ジャック・ルーシェ

2011年7月27日 (水)

ジャック・ルーシェ(9)  プレイ・バッハ・トリオの映像盤:ミュンヘンとライプチヒ(2)

歳を取ったなぁ~~と思わせるジャック・ルーシェ

Dvdplaybachandmore_2 「Jacques Loussier Trio  Play BACH ....and more」 ( Recorded live at St Thomas's Church, Leipzig, july 2004 ),    EUROARTS 2054068 , 2011

 3期トリオ・メンバー(ルーシェ、セゴンザック、アルピノ)のドイツはライプチヒにおけるライブ映像。2004年にSt Thomas教会で行った演奏である。従ってルーシェは70歳になっている。壇上での動きや表情を見ると、明らかに歳をとった姿がみてとれる。
 演奏模様は、1989年のミュンヘン・ライブ映像と比べると、やはり細かいところでのアドリブは後退している。しかし曲の組み立ては相変わらずうまく、アルピノのドラムスとの関係は既に20年の関係が続いていて、両者の呼吸は細かい変化においても乱れはない。

(List)
  JOHAN SEBASTIAN BACH
    Fuga No.5 in D Major
    Gavotte in D minor
    Pastorale in C minor
    Air on a G string
    Brandenburg Concerto No.5 in D major
    Harpsichord concerto No.3 in major (III allegro)
  CLAUDE DEBUSSY
    Arabesque . L'lsle joyeuse
  ERIK SATIE
    Gymnopedie No.1
  MAURICE RAVEL
    Bolero
    ・・・・・・このようにバッハは6曲に加えて、ドビュッシー、サティ、ラベルもそれぞれ1曲づつ演奏して見せている。

Jrtrio2004thomas  この教会の会場は、まさにクラシックを聴くが如くの雰囲気に包まれていて、このトリオの演奏に聴衆は引き込まれていた。
 例のベースのソロ部分がたっぷりととってある”Pastorale in C minor”の演奏は、相変わらず見事であり、2期トリオで圧倒的支持を得たベース奏者のヴァンサン・シャルボニエにも劣らず、この3期トリオのベース奏者ベノワ・デュノワイエ・デ・セゴンザックの心搏の演奏が観れる。
 又、ドラムスのアンドレ・アルピノもなかなか元気で、”Brandenburg Concerto No.5 in D major” でのドラム・ソロはやはり楽しい。
 このトリオも相変わらずなかなか粋な演奏をしてみせてくれるので、この映像盤も貴重である。しかし70歳を迎えているジャック・ルーシェは1989年の55歳時の映像盤でみるミュンヘンの演奏にはやっぱり一歩及ばないところがあり、既に山を越えてしまった姿を見るところとなった。

Jacquesloussier2008  考えてみると現在はこの映像から7年経過している訳で、ジャック・ルーシェは77歳になっていることになる。このDVDは何時までも多くは期待しててはいけないことを我々は知る映像でもあった。
 1959年に、ちょっとスタジオで愛嬌でバッハをピアノで演奏して見せたことから認められて、トリオ結成しての1stアルバムが生まれた。その時から既に50年以上経過している。長きにわたって楽しませていただいた私は大いに感謝して見守りたい。

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2011年7月25日 (月)

ジャック・ルーシェ(8)  プレイ・バッハ・トリオの映像盤:ミュンヘンとライプチヒ(1)

2期、3期のトリオを映像盤で楽しむのだが・・・・・

Ldplaybach89  ジャック・ルーシェ・トリオの「プレイ・バッハ」の映像盤は実はそう多くない。従って私にとっては愛蔵盤であるのは、1991年にLDでリリースされた左のミュンヘン・ライブである。

「The Jacques Loussier Trio PLAY BACH」 (DECCA) POLYDOR POLL-1004 , 1991

 最近”LDプレイヤー”を再度復活させて楽しんでいるわけであるが、ここで登場するトリオはジャック・ルーシェJacques Loussier が1985年に再結成したもの。しかし非常に中身が濃い。
 ピアニストのジャック・ルーシェが、ベーシストのPierre Michelot とドラマーのChristian Garrosとトリオを組んでバッハを演奏した時には世界中の驚きと関心を集めた。それが1959年である。そしてフランスの洒落たセンスで聴くものを魅了したわけであるが、私が初めてこの演奏を聴いて圧倒されたのは1965年であった。彼らの演奏を聴いてからの私は、バッハ、イコールこのトリオ演奏となってしまって、本来のクラシック演奏には何か物足りなさを感ずるに至ってしまったものだ。その後1978年にこのトリオは解散した。

 しかし嬉しいことに、バッハの生誕300年にあたる1985年に、アンドレ・アルピノAndre Arpino(Drums)、 ヴァンサン・シャルボニエVincent Charbonnier(Bass)とトリオ(2期)を再結成したわけだ。
1989trio  このトリオになって更にフリーでジャジーなプレイは高まって、3人それぞれのインプロヴィゼイションもスリリングな面も加わって非常に充実した。そしてこの映像盤は彼らの1989年ミュンヘン・ライブを記録したものである。この時の演奏は実に素晴らしく、若いベーシストのヴァンサン・シャルボニエ(シャルボン)の熱演も光っていた。特にその姿は私の好きな ”パストラーレ ハ短調 BWV.590” で観ることが出来る。
 多くの音楽映像盤の中でも、これは最も私にとって大切なものとなっていたわけであるが、最近実はDVDにてもリリースされている事を知った。当然LDの時代は既に終わっており、私の場合は再生装置は復活させているが、いつ何時に終焉を迎えるか解らないので、取り敢えずDVD盤もと言うことになったのだ。

Dvdplaybach89 「THE JACQUES LOUSSIER TRIO PLAY BACH - The 1989 Munich Concert」 DECCA 074 3154

 このDVDは、大切にしてきた上のLDとソースは同一であり、特に変わってはいない。ただし音の面での改良はなされ、DTS録音もなされている。

 (List)
   Fugue No.5 in D major
   Italian Concerto
   Pastorale in C minor
   Gavotte in B minor
   Chorale "Jesu, joy of man's desiring"
   Gavotte in D major
   Brandenburg Concerto No.5 in D major
      ・・・・この7曲の収録である。

 この時のジャック・ルーシェのピアノ・タッチは見事に軽快であり、トリオとしてのリードも見事。又、シャルボニエのベース・ソロやアルピノのドラムス・ソロの演奏している姿と音を見ているルーシェの嬉しそうな表情が印象的でもある(この時、ルーシェは55歳だ)。
 更に、このDVDにはボーナスCDが付いていて、1期のオリジナル・プレイ・バッハ・トリオの演奏で、19曲が聴くことが出来る。私は取り敢えずオリジナル・トリオの全ての盤を取りそろえているので特に意味はなかったが、この21世紀の若者にも私の若い頃の感動を是非聴いて欲しいと思うので、初めて聴くものにとっては貴重と言えば貴重である。

Jacques_loussier_3_2 1998年になって、ベースはシャルボニエの病気からベノワ・デュノワイエ・デ・セゴンザックBenoit Dunoyer De Segonzac に変わって第3期トリオとなるのだが、その頃からバッハの曲は当然だが、それ以外に、サテイ、ラヴェル、ドビュッシー、バロック曲、ヘンデルそしてベートーヴェンなどにもアプローチしている。
 しかし、不思議に私の耳には、やはりバッハが最もジャック・ルーシェらしく聞こえてくるところが不思議と言えば不思議である。そしてこの3期トリオの映像盤も次回紹介する。
(続く)
 

 

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2009年5月 5日 (火)

「プレイ・バッハ」50周年を迎えたジャック・ルーシェの記念アルバム

Jacques Loussier 「PLAYS BACH / THE 50TH ANNIVERSARY RECORDING」
TELARC / USA / CD-83693 / 2009

50thanniversry  ジャック・ルーシェの「プレイ・バッハ」シリーズを当初から愛聴してきた私にとっては50年という歴史に感動せざるを得ない。ここに50周年記念アルバムの登場だ(TELARC CD-83693)。
 彼のバッハをジャズでというしゃれたセンスが受けて、バッハ演奏には必ず出てくる彼の名前であるが、近年は第3期のトリオでバロックの多くを取り上げたり、ヘンデル、ベートーベン、モーツァルト、ショパン、ドビュッシーなどに挑戦。しかしやはり2006年には再びブランデンブルグ協奏曲でバッハに戻っていた。

 今回は、驚き1985年から約10年間の第2期のメンバーであるベースにヴァンサン・シャルボニエ(シャルボン)と、ドラムスはアンドレ・アルピノというメンバーで、彼のピアノ演奏が楽しめる。録音時期は定かでないが、フランスのStudio MiravalとロンドンのAdvision Studio となっているが、ボーナース・トラックとして中野サンプラザのライブ音源がついている。しかも、"THIS IS THE BEST PLAYING OF MY LIFE -jacques loussier"と付けられている。

 特に、”Toccata and fugue in C major”のOvertur(5曲目)のシャルボニエのベースのソロとそれを一気の展開でルーシェの演ずるピアノのスピード感、Adagioの両者の絡み合い。それに続くFugueにおけるアルピノのドラムスの響きに続いてのルーシェのピアノの演奏はまさに絶品である。更に9曲目の”Prelude No.2 in C Minor”とボーナス曲”Chorale No.1"SLEEPERS AWAKE"”では、懐かしのシャルボニエのベース・ソロ部分も堪能でき、それをうまくルーシェのピアノが導いて確かに楽しめる演奏が収められているである。
 録音はかなり良好であり、特に日本の中野サンプラザものが生き生きとしている。

Jacquesloussier2008  とにもかくにも、50年前にバッハを取り上げてのモダン・ジャズ界に新風を巻き起こしたジャック・ルーシェも75歳となった。彼のリリースしてきた多くのアルバムと歩んで来た私にとっても、この50年は人生の主たる部分であったこともあって、ここで感動せざる得ない。

(収録曲)
  1.PARTITA IN E MAJOR
  2.INVENTION FOR TWO VOICES NO.8
  3.SICILIANA IN G MINOR
  4.VIVACE FROM CONCERTO IN C MINOR
  5.6.7.TOCCATA AND FUGUE IN C MAJOR
  8.MINUET IN G MAJOR  
  9.PRELUDE NO.2 IN C MINOR
10.CHROMATIC FANTASY
11.CHORALE NO.1 "SLEEPERS AWAKE"

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2008年5月 3日 (土)

ジャック・ルーシェとプレイ・バッハ(その6)

ジャック・ルーシェに求められたもの

1997年のヴィヴァルディから2005年のモーツァルトまで、バッハから離れ多くのクラシック作曲家の名曲への挑戦が行われたわけであるが、一方やはりジャック・ルーシェ・ファンはじめジャズ・ファンのジャック・ルーシェ・トリオに求められたものは1960年代、そして1985-1995年のプレイ・バッハにあった。

Playbachn1Playbachn4

 TELARCからは諸々の作曲家のジャズ化したジャック・ルーシェ・トリオのCDがリリースされる中、2000年にはジャク・ルーシェが初めて認められプレイ・バッハを録音したDECCAからは1959年から1963年の初期プレイ・バッハを、オリジナル・プレイ・バッハ・シリーズ」としてデジタル・リマスタリングして音質の向上を図ってCDとして発売した。(これが、私が大切にして所持しているLPのCD版である)これもなかなか好評で、如何にこのトリオに対してのバッハ演奏の期待が大きいかが窺い知れた。(このシリーズの#4は、カンタータ、コラール前奏曲などをルーシェはピアノとオルガンを演奏し、プレイ・バッハの中では最も異色である)

Jltbachbrandenburgs こうした流れの中で、2006年になってTELARCから、ニュー録音の「ジャック・ルーシェ・トリオ:バッハ ブランデンブルグ協奏曲」UCCT-1173 が発売された。
 久々のプレイ・バッハで、しかもブランデンブルグ協奏曲の第1番から第6番まで全てを網羅した。過去にブランデンブルグ協奏曲はこのトリオは2回挑戦している。これが3回目となるが、ただしその前2回ともオーケストラをバックにおいての共演であったが、今回はトリオのみにて演奏しきった。このアルバムを手にしてみると、やはりいかにものびのびした彼らの演奏が聴かれる。こうして70歳を超えたジャック・ルーシェは再びバッハへの思いを演奏してゆくことになるのかも知れない。

Jltbestsacd なお、ジャック・ルーシェが70歳を迎えた2004年には、TELARCから記念アルバムとして1963年・1964年録音もの(第2期トリオ)の「ジャック・ルーシェ・トリオ/ベスト・オブ・プレイ・バッハ」UCGT-7001として、SACDのHybrid Disc で5.1サラウンド版としても発売している。このあたりはやはりバッハ演奏の彼らの絶頂期であったのであろう。


 とにもかくにも、第3期トリオのバッハ演奏もスタートしている。この後も彼らの演奏に期待したいものだ。

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2008年5月 2日 (金)

ジャック・ルーシェとプレイ・バッハ(その5)

ジャック・ルーシェの試み

 約10年前にTELARCに移ったジャック・ルーシェは、バッハのジャズ演奏から多くのクラシック作曲家の名曲にアプローチするようになったが、それらは既に取り上げてきた。
「ヴィヴァルディ”四季”」、
「プレイ・サティ」、
「ラヴェル:ボレロ」

「ドビュッシー”月の光”」

そして、トリオとしては3代目のメンバーとともに、更にその世界は広がっていった。
Jacques Loussier : piano
Benoit Dunoyer De Segonzac : bass
Andre Arpino : drums


Jltbaroques_2 2001年
「バロック・ヒッツBaroque Favories」UCCT-1045

 対象がバロックとなると・・・・ヘンデル、スカルラッティ、アルビノーニなどのバロックの名曲へとジャズ化を進めたのがこのアルバム。
 私としては当時は興味半分で面白く受け止めてはいたが・・・。



Jlthandel2002年
 こうした成り行きでは、ヘンデルへの”水上の音楽”まで至って行くのは、当然であったのかもしれない。

「ヘンデル:水上の音楽・王宮の花火の音楽」UCCT-1061
 これがリリースされた時には、実はここまで来るとは思ってもいなかった。
 しかしこうしたヘンデルジャズ化の軽快さというものは、一つには、ルーシェのプレイ・バッハと共通していた部分であったろうと言えるのだ。

Jltbeethoven2003年
 遂に来たるところが来たかと思わせるベートーヴェンの登場となる。

「プレイズ・ベートーヴェンAllegretto from Symphony No.7 Theme and
Variation」UCCT-1087
 これは彼としても新しい試みであった。交響曲第7番のアレグレットの主題を10通りの変奏をトリオで演奏することを試みたのである。

Jlchopin2004年
 ジャック・ルーシェは今度はソロで、ショパンのノクターンの制覇をする。

「J.LOUSSIER Impressions on Chopin's Nocturnes」UCCT-1107

 これぞルーシェの真骨頂か?>1番から21番全曲のルーシェ・ジャズ・ピアノを聴かせる。バッハ以外のルーシェの代表作だ。



Jltmozart 2005年

「ジャック・ルーシェ・トリオ/モーツァルト ピアノ協奏曲第20番、第23番」UCCT-1146

 ここまで来ると、いよいよ行き着くところに来たかという印象だった。これはストリングス・オーケストラとの共演で仕上げたものである。
 私にとっては、ちょっとモーツァルトとの印象の違いから、あまり素直に受け入れられないアルバムではあったが・・・



 こうして、ジャック・ルーシェの挑戦は、良きにつけ悪しきにつけ楽しませてくれたことは事実である。しかし、彼の築いたバッハ演奏とは、やはり異なった世界であることも私は強調したい。これらの中ではショパンのソロは、それなりに出来上がっているが、それはトリオでなくソロとしての作品であったことが良かったのかも知れない。
 そして2006年になって、彼の方向は再びバッハに向かうことになる。(次回)

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2008年4月29日 (火)

ジャック・ルーシェJ.Loussierとプレイ・バッハ(その4)

第3期を迎えたジャック・ルーシェ・トリオ

 1985年の2期トリオが1990年代にかけて円熟味を増す中で、テラークと契約して、彼らの意志かレコード会社の希望なのか、その点は定かでないが、1997に我々を驚かすことが起きる。

Jltvivaldi  約40年ルーシェはバッハのみにその作品を作り上げてきたが(モーツァルトを自作曲集で一度取り上げてはいるが)、1996年ついにバッハ以外の作曲家の作品にアプローチを開始した。

「ヴィヴァルディ:四季」(TELARC/PHCD-1550)

これは驚きで1997年に発表された。バロックの元祖的ヴィヴァルディの特にポピュラー的にも扱われる”四季”を取り上げたことに、新たなトリオの意欲を感ずることとなった。
 しかしこの後、ベースのシャルボニエが倒れ、更にルーシェの方向に変化がもたらされる。

Jltsatie  そして1997年、ベースにブノワ・デュノワイエ・セゴンザックを迎え、第3期ジャック・ルーシェ・トリオが誕生し、1998年「プレイ・サティGymnope'dies Gnossiennes」(TELARC/PHCD-1570)
を発表。
 ここでもバッハから離れたルーシェを見る。しかもバロックから一歩も二歩も離れたトリオに驚きを隠せなかった。

Plbtakebach この1998年には、ピアニスト姉妹のペキネルとジャック・ルーシェ・トリオでバッハの演奏を行っている。

「TAKE BACH」
(TELDEC WPCS10494)

これはジャック・ルーシェの別作業アルバムでした。

Jltbolero そしてこのトリオは更にラヴェルへもアプローチし、ルーシェの作曲した組曲も披露する。

「ラヴェル・ボレロ」(TELARC/PHCD 1578)

ここに来て、ルーシェの名作への挑戦が明確になってくる。

Jltbachgoldberg2000年になると・・・・・・

 しかし、ここではバッハに立ち返った彼の姿が見える。特にバッハの技術的に難しい曲をお披露目したことは、彼は決してバッハ以外に安易に挑戦しているのではないと言いたかったのだろうか。

「プレイ・バッハ:ゴルトベルク変奏曲」(TELARC/PHCD 1593)

 彼の長いプレイ・バッハ歴の40年にしてゴルドベルク変奏曲は初めての録音であった。

Jltdebussy  2000年になって、前アルバムにて、ルーシェはバッハに戻ったと我々は思っていたが・・・なんと更にピアノ曲制覇を目指すがごとく、ドビュッシーの登場となった。

「フレイズ・ドビュッシー/月の光」(TELARC/UCCT1008/2000)

 もうここまで来ると、バッハとは異なる世界を如何にJAZZとして仕上げるかの興味が沸いてくる。しかし”月の光”がこうなって迫ろうとは、ただただ脱帽のトリオの演奏であった。
 こうして、第3期ジャック・ルーシェ・トリオは止まるところを知らず、2000年代に入ってもバッハから離れて多彩な作曲家に挑戦するのが続くのである。

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2008年4月27日 (日)

ジャック・ルーシェJ.Loussierとプレイ・バッハ(その3)

円熟味を増す2代目ジャック・ルーシェ・トリオ

 1985年の新トリオ(ジャック・ルーシェ(P)、ヴァンサン・シャルボニエ(b)、アンドレ・アルピノ(per))は、バッハ生誕300年を記念して各界からルーシェのジャズ・バッハへの期待が大きく、その為誕生したと思って良いのだろう。
 前回紹介した「デジタル・プレイ・バッハ」「バッハ・トゥ・ザ・フューチャー」の2枚のアルバムは大きな歓迎を受けた。

Plbgreatest_2 そして、1988年には彼らの新しい試みがスタートした。

フランスのクラシック・トランペット奏者のギ・トゥブロンを迎えて、このトリオに加えての新しい試みの
「ザ・グレイテスト・バッハ THE GREATEST BACH」(K32Y6252)を発表。
 選ばれた曲は”パルティーダ第1番変ロ長調BWV.825”、”管弦楽組曲第2番ロ短調BWV.1067”だった。



Plbbrandenburg_2 更に1988年には
「ブランデンブルグ協奏曲第1.3.5番」(K32Y-6251)

 これはオーケストラをバックに披露したアルバムで、新しい試みにてリリース。
 決してクラシックとしてのバッハのスタイルにとらわれるのではなく、ジャズとしてのバッハをトリオを生かして演奏している。

 



Playbachld89 当時のこのトリオはジャック・ルーシェにとっても最も円熟していたのではないだろうか。そしてレーザー・ディスクによる映像ものもお目見えする。
 
 1989年ミュンヘンでのライブ録音・録画されたもので
「プレイ・バッハ89」
・・・・
として登場。この時にはシャルボニエのベースも非常に評判よく、又ルーシェ自身のインプロヴィゼイションも以前に増して充実したと評された。この映像ものはまさに私にとっての宝物である。






Plbtoday
1994年「プレイ・バッハ・トゥデイ」 (TOSHIBA-EMI/TOCJ-5921)

Plbconcertos
そして1995年「恋人達のコンチェルトConcertos for Lovers」(TOSHIBA-EMI/TOCJ-5961)を発表する。
  もうバッハのジャズ演奏では世界の注目を一身に浴びる存在であった。

 その後の彼らのトリオは名実ともに評価を受けていたが、この二代目トリオ結成12年を経て、ベーシストのシャルボニエが卒中にて倒れるアクシデントが起きる。ルーシェにとってはそれを契機に又新しい世界を開拓することになる。

Plbanniversary  シャルボニエが倒れる以前の1993、94年録音ものを、ルーシェのブレイ・バッハのファースト・アルバム以来の40周年記念として
「The Bach Book Jacques Lossiier Trio 40th Anniversary Album」(TELARC/PHCD-1587)
が1999年に発売されたことも、(既にこの時にはルーシェは新しいベーシストを迎え、バッハ以外の曲にもアプローチを開始しているにもかかわらず)如何に当時のトリオが受け入れられたか解る。


Plbencore  今日、ルーシェのクラシックのジャズ・トリオ(3代目新トリオ)による演奏はこの10年非常に多岐に渡る作曲家の作品に及んでいる。この2007年には、やはり1992年録音ものを・・・・
「ブレイズ・バッハ・アンコールPlays Bach Encore!」(TELARC/CD-83671)
として、2代目トリオものを発売している。プレイ・バッハは、この2代目トリオで一つの頂点に達し完成したとみてよいのであろう。そして新しい動きが1996年に出てくるのだ。

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2008年4月22日 (火)

ジャック・ルーシェJ.Loussierとプレイ・バッハ(その2)

ジャック・ルーシェ、再びバッハへの挑戦開始

 前回紹介した「ブランデンブルク協奏曲第2番/第5番」の2LPは、それまでの第1~5集までとはジャック・ルーシェ・トリオがオーケストラとの競演したということで、意義は異なっていた。と、同時に1976年に日本でリリースして私がこのアルバムを手にした時は、実は彼らはバッハ演奏のLP制作には既に終止符を打っていたのが後に解った。
 このトリオは1971年1973年と二度来日して、日本にもファンは根付いていたのであるがこの1976年の後、約10年という長い期間、過去の彼らのアルバムを楽しむしかジャク・ルーシェを聴くすべはなかったのである。

 そして、約10年後の1985年(ジャック・ルーシェがバッハを演奏してデビューして20年後)、なんと再び我々の前に、LP時代からデジタルCD時代に変化しての新トリオでプレイ・バッハはお目見えすることになった。

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ジャック・ルーシェのピアノを中心に、ベース:新進気鋭のヴァンサン・シャルボエ、ドラムス:ベテランのアンドレ・アネピノのトリオとしてスタートする。バッハ生誕300年しとての世界的記念事業にも刺激されたことは事実であろう。そして我々の前には、以前にも増してスリリングな演奏をするトリオが甦って来たのだった。

<Jazz>
「The Newest PLAY BACH in Digital Recording (デジタル・ブレイ・バッハ)」KING RECORDS / K32Y6030 / 録音1984/発売1985

Plbdigital_2

 かっての好演の11曲を新トリオにてデジタル好録音にてリリース。もちろん私はすぐさま飛びつくことになった。バッハの曲群がジャズという手法はとっていても、けっして原曲を崩すことなく自然なアドリブを要所に導入し、現代にバッハを生かしている演奏には、非常に好感がもてた。

Johnlewisbach_2 しかし、面白いことに全くタイミングを一にして、あのジャズ界では押しも押されぬMJQ(彼らの演奏にジャック・ルーシェも触発されてジャズ界に入ったとも言われている)のピアニスト、ジョン・ルイスもバッハを演奏してアルバムをリリース
「プレリュードとフーガ」 
(左:全て写真はクリックで拡大します)。このことは我々には何重にも楽しみを与えてくれたし、又ルーシェにとってもこの上ない刺激になったと思われる。






そしてルーシェの活動は更にエネルギーを高めてバッハの協奏曲への挑戦の結果も翌年1986年発表する。

<Jazz>
「PLAY BACH "Bach To The Future"」
KING RECORDS / K32Y6105 / 1986

Plbfuture

ここには、バッハをジャズで・・・それは自己の20年の歴史から自分なりきに築いてきたルーシェの自身がみなぎっている。まさに名盤。前作の過去の演奏の焼き直しでなく、見事に新しいレパートリーの開拓を成し遂げている。
 
 こうして、再スタートを切ったジャク・ルーシェは、この後も更なるバッハへの挑戦を続けて行く。これは私自身の1960年代からのリアル・タイムなロックと平行してのジャズ分野における重要な位置を占めている。
(従って、更にジャク・ルーシェは”その3””その4”と、この私のブログでは過去を振り返りつつ、書き込みを続けて行くことになるでしょう)

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2008年4月21日 (月)

ジャック・ルーシェjacques loussierとプレイ・バッハ

フランスが生んだ粋なモダン・ジャズ

 バッハをジャズで・・・ということになれば、ジャック・ルーシェJacques Loussierです。
 私が初めてジャック・ルーシェのプレイ・バッハを聴いたのは1965年だった。それも当時はオーディオ界でも音質が良いと言われ発売していたオープン・リールのテープから聴いて圧倒されたのを思い出す。ベースとドラムスに絡まってのピアノのバッハの旋律は、新しい世界を感ずる感動であった。フランスで「プレイ・バッハ」がLPでお目見えしたのは、1959年。ジャック・ルーシェがデッカ・レコードのオーディションでたまたま弾いたバッハが認められ、トリオを組んでのスタートとなったという。

Jlt_2
ジャズ界ではその名も知れたベーシストのピエール・ミシュロPierre Michelotとドラマーのクリスチャン・ギャロChristian Garrosとトリオが組めたのも25歳のルーシェにとっては幸いの事であったと思われる(写真上、クリックで拡大します)。
 ”平均律クラヴィーア曲集 第1巻”より前奏曲第1番ハ長調BWV.846のルーシェのピアノから始まりベースが続き、静かにシンバルの音がバックを支える。ゾクっとする瞬間である。

 こうして、ジャック・ルーシェのプレイ・バッハに接することが出来た私であったが、その後しばらくは、クラシック関係はバロックから離れショスタコーヴィッチ、マーラーと大作交響曲方面に傾倒していていたため、このルーシェのことも忘れていた。
 又1960年から1970年にかけては、それまで無視していたロック界ではあったが、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(CCR)の”スージーQ”を聴いて、ロック・ミュージックの世界に引き込まれていた。そしてキング・クリムゾン、ピンク・フロイド、サンタナに夢中になったが・・・・。

Playbachvol1  しかし再びジャック・ルーシェのプレイ・バッハとの出合が訪れたのは、1976年レコード店で、左のLPに接したことから始まる。なんと10年も前の感動したアルバムの復刻盤がお目見えしていたのだ。早速購入したのは言うまでもない。そして左が第1集で、聴いみて解ったが、これは日本で初お目見えしたものではなかったのだ。(日本においてはこのシリーズの第4集が、1964年にまず発売されたようだ。それが私の初めて接触したものであったのだ。それは勿論フランスでも記念すべき第一号)
「プレイ・バッハ第1集」(LONDON-King / JPN / GP191 /1976)

1.シンフォニアBWV.29 2.コラール前奏曲BWV.735、3.コラール第16番BWV.684 4.幻想曲とフーガ ト短調bwv.542  5.コラール前奏曲第1番bwv.645

Playbachvol2 続いて当時発売されたLPは全て手に入れることとなる。
「プレイ・バッハ第2集」(LONDON-King / JPN / GP192 /1976)

1.イタリア協奏曲ヘ長調BWV.971  2.<2声のインヴェンション>より 第1番、第13番、第8番、第14番、第15番 3.幻想曲ハ短調BWV.906
ここにみるジャック・ルーシェのバッハは、フランスというお国柄であったからこそのフランス特有のユーモアやエスプリとしての価値観を当時のアルバムのライナーノーツの岩浪洋三が強調している。まさにそれであったのであろう。

Playbachvol3
「プレイ・バッハ第3集」
(LONDON-King / JPN / GP193 / 1976)

1.パルティータ第1番変ロ長調BWV825
2.主よ人の望みの喜びよ BWV147
3.前奏曲 BWV.851
4.アリア BWV.1068
5.フーガ BWV861
6.前奏曲 BWV.866

このあたりで、ジャック・ルーシェが如何に深くバッハを理解し、そして洒落たジャズ・プレイをしているかが、一般に知れ渡ったのではないか。

Playbachvol4
「プレイ・バッハ第4集」
(LONDON-King / JPN / GP194 / 1976)

<平均律クラヴィーア曲集 第1巻より>
1.前奏曲とフーガ第1番 BWV.846
2.前奏曲とフーガ第2番 BWV.847
3.トッカータとフーガ ニ短調  BWV.565
4.前奏曲第8番 BWV.853
5. 前奏曲とフーガ第5番 BWV.850

この第4集こそ、日本でのジャック・ルーシェのプレイ・バッハ・シリーズの初公開アルバムであったのだ。それは特にバッハとしてはポピュラーなトツカータとフーガ二短調が収録されていたためかも知れない。(このアルバムこそ、1959年録音の記念すべき「プレイ・バッハ」第一号である)

Playbachvol5
「プレイ・バッハ第5集」(LONDON-King / JPN / GP195 / 1976)

1.トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV.564
2.シチリアーノ BWV.1031
3.目をさませよと呼ぶ声が聞こえ BWV.645
4.バッサカーリア ハ短調 BWV.582

  こうして一気に5集が再発され、ジャック・ルーシェ・トリオのアルバムを私は、あの10年前の感動から自分の世界に引き込むことが出来たのである。 

そして更にこの年には

「ブランデンブルク協奏曲第2番へ長調bwv.1047/5番ニ長調bwv.1050」(LONDON-King / JPN / GP196-197 / 1976)
・・・・・の2LPもお目見えした(これは今思い起こすと懐かしいが、「PHASE 4 STEREO」というタイプのLP盤である)。

Bbrugconno2Bbrugconno5
この7枚のLPは、私にとっては宝のようにされていることは言うまでもない。目下LPのターンテーブル(当時評判のデンオンDP-80)不調のため、お蔵入りしているが、目下LPを聴くことの再スタートを目論んでいる私である。

(その後のジャック・ルーシェのプレイバッハは次回に書きたい)
(追記)2016.8 問題のLPターンテーブルDP-80は、現在復調して完動している。

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