雑談

2017年3月17日 (金)

[Culture]ボールペン文化・・・万年筆を超えられるか?

最高の書き味のボールペンは???

 このブログの事の始めは、「日頃の興味話」をと思っていたのですが、いつの間にかミュージックに偏ってしまっている。しかしそれも当然の結果だったのかも知れません。これからも多分そんな姿が続くのかとも・・・・・と、言うところなんですが、時には身近な雑談も良いのかなぁ~~と・・・・今日はこんな話になりました。

■前置き■
 私のように歳も重ねたものは、重要文書をボールペンで書くというのは未だにピンとこない。又一般の記録物にも、その書き味も昔の万年筆文化で育った者としては納得出来ないのである。しかもつい最近までは、ボールペンで沢山書くと、とにかく手が疲れる。

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愛用の万年筆
SHEAFFER
(←)

Zebra_g_2 勿論、仕事場に於いては、私はつい最近まで「Gペン」(→)にインクを付けて書いていたのだが、周囲から嫌がられて、最近はしぶしぶポール・ペンを使うようになった。(驚いたことに”つけペン”と言われる「Gペン」って知らない若者が多いのですね。あれほど書きやすく、値段も安くて便利なものを知らないとは・・・)
 又、ちょっと書類などにサインしてくださいと言われたときに、万年筆を出すと不思議がられる・・・変な世の中になったものだ(私的感覚)。

 かって私の師匠は、「記録というのはブルー・ブラック・インクで書きなさい」と指導された。それはこのインクは時間を経るに従って質が変化して、水につけても溶け出さないで滲まなくなる上に、時間の変化もおおよそ解ると言うことであった(従って書類に年を経てから追記した場合、その事は解るのだ)。今もそのブルー・ブラックは私の愛用インクだが、書き味から”PARKER”のものと決めている。それははっきり書き味のなめらかさが違うからだ。もうかなり前だが、並べて比較してみても国産はとても敵わなかった(ここに来ての現在はどうだろうかは不明)。ただしその成分などは未だに研究したことが無いので何故かは知らない。

■主題■
 さてところが驚いたことに、近年のボールペンの変化も著しい。それは非常に滑らかに書きやすくなったことだ。従ってこれならば私は書類を書くに当たって納得出来るのである。
 とくに油性のインクによるボールペンが一般的であるが、書き味が良いという水性のゲルインクのボールペンも現れている。又書かれた線の太さにも太字・細字のタイプもあって、用途によって使い分けられる。

Photo(←)水性ゲルインクの書き味No1は、「ペンテル・ENERGELエナージェル」でしょうね。

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 さて、ここでは従来からの「油性のもの」に焦点を当てると、まあ若干細めではあるが、目下私が一般的には使用するようにようやくなったのは、標準タイプの0.7mmというタイプだ。それも近年の書き味の滑らかさの改良は著しく、このところは最も良いと思ったものは、一世を風靡した「三菱鉛筆・JETSTREAMジェットストリーム」であった。

Photo_2 ところが、近年更に滑らかさと、線の美しさでの私の評価では、No1に躍り出たものがある。
 それは「ぺんてる・VICUÑAビクーニャ」だ。目下私はその中で右のタイプ(多機能ペンEX3シリーズBXW3375 0.7mmタイプ)を愛用しているのだが、その滑らかさは抜群である。又書いた線の安定性も良く、黒も美しい。ここまでポールペンは改良されたかと感動しているのである。

 そして更にこの改良時代なら、その他のものはどうかと研究(笑い)を進めたのであるが、以前から時には必要で使用していた名門ドイツ製「モンブランMONTBLANCも更に改良されているのでは?と思い、さっそく最近のレフィルを取り寄せて入れ替えてみた(↓の写真の上がもう10年以上前のもの、下が先日取り寄せた新しいMystery Black というレフィルである。ちょっと注意が必要だが、このように見た目は新旧同一ものに見えるが、ノック式のペンにおいて取り替えてみると若干先端の出方が小さく異なっていた。何かの理由によって変更されているようだ)。

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 しかし残念ながらこのモンブランMONTBLANCは、日本の近年のものには書き味の滑らかさにおいて全く及ばない。いやはや恐るべし日本の文房具メーカーだ。

 そこで、やや太めの線を描いてくれるボールペンも欲しいと言うことで、今度は諸々のメーカーのものを試し書きしてみたが、なんと太めでは「PILOT CUSTOM 74」(アクロインキ使用)がなかなか良好であった。

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 写真(↑)、上部のレフィル・ケースに乗せてあるのが10年前のレフィルを近年のモノに交換したMONTBLANCのボールペン。手前が先日購入した「PILOT CUSTOM 74」である。

 まあ、書き味の好みは人それぞれと思うが、ここでの評価は全く私個人のものであり、特に滑らかさに焦点を当てての感想だ。(皆さんはどうですか?、良いモノがあれば教えて欲しいです)
 こうして万年筆から、時代に遅れることのないよう日本の「ボールペン文化」になんとか適応しようと心がけているのであるが・・・・・・・・。
 しかしまだまだ・・・・私の万年筆文化は続くことと思っている今日この頃です。

(参考視聴)

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2016年6月19日 (日)

初夏と写真とミュージック:”改造レンズ”、”企画もの~NEW YORK TRIO”

写真撮影~改造レンズの味

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 我が家の庭には、私はまったく手を出さないのだが、薔薇が一面に咲き、そしてその盛りも終わって、いよいよ初夏を迎えた。春から今年は気温が高い日が多く、いつの間にか夏になってしまったという感がある。これも歳のせいで季節感覚も鈍くなったのかなぁ~と、ちょっと寂しいのだが。この写真もそんな時の1カット。レンズ効果の一例だ。

 

P6161774trw 私の一つの趣味の世界である「写真・カメラ」に関しても何となく現Digital時代となって、夢中になる時も無くなってきているのは、そのDigital化のせいなのか私の歳のせいなのか、そのあたりはよく解らないが・・・・とにかくかってような夢中になることが無くなっていると言うことは事実だ。
 そんな時に、ふと昔のパソコン通信(PC-VAN)の時代の友(写真SIG)である/tenさん製作のレンズを思い出して、使ってみたのがこの一枚である。(興味ある方には又別に詳しく)
 (参照)「SL66LIFE photography」 http://sl66life.sblo.jp/

 最近のDigital機は、カメラ搭載ソフトによってアートフィルターとかアートエフェクト効果をもたらして画像を作り上げるのと、コンピューター機能画像ソフトによって諸々の効果をもたらすと言うのが主力だろうと思うのだが・・・・、と、言うことは取り敢えず撮ってきて後処理を行うという作業のウェイトが高い。
 かってのフィルム時代のアナログ機撮影においては、その操作はレンズ効果が最も中心であった。そんな意味でも色々の工夫をアナログの世界で行った訳で、それは主として撮影現場に於ける操作であった。今となるとそれが懐かしいし、それが夢中になる興味を推し進めたんだろうなぁ~~と思うのであるが?。

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<今日のミュージック>

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~The Best Coupling Series~
NEW YORK TRIO
「Stairway To The Stars / Always」
Venus Records / JPN / VHCD-1199 / 2016

Bill Charlap(piano)、 Jay Leonhart(bass)、 Bill Stewart(drums)


 これは、先般取りあげたニュー・ヨーク・トリオのアルバムNo4とNo7の二枚のアルバムのカップリング盤。こうゆう企画は廉価になるので大賛成。特にVenus Records にはかなり貢いでいるので(笑)当然やって欲しい企画だ。
 とにかくBill Charlapのピアノを中心にしてのこのトリオは、スタンダード・ナンバーを快く聴かせてくれる技は一流と言って良いだろう。又スウィングするジャズの基本を十分心得てのアドリブはなかなか楽しい。そんな意味でバック・グラウンド的ジャズ観賞を楽しむには、まずはお勧めモノである。

(視聴)

 

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2016年5月 3日 (火)

例年より早い「春の花」も一段落 / サンタナSANTANA 原点回顧

もう木蓮も咲き誇って散りました・・・・・・・・・・・

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           「くれはもくれん」 Nikon D800 AF-S NIKKOR 50mm 1:1.4G 

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牡丹も満開を過ぎました・・・・・・

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<今日のミュージック>

サンタナSANTANA原点回顧の3アルバム~オフィシャル盤

 サンタナの原点回帰のReunionによって、懐かしの45年前に気分を運んでいってくれた。おかげで若き気分でこのところ頑張らせて頂いてます・・・単純なもんですね(笑)。

1 Santana「Live At The Fillmore'68」
  Sony Records / SRCS8300-1 / 1997

カルロス・サンタナとグレック・ローリーが中心となっての6人編成「サンタナ・ブルース・バンド」としてスタートしたのが1966年。その後ブルース・バンドからロック・バンドに体制変化をしてのウッド・ストックへのデビュー前の1968年のライブ記録盤。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/santana-d610.html

2SANTANA 「On the road to Woodstock」
Rokarda Records / 250283 / 2011


 1967年にオーナーからの指示でラテン・ロックへ方向転換後の彼らのスタジオ録音版を収録している。
 ブルース・バンドの余韻の残っている曲群が収録されていて興味深い。特に14分に及ぶ”Santana Jam”などが聴きどころ。今となっては確かにこれは貴重盤。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/santana-on-the-.html

3SANTANA 「THE WOODSTOCK EXPERIENCE」
Columbia / Legacy 88697 48242 2 / 2009


ウッドストックでの彼らのプレイを全て収録している。ここまで良質な録音であれば納得もの。
 なお、これにはオリジナルのデビュー・アルバム「SANTANA」がCD版として付いてくる。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/santana-santana.html

(参考視聴)

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2016年4月27日 (水)

花のシーズン : 豪華な牡丹の開花

豪華さでは牡丹ですね・・・・  本日開花

 我が家でも「梅」から始まって「ヤマツバキ」「桜」「木蓮」「モッコウバラ」「ハナミズキ」など・・・順に盛んに咲きました。そして目下「春」真っ盛りとなりました。
 「花」に弱い私ですが、なんと言っても豪華なのは牡丹ですね。我が家には「赤」「黄色」「白」の三種が花を付けるのですが、10年位前に長野県伊那の高遠の牡丹寺として知られている遠照寺から頂いた赤の牡丹(当時は鉢に植わった20センチほどの牡丹の木でした)が毎年立派な花を付けるのです。
(学名 Paeonia suffruticosa Paeonia : ボタン属 suffruticosa : 亜 低木状の Paeoniaは、 ギリシャ神話の”医の神” 「Paeon」の名 に由来すると)
 
 なんと今年は一本の木から41ケの花が咲きます。本日朝に開花しました。つぼみも含めて41ケあるのです・・・・・いやはや驚きです。  

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                                        *             *          *

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<今日のミュージック>

    Nicki Parrott 「SAKURA SAKURA」
         Venus Records / JPN / VHCD-1068 / 2012

Jz12121902 こちらは牡丹でなく”さくら”ですが・・・しかし春の明るさはこのアルバム・ジャケですね。

 全国今年は桜の開花も早く、既にその時期は終わってしまいましたが、北海道はどうなんでしょうか?。
 このアルバムは、中身は全曲Springで充ち満ちています。

(参照)
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/nicki-parrott-s.html

(試聴)

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2016年4月24日 (日)

「サンタナⅣ」 VS 「King Crimson : Live in Tronto」

懐かしの60年代両雄の全く相反する復活劇

今日は雑談・・・・・・サンタナに軍配か?


「サンタナⅣ」 Santana 4 Records / S4007 / 2016

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 ニールショーンがカルロス・サンタナをくどいてサンタナⅠ、Ⅱ、Ⅲのメンバー5人が45年ぶりに勢揃いした。
 驚きは懐かしの曲群のオンパレードで”昔の名前で出ています”スタイルでなく、メンバー全員でのニュー・オリジナル曲での完全なニュー・アルバムを作り上げたことだ。

                    VS

「King Crimson :  Live in Tronto」 PANEGYRIC/DGM5013/2016

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新キング・クリムゾンは7人バンドとしてお目見えした。これはかってのメンバーのメル・コリンズもいるが、完全な新メンバーと言って良い構成で、サンタナとは逆に昔からのヒット曲を中心のライブ録音盤。メル・コリンズのサックスによって曲のニュー・バージョンと言う衣装替えは評価できる。

           サンタナ                キング・クリムゾン

 ①メンバー  オリジナル・メンバー      ←→   新メンバー(どちらかと言えば
②構成     7人構成(
現バンド2人協力)   ←→      7人構成
③構成特徴  ドラムス・パーカッション3人  ←→    ドラムス3人
         キーボード            ←→    サックス                   
④演奏・録音 スタジオ録音          ←→   ライブ録音
⑤録音の質  優                 ←→    良
⑥曲      ニュー・オリジナル曲(
共作)  ←→   過去のヒット曲(フリップまかせ
⑦曲内容   ラテン・ロック          ←→     プログレ、メタリック・ハード
⑧話題性   100                 ←→     100
⑨盤      CD , LP , Blu-specCD     ←→    CD , 2UHQCD
⑩来日公演  無                ←→     有
⑪意気込み 郷愁ではなく、情熱       ←→    フリップの逆襲
⑫ジャケ   Ⅰの発展系の迫力       ←→        単なるステージ・スナップ

 サンタナは、めくるめく怒涛のラテンロックワールドをエネルギッシュに新曲で展開している。45年の経過でも、当時の心意気が伝わってくる。既に”Anywhere You Want To Go”はヒットしている。私は”Fillmore East”が注目曲。
 キング・クリムゾンは3ドラムスのパワーとサックスによる色づけ変化を見せつけ、中身はファンにとっては涙ものの懐かしの曲のオンパレード・・・・と、言うところだが。ちょっと過去のファンにとってはJakkoのヴォーカルの線が少々細いか?。
 やっぱり勝負は新曲を作り上げたサンタナが優勢。
 それとオフィシャル・アルバムであるから、最高の音質を期待するわけだが、サンタナの優良音質は高評価。一方キング・クリムゾンはやはり一歩後退。しかも大阪もののブートSylph盤よりもそれぞれの楽器の鮮明さと低音部の迫力に一歩譲っている点も納得出来ない(ステレオの左右広がりという点ではSylphより勝っていた)まあ並の良録音レベル。

 こんなところだが、これからは現在の逆で、クリムゾンは"新曲によるニュー・アルバム"が出るかも知れない・・・むしろ出して欲しい、それによって逆転ありか?。サンタナは今年のこのメンバーによる"ライブ録音モノ"が出るかも知れない。それはライブでは”soul sacrifice”始め”black magic woman”など懐かしのヒット曲をも演じているので。
 いずれにしてもそれに加え両者には又ライブ映像モノも期待するところだ。

 余談ですが、まあしかしサンタナの元気には脱帽、この後更にニュー・セッション・バンドの企画有り。それは女房のドラマー・シンディ・ブラックマンの企画で、「Supernova」の結成、これにはギターのサンタナにウェン・ショーター、ハービー・ハンコック、ジョン・マクラフリンそしてもちろんシンディのドラムスという布陣。こちらのジャズ、フュージョン・サウンドも期待度大だ。

(試聴) SANTANA Ⅳ

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(試聴) King Crimson

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2016年3月25日 (金)

懐かしの西部劇と音楽=モリコーネEnnio Morriconeとマカロニ・ウェスタン -私の映画史(23)-

映画音楽が盛り上げたと言えば「マカロニ・ウェスタン」

 もともと私は映画音楽から音楽に興味を持った人間と言ってもよいくらいに、感受性豊かな年頃の時は映画音楽が花盛り。ヒット・チャートでも殆どが映画音楽が上位を占めていた。
 最近、ふと昔の映画が懐かしくなって観ることがあるのだが、懐かしの西部劇となればやはり日本の時代劇と同じに、アメリカ本場の西部劇も1939年の『駅馬車』がスタートで、ジョンフォード監督、ジョン・ウェイン主演のパターンの歴史みたいなものだったとも言えるが、とにかく1950年代が花。この辺りの映画については今までもすこしづつ触れてきたのでいずれ又もう少し掘り下げたいが・・・、1960年代にはもはや西部劇も斜陽映画となってしまった。

 ところが、なんとイタリアが自国での映画の不振に陥り、その一つの突破口として、日本の黒澤明監督・三船敏郎主演の『用心棒』(1961年)からヒントを得て、所謂「マカロニ・ウェスタン」作成に入ったら大当たり。これから一時代を築くことになった。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-6db1.html

Em1_2 そこで「マカロニ・ウェスタン」で、ふと思い出すのは、所謂『ドル箱三部作』(Dollars Trilogy)、または『名無し三部作』(Man with No Name Trilogy)と言われたクリント・イーストウッド主演、セルジオ・レオーネ監督作品のマカロニ・ウェスタン3作品だ。
 そして音楽はこの三作ともエンニオ・モリコーネEnnio Morricone(1928~)だ。これによって彼も映画音楽作曲家として世界的になった。そしてその後の映画界に残した音楽としての功績は大きく、現在も80歳後半に入って健在。そうそう思い起こせば『ミッション』、『アンタッチャブル』、『海の上のピアニスト』も良かったですね。

Photo
■ 『荒野の用心棒』 ( A Fistful of Dollars、1964年(日本公開1965年))
  監督 セルジオ・レオーネ
  主演 クリント・イーストウッド
  音楽 エンニオ・モリコーネ

  とにかくこの映画、若きまだ無名のセオジオ・レオーネ監督が、日本の『用心棒』をそっくり拝借して西部劇版として作成したんですね。それが断りなしに作ったものだから、日本東宝から訴えられてしまった。それが又”不幸中の幸い”と言ってよいのか、世界でそのことが話題になって興味を呼んで大ヒットした。なんと言っても話の筋はもともと面白く出来ているので、それはそれで観た者には喝采を浴びたのだのだが・・・、バックに流れる音楽が又最高でした。そこはやっぱりイタリアですね、あのエンニオ・モリコーネが作った「さすらいの口笛」、これは孤高のガンマンのムードたっぷりで、この映画を大いに盛り上げたのだった。

511rrwztrpl■ 『夕陽のガンマン』 (For a Few Dollars More、1965年)
  監督 セルジオ・レオーネ
  主演 クリント・イーストウッド
      リー・ヴァン・クリーフ
  音楽 エンニオ・モリコーネ

 しかしマカロニ・ウェスタンと言っても、監督と音楽はイタリアであるが、主演はアメリカからのクリント・イーストウッドであり、又 リー・ヴァン・クリーフであってアメリカとは別物というわけでもない。撮影はスペインで行われたという代物。
 ここでもイーストウッドの特に名前のない賞金稼ぎのニヒルにして格好良さも売り物の話だが、もう一人のモーティマー大佐役のクリーフの役柄の味付けも良く、話は面白くなっている。彼の映画俳優としても、その存在が国際的になった映画でもあった。
 やはりここでもエンリオ・モリコーネの音楽が盛り上げるんですね。

817ilctx8l__sl1500_2 『続・夕陽のガンマン~地獄の決斗』 ( The Good, The Bad and the Ugly、1967年)
  監督 セルジオ・レオーネ
  主演 クリント・イーストウッド
      リー・ヴァン・クリーフ
      イーライ・ウォラック
  音楽 エンニオ・モリコーネ


 南北戦争の時代背景での善玉、悪玉、卑劣漢の三人のガンマンの隠された金貨を巡ってのあれやこれやの奪い合い。これもイーストウッドとクリーフの味付けが映画を面白くしていた。
 そしてモリコーネの音楽がバックで盛り上げるんですね。「黄金のエクスタシー」(原題:L'Estasi Dell'Oro)が流れ、三人による対決には「トリオ」(原題:Il Triello)が流れる。映画史の中でも必ず取りあげられるほどの三つどもえの決斗シーンは有名だが、これも音楽があっての緊迫感であった。

 エンニオ・モリコーネのマカロニ・ウェスタンの音楽は絶賛を浴びたのだが、これも彼に言わせるとベースは、あの映画『リオ・ブラボー』、『アラモ』に流れる”皆殺しの歌”(ディミトリ・ティオムキン作~彼はやっぱり凄いです)の線を頭に入れて作ったとか、なるほどと思わせるところである。

(試聴1)「荒野の用心棒」

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(試聴2)「夕陽のガンマン」

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(試聴3)「続・夕陽のガンマン」

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2016年1月14日 (木)

新春には・・・ヴィヴァルディVivaldi 「協奏曲集・”和声と創意への試み”Op.8~”四季”」

新春はポピュラーなクラシックで・・・・・・

 新春向けの音楽と言えば、クラシックと言ってももうポピュラーに近い誰もが知っているヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi 1678-1741)の協奏曲集 《和声と創意への競演(試み)》 (Concerti a 4 e 5 "Il cimento dell'armonia e dell'inventione"Op.8) 作品8だ。その内、ヴァイオリン協奏曲集「四季」が最も親しまれているのだが、それは協奏曲第1番から第4番までの「春」「夏」「秋」「冬」に付けられた総称である。 そして最も新春向けは第一番の「春」ですね。

Imusici そしてヴィヴァルディの「四季」と言えば、日本では圧倒的に知られているのはイタリアのイ・ムジチ合奏団ものですね。(現在人気のアルバム ↓)

  I MUSICI 「ANTONIO VIVALDI < LE QUATRO STAGOONI 四季」 >
 Violin : Pina Carmirelli
  Recorded  Switzerland / 1982
  PHILIPS / West Germany / 410 001-2

 
 しかしこのヴィヴァルディの活躍したバロック・ミュージックの創始期においては、多分このイ・ムジチのヴァイオリン協奏曲の音(調べ)ではなく、楽器も現代楽器と異なり、古楽器と言われているものが使われていて、この時代の研究者にしてみると、もっと色々な意味でその時代に迫りたくなるもののようだ。

  そんな意味で、この新春にここに取り上げるのは、私がイ・ムジチと平行して良く聴いてきたもので、オリジナル楽器による自身のオーケストラであるエンシェント室内管弦楽団を結成して正統的な演奏を目指したホグウッドのアルバムがある。それは私自身もその世界に魅力を感じて、十数年前に好録音で定評のあるオワゾリールL'OISEU-LYREものとして購入し聴いてきたものだ。

<Classic>
   ヴィヴァルディ 協奏曲集「”和声と創意への競演」
Vivardi: IL CIMENTO DELL' ARMONIA E DELL'INVENTIONE, Op,8
  ボグウッド指揮/エンシェント室内管弦楽団
    L'OISEAU-LYRE / POCL-4168/9  /  1997

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 <Recording > Location: KINGSWAY HALL, London
                      Dates: Novmber & December 1982


Hogwod_image   このアルバムの指揮者でありこの管弦楽団の創始者のホグウッドChristopher Jarvis Haley Hogwood(1941-2014)(→)は、イギリスの古楽関係の学者であり、又チェンバロ奏者でもあった。彼は1967年、「ロンドン古学コンソート」を設立して、中世・ルネサンスそしてバロック音楽の研究・紹介に頑張った。
 このアルバムは、そんなホグウッドの古楽演奏の一環として録音されたものだ。そんな意味でも興味のあるだった。

 さてこれは2枚組にして、この協奏曲集「”和声と創意への競演」の協奏曲第一番から第十二番まで全曲収録されている。このあたりもホグウッドものらしく、人気の第一番「春」ホ長調、第二番「夏」ト短調、第三番「秋」ヘ長調、第四番「冬」ヘ短調の四つの協奏曲のみに止まっていない。そんなところが研究者らしく、又彼のバロック音楽への入れ込みが感じられるところである。

 
このアルバムのレーベル「L'OISEAU-LYRE オワゾリール」というのは、イギリスにおける古楽復興に非常に重要な役割を果たしたレーベルだ。オーストラリア出身の女性が1932年にパリで興した出版社のレコード部門として1939年にスタートしたものという。(レーベルの名前に使われたオワゾリールとは、オーストラリアの琴鳥のフランス語表記)
 1953年からはイギリス・デッカの協力でアルバム制作を実施、1973年からはデッカ傘下の古楽専門のレーベルとなった。そしてその録音が秀逸で、バロックものであればこのレーベルなら間違いないと私はず~と信じてきている。

Hogwood3 内容は左のとおりだが、ヴァイオリン独奏者Soloistは六人仕立てだ。そして通奏低音はホグウッド自身が、ハープシコード、チェンバー・オルガンを奏し、その他にバロック・ギター、アーチリュート、テオルボが奏でる。
 もともとヴィヴァルディの「四季」という協奏曲は、当時とすれば彼のメロディの作り方や転調の仕方など、やや変則的な手法で作られた曲集の一環になるようだが、音楽学者で無くただ聴いて納得するだけの我々にとっては共感できればそれで良い。彼の協奏曲集の中では、それでもこの「四季」辺りは音楽的常識的な拘束された中での作品であったようだ。
 そんな歴史的雰囲気が如何に現代人の我々に響いてくるかを研究し尽くしてのホグウッドの演奏と言うことになる。

 私の好みはこの中でも第四番「冬」が好きですね。これには理屈が無く自己で共感を持って聴ければ良いわけで、そんな世界を感ずる協奏曲集ですね。第一楽章の厳しき冬の情景、ヴァイオリン独奏の恐ろしさの表現が凄い。第二楽章は、打って変わって寒中の暖かさの家の中の安らぎ、この独奏のメロデイーは美しい(私が最も安堵を感ずるのは、外は雪が燦々と降る中に、暖かい家の中で静かに好きな音楽が聴ける時である)。
  又、この「四季」以外もこのアルバムは楽しめるのだが、第七・八番の第二楽章の美しさは特筆モノである。

 さて余談であるが、私のパソコン歴はNEC製PC-8001以来の長きに及ぶが、感動の1985年のPC8801mkII SRでは、グラフィック機能強化とサウンド機能では、ヤマハの音源チップYM2203が搭載され、FM音源3音+SSG3音のサウンド機能を新たに標準装備した。画像とサウンドの進歩が格段にあったわけだが、その時のデモにヴィヴァルディの「四季」が使われ、特にやはり雪の燦々と降る”冬”が進歩したグラフィックとサウンドが印象的だったことを思い出す。今や「Windows10」の時代になっての懐かしきパソコンにも想いを馳せるのである。
 

           *          *         *         *

(PC8801mkII SR=1985年)懐かしの愛機の回顧(デモ)

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2015年12月29日 (火)

懐かしの西部劇=「リオ・ブラボーRIO BRAVO」VS.「真昼の決闘HIGH NOON」   -私の映画史(22)-

「真昼の決闘 High Noon」(1952年)のアンチテーゼ作品として作られた
         「リオ・ブラボーRIO BRAVO」(1959年)
     
      ~相対する西部の町の保安官ものの二作品~

Riow「リオ・ブラボー」 (RIO BRAVO)1959
U.S.A.   ワーナー・ブラザーズ
監督 Howard Hawks
脚本 Jules Furthman, Leigh Brackett
原作 B.H.McCampbell
音楽 Dimitri Tiomkin
出演 John Wayne
      Dean Martin
     Ricky Nelson
     Walter Brennan
     Ward Bond

 名匠ハワード・ホークスと偉大なるスター・ジョン・ウェインが、あの名作と言われる「真昼の決闘」のゲイリー・クーパー演ずる保安官に不満を抱き、7年後に作成した西部劇「リオ・ブラボー」、これには本物の保安官の姿と本物の娯楽西部劇を描ききった。

 そもそも、歴史的に西部の町においての保安官というのは、無法者に相対する事が多い為に、拳銃使いがその任に選ばれた。つまり拳銃使いというのは、所謂無宿者に近い、まあヤクザといっていいものに近いタイプで一般町民とは異なる。それが治安を維持するために銃を使って統治する役を町の人達から任命され雇われたのだ。

Highnoon「真昼の決闘」 (HIGH NOON)1952U.S.A. ユナイテッド・アーティスツ 監督 Fred Zinnemann、出演 Gary Cooper, Grace Kelly
 人気のゲイリー・クーパー主演で、緊迫感があって評判の映画だったが・・・・。(主題歌”ハイヌーン”もヒット)

 ところが、この映画のクーパー扮する保安官は、出獄して来たならず者と相対するに当たって、かたぎの町民に助っ人を頼むことから始まる。しかし銃による闘いが起きる可能性がある場合は、常識的には保安官というのは、一般のかたぎの町人に助けを求めると言うことはしない。つまりかたぎの者を巻き添えにすることは論外あるのだ。にも関わらずこの映画では、町民全てに断られ孤立する保安官を描くのだが、実はそれは当然のことであるのだ。そして助っ人役を断った町民の姿をネガティブな人間の姿として描くこの映画は、とにかく非常に暗く人間不信を植え付ける。決闘後、町を去る保安官は、厳しく不信の目を町民に向ける。
 こんな姿には、特にハワード・ホークスは全く納得出来ないものであったのだ。
 つまりそれは映画を観る者が主人公の保安官に同情させる為の手法であったのかも知れないが、西部の純朴な開拓民を知るものにとっては、更にそれを描く西部劇を愛する人達とっては、とても容認出来るものでなかっのだった。又この映画は人間のネガティブな姿を描くことに終始している。これも又西部劇を描いてきたハワード・ホークスとジョン・ウェインから言わせると否定的なのである (映画「赤い河」参照http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/red-river-2c35.html )。

Riobravo7_2 さてここで「リオ・ブラボー」の話に戻るが・・・・・・・
 ウェイン扮する保安官は、 ならず者と相対する時に、助けが一人でも欲しいのだが、助っ人を申し出た町民やかたぎの者にはそれを断り、事件に関係を持たないように指導する。一方、こうした拳銃による闘いが行われようとしている時には、拳銃使いの無宿者やヤクザ者ならば助っ人として採用する。そこに両映画に描かれる保安官の姿は、基本的に全く姿勢が違うのである。
 つまりかたぎの町民は関係させない。拳銃による闘いというのはそうしたヤクザ者の世界であるのだ。そしてその闘いが多勢に無勢で不利そのものであって、その任務には恐れや不安があるのだが、そのそ振りを見せないように努める。そして実際には町民は無知ではなく、そのような保安官の姿を見た人達が自然に助ける方向に向いてくる。ハワード・ホークスはそんな人間を信じてのつまり”ポジティブの姿”を重要視しているのだ(映画「赤い河」も同じ)。

Johnwaynedeanmartin それから「真昼の決闘」では究極は”男女の関係”のみが頼みとして描かれ、男同士の人間関係に実るものが描かれていない。それに対する「リオ・ブラボー」は、男女の関係以上に難しい”男と男がどのようにして結びついて行くか”を描くところにその価値観を持つのである。

 ジョン・ウェインの演ずる保安官と片足不自由な老兵スタンピー(ウォルター・ブレナン)、アル中の保安官助手デュード(ディーン・マーチン)、早撃ちの若者コロラド(リッキー・ネルソン)のこの4人の男の次第に強まる結びつきが、実に人間的なのである。西部劇であるから当然”銃による闘いの見せ場”はちゃんと盛り込んではいるが、実はこの映画はそこにみる男同士の繋がりの美しさに感動が生まれるところが傑作と言われるところなのだ。

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 3人のならず者に銃を向けられ、銃を持っていないジョン・ウェインにリッキー・ネルソンは左手でライフルを投げ渡し右手で発砲、両者で3人に撃ち勝つこのシーンは、西部劇の醍醐味だった(このシーンはスローで見ても、ライフルを受け取ったと同時に発砲しているジョン・ウェインはお見事)

Pc221764w 又ウォルター・ブレナン演ずるじいさん(これが良い味を出している)が、ジョン・ウェインの尻を箒で打つシーンは、過去に無かった男同士の心の繋がりが見事に描かれている。

 この映画に盛り込まれた「男の関係」は、ユーモアを交えながら人間味の豊かさを描ききって見事と言わざるを得ない。又西部劇というものの娯楽性にも十分配慮され、男女の話も交えて、その楽しさもしっかりと描く。
  Dimitri Tiomkinの音楽が又素晴らしい。”ライフルと愛馬”、”皆殺しの歌”、”リオ・ブラボー”と当時ヒットを飛ばした(「真昼の決闘」の主題曲”ハイヌーン”もDimitri Tiomkin)。
 究極は”人間とは信じられるもの”として描き、それを尊重した西部劇に十分なる娯楽性を盛り込んで、見せ場も豊富に描き込んでの映画として、傑作西部劇として今も愛されている(参考:ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の「駅馬車」も、西部の純朴な人間像を描いている)。

<ハワード・ホークスHoward Hawks (1896-1977)>
 アメリカ・インディアナ州生まれ、生家はセレブ。大学は機械工学を学ぶ。夏休みのバイトで映画会社に関係、舞台装置や助監督、美術部門に。第一次世界大戦・空軍入隊。22年映画の脚本家契約。26年フォックス社で「栄光の道」で監督デビュー。男の友情や闘いのテーマの作品が多い。34年初の西部劇「奇傑パンチョ」。戦後の「赤い河」(48)がヒット。その後ジョン・ウェインとのコンビで「リオ・ブラボー」など。

 

(映画「リオ・ブラボー」)

                            *                            *

(映画「真昼の決闘」)

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2015年11月22日 (日)

映画 時代劇回顧シリーズ (7) 勝新太郎「座頭市物語」  -私の映画史(21)-

一世を風靡した勝新太郎の”座頭市シリーズ”

 1960年代前半に東映は既に時代劇に精細を欠き”任侠路線”に主なるところは切り替え、そこに来て1966年中村錦之助退社で時代劇は打ち切られた。一方大映は市川雷蔵の1963年”眠狂四郎シリーズ”と1962年「座頭市物語」をヒットさせ、その後1973年「新座頭市 笠間の血祭り」まで勝新太郎の”座頭市シリーズ”は25作と連続ヒットさせた。しかしその大映も1969年に市川雷蔵の死去などにより一次の華々しさは消え、なんと1971年は倒産している。
 しかしその座頭市は、勝プロによって1989年には勝新太郎が自らのメガフォンをとって「座頭市」26作目を制作した。

大映映画 勝新太郎「座頭市物語」
                         (1962年公開)

  • B
    企画:久保寺生郎
    原作:子母沢寛
    脚本:犬塚稔
    監督:三隅研次
    撮影:牧浦地志
    録音:大谷巌
    美術:内藤昭
    照明:加藤博也
    音楽:伊福部昭
  •  (キャスト)
    座頭市:勝新太郎
    平手造酒:天知茂
    おたね:万里昌代
    飯岡助五郎:柳永二郎
    笹川繁造:島田竜三
    松岸の半次:三田村元
    飯岡の乾分・猪助:中村豊
    飯岡の乾分・蓼吉:南道郎
    飯岡の乾分・政吉:千葉敏郎

     あの時代劇映画に新風を吹き込んだ勝新太郎の「不知火検校」から発展したという座頭市シリーズ。その第一作が1962年に公開されたのがこの「座頭市物語」であった。これもシリーズとして作られたのではなく、大ヒットでこの後次々と制作されるに至ったもの。

    Photo_2
     もともとこの座頭の市というのは、子母澤寛が雑誌「小説と読物」へ1948年に連載した「ふところ手帖」の一編「座頭市物語」が原作だという。しかしこの原作の座頭市像と映画ではかなり違いがあって、この映画にみる座頭市像は、脚本の犬塚稔や監督の三隅研次、そして勝新太郎によって作られたモノと言ってよいようだ。
     同じめくらと言っても、不知火検校のような悪人像で無く、世間からはまともに相手にされない者の生き様を描いたのであり、そんな中でのしぶとさとしたたかさ、そしてその強さには感服する。
     しかし、これはハンディを背負った人間の哀歌でもある。万里昌代演ずるおたねとの関係も決して対等に相対すことの出来ない市の一歩退いた哀しさを描いているのである。
     そして天知茂の平手造酒と勝新の座頭市との全く異なったタイプの対比とその運命の流れがこの映画では良いですね。いずれにしても人間ドラマなんですね。
     やっぱりヒットの要因は、盲目の市の瞬速の居合い斬りの迫力、そして仕込み杖・逆手刀殺法がお見事だったことでしょうね。それに人情味溢れた物語には、やっぱり痺れたんです。

    Photo_4
     この後、このシリーズは、次第に市の不気味さとスーパー・マン的強さを見世物に観衆を沸かせるシリーズとなって行くのであるが・・・・。
     最大のヒットは1970年の第20作「座頭市と用心棒」でした。人気の三船敏郎=用心棒を登場させたのには、ファンも驚きだった。しかも嵐寛寿郎までも登場して脇を固めた。これがこのシリーズの絶頂期と言って良いのであろう。

     勝新太郎は当時別に映画「悪名」「兵隊やくざ」などもヒットさせていたが、やっぱりこの座頭市は群を抜いて人気があり、彼の俳優生活の看板にもなったのであった。

     そして時代は劇場公開映画から茶の間のテレビ時代と変化する時でもあって、後にテレビでも「座頭市」をシリーズ化して、茶の間を湧かしたのである。

    <映画 座頭市シリーズ>

    ①座頭市物語(1962年)
    ②続・座頭市物語(1962年)   
    新・座頭市物語(1963年)
    ④座頭市兇状旅(1963年)
    ⑤座頭市喧嘩旅(1963年)
    ⑥座頭市千両首(1964年)
    ⑦座頭市あばれ凧(1964
    ⑧座頭市血笑旅(1964 
    ⑨座頭市関所破り(19641230日)
    ⑩座頭市二段斬り(196543日)
    ⑪座頭市逆手斬り(1965918日)
    ⑫座頭市地獄旅(19651224日)
    ⑬座頭市の歌が聞える(196653日)
    ⑭座頭市海を渡る(1966813日)
    ⑮座頭市鉄火旅(196713日)
    ⑯座頭市牢破り(1967812日)
    ⑰座頭市血煙り街道(19671230日)
    ⑱座頭市果し状(1968年810日)
    ⑲座頭市喧嘩太鼓(19681228日)
    ⑳座頭市と用心棒(1970年115日)
    ㉑座頭市あばれ火祭り(1970812日)
    ㉒新座頭市・破れ!唐人剣(1971113日)
    座頭市御用旅(1972115日)
    ㉔新座頭市物語・折れた杖(197292日)
    ㉕新座頭市物語・笠間の血祭り(1973421日)
    座頭市(198924日)

    (参考)

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    2015年11月 7日 (土)

    映画 時代劇回顧シリーズ(6) 市川雷蔵「眠狂四郎 女妖剣」   -私の映画史(20)-

    1960年代の多様な映像時代、遂にエロティシズムeroticismの登場

     映画の下降線、そして更に時代劇の下降線に入った60年代。又社会も多様化して、映画に求めるモノも多様化した。
     時代劇の東映は、その線を繋ぎながらも人気の出てきた”任侠路線”に次第にシフトしてゆく。

     そんな中で華の50年代のスター中村錦之助は「関の彌太っぺ」「沓掛時次郎 遊侠一匹」と時代劇任侠路線と「反逆児」のような戦国武将ものを、三船敏郎は「椿三十郎」、「侍」など浪人モノなどで、まだまだそれなりの興行成績を上げていた。しかしここに剣術とエロティシズムとの新路線として市川雷蔵の「眠狂四郎シリーズ」、又勝新太郎のかっては考えられなかった兇状持ちで盲目の侠客という「座頭市シリーズ」が成功する。


    大映映画 市川雷蔵「眠狂四郎 女妖剣」 (1964年公開)
           監督:池広一夫、脚本:星川清司、音楽:斎藤一郎
            出演:市川雷蔵、藤村志保、久保菜穂子、城健三朗、春川ますみ、根岸明美

    Photo  「眠狂四郎」というのは、虚無主義なる浪人モノの世界を描くを得意とした柴田錬三郎の昭和31年5月から「週刊新潮」に連載された「眠狂四郎無頼控」(読切連作の形で書きつがれた狂四郎シリーズは、以後約二十年にわたって続いたから人気の度合いも解るところ)からのもの。

     映画化された中でも人気は1963年から1969年までの市川雷蔵で描いた大映映画12作。市川雷蔵の当たり役となった。
     実は1950年代にも東宝であの鶴田浩二で3作の「眠狂四郎」(1956-1958年)があるがあまり話題にならなかったモノ。
     又市川雷蔵の後に松方弘樹で続けたが当たらず(1969年2作)というところだった。雷蔵と松方ではちょっとイメージが違いすぎたのだろう。

    Photo_2 この市川雷蔵の眠狂四郎シリーズと言えども、第一作(1963年)は興行成績は不振。二作目は良く出来ていた割には、やはり売れず。三作目はボチボチであったが、しかしこの四作目からのエロティシズムの濃厚登場で人気沸騰。
     この4作目「眠狂四郎 女妖剣」では、久保菜穂子、春川ますみ、根岸明美ほか、藤村志保までもエロティシズムの役柄を披露しているし、物語としては、眠狂四郎の生まれの秘密に迫り、転びバテレンと武士の娘との間に生まれた宿命を教える。

     虚無の剣士の生き様を通して、暦年の時代劇の正義の剣の姿ではなく、武士の魂をも描くのでは無い。眠狂四郎は女性に対しては犯すこともあれば、凶器としての剣によって斬ることも容赦しない。そして虚無の意識と孤独感を更に深めて行く。こんな姿は60年代の日本の裏も表もある高度成長社会には見事に受け入れられたのだった。
     凶器の剣の円月殺法は相手を惑わす剣法で、その姿は見るものにとっては美しい。この4作目から狂四郎の円月殺法のシーンで初めてストロボ撮影が用いられ、剣の流れを見事に描写した。この手法はこれ以降の作品で使われるようになった。

    Photo_3  狂四郎の素性の説明があったこと、この後続くエロティシズムのスタートであったこと、そして円月殺法の描写が確立したこと、そして何よりもヒットしたことなどから、この作品が市川雷蔵の眠狂四郎のスタートとも言える作品であった。
     柴田錬三郎に言わせると”剣豪としての姿で無く、現代にある罪悪を背負った狂四郎という主人公が、ある意味では人としての感覚を抑えざるを得ない状況の中で、内面的には苦しみながらニヒルに生きていく姿を描いた”と言うことであったのだろう。
     
     つまり時代劇というものを背景にしてはいるが、最も社会の歪みが顕著になりつつある当時の60年安保闘争以降の日本社会の中で、現実的にはあり得ない人間像に思いを馳せた。こんな近代的な感覚を盛り込んだところに多くの関心と支持を得た作品になった。

    (市川雷蔵の「眠狂四郎」全作品)

    1. 眠狂四郎殺法帖(1963年11月2日公開)  
          監督:田中徳三、脚本:星川清司、音楽:小杉太一郎
          共演:中村玉緒、城健三朗、小林勝彦、真城千都世
    2. 眠狂四郎勝負(1964年1月9日公開)
          監督:三隅研次、脚本:星川清司、音楽:斎藤一郎
          共演:藤村志保、高田美和、久保菜穂子、加藤嘉、須賀不二男
    3. 眠狂四郎円月斬り(1964年5月23日公開)
          監督:安田公義、脚本:星川清司、音楽:斎藤一郎
          共演:浜田ゆう子、丸井太郎、成田純一郎、毛利郁子
    4. 眠狂四郎女妖剣(1964年10月17日公開) 
          監督:池広一夫、脚本:星川清司、音楽:斎藤一郎
          共演:藤村志保、久保菜穂子、城健三朗、春川ますみ、根岸明美
    5. 眠狂四郎炎情剣(1965年1月13日公開)
          監督:三隅研次、脚本:星川清司、音楽:斎藤一郎
          出演:中村玉緒、姿美千子、島田竜三、西村晃、中原早苗
    6. 眠狂四郎魔性剣(1965年5月1日公開)
          監督:安田公義、脚本:星川清司、音楽:斎藤一郎
          出演:嵯峨三智子、長谷川待子、須賀不二男、明星雅子、稲葉義男
    7. 眠狂四郎多情剣(1966年3月12日公開)
          監督:井上昭、脚本:星川清司、音楽:伊福部昭
          出演:水谷良重、中谷一郎、五味龍太郎、毛利郁子
    8. 眠狂四郎無頼剣(1966年11月9日公開)
          監督:三隅研次、脚本:伊藤大輔、音楽:伊福部昭   
          出演:天知茂、藤村志保、工藤堅太郎、島田竜三、遠藤辰雄
    9. 眠狂四郎無頼控 魔性の肌(1967年7月15日公開)
          監督:池広一夫、脚本:高岩肇、音楽:渡辺岳夫
          出演:鰐淵晴子、成田三樹夫、久保菜穂子、金子信雄、遠藤辰雄
    10. 眠狂四郎女地獄(1968年1月13日公開)
          監督:田中徳三、脚本:高岩肇、音楽:渡辺岳夫
          出演:高田美和、田村高廣、水谷良重、小沢栄太郎、伊藤雄之助
    11. 眠狂四郎人肌蜘蛛(1968年5月1日公開)
          監督:安田公義、脚本:星川清司、音楽:渡辺宙明
          出演:緑魔子、三条魔子、川津祐介、渡辺文雄、寺田農
    12. 眠狂四郎悪女狩り(1969年1月11日公開)
          監督:池広一夫、脚本:高岩肇、宮川一郎、音楽:渡辺岳夫
          出演:藤村志保、江原真二郎、久保菜穂子、松尾嘉代、小池朝雄

    (参考映像) 「眠狂四郎」

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