メコン・デルタ MEKONG DELTA ~その2~
ドイツのメタル・ロック界の頭脳的・技能的・技術的集団?
そもそもこのバンドは”リーダーはベーシストのビヨルン・エクルンドなる得体の知れない人物の音楽実験プロジェクトとか?そしてそれはドラマーのゴードン・パーキンスの両者をもとに結成されたものだ”という謎を一つの売り物としてスタートした。Firstアルバムではプレイヤーの顔写真もジャケットにはなかった。しかし、複雑なサウンドとスラッシュな時代を意識してのメタル・ロック、そこにクラシックをも昇華してゆくアプローチに喝采が浴びせられたのは事実だ。その後、ドイツのHR/HMのバンド・メンバーがバックを固めているところから、次第にこのバンドの全容が明らかになっていった。 特にリーダーでありメイン・ソング・ライターのビヨルン・エクルンドなるものは、ラルフ・ヒューベルト(所属レーベルの創設者でプロデューサーである)あることが判明して、ようやくこのバンドが、その目的意識も含めて一般に知られていくことになった。
我々にとって、そのような経過はそれとして、EL&Pによってカヴァーされたクラシックのなかでは最も前衛的といわれた「展覧会の絵」からの曲を1stそして2ndアルバムで披露し、更にヒナステラの「TOCCATA」を演奏し3曲入りシングルをリリースしたところは、いやがおうでも注目した。しかし、残念ながらアルバムに納められたそれ以外の曲群をこなすのは私にとってはかなりの難題。しかしニュー・アルバムとなると必ず手にしなければならなかったことは、プログレッシブ・ロック界に刺激を求めていた私自身の結果であったのであろう。
とくに3rdアルバム「THE PRINCIPLE OF DOUBT」の”twilight zone”あたりは感動ものであった。
その後、4thアルバム「DANCES OF DEATH」においては、オリジナル組曲展開し、それにムソルグスキーの”はげ山の一夜”を更に聴かせたあたりは、私の期待にかなり応えてくれたと喜んだものだ。
更に1992年になってのアルバム「KALEIDOSCOPE」では、ハチャトリアンの”剣の舞”を聴かせ、続く1994年には、私としてはようやくアルバムを最初から終わりまでを聴き込めた彼らの集大成としてのアルバム「VISIONS FUGITIVES」発表。ここには過去のクラシックへのアプローチ、そしてそれをスラシュ・メタル技法による演奏を自己のものとして作り上げた誇りが見え隠れする。これが彼らの行き着くところであったのかも知れない。
そして、続いて「展覧会の絵」全曲をバンドのみとオーケストラとの合奏の2タイプで演奏しきって幕を閉じていた。まさに彼らのプロジェクトの幕締めであったのであろう。
ところが、2008年になって、この間約10年の沈黙を経過し、新メンバーによるアルバム「LURKING FEAR」(KICP-1289)の発表となった。
演奏スタイルはスラッシュ・メタルの色合いが濃くなっている。ところが、最終曲にソ連の革命から第二次世界大戦(ナチス・ドイツとの戦い)さらにスターリンの恐怖政治時代を生き延びたショスタコーヴィチの曲を取り上げている。彼らはこれから何を求めて行くのか?私自身がついて行けるかは疑問もあるが、出来る限りは期待を込めて注目はしてみたい。
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