのハード・ディスク内でOKということは、つまり殆どの人が既に困っているCDの収納場所が不要で、この問題はいっぺんに解決する。


Netaudio


  これに興味を持ったきっかけは丁度1年前の昨年春の話であった。左の雑誌(季刊誌)に接してその道に導かれたのである。

  PC-オーディオとは、CDより遙かに高音質のハイレゾ音源の再生をすること・・・これが第一のポイントだ。
 しかし、このPC-オーデイオは、更に大きな利点として、高級CDプレイヤーの役割も果たすというところ、これは大きい。つまり数十万円するCDプレイヤーの役割を果たす。これはPCにまずCDの内容(デジタル信号)を取り込んで、それをPCM形式でに変換して記録。これを「USB-DAC」を通して一般のオーディオ機器で再生する。当面この方法が取り敢えずのCDを音源としたPCオーディオの二つめの世界である。この方法で、かなりレベルの高い高音質で再生できるのである。(この高音質再生のPC-オーディオとは、「USB-DAC」の購入だけで目的を達成できるという安価なことがポイント)
Dsd_logo_philips_sony2_4

 CDに納められた音源はその規格上の制約がある(16ビット/44.1kH)が、それより遙かに情報の多いPCM-24ビット/96KHzさらにPCM-24ビット/192kHzのハイレゾ音源に注目されているわけで、その再生がPC-オーディオならではの注目点である。
 そしてそれに加え、DSD(ダイレクト・ストリーム・デジタル)音源の世界が注目だ。このDSDとはソニーがかってSACDを生み出すべく作り上げたデジタル記録のCD-PCMとは全く別物のデジタル方式。この音のアナログに極めて親和性のある高音質の音が現在注目されているわけである。この再生もPC-オーディオの世界となる。そしてこれらは、音源媒体としてDVD-ROMやUSBそしてネット配信から得ることが出来る。

 こんな事から、私の全く知識の無いところから出発したため、この道を歩むには独学で苦労した。つまり周囲にこのPCオーディオに迫ろうという輩が存在しないというローカルに居する人間の悲しさである。それでもとにかくやってみようと、先ずはPCからのデジタル信号をアナログ化する装置(USB-DAC)を入手することから始まった。
Ud501

 それにはデジタル音源PCM,DSDを完璧にこなすところの手頃な機器としてTEACのUSB-DAC”UD-501”を導入。これの説明書でも見れば何かは解るだろうと思っていたのだが、それが甘い。ますます何も解らないところに陥った。そこで原点に戻って諸々の書籍をあさって、なんとく方向が掴め、先ずはCDをPCにリッピングするソフト(WAV(非圧縮), FLAC(可逆圧縮)形式対応)を選び、フリーソフトの「Exact Audio Copy」を設定した。
 続いてPCに取り込んだデジタル音源の高レベルの再生が出来る評判の再生ソフト「foobar2000.」(これもフリーソフト)を導入して再生体制を整えたのである。

Pcdac2

これが研究成果で、再生可能になっている目下の私のスピーカーに向かったテーブル上のPCとUSB-DACである(ここから旧来のオーディオ・アンプに接続)。USBケーブルもFURUTECHのオーディオ用のものを使用している。これで従来の私のオーデオ装置にアナログ信号を送って再生に成功したというわけである。

 しかしなんと言っても、このセットを完成させるに苦労の点は、その一番は再生ソフト「foober2000」の設定である。
 PCM及びDSDに対応させることも必要。これには関係した雑誌などには簡単に書いてあるが、そんな簡単なものでない。もともと外国のソフトであり、日本語化も出来るが基本的には英語で対応することになる。つまりPCに関するそのものの知識が絶対に必要である。
Pc

 又このソフトを高音質状況下で動かすには、再生ソフトの「foober2000」側とPCのサウンド設定が必要であり、特に重要なのは”WASAPI コンポーネント”の導入が必要である。これはPC内の余分な操作部を簡略にして(Windowsのカーネルミキサーをバイパスさせる方法)音のデータの劣化を防ごうとするもの。

 
 こうして①CD(PCM-16ビット/44.1kHz)の高音質再生~②PCM-24ビット/192kHzのハイレゾ音源再生、さらに③DSDのハイレゾ音源の再生が可能となった。
 いやはやようやくスタートに付いたところ。目下CDの場合でも、リッピングしたPCによる再生とCDプレイヤーよる音の聴き比べなど、又DSD音源やPCM-24bit/192kHzの音の比較など感動的な音を聴き比べていて、まさに事始めでの状態である。

(参考)

 ハイレゾ音源=ハイレゾリューションHigh Resolution音源(高解像度・高分解能音源)
      現状では以下の2種類とみて良い(CDより高音質)

 
 ① リニアPCM
     24bit/  96kHz
           24bit/192kHz
                                   (ちなみにCDは 16bit/44.1kHz)

                     音源のファイル形式  (非圧縮)   WAV
                        (可逆圧縮) FLAC

    ② DSD (ダイレクト・ストリーム・デジタル)
     2.8MHz
     5.6MHz

 

 

  
 

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2012年11月 6日 (火)

期待のCDの後釜の画期的な新ディスク : BDA(Blu-ray Disc for High Resolution Audio)

既にソフトの発売も決まったが・・・・・・・

 良い音を追求するオーディオ・ファンには朗報である。これからのオーディオは、ネット配信のPCオーデイオかと思われていたが、ここに来て画期的な話題の登場だ

 メモリーテック、クリプトン、キュー・テック、カメラータ・トウキョウの4社は、CDを超えるハイビット/ハイサンプリングレートの音源をBlu-ray Discに記録する「ブルーレイディスクによるハイレゾリューションオーディオ(High Resolution Audio)」を発表した。BDの容量を生かした高品位オーディオパッケージは、ノルウェーの「2L」など複数のレーベルが手がけているようだが、国内レーベルも参入することになったのだ。
 取り敢えず、日本コロンビア、カメラータ・トウキョウからクラシックを中心にソフトが発売される。

Bdaudio  Blu-ray Discが持つ1層25Gバイトの容量をオーディオメインに使い、音質のみを追求したパッケージメディア。映像データは、曲目メニューやジャケットイメージなど最低限の静止画にとどめ、その代わり非圧縮のリニアPCMでハイレゾ音源(96kHz/24bit、192kHz/24bit)を収録する。普及したBDレコーダーやBDプレーヤーを使い、CD感覚で再生できることが基本コンセプトとなっている。(CDの44.1kHz/16bitと比較すると圧倒的で如何に凄いか解る。再生周波帯域も、20~22KHzから20~96kHzに広がる。分解能は256倍になる)

 我々年代はどうも形になっていないと安心しないし、又実感が湧かない。それがネット・オーディオと言うことではどうなってゆくのか?はなはだ心配であった。最近再びSACDが活気づいてきていたようだが・・・今回こんなおいしい話が登場したのである。

 ただし、今回は新しい規格やフォーマットではなく、あくまでもBD-Video規格に準拠したものということ。BD-Video規格では96kHzまでのサポートが必須要件であり、192kHzはオプションとなっているため、HDMI端子から192kHz/24bit音声を出力できるプレーヤーは限られてしまう。このため、192kHzの音源を収録した場合には必ず96kHz版も一緒に収録するなど互換性に配慮するのだという。192/24bit再生には対応するプレーヤーとアンプが必要だが、普及価格帯のホームシアターシステムでもCD以上の音質は楽しめるというので普及性も考えている。又コピープロテクトも従来のBD映像ソフトのようにしっかりと搭載するという。

 しかしこれが普及すれば、オーディオ機器メーカーも当然192/24bit再生機器に力を入れるであろう。大手のソフトメーカーの参入もありうるところ。
 取り敢えずは、CD時代になって小さくはなったがジャケを見ながら音の世界に浸ることはこれからもこのBDによってまだまだ続いてくれそうである。

Pa061846monoblog
(ポーランド・クラクフにて   2012.10)

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2012年1月29日 (日)

オーディオ・ファンに愛される~ジャシンタJacintha

優しくさりげない歌声が包み込む・・・・・・

 先日、高音質CDに焦点を当てて現状を見た時に、やはりオリジナルのマスターテープの重要性を知るわけであるが、それが日本ビクターとしても高音質CDとしての”xrcd24”を作成に当たって、このマスターテープが手に入れられるかどうかで対応が難しくもなる場合がある。
 そんな中で、シンガポールで活躍している女性ジャズ・ヴォーカリストのジャシンタJacintha(ジャシンサと呼んでいる人もいる)の場合は、やはり欧米のアーティストよりはそのオリジナル・アナログ・マスターテープは、多分想像するにCD化の為には使いやすい環境にあるのか、彼女のアルバムは殆ど高音質化(SACD 、xrcd、Gold CD、LP)に配慮されている。従ってオーディオ・マニアの世界では結構聴かれているようだ。彼女の歌に最も接しやすいアルバムをここで紹介しよう。

Thebest 「BEST OF Jacihtha」 Groove Note   GRV1042-3 ,  2008

 このアルバムはジャシンタの過去にリリースされた7枚のアルバムからの所謂ベスト盤である。そして通常のCDでなく、高音質を狙っての最も現在採用されているSACD盤だ。幸いにHYBRID盤であるために、一般のCDプレイヤーにも一応対応している。そして全15曲のうち8曲はマルチチャンネル・トラックで5.1サラウンドとして再生出来る代物。

Thebestlist  彼女のジャズの歌声に接するには、音質も高度化されていて恰好の代物。全15曲は左のとおりである。一見して解るように、ポピュラーなジャズ・スタンダード曲で占められているので、とにかくとっつきやすい。***印がSACDマルチチャンネルもの。

 いずれにしても、とにかく音質が良く、彼女のヴォーカルの位置は聴く我々のまさに眼前にあり囁くが如く唄う。そしてバックのバンドの音が冴え渡り、オーディオ的満足感は高い。そして彼女の唄は、澄んだ優しい声で低音のヴォリュームもあり全曲優しさの中に包み込む。あるところでは、彼女の唄を”elegant”、”romantic”、”sophisticated”、”stylish”と表現されているが、まさにそう言っていいだろう。

 彼女のスタジオ・アルバムは・・・
   Here's To Ben            1998
    Autumn Leaves          1999
    Lush Life                   2002
    Jacintha Is Her Name   2003
    Girl From Bossa Nova   2004
    Live Flows Like A River 2005
    Jacintha Goes To Hollywoog  2007

   このベスト盤に登場する曲は、世界的ベスト・ヒット集といったところで、どこからも取り付ける。その中で”The Look of Love”は、昔はセジオ・メンデスで有名で、近年はダイアナ・クラールが唄ってヒットしているが、このジャシンタ版はバックにピアノ、サックスが入って、それなりの特徴を発揮している。そして”Autumn Leaves”が抜群にいいです。編曲も良いし、バックのトランペットの切ない響きも聴きどころ。”Light My Fire”は私の好きな曲だが、フルートとギター、ボンゴがバックで支え無難に唄ってはいるが、かってここで取り上げたイリアーヌの世界までは至っていない。それは比較が酷なところか。”Danny Boy”は7分以上の曲になっていて非常に情感を込めて唄われている。

Jacintha_3  このジャシンタの世界は、優しさに包まれたいという人にはお勧めであるが、一方ジャズ特有のスウィングする流れそしてやや危険なムードなどを求めると、ちょっと虚しくなるところでもある。まあそのあたりは好みで聴いて欲しいところ。

 ジャシンタは、本名 Jacintha Abisheganaden といい1957年マレーシア生まれ、父はスリランカ人でジャズギタリスト、母は中国人でピアニストという音楽家庭で育っている。シンガポール国立大学で英語の学位を取り、ハーバード大学にても学んでいる。米国での活動もあり、そしてシンガポールではヴォーカリスト、ステージ女優などで国民的スターとか。
 近年は、女性ジャズ・ヴォーカルは、相変わらず白人の世界に圧倒されているが、日本人や韓国人そしてこうした東洋人の活動も注目しておきたいところ。
 ジャシンタは幸い日本でのオーディオ技術によって紹介され、オーディオ・マニアには愛されているが、もう少し広く一般に注目されてもよいアーティストといえよう。

(試聴)

 

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