リリ・ヘイデン

2008年10月30日 (木)

ロックからの進化:ヴァイオリンのジミ・ヘン=リリ・ヘイデン Lili Haydn

4th アルバム 「Place Between Places」

 ”2008 Coachella ミュージック・フェスティバル”で、注目のロジャー・ウォーターズの「狂気 Dark Side Of The Moon」全曲披露に加えての2006-2007年世界ツアーでの曲群の演奏に加わったヴァイオリニストのリリ・ヘイデン。ウォーターズの最近の曲”Leaving Beirut”そして、あのトリの”Comfortably Numb”の演奏は、まさに”ヴァイオリンのジミ・ヘンドリックス”の名のごとく、激しい精力的にして繊細、そしてダイナミックなヴァイオリンの演奏は記憶に新しいところであるが、彼女の今年の春にリリースした4thアルバムをチェックしてみた。

Liliplacebetweenplaces 「Place Between Places」Nettwerk Production 0 6700 30788 2 5 made in USA  2008.4
1.memory one
2.strawberry street
3.Can't give Everything
4.saddest sunset
5.place between places
6.i give up
7.satellites
8.the reverie
9.children of babylon
10.unfolding grace
11.the last serenade
12.powers of five
*magg of brain
12曲+ボーナス・トラック1の13曲から成っている。アルバム曲12曲のうち4曲は、彼女のヴァイオリンの堪能できるインスト・ナンバーである。
Lilihaydnb_2  1997年の1stアルバムは、ロックを基調としているといっていいが、その後のアルバムは次第に特殊な(彼女なりきの)世界になっている。ロック、ジャズ、クラシックのミックスされたかなり独特の憂鬱感のただよう(哀愁という表現も可能な)曲が展開する。彼女のヴァイオリンとともに、そのヴォーカルはかなり繊細な変化をみせる囁きから吐息ともいってよい味付けのあるものから、かなり訴える力のある歌唱も聴かれる美声である。高音部の消し去る発音が魅力あるところだ。
 もともと大学で政治学を学んで学士号を持っていて、クラシック・ヴァイオリンが基礎にあってのインテリと才能が作り上げる妙が感じられる。かなり特異な彼女の世界である。カナダ生まれのアメリカ育ち、しかもルーツはユダヤ人という、これまた多様な因子をバックに持ってのなせる技か。
 アルバム・タイトル曲の”place between places”は、インスト・ナンバーであるが、ベースそしてドラムスの刻むリズムにピアノが語り、それに乗っての彼女のヴァイオリンの響きはまさに圧巻である。
 その他、チェロの響きも重要な因子になっている曲7.9.10.そして11.などがあるが、それに重ねての彼女のヴァイオリンは非常に哀しく美しい。
 更に、最後の"the last serenade"と"powers of five"などは、聴き応え十分というか、彼女の世界にのめり込まされる。
 私としては、お勧めのアルバムである。

 今回、コーチェラ・ミュージック・フェスでロジャー・ウォーターズのバンドと共演できたことは、(多分、ロジャーはコンセプチュアルには彼女を受け入れていると思うので、これをチャンスに)これから一歩進んで、ロジャーと共作して、スノ-ウィー・ホワイトのギターを織り込んでの社会派コンセプト競演曲も作って欲しい思うのは・・・・こんな期待はどうなんだろうか?。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月18日 (土)

ロジャー・ウォーターズとリリ・ヘイデン(女性ロック・ヴァイオリニスト)

コーチェラ(Coachella music Festival)にみたロジャー・ウォーターズの試み

アメリカ最大級のミュージック・フェスティバルであるCoachella Valley Music and Arts Festival (カルフォルニア州インディオにて1999年より行われている)は、今年は4月の25,26,27日の3日間大成功のうちに行われたが、その最終日のメイン・イベントは、ロジャー・ウォーターズの”Dark Side Of The Moon”と題された昨年来の世界ツアーの内容での演奏だった。ピンク・フロイド時代のアルバム「狂気Dark Side Of The Moon」全曲披露と、その他アルバム「炎」「アニマルズ」「ザ・ウォール」「ザ・ファイナル・カット」そして彼自身のソロ・アルバムからの曲群を約2時間の演奏であったわけだが、やはり彼の力の入れた曲は、大衆に訴えるべく、一般的には従順でおとなしいとされる羊が自己満足の無知状態から目覚め復習に燃え暴動を起こす「アニマルズ」からの”Sheep”、ブッシュのイラク戦争に反対しての「ザ・ウォール」からの”Bring The Boys Back Home”であったと思われる。そして締めくくりのトリの曲は”Comfortable Numb”であった。その”Comfortable Numb”においては、なんとあの魅力的な泣きギターの演奏部分を、女性ロック・ヴァイオリニストのリリ・ヘイデンLili Haydn を招聘してヴァイオリンで演奏させたのだ。
Coachellalilihaydn_2 本来なら、このツアーにおけるリード・ギターのDave Kilminster と Snowy White が演奏する部分であるが、彼らのギターは中間部のみであり、その他はリリ・ヘイデンのヴァイオリンの音色の熱演であった。まさにピンク・フロイド時代のギルモアのパートであり、ロジャーは意識してのことか?更にここにヴァイオリンを導入するという発想は聴衆をして驚かせた。彼女は1969年カナダのトロントに生まれクラシック・ヴァイオリンを学んだが、後にロック、ジャズ分野に進出して、1997年にはデビュー・アルバムを発表。注目の的となった。このコーチェラでは彼女のロジャー・ウォーターズとの競演で、我々にとっても彼女の存在に興味を持つことになった。更にCoachellaでは、その他前半においてウォーターズの最近の曲"Leaving Beirut"でも、このリリ・ヘイデンが熱演している。通常なら Katie Kissoon が哀愁のあるヴォーカルで聴かせるパートを、この日はリリがヴァイオリンとヴォーカルで歌い上げ、曲のスタート部と締めくくりにおいての彼女ならではの熱演が見られ圧倒された。
Lilihaydn 彼女のDiscographyを紹介しようLililili_2 LililightbluesunLiligoodbystrangerep Liliplacebetweenplaces

                                 ①Lili(1997)  ②Light Blue Sun(2003)  ③Goodbye Stranger Ep (2007)  ④Place Between Places (2008)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

Audio CLASSIC Progressive ROCK アイオナ アガ・ザリヤン アダム・バルディヒ アデル アメリカン・ジャズ アヤ アレクシス・コール アレッサンドロ・ガラティ アンジェイ・ワイダ アンナ・グレタ アンナ・マリア・ヨペク アンヌ・デュクロ アヴィシャイ・コーエン アーロン・パークス イエス イタリアン・プログレッシブ・ロック イメルダ・メイ イモージェン・ヒープ イリアーヌ・イリアス イーデン・アトウッド ウィズイン・テンプテーション ウォルター・ラング エスビョルン・スヴェンソン エスペン・バルグ エミリー・クレア・バーロウ エミール・ブランドックヴィスト エレン・アンデション エンリコ・ピエラヌンツィ エヴァ・キャシディ オルガ・コンコヴァ カティア・ブニアティシヴィリ カレン・ソウサ ガブレリア・アンダース キアラ・パンカルディ キャメル キャロル・ウェルスマン キング・クリムゾン キース・ジャレット クィダム クレア・マーティン グレッチェン・パーラト ケイテイ・メルア ケイト・リード ケティル・ビヨルンスタ コニー・フランシス コリン・バロン ゴンザロ・ルバルカバ サスキア・ブルーイン サラ・ブライトマン サラ・マクラクラン サラ・マッケンジー サンタナ サン・ビービー・トリオ ザーズ シェリル・ベンティーン シゼル・ストーム シネイド・オコナー シモーネ・コップマイヤー シャイ・マエストロ ショスタコーヴィチ シーネ・エイ ジェフ・ベック ジャック・ルーシェ ジョバンニ・グイディ ジョバンニ・ミラバッシ ジョルジュ・パッチンスキー スザンヌ・アビュール スティーヴン・ウィルソン スティーヴ・ドブロゴス ステイシー・ケント ステファン・オリヴァ スノーウィ・ホワイト スーザン・トボックマン セバスチャン・ザワツキ セリア セルジオ・メンデス ターヤ・トゥルネン ダイアナ・クラール ダイアナ・パントン ダイアン・ハブカ チャンピアン・フルトン チャーリー・ヘイデン ティエリー・ラング ティングヴァル・トリオ ディナ・ディローズ デニース・ドナテッリ デヴィット・ギルモア デヴィル・ドール トルド・グスタフセン ドリーム・シアター ナイトウィッシュ ニコレッタ・セーケ ニッキ・パロット ノーサウンド ハービー・ハンコック バンクシア・トリオ パスカル・ラボーレ パトリシア・バーバー ヒラリー・コール ビル・エヴァンス ビル・ギャロザース ピアノ・トリオ ピンク・フロイド フェイツ・ウォーニング フランチェスカ・タンドイ フレッド・ハーシュ ブッゲ・ヴェッセルトフト ブラッド・メルドー ヘイリー・ロレン ヘルゲ・リエン ペレス・プラード ホリー・コール ボボ・ステンソン ポーキュパイン・ツリー ポーランド・プログレッシブ・ロック ポール・コゾフ マッツ・アイレットセン マツシモ・ファラオ マティアス・アルゴットソン・トリオ マデリン・ペルー マリリオン マルチン・ボシレフスキ マーラー ミケーレ・ディ・トロ ミシェル・ビスチェリア メコン・デルタ メッテ・ジュール メラニー・デ・ビアシオ メロディ・ガルドー モニカ・ボーフォース ユーロピアン・ジャズ ヨアヒム・キューン ヨーナス・ハーヴィスト・トリオ ヨーナ・トイヴァネン ラドカ・トネフ ラーシュ・ダニエルソン ラーシュ・ヤンソン リサ・ヒルトン リズ・ライト リッチー・バイラーク リリ・ヘイデン リン・エリエイル リン・スタンリー リヴァーサイド リーヴズ・アイズ ルーマー レシェック・モジュジェル ロジャー・ウォーターズ ロバート・ラカトシュ ロベルト・オルサー ローズマリー・クルーニー ローレン・ヘンダーソン ヴォルファート・ブレーデローデ 中西 繁 写真・カメラ 北欧ジャズ 問題書 回顧シリーズ(音楽編) 女性ヴォーカル 女性ヴォーカル(Senior) 女性ヴォーカル(ジャズ2) 女性ヴォーカル(ジャズ3) 寺島靖国 戦争映画の裏側の世界 手塚治虫 文化・芸術 映画・テレビ 時事問題 時代劇映画 波蘭(ポーランド)ジャズ 相原求一朗 私の愛する画家 私の映画史 索引(女性ジャズヴォーカル) 絵画 趣味 雑談 音楽 JAZZ POPULAR ROCK SONYα7