ナイトウィッシュ

2020年4月19日 (日)

ナイトウィッシュNightwishのニューアルバム「HVMAN NATVRE」

"人類"と"自然"をテーマに、オーケストラをフィーチャーしての壮大なドラマ

<Symphonic Metal Rock>

Nightwish「HVMAN NATVRE」(Human Nature)
WardRecords / JPN / GQCS90881-2 / 2020

Humannature2w

Floor Jansen – vocals
Tuomas Holopainen – keyboards
Marco Hietala – bass & vocals
Emppu Vuorinen – guitars
Kai Hahto – drums
Troy Donockley – Pipes, flutes & whistles

 フインランドのシンフォニック・メタル・バンドのナイトウィッシュの5年ぶりのスタジオ・ニューアルバムの登場だ。既に世界的バンドに成長した彼らが6作連続でナショナル・チャート1位という金字塔を建てたところで、ここに9thアルバムは“ヒューマン=人類”と“ネイチャー=自然”を2大テーマにした壮大なCD2枚組アルバムだ。メンバーは変化なしの歌姫は前作以来のオランダのフロール・ヤンセンが相変わらず務めている。又ドラムスはカイ・ハートがこのところのメンバーとして落ち着いての初アルバムとなる。
 2枚目CDは、そのすべてを使ったインストゥルメンタル組曲「All The Works Of Nature Which Adorn The World」は、フル・オーケストラをバックにシンフォニックな演奏の世界を披露する。

Nightwishw

Floorjansen1 (Tracklist)

CD1
01. Music
02. Noise
03. Shoemaker
04. Harvest
05. Pan
06. How’s The Heart?
07. Procession
08. Tribal
09. Endlessness

CD2
01. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Vista
02. All The Works Of Nature Which Adorn The World – The Blue
03. All The Works Of Nature Which Adorn The World – The Green
04. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Moors
05. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Aurorae
06. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Quiet As The Snow
07. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Anthropocene (incl. “Hurrian Hymn To Nikkal”)
08. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Ad Astra

 

 昨年リリースされた最新ライヴ・アルバム/映像作品『DECADES:ライヴ・イン・ブエノスアイレス』もチャート1位に輝いたし、フロール・ヤンセン(ヴォーカル)が初のソロ・ツアー。マルコ・ヒエタラ (ベース、ヴォーカル)もソロ・アルバムとライヴを行うなど、昨年はそれぞれのメンバーの活動も盛んであった為、ナイトウィッシュはどんな状態かと、若干いろいろな噂も多かったが、遂に5年の間をおいての待望のニュー・アルバムが我々の前に出現した。

Nightwish3

 メインはCD1で、スタートM1."Music"はメタル・バンドとは思えない静かな深遠なスタートである。大地の鼓動を感じさせる。そして美しいコーラス、次第に盛り上がる中にヤンセンの高音の優しいヴォーカル、ドラマの開幕にふさわしい。そしてギターが響き、成る程、テーマ"自然"にふさわしい世界が出現する。これは完全にコンセプト・アルバムとして受け入れられるが、バンドのリーダーであり全曲作曲しているツォーマス・ホロパイネン (キーボード)は、本作のコンセプトは当初から考えたので無く、曲を作っていく中での“偶発的コンセプト・アルバム”と言っている。
 M2."Noise"冒頭から軽快なリズム、そして中盤からはメタリック・サウンドに。人類の、自然界の不安な部分を歌い上げる。
 M3."Shoemaker" なんといっても美しい曲だ。未知の世界へ夢を。
 M5."Pan"、M6."How's the Heart"は、 人間を取り巻く世界の夢と現実の現象をドラマチックに歌い上げる。
 M7."Procession" ヤンセンの美しく優しいヴォーカルでスタート、地球の生命の誕生そして人類賛歌に流れてゆく。
 M8."Trival" ここに来て神と宗教に、メタリック・サウンドで対峙。最後は深遠なる世界に。
 M9."Endlessness" 大地、宇宙、人間の物語を壮大に演奏し、ヒエタラのヴォーカルが締めくくる。

Tuomash  深遠さとドラマチックと疾走感と神秘のシンフォニック・サウンド、そして優しさと美しさと・・・更にドノックレイのパイプによるトラッドぽい匂いも加味して見事に色彩豊かな世界を織り交ぜての一大ドラマの展開である。ここに来てヤンセンの世界も完全にナイトウイッシュの世界と同化し、曲展開も緩・速、強・弱、美しいメロディー、ドラマティックな重厚感と壮大な展開などメリハリが効いているために飽きさせない。そしてトータルの流れは、なんと芸術的匂いすら感じられる。お見事。

 CD2は、ツォーマス・ホロパイネン(→)がおそらくやりたかったシンフォニック・オーケストラとの共演によるインストメンタル交響詩だ。なんとクラシック音楽を聴く感覚で"地球と自然"に想いを馳せて、一時を納得してに聴き込める。

 とにかくゴシック・メタル、シンフォニック・メタルで世界を制覇したナイトウィッシュの壮大な絵巻のアルバムの登場である。

(評価)
□ 曲・演奏 :   ★★★★★☆   95/100
□ 録音   : ★★★★☆   80/100

(視聴)
   "Music"

 

 "Noise"

 

 

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2020年2月 1日 (土)

ナイトウィッシュNightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」

オフィシャル・ライブ映像盤~~彼らはやっぱり映像がいい
オペラティック・メタル、シンフォニック・メタルの華

<Symphonic Metal>

Nightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」
Ward Records / JPN / Blu-ray / GQXS-90414 / 2020

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Tiomas Holopainen : Keys.
Floor Jansen: Vocals.
Marco Hietala: Bass,Vocals
Troy Donockley : Uilleannpipes, Low whistles, Vocals.
Emppu Vuorinen: Guitar
Kai Hahto: Drums

 世界的に人気のフィンランドのシンフォニックメタル・バンドのナイトウィッシュ、そのライブ映像盤。彼らは今や、オランダのウィズイン・テンプテーションと両横綱的存在といってよい。
 ナイトウイッシュの最新スタジオ・アルバムは2015年『Endless Forms Most Beautiful』で、既に四年以上経過しているが、その間、2017年には『VEHICLE OF SPIRIT』(Nuclear Blast / USA / NBA 3850-7) のライブ映像盤のリリースがあり、そして2018年にベスト・アルバム『Decades(Best of 1996-2016)』(HMHR180302-305)がリリースされ、その記念ワールド・ツアーが全82公演にも及んだ。その中のブエノスアイレス公演を完全収録したものである。

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Nw1  収録曲は右のように全21曲で、初期のヒット曲に加え近作『Endless Forms Most Beautiful』の収録曲という構成である。2018年9月30日のブエノスアイレスの“エスタディオ・マルヴィナス・アルヘンティナス"で、収録技術陣も大がかりでのステージを収録したもの。八千人と言われる熱気ある大観衆とのやりとりがしっかり捉えられており、サウンド面もDTSサラウンドで臨場感は十分。この手はやっぱりスクリーンに投影して、サラウンドの大音響で聴くのが一番だろうね 。(笑い)

 とにかく、ターヤ、アネッテ、そしてあアフター・フォーエバーのフロール・ヤンセンのサポート(2012年)から正式加入と歌姫三代目のナイトウィッシュだ。しかし意外に良かったのは、英国のイリアンパイプ奏者のトロイ・ドノックリーを加入させたことでしょうね。彼は私はケルティック・フォーク・ロックの「Iona」での演奏がお気に入りだったんだが、ナイトウィッシュに招かれ、そして加入、これによってこのバンドの演奏は一層シンフォニックの味も厚みがつき、又ケルト的ムードの神秘性を秘めるようになり、ツォーマスの世界との安定した重複によって充実したというところだ。

 3曲目の"With I had an Angel" あたりから、会場もそして演ずる彼らも元気が出て、続く4曲目の"10th Man Down"が、得意の物語調に曲を進めて、展開がメリハリ、締まりの良い曲に仕上げた結果、非常に盛り上がる。
 6曲目"Gethsemane"のシンフォニック・メタルそのものもインパクトあり。
 9、10曲目はヤンセンの美的ヴォーカルが聴きどころ。特に10曲目"Dead Boy's Poem"は、しっとり聴かせ、情緒たっぷりだ。そして後半メタルに転調しての曲の変化の流れがリーダーのツォーマスの手法の上手いところだ。
Nw3  11曲目"Elvenjig"は彼らの演奏の見せどころ、ドノックリーのパイプが効果的で、なかなか神秘的で良い。
 13曲目"I Want My Tears Back"のヒット曲はリズムカルで楽しく、会場全体も跳ねての一体感に包まれる。
 14曲目"Amaranth"は当然盛り上がり、15曲目のトノックリーのヴォーカルがなかなかのもの。歌姫は横に置いておいて、アルバムの一曲ぐらいは、彼と歌の旨いマルコで歌わせるのも良いのでは。
 16曲目"The Kinslayer" この曲を聴くと初代ターヤを思い出しますね。ここに来て彼女も映像盤リリースしますが、やっぱりナイトウィッシュ時代のような圧倒するものは残念ながら少し弱い、つまり曲や演奏もいかに大きいかですね、ツォーマス偉大なり。
 18曲目"Nemo"も登場してサービス満点。

 とにかく、彼らのステージは楽しい。迫力と美しさと懐かしさと神秘的なところも盛り込んで、良いステージだ。まあ楽しむ意味においても、このようなBlu-rayでのステージ映像盤は大歓迎である。
 近々9作目のスタジオ・ニュー・アルバムがリリースされることになっていて、それに伴ってツアーも企画されている。ロックも岐路に立っていて世界的に低調の中、フィンランドのからゴシック・メタル系で出発した彼らが、オペラティック・メタルそしてシンメトリック・メタルという形を作りつつ、そろそろ20年の経過を音楽的充実をしながら世界規模に展開しているのは楽しい限りである。
 

Nw4 (参考) ナイトウイツシユ過去のスタジオ・アルバム

①エンジェルズ・フォール・ファースト Angels Fall First (1997年)
②オーシャンボーン Oceanborn (1998年)
③ウィッシュマスター Wishmaster (2000年)
④センチュリー・チャイルド Century Child (2002年)
⑤ワンス Once (2004年)
⑥ダーク・パッション・プレイ Dark Passion Play (2007年)
⑦イマジナエラム Imaginaerum (2011年)
⑧エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル Endless Forms Most Beautiful (2015年)

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆  95/100
□ 映像・録音   ★★★★★☆  90/100

(視聴)

 

*

 

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2017年3月11日 (土)

ナイトウィッシュNightwishライブ映像盤「VEHICLE OF SPIRIT」

圧巻のシンフォニック・メタル・ロックは更なる充実をして・・・・・
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<Symphonic Metal Rock>
Nightwish「VEHICLE OF SPIRIT」
Nuclear Blast / USA / NBA 3850-7 / 2017
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  Tiomas Holopainen : Keys.
  Floor Jansen: Vocals.
  Marco Hietala: Bass,Vocals
  Troy Donockley : Uilleannpipes, Low whistles, Vocals.
  Emppu Vuorinen: Guitar
  Kai Hahto: Drums


2 女性リード・ウォーカルで苦労したフィンランドの注目のロック・バンド「ナイトウィッシュ」、ターヤの後のアネット・オルゾンから2012年にオランダの元アフター・フォーエヴァーそしてリヴァンプAFTER FOREVER/REVAMPのフロール・ヤンセンFloor Jansen(→)を招き、更に英国のケルト・ロック・バンドYou Sloshを結成してトラディッショナルな世界を構築するドノックリーTROY DONOCKLEY(あの名ケルティック・フォーク・バンドのアイオナでの活躍が印象的)が加入しての目下の最新作は2015年の「ENDLESS FORMS MOST BEAUTIFUL」だ。
 そしてその後の2015年から16年にかけて行われたワールド・ツアー「Endless Forms Most Beautiful World Tour 2015-2016」の模様を収録したライブ作品(昨年訪日も果たしている)。英国ウェンブリー・アリーナ公演と母国フィンランドのタンペレで行われた公演の2つのライブをBlu-ray2枚にフルセットで収録し更に世界各地での模様も納めてのサービスを加えたた映像版だ。

       *           *
1■ ウェンブリー公演 
取り敢えずメイン収録は英国ロンドンの”WEMBLEY ARENAもの”と言うことで、その収録セット・リストは右のとおりである。主としてニュー・アルバムからと、過去のヒットを織り交ぜての公演だ。
 まあ、ツォーマスTiomas Holopainen 、 マルコMarco Hietala、エンプEmppu Vuorinenの3人は当然としても、やっぱり注目は フロール・ヤンセンだ。彼女はもともとロック・バンドにおけるヴォーカルの経験は十分なので、勿論不安は無いが、今回はナイトウィッシュに本格的参加のニュー・アルバムを引っさげての登場であり、そして以前から宣言しているようにターヤを意識しないで、自らの世界を造ると息巻いていたんで、どんなモノかと注目するわけである。
 結論から言うと、このバンドとしての役割は十二分に果たしていたというところ。なにせあの体格から訴えるヴォーカル、そしてパフォーマンスは見事。そしてかねてからの経験で、ソプラノから低音部まで余すとことなくリクアーしている。ツォーマスのダイナミックな曲群をなかなかこなすのも大変だろうが、難なくロッカーとして唄い上げ演技しているところはさすがである。

Troydonockley2014 ドノックリーTroy Donockley(←)の参加で、ケルテック・ムードも加味されて一層ナイトウィッシュのスタイルが厚みを持った。
 今回のアルバムも、彼らは"種の起源"やリチャード・ドーキンスの生態進化学などに因んだコンセプトアルバムであっただけ、彼のUilleannpipesなどの古楽器を生かしての演奏は素晴らしい。人間の発生・進化論と自然がテーマという深遠さとダイナミックを十分にこなしている。とにかく畳み込んでくる彼らの世界は圧巻である。
 ただし、心配なことにユッカ・ネヴァライネンJukka Nevalainenは病気の為、ドラマーは Kai Hahtoが務めているが、ユッカと違ってドスンバタンの迫力は少ないが、なかなか繊細なシンバル・ワークもあってこれはこれで悪くない。

Thw■ タンペレ公演
 そしてもう一つ彼らの本拠地フィンランドのタンペレTampereで行われた公演も別の一枚のBlu-rayに納められている。こちらは更に画像は良好で音質も標準をクリアしている。彼らのステージでの息の合ったプレイも見もので価値がある。この第3期ナイトウィッシュは一層充実を果たしていて、ツォーマスの満足の域にある表情が見られホッとするのだ。
 このメンバーのオフィシャル映像は"WACKEN open air live show"の『Showtime, Storytime』(2013年)以来だが、比較すると格段に内容共に良くなっている。
       *          *
 さて、ここで余談だが、止めておけば良いのに、どうしてもフロール・ヤンセンとターヤを比較したくなる。そこで何年か前のライブの改良Blu-ray映像版『End Of An Era』があるので取り敢えず面倒だが比較してみたのだ。やはり”Eva Dream”、”Nemo”などの曲を比べるとターヤのヴォーカルのオペラテイックな魅力には敵わない。しかし、まあそうは言っても現在のところ、現行ナイトウィッシュはやはりロック・パワーのフロール・ヤンセンの魅力、そして音楽的にはシンフォニックな完成度が更に高くなっており、そのスケールの大きさはまさに敵なしの存在と言って良いと言えるのだ。
(参考視聴)

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2015年3月26日 (木)

ナイトウィッシュNightwishの力作新譜登場「ENDLESS FORMS MOST BEAUTIFUL」

やっぱり、やってくれます・・・・壮大な絵巻ナイトウィッシュ万歳!!

<Symphonic Progressive metal ROCK>

Nightwish 「ENDLESS FORMS MOST BEAUTIFUL」
NUCLEAR BLAST Records / UICN-9027 / 2015

Endless
 再び三度、フインランドのナイトウィッシュの壮大な絵巻の登場だ。今年の”ナンバー1ロック”が早くも登場してしまった感ありの会心作。
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 あの2012年のナイトウィッシュ最大の危機、”IMAGINAERUMツアー”中の二代目リード・ヴォーカリストのアネッテ・オルゾンの解雇。その後のAFTER FOREVERのフロール・ヤンセンを起用して米国ツアーを見事に乗り切って、新たなナイトウィッシュ世界を構築した。
(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/nightwishfloor-.html
 そして2013年からの構想、作曲、続いての2014年に3ケ月のサマー・キャンプを張ってレコーディングなど18ヶ月で制作したニュー・アルバムの登場だ。

Endlesslist 全11曲約80分のトータル・コンセプト・アルバム。なんと最後の曲”The greatest show on earth”は25分に迫ろうという大作。その物語性、地球上の生命体に迫ろうという壮大なミュージック展開、静・動の交錯と神秘性を加味した音の流れ、これぞクラシック、ロック等その他のミュージック・ジャンルを超えた圧巻の世界である。一つのプログレッシブ・ロックだ。

 オープニング”Shudder before the beautiful”、2曲目”Weak fantasy”で、疾走するナイトウィッシュが、コーラス隊をバックにフロール・ヤンセンFloor Jansenのヴォーカルを効かせて、メタル・サウンドとオーケストラとの融合による絵巻のスタートを聴かせる。特に2曲目はヤンセンの歌唱力をみせつける曲。
 以前からの宣伝曲”Élan”では、ヤンセンの歌い込みと、トロイ・ドノックレイTroy DonockleyのUillieann pipesの調べによって、民族的な人類の原点を感じさせてくれる。”Yours is an empty hope”では、これでもかと、益々洗練されたナイトウィッシユ・ダイナミック・サウンドを披露。
 彼らが忘れないのは、”Our decadses in the sun”にみる人間の郷愁と愛情の世界。ヤンセンの美しいヴォーカルが堪能できる。
 とにかくニュー・アルバムごとに、更なる新世界を披露してくれるナイトウィッシュには脱帽して敬意を払いたいところだ。お見事!!。

Endlessnw 今回のこのアルバムのテーマは、惑星の神秘性と地球上の生命体の誕生とその躍動、そして未知なる未来への世界への憧れ・・・・と、言うところなのか。とにかくリーダーのツォーマス・ホロパイネンTuomas Holopainen<Key>の創造性の止まるところを知らない才能がまたもや見事に開花している。

 アルバム・タイトルは、進化論のダーウィンの言葉からとられているとか、いやはや大それたテーマに挑戦したナイトウィッシュに、またまた圧倒された今回のアルバムだった。
 メンバーはMarco Hietala のベース、ヴォーカルも健在。もちろんEmppu Vuorinen ギターも奮戦している。ただ残念なのはドラムスのJukka Nevalainen が体調不良で休息、代わりにKai Hahto が務めている。

 なおこのアルバムは2枚のCD(一枚はインスト・バージョン)、一枚のDVD(制作記録、”Élan”ミュージック・ビデオ)より成っている。

 (試聴)

”Élan”

”Rock in Rio 2015”

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2013年12月16日 (月)

ナイトウィッシュNightwish+フロール・ヤンセンFloor Jansen = ライブ映像登場 「SHOWTIME, STORYTIME」

期待の完璧ライブ映像がBlu-ray高画質で・・・・・・

<Symphonic Metal Rock>
 Nightwish 「SHOWTIME, STORYTIME」
       (2Blu-ray + 2CD)  NUCLEAR BLAST  2206-0 ,   2013

Showtime

 遂に出ました期待の完璧ライブ映像盤がBlu-ray高画質で。そしておまけにサウンドのみのCD2枚付き。「IMAGINAERUM」ツアー中に、ヴォーカリストのアネッテの首から急遽登場したオランダ出身のフロール・ヤンセンFloor Jansen(1981年生まれ)によって、一層パワー・アップしたご存じフィンランドのナイトウィッシュNightwish。多くの期待をもってしてここにライブ映像がリリースされた訳だ。

  この映像アルバム4枚組で、8月3日に出演したドイツのフェス<the Wacken Open Air festival>のパフォーマンス映像を収録している。17台のカメラを駆使して撮影された約85分のライヴ本編に加え、CDとBlu-rayには120分のツアー・ドキュメンタリー「Please Learn The Setlist in 48 Hours」やPV、ツアー中に撮影されたというテーブル・ホッケー「NIGHTWISH Table Hockey Tournament」の映像を収めたボーナス・ディスクも付属された。(もちろんDVD盤もあるが、この映像ですから是非Blu-rayで)

(Members)
ツォーマス・ホロパイネン Tuomas Holopainen - Keys&Piano

エンプ・ヴオリネン Emppu Vuorinen - Guitars
ユッカ・ネヴァライネンJukka Nevalainen - Drums
マルコ・ヒエタラ Marco Hietala - Bass, Vocals
フロール・ヤンセン Floor Jansen - Vocals
トロイ・ドノクリー Troy Donockley - Uilleann Pipes, Low Whistles, Vocals

 とにかく2012年秋のUSツアー中に、突然女性リード・ヴォーカルのアネッテが解雇という驚きの顛末。このツアーは彼女無しで2012年始めからヨーロッパ・ツアーを行っており、そして彼女は出産後の秋からの参加であったが、如何にも力不足というかバンドのツォーマス以下の彼等の期待に添わなかったというのが実情だろう。このあたりのドタバタがドキュメンタリーでしっかりと見れる。特に2012年9月28日のOGDEN THEATER(DENVER USA)から顔を見せず、当日会場にて、"彼女は発熱、嘔吐などで出演不可であること"のトロイ・ドノクリーとツォーマス二人での挨拶があり、公演スタート。なんと代役はその当日公演開始55分前に2人の女性を立てた。それはALISSA WHITE-GLUZとELIZE RYDの二人で、片手に歌詞ペーパーを持ちながらの演技だった。こんなことが記録されていて、今回のドキュメンタリーはなかなか見応え有り。

Thumb_338_auto さてそこで、なんとREVAMPのフロール・ヤンセンに連絡して、二日間で15曲の特訓。10月1日のSHOWBOX SODO(Seattle .USA)から彼女の特別参加リード・ヴォーカルでUSツアー公演を継続したのだった。しかしその結果の反響は凄く、むしろプラスに作用して各地での公演は大成功を収める。何と言ってもプロは凄いですね、フロール・ヤンセンは二日間であれだけの曲を身につけたんですから。そして彼女は大柄でロック・パフォーマンスも地に着いており、しかも高音までしっかり伸びるヴォーカルと、つい当時我々も期待してしまったぐらいであるから。
 とにかくその後のUK、フインランド、ブラジル・リオなどの公演は大成功をおさめる。

 そしてこのツアーに同行となったヴォーカルのフロール・ヤンセン (REVAMP, ex-AFTER FOREVER)と、マルチ奏者のトロイ・ドノクリーTroy Donockley (uilleann pipes, low whistles, vocals) は、今年秋になって、ナイトウィッシュに正式加入したと発表。トォーマスは「我々はバンドのラインナップについての決断を2014年まで待つつもりだったが、この1年間の活動でFloorとTroyがバンドにマッチしていることが分かった」と説明している。これも又驚きのニュースであった。(2014年はナイトウィッシュのツアーは休みのため、フロール・ヤンセンはREVAMPの活動は続けるようだ)

(ライブ映像リスト)

01. Dark Chest Of Wonders     02. Wish I Had An Angel
03. She Is My Sin                   04. Ghost River
05. Ever Dream                      06. Storytime
07. I Want My Tears Back        08. Nemo
09. Last Of The Wilds             10. Bless The Child
11. Romanticide                     12. Amaranth
13. Ghost Love Score             14. Song Of Myself
15. Last Ride Of The Day        16. Outro (Imaginaerum)
(
BONUS   17. I Want My Tears Back    18. Ghost Love Score)

Thumb_194_auto 私としての歓迎は、フロールと共にもう一つは、イリアン・パイプのトロイ・ドノクリーの参加だ。彼の演奏によりムードは更に広がり、ナイトウィッシュのサウンドに更に厚みが加わった。彼は思い起こせば、アイオナIONAとの共演があるが(確か一時正式メンバーになっていたとも思うが)、ナイトウィッシュのアルバム「IMAGINAERUM」 に貢献し、2012年のツアーには同行している。とにかく印象に残る民族サウンドの名手だ。

 この映像アルバムのカメラ・ワークは見事で、彼等の今までのモノの中では当然最高に位置する。Blu-rayの機能を十分堪能できる。そして上記18曲のステージをたっぷり見れる。若干難を言うと、サウンド面に於いて重低音の録音がやや弱く、音域が狭い感がある。先日のドリーム・シアターのライブ映像ものとの比較ではその点が一歩譲っているといえる。 

 いずれにせよ、とにかくフロール・ヤンセンとトロイ・ドノクリーの合流は、もともとのナイトウィッシュのメンバーに、非常に明るいパワーを及ぼしたと言っていい。そして結果的に、この「IMAGINAERUM」ツアーは、大成功となった。そして直ちにライブ映像盤のリリースとなって我々を喜ばせてくれたのである。こうしてシンフォニック・メタル・バンド(ゴシック・メタル)の雄が、かってのターヤがヴォーカルをとった頃の活力がここに再び蘇ってきた感があり喜んでいるところだ。

(試聴)http://www.youtube.com/watch?v=pvkYwOJZONU

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2012年10月19日 (金)

ナイトウィッシュNightwish 第三世代に突入 : フロ-ル・ヤンセンが目下新ヴォーカリストに

”IMAGINAERUM ワールド・ツアー”中にアネッテ・オルゾン脱退
~フロ-ル・ヤンセンが奮戦中

New_nightwish  いやはや驚きましたね。ここに来て"新ナイトウィッシュ"なっちゃたんです。先般ナイトウィッシュNightwishの今年のツアーの模様の映像ものを紹介したばかりです。そしてどうもしっくりしないヴォーカルのアネッテ・オルゾンの事も書いたのですが(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/nightwishimagin.html)、なんとツアーの最中のこの10月にバンドの一つの看板であるこの女性リード・ヴォーカルのアネッテを首にしちゃったんですね。
 なんとなく解らないこともないように思いますが、それでも驚きました。(これはつい先頃、フレさんのブログ”ロック好きの行き着く先は・・・”で初めて知りました)

Floor2  新リード・ヴォーカルは元After Forever そしてReVampのフロ-ル・ヤンセンFloor Jansen、彼女はオランダ出身ですね。ナイトウィッシュのフィンランドとも隣みたいなもので何とかなるんですね。しかもそのステージを観ると、いやはや格好いい、もともと身長もあるので堂々たるステージで、しかもアクションも見事。アネッテの素人のカラオケまがいな形振りとは大違い。さすがはベテラン(1981年生まれ)、もう既にギターのEmppuは食われてますね(笑)。あのMarcoといい勝負。
 さて、その唄ですが、ほんとに何時勉強(?)したのか、堂々と一夜ステージの全曲をカンニングなしで歌い込んでみせる。これがプロなんでしょうか?。ちょっと信じられない出来映えに会場も大騒ぎ(まあ想像ですが、もう既にしばらく前からこの話は出来ていたのでしょうね、そうでなければ出来すぎです)。あの”Nomo”も、トロイ・ドノックリーが加わって、アコースティック・タイプで朗々と歌い上げるところは立派としか言いようがない。

Newnightwish2b  新ステージの模様が左の通り、中央のフロール・ヤンセンが目立ちますね。彼女はあくまでも臨時なのか、それとも新メンバーなのか?、目下”ワールド・ツアー”進行中、さてさて、このメンバーはこれからどうなってゆくのかは判らない。それでもニュー・アルバム位は出して欲しいです。取りあえずライブものでも良いですから。

<下が、ナイトウィッシュからの公式発表>

報道発表

2012年10月1日

Nightwish の新章は今日で終わりました。Nightwish と Anette Olzon は、別々の道を歩むことを決意しました。これは関連するすべての人たちのため、互いの理解の元での決断です。

ここしばらくの間、バンド内の方向性や要求が衝突しているのが明らかになってきていました。そして回復不能な溝にまでなってしまいました。

Nightwish は、どのショーもキャンセルしません。その証拠に2012年10月1日に行われたシアトルのショーでは代役を立てます。彼女はオランダ生まれの Floor Jansen。元 After Forever、現在は ReVamp のボーカリストです。我々の Imaginaerum ワールド・ツアーを手助けするため、華麗に登場してくれます。

この旅に対して、この魂の乗り物に対して、我々は激烈に身を投じています。きっと誰にとっても明るい未来に繋がると信じているからです。

この先いつであっても目の前の冒険に興奮してやまないことでしょう。共に作り上げた美しい2枚のアルバムを、共に分かち合った素晴らしいショーを、我々は心から誇りに思っています。

- NIGHTWISH & Anette Olzon

(追記 2012.10.20)
 やはり、フロール・ヤンセンへの話は以前からあったと言っていますね。もともとは11月からの予定であったと。従って早まったために1週間の練習でライブ参加という強行軍であったとか。

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2012年8月30日 (木)

ナイトウィッシュNightwish映像~Imaginaerumツアー2012

オペラティック・メタルと言われる世界は完成域

Germany2012_2 <DVD> Nightwish 「GERMANY 2012 & MORE」
Bootleg , Audience shot ,  2012

 昨年末に登場したナイトウィッシュのアルバム「IMAGINAERUM」は、ヨーロッパ各地で好セールスを記録、日本でも圧倒的支持を得た。その”Imagiaerumzツアー”は今年春から進行中、各国で熱狂的に迎えられている。(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/nightwishimagin.html
 リード・ボーカルのアネッテの出産のために、しっかりと休まされたバンド・メンバーの彼らは、その分、曲の練り込みは見事で、完成域の高いアルバムをリリースしてくれた。ツォーマスの曲作りも佳境に入っているという印象。

 しかし現在残念ながらオフィシャルなライブ映像盤のリリースはなく、それでも見たいというファンの心理。そうとなればブートでも見ようかというところの一枚。
 ここに収録はドイツ・フランクフルトのJahrhunderthalleのもの(APR 23, 2012)。更にフィンランドのヘルシンキはJäähalliにおけるもの(MAR 10, 2012)のオーディエンス録画・録音である。

2012list 収録曲は20曲で、ドイツは主たるところの12曲となっている。

 オーディエンスものであるから想像に難くない音と映像であるが、それでも見れない代物でなく、それなりに鑑賞は出来る。

 さて、彼らの演奏は既に板に付いたもので余裕たっぷりの演奏であるが、先ずは驚きはアネッテ・オルゾンの姿である。いやはやアデルが出てきたかと思うほどの体格の変化、つまり出産後と言うことであろうか?、多分10kg以上は太ったと思う。そして舞台での演技もかったるい。もともとあまりセンスを感じさせるところのない彼女のダンスやバフォーマンスであるが、今の姿は頂けない。とにかくナイトウィッシュの音楽のキレが全くないのだ。いやはやよわったものだ。
 ターヤの熱唱がイメージにある”NEMO”なんかは、やっとこさ唄っているという印象であった。

Nightwishandtroy  それはそれとして、このアルバムを聴いたときに、ケルティックなパイプの調べが印象的であったが、このライブ映像であらためて知ったが、あのアイオナにも参加していたトロイ・ドノックリーTroy Donockleyが参加しているのだ。彼のUilleann pipesが効果を上げているし、特に”The crow, the owland and the dove”では彼の演奏が見事にムードを盛り上げ、このライブでも一つの大きな位置を占めている重要な曲になっていることが見て取れる。彼のパイプの音は、今回のツアーでは”nomo”などの演奏にも生かされている。更にヴォーカルでもいい役割を果たしている。
 そうそうヴォーカルというと相変わらずベースのマルコはうまいなぁ。更に油がのってきた。
 
 かっては、コシック・メタルの範疇で語られ、そしてシンフォニック・メタル・バンドとしての位置を確立し、今やオペラティック・メタルという表現でも語られるナイトウィッシュ、目下世界ツアー中で、大いなる成功を期待するところ。

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2011年12月 6日 (火)

ナイトウィッシュNightwishのニュー・アルバム「IMAGINAERUM」~今年最後に最強アルバム登場~

お見事!、壮大なオペラテックでメタリックな世界が圧倒的スピード感と美しい旋律を伴って展開!!

Imaginaeruma 「NIGHTWISH / イマジナエラムImaginaerum」 Nuclear Blast 27361 273890 ,   2011

 既にシングル”Storytime”で期待は膨らんでいたナイトウイッシュの待ちに待ったニュー・アルバム登場。
 なんと、前作から4年の熟成を経てここにリリースされた。あのリード・ヴォーカルのターヤの後釜に座ったアネッテの出産の為に制作が遅れていたが・・・、それだけ時間があっただけに今作の出来は素晴らしい。
 既にこの11月末に彼らの国フィンランドではリリースしたと同時に数時間で50,000枚が売り上げられ、タブル・プラチナムとして認定されたとか。

Imaginaerumlist 収録曲は左のように全13曲、しかし聴いてみると、完全にトータル・アルバムとして完成している。最終曲”Imaginaerum”のインスト曲により、オーケストラによる曲の纏めが見事で、なにか夢の世界にいたかの如くの気分で終息する。もうここまで来ると彼らはと言うかバンド・リーダーのトォーマスは、一大絵巻を作り上げる作曲者でありそれと同時に演出家でもあると言って過言でない。
 日本盤は来年になりそうだが、これはこの2011年のベスト1に挙げてもおかしくない出来だ。しばらくこのアルバム漬けになりそうである。
 
Tuomas1  オープニング曲”taikatalvi”は、静かにキーボードをバックにマルコであろうヴォーカルで大絵巻のスタートのように始まり、2曲目にあの”storytime”が、アネッテの歌声が登場して一緒に歌いたくなる気分に軽快に展開。ああ、久し振りに聴くナイトウィッシシュと実感させる。バックのコーラスも美しく、オーケストラも登場。確かにヒット性十分の解りやすい曲。
 第3曲”ghost river”もリズムカルにスタートし、マルコのヴォーカルが入ってから次第にメタリックな演奏に変調しナイトウィッシュらしい展開。後半には児童コーラスかのような響きが入ってアネッテの声がそれに包まれていく。
 4曲目は”slow,love,slow”はゆったりと、そして異様な世界に導くが如くアネッテのヴォーカルだ。エンプのギターも久々に泣きを聴かせる。静かに終わり時計の秒を刻む音が次の曲に導く。

 こんな調子でとにかく飽きる事なく進行する。特に6曲目”scaretale”には、ナイトウィッシュの多彩な面を全てつぎ込んで、オペラティックにこのアルバムの中盤を次のインスト曲”arabesque”と共に盛り上げる。いやはや恐れ入る。
 
Anette ”turn loose the mermaids”では、アネッテの民族的な雰囲気のある唄が聴ける。
 ”rest calm”は一転してヘビーな演奏と化す。ここにはマルコのヴォーカルは必需品の如く顔を出すが、やはりナイトウィッシュらしく中盤からのアネッテの唄の部分は聴かせに変調。特にバックにコーラスを登場させると美しく変身。
 ”the crow,the owl and the dove”で取り敢えず中休み。
 ”song of myself”は、三つのパートに分かれるが、ナイトウィッシュ節の展開とこのアルバムの姿を凝縮している曲とみた。ドラムスとコーラスの掛け合いが面白く、最後は語りで纏め上げる。しかし実に美しい。
 
 とにかく、この年末に来て恐ろしいとも言える絶賛のアルバムが登場したものだ。"さすがナイトウィッシュ"というところで、諸手を挙げて大歓迎してしまった。
 本日手にしたところの初聴きで感想を書いた。これから聴き込んでゆくと、又いろいろと評価が出てくると思うが、それはそれ耳を傾けて私は大いに彼らを来年にかけて話題にしたいと思うところである。
 (尚、今回のアルバムは二枚組で、もう一枚はヴォーカル抜きの同曲のインストゥメンタル曲集である)

 Nightwish   Anette Olzon : vocals
                  Marco Hietala : bass & vocals
                  Emppu Vuorinen : guitars
                  Jukka Nevalainen : drums & percussion
                  Tuomas Holopainen : keys & piano 

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2010年10月29日 (金)

ターヤ・トゥルネン Tarja のニュー・アルバム「WHAT LIES BENEATH」

今作はかなり気合いの入ったメタル色の加味したヘヴィ・ロック・アルバム

 もう前作から3年近く経過しているんですね。ナイトウィッシュからの離脱は、どんな事情があるにしてもちょっとがっかりでしたが、ソロとしてのターヤ名義の前作「My Winter Storm」は若干方向性に迷いのあるアルバムだった。ソロとしての道に暗中模索していたのであろう(そして本家ナイトウイッシュはその後の一枚でまだニュー・アルバムはない。目下トーマスが練りあげているようだが)。もともとクラシックにも通じている彼女であるだけに、ソロとしての方向性は難しいところであったと思う。

Whatliesbeneath 「Tarja / WHAT LIES BENEATH」 The END records TE-165-2 , 2010

 今回のアルバム、スリーブ・デザインはターヤの顔写真だが、三通りあり購入におやっと思ったが、私の買った左のものはデラックス盤のようでCD二枚組である。しかし一枚目が今回のアルバムで、もう一枚はボーナス盤のようだ。(このアルバムの日本盤のリリースはこれからの11月の予定)
 
 さて、このアルバムだが、オープニング曲”anteroom of death”にはSEが入り、ハープシコードと2バイオリン・1ヴァィオラ・1チェロの弦楽四重奏の加わった出で立ちでスタートするため、おやっクラシック調?と思うが、ヘヴィ・ロックなサウンドが炸裂する。そして彼女の歌声と混声合唱が加味して進行する。なかなか味なスタートである。
 2曲目”until my last breath”になると非常に聴きやすいヘヴィ・メタルに変化する。これにキー・ボードも入ってエレクトリック・ギターもまさにナイトウィッシュ調になる。はは~~ん、やっぱりターヤはこれなんだなぁ~と、今回の彼女の方向性がここで見えてくる。

 (収録曲)
    1. anteroom of death
    2. until my last  breath
    3. dark star
    4. under neath
    5. little lies
    6. rivers of lust
    7. in for a kill
    8. montanas de silencio
    9. falling awake
   10. the archive of lost dreams
   11. crimson deep

Tarjat  ”Little lies” ベヴィなサウンドが結構快感だ。そしてその後に”River of lost” では、彼女の説得ある歌唱を披露。そして再びヘヴィ・メタル・サウンドに”in for a kill” で展開、彼女の例の凄みすら感ずるヴォーカルが迫ってくる。バック・バンドもオーケストラと共に奮闘。
 ”montanas de silencio”は、女性コーラスをバックに静かな世界。このあたりは彼女の歌唱力で聴かせてくれる。
 最終曲”crimson deep”はゆったりと重厚にそして壮大に締めにふさわしく展開、ターヤも思い存分歌い上げている。

 このアルバムはなかなか気合いの入った作で説得力もある。やはり歌唱力は最大の武器だ。今年の後半のロック界の名作にもなりそうな出来だ。こりゃ~~ナイトウィッシュもうかうかしていられない。
 取り敢えず、彼女も今年多分33歳になると思うが、クラシックかポピュラーかの道に多分悩むところはあろう、しかしこうしてヘヴィ・ロックに帰ってきたターヤ(Tarja Soile Susanna Turunen)を歓迎して、このアルバムに乾杯しておこう。彼女の国フィンランドでは当然喝采を浴びせていることであろう。

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2010年3月16日 (火)

ウィズイン・テンプテーションのアコースティック・スタイルの賛否両論

アコースティック・シアター・ライブはそれなりに受けた

 2008年にウィズイン・テンプテーションWITHIN TEMPTATIONの「Black Symphony」(CD+DVD) をここで取り上げてから、もう一年以上になる。

Withintemptacoustic  現在に於いては、左の2009年のアルバム(ライブものであるが)が 最新のもの。

「WITHIN TEMPTATION / An acoustic night at the theatre」 ROADRUNNER RRCY 21355 , 2009

 シンフォニック・ゴシック・メタルといっていいこのグループが、エレクトリック・ギターに変わりアコースティック・ギターを取り、メンバー6人が椅子に座っての演奏。それにヴァイオリン、チェロ、ヴィオラなどを加えての作り上げた世界は、彼らのどういった意味なのか?興味は沸いてくるところでもある。

 そもそもこのライブ・アルバムがリリースされたのは、2009年10月で私が購入したのが12月、そしてそれから3ケ月経ての現在である。いつもなら聴いたら直ちに感想を書くのが私の習性であるが、この盤に対してはどうも評価が難しかった。あのオーケストラと合唱隊をバックに、ゲストも迎えての彼らのパフォーマンスは全開で壮大な「Black Symphony」のライブ(Ahoy,Rotterdam , 2008.2.7)は成功であったと思うが、その印象を変えた今回のスタイルは何か意味があるのか?と思いつつ見守っているうちに3ケ月を経過してしまった。つまりこの間には特に特別の事もなかったと言うことである。

Within2acousticb_2 ただしどうもこのライブ録音は2008年11月30日であることより、そして2009年には(6月)にはあのヴォーカルのシャロンの第2子出産があったようで、このことからも椅子に座った落ち着いたシアター・ライブを行ったとも言えないことはない。(余談であるが、あのナイトウィツシュNightwish のヴォーカルのアネッテも妊娠で、目下活動休止中。Tuomas は新曲を書くに時間を費やしているようだ。従ってニュー・アルバムも2011年で、しかも後半になってしまうようだ)

 そして、よくよく考えてみれば、このアコースティック・スタイルも彼らの初の挑戦でもなく、あのパフォーマンス全開の壮大な「Black Symphony」ライブでも中盤におて、”Forgiven”、”Somewhere”、”The Swan Song”、”Memories”の4曲は、このスタイルで演奏している。つまり、今回のアコースティック・ライブも、特に彼らの音楽的な新しい展開と言うことよりも、諸々の事情から単にこのスタイルで一貫して行ったと言うことに過ぎないのであろう。
 結果的には、このスタイルではシャロンのヴォーカルが更に前面に出て、ま~いわゆる彼女のファンにとってはたまらないと言うことでもあろうし、結果的にはそれなりに受けも良かった。やってみるとこれはこれ行けないこともないと言ったところか?(しかし、一方には、やはり彼らの圧倒的なパワーのシンフォニック・メタリックな展開を期待したいというところもありそうだが)。どうも私の結論は難しく考えない方が良いというところに落ち着きそうだ。

 もう一つ、こうした小編成の落ち着いたアコースティックな音というのは、かなり繊細なところまで要求される。従って彼らの演奏技術もそれなりに進歩し、又音楽的な完成度にも至ってきたことでもあると考えられる。聴いてみてもそれなりに出来上がっている。
 一般的に、多くのミュージシャンも、一度はアコースティックなバージョンに挑戦したくなると言うのも良くあることであるし、このことは歓迎して良いのであろう。
 
 このアルバムを聴いてみて、改めてシャロン・デン・アデルというのは、良しきにつけ悪しきにつけ、やっぱり高音の歌手だなぁ~と思った次第である。ただ、私自身の好みからは、バンドとしての演奏が好きなタイプで、時にヴォーカル抜きのインストゥメンタルな曲も一つのアルバムには二、三取り入れて欲しいと思うところでもある。



 

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