これを聴いてみて、やはりこのところウォーターズのライブ『This is not a Drill』(下左)や、彼の国連での発言(下中央)、又ドイツの反ユダヤ主義としての反発事件とそれに対抗しての歓迎キャンペーン(下右)など、相変わらず彼の歩むところ、問題が起きてはいるが、これこそ彼の歩んできた道であり、そのようなミュージシャンとしては異色の行動からの反発に対してもめげずに戦っている80歳を迎える男の生きざまには圧倒される。
Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」 Complete Live Broadcast HD BluRay Edition Live at O2 Arena, Prague, Czechia, 25th May 2023
NTSC Full HD 1920 x 1080p Linear PCM Stereo + Dolby 5.1 Surround Total Duration 171min.
members Roger Waters – Vocals, Guitar, Bass Gus Seyffert – Bass, Synth, Vocals Joey Waronker – Drums Dave Kilminster – Guitar Jonathan Wilson – Guitar and Vocals Jon Carin – Synth, Vocals, Guitar Shanay Johnson – Vocals Amanda Belair – Vocals Robert Walter – Keyboards Seamus Blake - Sax
2022の北米ツアーでスタートしたピンク・フロイドの頭脳と言われるロジャー・ウォーターズの「THIS IS NOT A DRILL」が今年の欧州ツアーが追加され、既に各地を回っているが、この5月チェコ・プラハでの公演がプロショット映像でLinear PCM Stereo + Dolby5.1SurroundのBlue-Ray版が手に入る。 これは全世界の劇場に生配信されたプラハ公演(上左)で、フルHDのプロショット映像の為圧巻である。 このツアーは、間もなく80歳になろうとしている彼の「farewell Live 別れのライブ(第1章?)」ということもあってか各地で盛り上がっている。相変わらず斬新な方法論を示すライブ会場、ステージは会場の中央に設置され、その上には全方向からみれるスクリーン、そして例のごとく豚が宙を舞い、その上に今回は羊も会場の頭上を旋回する。
そんな話題の多い欧州ツアーは現在も進行中であるが、ピンク・フロイドの黄金時代を象徴するクリエイティブなロジャー・ウォーターズが、一夜限りで、プラハにおけるライブを"初のフェアウェル・ツアー「This Is Not A Drill」"としとて世界中の映画館で一斉に披露した。そしてこのBlu-Ray映像版はそれが原点と思われる。いずれにしても圧巻のサラウンド・サウンドの効果も大きく見ごたえ十分だ。
(Tracklist) 01. Intro 02. Comfortably Numb 03. The Happiest Days of Our Lives 04. Another Brick in the Wall (Part 2) 05. Another Brick in the Wall (Part 3) 06. The Powers That Be 07. The Bravery Of Being Out of Range 08. The Bar 09. Have a Cigar 10. Wish You Were Here 11. Shine On You Crazy Diamond (Parts VI-IX) 12. Sheep 13. Intermission 14. In the Flesh 15. Run Like Hell 16. Stop 17. Déjà Vu 18. Is This the Life We Really Want? 19. Money 20. Us and Them 21. Any Colour You Like 22. Brain Damage 23. Eclipse 24. Two Suns in the Sunset 25. The Bar (Reprise) 26. Outside the Wall N
しかし公演前半のスタートM2."Comfortably Numb"のニューバージョンの素晴らしさは、ギター・レスの仕上げでギルモアへのあてつけとともに社会不安を描き、今回のツアー仲間の女性歌手Shanay Johnson(→)のソロの歌声の響き、それは印象的で会場をうならせたのである。 又M10. Wish You Were Here, M11. Shine On You Crazy Diamond (Parts VI-IX) でのピンク・フロイド結成当時とシド・バレットの思い出には彼の心情が歌い上げられる。今回のアルバム「アニマルズ」からはM12."Sheep"が取り上げられ弱き大衆の反乱を描く。
やはり後半に入ると「デストピアDystopia」に焦点は当てられ、発達した機械文明の、否定的・反人間的な側面が描き出され、典型例は反自由的な社会であり、隠れた独裁や横暴な官僚システムなどを批判し訴える。これを描く世界はM18. Is This the Life We Really Want? , M19. Money, M20. Us and Them で頂点に至る。そして最後には、M24. Two Suns in the Sunsetでは原爆の恐ろしさを描いて幕を閉じる。
Roger Waters 「The Lockdown Sessions」 Legacy Recordings / 2022
ROGER WATERS : Vocals, Guitar, Piano "US+THEM Tour"and"This is Not A Drill Tour"Members Dave Kilminster (g)、Jon Carin (key, g)、Jonathan Wilson (g, vo)、Joey Waronker (d)、Gus Seyffert (b, g)、Robert Walter (org)、Ian Richie (ts)、Bo Koster (Ham)、Lucius(Jess Wolfe, Holly Laessic - vo)、Shanay Johnson (vo)、Amanda Belair (vo)
2022 The copyright in this sound recording is owned by Roger Waters Music Overseas Limited, under exclusive licence to Legacy Recordings, a division of Sony Music Entertainment
ピンク・フロイドの"The Creative Genius(創造的才能)"を自負するロジャー・ウォーターズが、ここにストリーミング・サービスにて新アルバムをリリースした。 このコロナ禍で予定した「This is Not A Drill」ツアーが延期を繰り返していて、ようやく今年北米で実現したところだが(反響が大きく2023年欧州ツアーが追加された)、このロックダウン中2020年から2021年に、彼がツアー・メンバーと連絡を取りつつ、自宅からリモートでつないで新アレンジにて演奏し歌いあった曲がYouTubeで公開していたのであるが、それをここにアルバムとしてリリースした。そして先日紹介した今回の「This is Not A Drill」ツアーのオープニングで公開した曲"Comfartably Numb 2022"のニューバージョンを追加している。 これは身近にはe-onkyoでは、Hi-Res 音質(flac 48kHz/24bit)でダウンロード出来る為、手に入れたものだ。
(Tracklist)
1 Mother 2 Two Suns In the Sunset 3 Vera 4 The Gunner's Dream 5 The Bravery of Being Out of Range 6 Comfortably Numb 2022
M1., M3., M6.はアルバム「THE WALL」(1979)から、アルバム「THE FINAL CUT」(1983)からはM2., M4.、彼のソロ・アルバム「AMUSED TO DEATH」(1992)から M5.と、相変わらず戦争、社会不安に焦点があり反核を訴える曲が多い。(ウクライナ戦争に関しては、ウクライナ・ゼレンスキー大統領夫人及びプーチン大統領本人に公開書簡を送って話題になった)
今回のツアーにおける演奏曲も締めくくりに、問題曲M2." Two Suns In the Sunset"が取り上げられており、彼が一貫して訴えてきた反戦、そして反核の思想はぶれていない。ここでは、夕陽に映える2つの太陽、"風防ガラスが溶けるとともに、僕の涙も蒸発してゆく、後には炭しか残らない・・・灰とダイヤモンド、敵と友人 結局僕らはみな同じなのだ"と、歌い上げ40年間訴え続けている。 それと関係して余談であるが、私は今回この曲を聴くに付け、彼の大々的ツアー・ライブでは披露していないピンク・フロイドとは別物であるが、映画サウンド・トラック・アルバム「WHEN THE WIND BLOOWS 風が吹くとき」(1986)にある彼の作曲し当時の彼のTHE BLEEDING HEART BANDと演奏した"THE RUSSIAN MISSILE"から"FOLDED FLAGS"までの10曲の中から、歌詞にも意味のある"TOWERS OF FAITH"そして"FOLDED FLAGS"などを、どこかで演奏してほしいと思っているのだが・・・。
ロジャー・ウォーターズRoger Waters(1943年生まれ、79歳)は、1979年のピンク・フロイド時代のアルバム『ザ・ウォールTHE WALL』(1979)中の人気曲「Comfortably Numb」の新しいバージョンをリリースした。タイトルは2022年のものとして「Comfortably Numb 2022」となり、アップデートは、オリジナルよりもかなり暗く、描くところ不安と不吉なムードが漂っている。 これは目下の彼の"別れのショー"としての北米ツアー「This Is Not a Drill」(人気の為、2023年には引き続きヨーロッパでのツアーが3月17日からポルトガルのリスボンで始まり、続いて14か国で40回のショーが追加企画されいている)のオープニングの為に書かれた曲で、話題になっているもの。それをシングルとしてリリースした。(YouTubeにて公開中 ↓)
Credits: Produced by Roger Waters and Gus Seyffert Roger Waters – Vocals Gus Seyffert – Bass, Synth, Percussion, Vocals Joey Waronker – Drums Dave Kilminster – Vocals Jonathan Wilson – Harmonium, Synth, Guitar and Vocals Jon Carin – Synth, Vocals Shanay Johnson – Vocals Amanda Belair – Vocals Robert Walter – Organ/Piano Nigel Godrich – Strings, amp and backing vocals from Roger Waters ‘The Wall’ Sessions. Video produced and directed by Sean Evans.
もともと1979年のアルバム『The Wall』は、ピンク・フロイドものといっても、中身はロジャー・ウォーターズの自伝にもとづいて彼主導で作成されもので、ロック・オペラとも言えるところもあっての人気アルバムだが、その中の人気曲「Another Brick In The Wall 」は当時、子供の教育問題を歌い上げ、しかも子供のコーラス入りという事で、ご本家英国では発売禁止にもなった話題アルバムだ。 そしてその中の「Comfortably Numb」(作詞:Roger Waters, 作曲David Gilmour,Roger Waters)は、ピンク・フロイドの有名な曲の1つである。その歌詞は、肝炎に苦しんでいた時のR.ウォーターズがステージに上がる前に精神安定剤を注射された1977年の事件に触発されている。「それは私の人生で最長の2時間でした」と彼は後にローリングストーンに語った。「腕を上げることがほとんどできないときにショーをやろうとしている」といった状況だったようだ。
Pink Floyd 「Animals 2018 Remix」 ①Sony Music Japan / JPN /SICP-6480 ②e-onkyo /Hi-Res flac 192kHz/24bit ③Blue-ray audio : 5.1 surround
(BLUE-RAY AUDIO) 2018 Remix - Stereo: 24-bit/192kHz Uncompressed, dts-HD MA 2018 Remix - 5.1 Surround: 24-bit/96kHz Uncompressed, dts-HD MA 1977 Original Stereo: 24-bit/192kHz Uncompressed, dts-HD MA
(Tracklist)
1.Pigs on the Wing 翼を持った豚(Part One) 2.Dogs 犬 3.Pigs 豚(Three Different Ones) 4.Sheep 羊 5.Pigs on the Wing 翼を持った豚(Part Two)
ピンク・フロイドの第4期スタートとなったロジャー・ウォーターズ主導で制作された1977年発売のコンセプトアルバム『Animals』の2018年リミックス盤が、なんだかんだとすったもんだしてようやくリリースされた。ジェームス・ガスリーによってオリジナルマスターテープからのリミックスだが、特に最近「Pink Floyd権」を持つD.ギルモアとその一派(敢えて一派というのは、まさしくロジャー・ウォーターズがいみじくも歌ったアルバム『炎』の曲"Welcome To The Machinようこそマシーンへ"で批判した音楽産業の営利独占主義そのものになってしまっているギルモアの女房で実業家のpolly samson主導のアメリカ流商業主義の組織である)のマーク・ブレイクMark Blake(英国ミュージック・ジャーナリスト)がこのリミックス盤の為に書いたライナー・ノーツを拒否するというみっともない独占欲の抵抗で、遅れに遅れてここに日の目を見た。・・・これに関しては既に詳しくここ記したところである(参照:"2021.7.4「Pink floyd 「Animals」(5.1Surround)」リリースか")
このアルバムの中身は長編"Dogs犬", "Pigs豚(Three differrent ones)" 、"sheep羊"3曲と、ウォーターズのソロ"Pigs on The Wing翼を持った豚 part1,part2"によって成り立っているが、一曲はウォーターズとギルモアの共作だが、その他は全てウォーターズの曲、そして作詞は全てウォーターズであり、"支配階級"(豚の社会構造連鎖の頂点に金と権力で太る存在)、"権力者"(ビジネスのボスたる犬)、"従順な羊"を描き社会の三構造に痛烈な批判をする(しかし、よく聴いてみると一般に言われるようなそんな単純でないところにウォーターズの意図は隠されている。社会の疎外と残酷さが暗くのしかかってくるし、羊の犬に対しての逆襲をも示唆している)、なんと冒頭と最後の曲"翼を持った豚"は、対照的に非常に優しい歌でウォーターズのロマンスの相手キャロライン・クリスティーに捧げているという芸達者だ。
今回は、当然私はリミックス盤として、「BLUE-RAY AUDIO」盤を手に入れたが、ここには「2018REMIX」の①5.1Surround 24bit/96kHz と、②Stereo 24bit/192KHz が収録されている。又e-onkyoからHi-Res192kHz/24bitもダウン・ロードして聴いているが、しかし今回のREMIXは、宣伝にあるほどの大きな変化はない。従って5.1Surroundがお勧めである。しかしこのSurroundも昔のもののような著名な音の分離はなく、比較的前面に音を集めていて聴きやすく作られている。そんな訳で、面白さという点では少々期待を裏切っていた。 目下80歳を目の前にしているウォーターズは北米ツアー「This is not a Drill」を展開して、相変わらず社会問題としての訴えを続けている。そしてそこには今回はこのアルバムからの"Sheep"を演じているのだ。彼は過去のどのツアーにおいてもこの『Animals』からは必ず一曲は演じ、特に"Bigs"によるトランプ前米国大統領批判はインパクトを残している。
今回のこのCDシングルには、一曲の新曲M1. "Hey Hey Rise Up"が収録されている。そしてこの曲にはA.クリヴニュクのインスタグラムの投稿から、キーウのソフィア広場で歌う彼の声を使用。彼の歌う「ああ、草原の赤きガマズミよ(英題:Oh, The Red Viburnum In The Meadow)」が使われている。従って彼とD.ギルモアらは一緒に録音していない。この曲は第1次世界大戦中に書かれたもので、ウクライナの抗議のフォーク・ソングであって、同国がロシアから侵攻されてからウクライナの人々を鼓舞すべく世界各地で歌われてきたもの。そしてピンク・フロイドのこの曲のタイトルは、この曲の歌詞「さあ、立ち上がろう、勝利の喜びを(HEY HEY RISE UP and rejoice)」からきているものである。 この曲のアートは、キューバ人芸術家のヨサン・レオン(Yosan Leon)の描いたウクライナの国花ヒマワリの絵が使われている。
R.ウォーターズは、D.ギルモアは結構お人好しなんだと言い、アルバム『The Final Cut』制作においても彼一人協力してくれたと感謝している。そしてR.ウォーターズの過去の大々的なライブにも顔出し出演を誘ってきた。しかし人間関係はそれを取り巻く人々によってゆがめられて行ってしまう事も多い。今のピンク・フロイド・サイドは商業的営利主義が旺盛で(特にギルモアの作品の歌詞を殆ど書いている出版業界から始まった商業感覚の旺盛な米国人の女房のポリー・サムソンPolly Samsonの影響が大きいようだ)、そんなことで、R.ウォーターズの反発も大きい。そしてその波に乗らざるを得なくなっているD.ギルモアも、被害者なのかもしれない。R.ウォーターズがかって曲"Welcome To The Machine"で訴えた現実がここにもあるようだ。
If You're one of those " I Love Pink Floyd, but I can't stand Roger's Politics " people, You might do well to fuck off the bar right now. (あなたが「ピンク・フロイドは大好きだけど、ロジャーの政治に耐えられない」人の一人なら、今すぐバーにファックオフするのが良いかもしれません)
ピンク・フロイドがアルバム『THE DARK SIDE OF THE MOON 狂気』、『WISH YOU WERE HERE 炎』で、プログレッシブ・ロックの頂点に立ったときに、これらをAORとして否定する社会派ロック運動の一つであったパンク・ムーブントへの回答として、ロジャーが作り出したアルバム『ANIMALS』の世界観であったことの暴露は、あまりにもロジャーの偉業が大きすぎるために、ピンク・フロイドを名乗っているにも関わらず、影に隠れてしまうことを嫌ったギルモアの抵抗でもあった。この事のあまりの馬鹿馬鹿しさにロジャーおよびニック・メイスンはこのライナー・ノーツの掲載に関してはやむを得ないものとして折れて載せることを止めることを認めたわけだが、そんな「歴史的社会現象の中から生まれてくるロック・ミュージックの流れ」を現代の若者に伝えたいという作業は、「単なるミュージック」として捉えるギルモアの思惑で消えることになった。ロジャーにしてみれば、ロックのロックたる所以は音楽であると同時に訴えであることが重要と考えているためだ。これがこの9月リリース予定のリイッシュー・リマスター・アルバム『ANIMALS』騒動であった。
今回のライブでも、アルバム『ANIMALS』から曲"Sheep"を登場させている。前回の「US+THEM Tour」では曲"Big"、"Dog"を登場させ、トランプ批判を展開したが、今回もこのアルバムでの社会批判はロジャーにとっては後期ピンク・フロイド・ミュージックの魂でもあることによっている。これがあのアルバム『THE WALL』にもつながるのであるから。このあたりが、彼が"Creative Genius of Pink Floyd"(ピンク・フロイドの創造的才能)と言われる所以でもある。
■Roger Waters, PPG Paints Arena, Pittsburgh, PA, July 6, 2022, Setlist -Set 1- 1. Comfortably Numb 2. The Happiest Days of Our Lives 3. Another Brick in the Wall, Part 2 4. Another Brick in the Wall, Part 3 5. The Powers That Be 6. The Bravery of Being Out of Range 7. The Bar 8. Have a Cigar 9. Wish You Were Here 10. Shine On You Crazy Diamond(Parts VI-IX) 11. Sheep -Set 2- 12. In the Flesh 13. Run Like Hell 14. Déjà Vu 15. Is This the Life We Really Want? 16. Money 17. Us and Them 18. Any Colour You Like 19. Brain Damage 20. Eclipse 21. Two Suns in the Sunset 22. The Bar(Reprise) 23. Outside the Wall
(Band members) Roger Waters (b, g, piano, vo) Dave Kilminster (g) Jon Carin (key, g) Jonathan Wilson (g, vo) Joey Waronker (d) Gus Seyffert (b, g) Robert Walter (org) Amanda Belair (vo) Shanay Johnson (vo) Seamus Blake (ts)
HAKONE Aphrodite, Hakone, Japan 7th Augast 1971 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (65:51)1. The Circle Game (Buffy Sainte-Marie) 2. Soundcheck / Announcement 3. Atom Heart Mother 4. Soundcheck 5. Green Is The Colour 6. Careful With That Axe, Eugene 7. Soundcheck 8. Echoes
Disc 2 (43:55) 1. Soundcheck 2. Set The Controls For The Heart Of The Sun 3. A Saucerful Of Secrets 4. Soundcheck 5. Cymbaline
演奏内容は"原子心母"からスタートするが、オートバイの効果音は冒頭に配しているが、勿論アルバムのようにチェロ、ブラスバンド、コーラス隊はない。実は彼らのライブは殆どこのタイプだが、ギルモアのギターやウォーターズのベースとライトのキーボードの旋律の流れなどの演奏の味があって、このほうが私は好きなのである。そして続くは、美しいウォーターズの曲"Green is The Colour"、これはシド・バレットの抜けた後、ギルモアをなんとか売り出そうとウォーターズが彼に歌わせたモノである。そしてウォーターズの絶叫曲"ユージン"もしっかり披露している。又この年11月にリリースされた『おせっかい』の"エコーズ"も24分の演奏でほぼ完成されている。 その他も改めて聴くと後半の"神秘"の演奏も19分で迫力満点、しかも打ち上げられた花火の音も収録されている。最後は"シンバライン"で聴衆の拍手の音頭と共に演奏され括っているのも感動もの。
Snowy White and The White Flames「SOMETHING ON ME」 Soulfood / EU / SWWF2020 / 2020
Snowy White : Guitor Thomas White : Drums Rowan Bassetts : Bass Juan van Emmerloott : Drums, Perercussion Ferry Lagenddijk : Piano, Organ Max Middleton : Keys
スノーウィ・ホワイト Snowy White(1948-)(→)は私の愛するギタリストだが、70年代から活動し、80年代初頭にソロキャリアを開始した。「Blues Agency」、「Blues Project」、「The White Flames」などの名前で独自のバンドを結成してきた。かってのピーター・グリーン(フリートウッド・マック)、ピンク・フロイド、ロジャー・ウォーターズなどとの共演、そしてアイルランドのハードロックバンド、シン・リジィなどの活動も見逃せない。私が興味を持ったのは70年代にピンク・フロイドのサポート・メンバーとしての時代だが、その後ロジャー・ウォーターズとの活動は長きにわたった。
このニュー・アルバムは「The White Flames」となっているが、メンバーは一新されている。もともと1993年から2000年の間に、彼は2人のなかなか味のあるオランダ・インドネシアのミュージシャン、Juan van Emmerloot(ドラム/パーカッション)とWalter Latupeirissa(ベースとリズムギター)と一緒にツアーとレコーディングを行った。 「The White Flames」として、彼らは『No Faith Requir』、『Restless』、『The Way It Is』、『Realistic』などの一連のアルバムをリリースし、ヨーロッパ全土でライブ演奏した。更にバンドはキーボードのマックス・ミドルトンMax Middletonをも増強しての充実ぶりだった。 その後近年2017年の「The White Flames」のアルバム『Reunited...』(SWWF2017)ではこのメンバーが久しぶり集結していたが、2019年には『THE SITUATION』(SWWF 2019)をリリース。今回は主としてドラムスにThomas White、ベースにRowan Bassettsと (Juan van Emmerloottが曲により参加)なり、その他多様な「The White Flames」メンバーが競演していて、演奏スタイルも更に優しくなって変化している。そして彼の控えめな態度がそのものとして、ジャケでは彼は愛器ギブソンの影に顔を隠しているところが面白い。
(Tracklist) 1.Something On Me (7:44) 2.Another Blue Night (5:09) 3.Another Life (5:13) 4.Get Responsible (5:08) 5.Cool Down (3:42) 6.Ain’t Gonna Lean On You (8:00) 7.It’s Only The Blues (5:45) 8.Commercial Suicide (7:05) 9.I Wish I Could (4:22) 10.Whiteflames Chill (4:29) 11.One More Traveller (4:40)
彼自身が独自での主体的に演ずるとこんな世界となり、実は元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズの攻撃性のロックとは、見方によると相対するモノとなっている。ところがその彼がロジャー・ウォーターズの総決起集会のような何年にも及ぶ世界ツアーなどに、『Roger Waters THE WALL Live in Berlin』以降、ほぼ25年間に及ぶ間、ずっと長く付き合ってきたのは実に不思議な現象である。この違いこそが、むしろ両者をしてお互いに無いものをもってして、相手を認め合うところとなったのではないかと想像するのだ。男同士の付き合いというのはそれなりに不思議なもので、とにかく彼の今日の老界に突入する前は、殆どロジャー・ウォーターズとのお付き合いに費やされており、合間をみてソロ・アルバムをリリースしてきた。
このアルバムは、どちらかというとブルース主体のバンド「Blues Project」よりは、メンバーの関係か、ややハード・ロックよりの「The White Flames」名のバンドで演じたものであるが、それでも彼なりのブルースよりの演奏が主体になっている。とにかく何ともいえない優しい世界に包まれており、彼の今の安定した老期を迎えての一つの世界であると同時に、世界のコロナ・パンデミック社会を見据えてのアルバム作りになっていたものかも知れない。
そんな時に、ピンク・フロイドも例外でく影響を受け批判も浴びた。アルバム「狂気」(1973)、「炎」(1975)など、AOR(Adult-Oriented Rock, Album-Oriented Rock)化したロックとして否定的な流れに直面したのだ。ところが音楽の方向性に追究してやまないロジャー・ウォーターズの基本的思想に強烈な刺激を与えることになった。彼は当時ライブで盛んに演奏した曲"Raving And Drooling"、"You're Gotta Be Crazy"が、前作第9作「炎」に相応しくないと判断して温存していたものに手を加え(歌詞も変更した)、この第10作「アニマルズ」のアルバム作りに彼の根底にある社会批判を露骨に示し、逆にパンク、ニューウェーブに打って出ることを試み、ここにロジャーは3曲を追加して一つの回答を示したのであった。内容は、収録の5曲のうち、1曲のみロジャーとギルモアの共作で、それ以外は全てロジャーひとりによる作曲となり、全曲作詞となった。そして録音はかなりの難航があったが、彼の決断でかってのスタイルからむしろ敢えてシンプルな音作りに変更し挑戦した。しかし当時過去のものにとらわれるミュージック評論家からは、その変化を受け入れる事無く賛辞は得られなかった。一方、なんと新たな変化が功を奏してか、大規模なツアーはパンクを圧倒し更なる成功を成し遂げ、バンドにも過去以上の成功をもたらしたのだ。
こんなパンク・ニューウェーブに対してのピンク・フロイドの葛藤とロジャーの発想の流れを教えてくれた貴重なライナーを拒否するというギルモア側の暴挙によって、5.1サラウンド・リミックス版はそのリリースまでも風前の灯火となった。 そこまで露骨なやり方に対して、ロジャーとメイスンはアルバムのリリース実現のために、この貴重なライナーを付けることを断念したのである。もともとニック・メイスンのピンクフロイド回顧録「INSIDE OUT - A personal History of PINK FLOYD」(→)にも発行をさせないように働いたギルモア、これはギルモアとポリー・サムソンの自利主義の結果によるものである。しかし、メイスンはこの回顧録を断固発刊した。しかし今回は、又もやのライナーの拒否にあきれつつも、大人の対応としてロジャーと共にメイスンもやむを得ないと折れたのである。
Mark Blake: Liner Notes Pink Floyd: Animals Despite being recorded in London during the long, summer heatwave of 1976, Pink Floyd’s Animals remains a dark album. Its critique of capitalism and greed caught the prevailing mood in Britain: a time of industrial strife, economic turmoil, The Troubles in Northern Ireland, and the race riots of Notting Hill. The album was released on January 23rd 1977, but the roots of Pink Floyd’s tenth studio album go back earlier in the decade. Following the success of 1973’s The Dark Side Of The Moon, Pink Floyd pondered their next move. During a two-to-three week jam session in early 1974, the band worked on ideas for three new compositions. From these sessions the band developed Shine On You Crazy Diamond, (A passionate tribute to Syd Barrett, words by Roger Waters. Added by me, sorry couldn’t help it.) which became the centrepiece of Floyd’s next album, Wish You Were Here, and Raving And Drooling (composed by Roger Waters) and You Gotta Be Crazy written by Waters and David Gilmour. Raving And Drooling was a tale of violent social disorder, while You Gotta Be Crazy told the story of a soulless businessman clawing and cheating his way to the top. Both were performed live for the first time on the Floyd’s winter tour of 1974. They were both considered for the Wish You Were Here album, but Roger insisted that neither song was relevant to the overall idea, that “Wish You Were Here” was essentially about absence, and as neither song fitted his conception of the record’s overall theme, neither song should be included. The band eventually concurred. Scroll forward two years, and Roger had an idea for the next Pink Floyd album. He borrowed from George Orwell’s allegorical story, Animal Farm, in which pigs and other farmyard animals were reimagined anthropomorphically. Waters portrays the human race as three sub-species trapped in a violent, vicious cycle, with sheep serving despotic pigs and authoritarian dogs. You Gotta be Crazy and Raving And Drooling perfectly fitted his new concept. In the meantime, a year earlier, the group had bought a set of disused church buildings in Britannia Row, Islington, which they’d converted into a studio and storage facility. Prior to this every Pink Floyd studio release had been partly or wholly recorded at Abbey Road studios. Pink Floyd had also found a new recording engineer. Brian Humphries, an engineer from Pye studios, who they had met while recording the sound track for “More”, a movie directed by Barbet Schroeder. Brian had gone on to engineer Wish You Were Here at Abbey Road, and also helped them out on the road, so they had got to know him very well. Using their own studio marked a significant change in their working methods. There were setbacks and teething problems, but also a great sense of freedom. Following Roger’s instincts about the new songs paid off, the songs had an aggressive edge far removed from the luxuriant soundscapes on Wish You Were Here. It was a timely change of direction. At Britannia Row, he renamed Raving And Drooling, Sheep and Gotta Be Crazy became Dogs. The narrative was completed by the addition of two new Waters songs: Pigs (Three Different Ones) and Pigs On The Wing.
On Pigs (Three Different Ones), the lyrics namechecked Mary Whitehouse, the head of the National Viewers And Listeners Association. Whitehouse was an outspoken critic of sex and violence on British television and a topical target for Roger’s ire. The subject matter was bleak, but Nick Mason recalled lighter moments over dubbing songs with special effects and barnyard noises. While Sheep also made room for Roger’s blackly comic variation on Psalm 23: “He maketh me to hang on hooks in high places/ He converteth me to lamb cutlets…” The music and the performance mirrored the intensity of the lyrics. Keyboard player Richard Wright’s eerie-sounding synths and Hammond organ cranked up the unease. While David Gilmour’s shared lead vocal on Dogs and his guitar playing throughout Animals offered a striking counterpoint to Roger’s brutal lyrics. In contrast, Animals began and ended on an optimistic note. The verses of Pigs on The Wing were split in two and bookended the album. Roger’s lyrics and vocal performance of acoustic intro and outro (“You know that I care what happens to you/ And I know that you care for me too…”) suggested hope for humanity. The idea for Pink Floyd’s flying pig was also Roger’s. He had already commissioned its building as a stage device for the next tour. Storm Thorgerson and Aubrey Powell of the design company Hipgnosis, had produced a number of design ideas for an Animals sleeve and presented them to the band but none of the band, liked them, and when Roger added his disapproval someone said, ”Well why don’t you come up with something better then?” So he did, on the drive from his house in South London to Britannia Row, he regularly passed Battersea Power Station. He was drawn to the imposing brick building, and by the number four. Four in the band, four phallic chimneys, and if the power station were turned upside down then it resembled a table with four legs. He pursued his idea and had a maquette made, a small scale model of the eventual full scale inflatable pig. He then took photographs of Battersea Power station and created a photographic mock up of an album sleeve. The rest of the band loved it. Storm and Po, who had designed all of the previous Pink Floyd album covers, graciously offered to source photographers for the photo shoot, and did. On the first day of the photo shoot, the pig failed to inflate. On the second day, it broke free of its moorings and disappeared into a beautiful brooding sky, prompting a frantic call to the police and a halt to all flights in and out of Heathrow. The pig eventually crash-landed in a farmer’s field in Kent. The following day, the shoot went ahead without a hitch, great shots of pig in situ but no brooding sky. So Storm and Po stripped Day three Pig into Day two sky, bingo! History. Animals was a hit, reaching Number 2 in the UK and Number 3 in the US. Pink Floyd’s pig, Algie, made its live debut on their subsequent “In The Flesh” tour in 1977. At stadium shows in America, it was joined by another Water’s idea, an inflatable nuclear family comprising a mother, father and 2.5 children, surrounded by the spoils of a consumerist lifestyle: an inflatable Cadillac, oversized TV and refrigerator. Roger called it Electric Theatre. Both the album and the tour signposted the way to Pink Floyd’s next release, The Wall, and to Roger’s ever more ambitious ideas, both in terms of his music, narratives, politics and stage shows. But his themes and ideas explored on Animals have endured. More than 40 years on the album has been remixed in stereo and 5.1. In troubled times and an uncertain world, Animals is as timely and relevant now as it ever was. Mark Blake
(Mark Blake 紹介 - Wikipediaより)
Mark Blake is a British music journalist and author. His work has been published since 1989 in The Times and The Daily Telegraph, and the music magazines Q, Mojo, Classic Rock and Prog. In May 2017, he was hired as launch editor of Planet Rock magazine and is a contributing editor to the title.
Career Blake is the author of the 2007 music biography, Pigs Might Fly: The Inside Story of Pink Floyd,[2] published by Aurum Press (available under the title Comfortably Numb: The Inside Story of Pink Floyd in the United States); Stone Me: The Wit & Wisdom Of Keith Richards,[3] (Aurum Press, 2008); Is This The Real Life: The Untold Story of Queen (Aurum Press, 2010) and Pretend You're in a War: The Who and The Sixties, published by Aurum Press in September 2014. His next book, Bring It On Home: Peter Grant, The Story Of Rock's Greatest Manager is due for publication by Little Brown/Da Capo in the UK and US in 2018.
Blake is a former Assistant Editor of Q, and previously edited the books Dylan: Visions, Portraits and Back Pages and Punk: The Whole Story" (Dorling Kindersley, 2004 & 2005). He has also contributed to official projects for Pink Floyd, including Pink Floyd: Their Mortal Remains, The Who, Queen and the Jimi Hendrix estate. He is represented by Matthew Hamilton at The Hamilton Agency.
Books Blake, Mark (2008). Pigs Might Fly : The Inside Story of Pink Floyd. London: Aurum. Blake, Mark (2010). Is This the Real Life : The Untold Story of Queen. London: Aurum. Blake, Mark (2014). Pretend You're in a War : The Who & The Sixties. London: Aurum. Articles Blake, Mark (Dec 2014). "The birth & death of Pink Floyd : in the beginning". Mojo. 253 (6): 66–73.
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