ロックからの進化:ヴァイオリンのジミ・ヘン=リリ・ヘイデン Lili Haydn
4th アルバム 「Place Between Places」
”2008 Coachella ミュージック・フェスティバル”で、注目のロジャー・ウォーターズの「狂気 Dark Side Of The Moon」全曲披露に加えての2006-2007年世界ツアーでの曲群の演奏に加わったヴァイオリニストのリリ・ヘイデン。ウォーターズの最近の曲”Leaving Beirut”そして、あのトリの”Comfortably Numb”の演奏は、まさに”ヴァイオリンのジミ・ヘンドリックス”の名のごとく、激しい精力的にして繊細、そしてダイナミックなヴァイオリンの演奏は記憶に新しいところであるが、彼女の今年の春にリリースした4thアルバムをチェックしてみた。
「Place Between Places」Nettwerk Production 0 6700 30788 2 5 made in USA 2008.4
1.memory one
2.strawberry street
3.Can't give Everything
4.saddest sunset
5.place between places
6.i give up
7.satellites
8.the reverie
9.children of babylon
10.unfolding grace
11.the last serenade
12.powers of five
*magg of brain
12曲+ボーナス・トラック1の13曲から成っている。アルバム曲12曲のうち4曲は、彼女のヴァイオリンの堪能できるインスト・ナンバーである。
1997年の1stアルバムは、ロックを基調としているといっていいが、その後のアルバムは次第に特殊な(彼女なりきの)世界になっている。ロック、ジャズ、クラシックのミックスされたかなり独特の憂鬱感のただよう(哀愁という表現も可能な)曲が展開する。彼女のヴァイオリンとともに、そのヴォーカルはかなり繊細な変化をみせる囁きから吐息ともいってよい味付けのあるものから、かなり訴える力のある歌唱も聴かれる美声である。高音部の消し去る発音が魅力あるところだ。
もともと大学で政治学を学んで学士号を持っていて、クラシック・ヴァイオリンが基礎にあってのインテリと才能が作り上げる妙が感じられる。かなり特異な彼女の世界である。カナダ生まれのアメリカ育ち、しかもルーツはユダヤ人という、これまた多様な因子をバックに持ってのなせる技か。
アルバム・タイトル曲の”place between places”は、インスト・ナンバーであるが、ベースそしてドラムスの刻むリズムにピアノが語り、それに乗っての彼女のヴァイオリンの響きはまさに圧巻である。
その他、チェロの響きも重要な因子になっている曲7.9.10.そして11.などがあるが、それに重ねての彼女のヴァイオリンは非常に哀しく美しい。
更に、最後の"the last serenade"と"powers of five"などは、聴き応え十分というか、彼女の世界にのめり込まされる。
私としては、お勧めのアルバムである。
今回、コーチェラ・ミュージック・フェスでロジャー・ウォーターズのバンドと共演できたことは、(多分、ロジャーはコンセプチュアルには彼女を受け入れていると思うので、これをチャンスに)これから一歩進んで、ロジャーと共作して、スノ-ウィー・ホワイトのギターを織り込んでの社会派コンセプト競演曲も作って欲しい思うのは・・・・こんな期待はどうなんだろうか?。
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