フェイツ・ウォーニング

2021年2月 8日 (月)

フェイツ・ウォーニング Fates Warning 「LONG DAY GOOD NIGHT」

メタル色を失わずに、希望と不安の世界を描く
・・・・遂に13枚目のアルバム登場

 

<Progressive Metal Rock>

Fates Warning 「LONG DAY GOOD NIGHT」
Metal Blade / Import / MTB1573522 / 2020

Longdaygoognightw

レイ・アルダー (Ray Alder) - Vocals(1987年− ) 
ジム・マテオス (Jim Matheos) - Guitars (1982年− ) 
ジョーイ・ヴェラ (Joey Vera) - Bass (1996年− ) 
ボビー・ジャーゾンベク (Bobby Jarzombek) - Drums (2007年− ) 
(Support)
マイケル・アブドウ (Michael Abdow) - Guitar (2013年、2016年− )

 

  久々の登場で、少々興奮気味だがプログレッシブ・メタルの元祖Fates Warningの13枚目のスタジオ・アルバムの登場だ。彼らは1984年デビューからオリジナル・メンバーはジム・マテオスのみであるがバンドとして35年以上のキャリアを誇る。そしてレイ・アルダー加入時のアルバム『NO EXIT』(1988)(下左)に惚れ込んで以来の付き合いは深くなった。一世を風靡したドリーム・シアター、クイーンズライクに影響を及ぼした彼らの作風は、あのプログレッシブ・ロックが崩壊した時に、ロック界の一時期を守ったとも言える。
   ここで取上げるのも、2014年『Darkness in a Differrent Light』以来の7年ぶりだ。
 その彼らの復活の第二弾、バンドの頭脳ジム・マテオス(G)とレイ・アルダー(Vo)によって造られたという13曲。かってのマーク・ゾンダー(Dr)の存在も大きかったと思われるプログレ色がここでどうなのかというのも興味があるが、それにつけてもアーマード・セイントのジョーイ・ヴェラ(b/1997年から)と元ライオットのボビー・ジャーゾンベク(dr/2007年から)という布陣も期待度を高める。

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   私的には残念であるのは、この復活前もそうであったが、かってドリーム・シアターのキーボード・ケビン・ムーアの加盟した頃(アルバム『Pleasant Shade Of Gray』(上中央)、『DISCONNECTED』(上右))のサウンドが消えていることである。実はこの頃が最も懐かしいのだが、このアルバムもキーボード・レスでのバンド・スタイルを貫いていて・・・現行バンドとしては、それは意識外のようだ。

(Tracklist)

1.The Destination Onward
2.Shuttered World
3.Alone We Walk
4.Now Comes the Rain
5.The Way Home
6.Under the Sun
7.Scars
8.Begin Again
9.When Snow Falls
10.Liar
11.Glass Houses
12.The Longest Shadow of the Day
13.The Last Song

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 いずれにしても、複雑なリズムを好むプログレッシブ・ロック、そしてそこに宿る内省的な精神性はやはり感じられ、しかもヘヴィメタルの圧倒的パワフルな演奏も十分存在していた。まさにプログレッシブ・テクニカル(パワー)・メタルだ。そして中期後期のややダークなイメージもあって、所謂フェイツ・ウォーニングというのはそのまま存在していたのは嬉しい。
800pxfates_warning1w  しかしあの何処までも伸びるレイ(→)のハイトーンのヴォーカルは、やはり後退していたのはやむを得ないところである。それは『FWX』(2004)でもみられていたことだから。
  このバンドは、2016年、プログレッシブ・メタルの色づけが決定的となった3rdアルバム『 Awaken the Guardian』(1986)の発売30周年を記念して、当時のメンバーが集結し同作の完全ライブを再現。これがリユニオンだった。
 私の場合は、マーク・ゾンダーが加入したアルバム『Perfect Symmetry 』(1989)以降のプログレッシブ・ロックの要素がさらに強まった頃の技巧派のスタイルに魅力を感じてきていたのだが、そのあたりとの比較ではヘヴィメタル要素は、このアルバムでは寧ろ復活しているところもある。

 M1."The Destination Onward"では静かな深遠なるスタート、そして重量感のあるドラムス、泣きに近いギター、情感のヴォーカル。中盤以降にハイテンポに転調、フェイツ・ウォーニングの特徴を十分示してくれている。
 M2.M3.あたりは、ヘビーメメタル色をみせる。
 M5."The Way Home"は、聴き所の曲。バラード・ヴォーカルで聴かせ、ジャジーなギター、更に変調してメリハリのあるロックへ。最後はヘビー・ロックの要素を入れて終わるというナイスな曲。
 M6."Under The Sun"は珍しくストリングスの調べ、ゆったりとしたロック、そしてアコギ、エレキが心に響く。
 M9."When Snow Falls"は、マテオス・レイ・コンビの曲だが、メンバー交代の色づけ曲、このアルバムではロック・アルバムとして良いムードで聴かせる。

1280pxfates_warning2w   私の一押しの曲はマテオス(→)の曲・歌詞の M12."The Longest Shadow of the Day"ですね。11分25秒の長大曲であるが、静かなギターで始まり、どちらかというとオルタネティブ・ジャズのパターン。ほぼインスト曲でスタート。中盤は次第に疾走パターンに変調し、再び静かなスローテンポの世界。そして6分あたり経過してレイの訴えるようなヴォーカル、やや泣きに近いギターと要素がたっぷり。次第にテンポは上がってロック世界を築く。プログレ・メタルの面目躍如。

  最後のM13."The Last Song"は、美しく優しいアコギでスタート、レイのヴォーカルも語るような落ち着きがあり、絶叫は無く一つの信念を得たかの如き、どこか落ち着いた世界。昔、ロジャー・ウォーターズがよくやった手法ですね。

 どちらかというとやや暗めの世界。曲は多彩なロックのパターンに支えられ、変調も加味して飽きさせない。時に襲ってくるヘビー・メタルなサウンドがアルバム全体のメリハリに貢献し、プログレッシブな要素をちらつかせながらの精神的な内面の世界に迫る曲構成。しかし曲の質感としてキーボード・レスが少々寂しく、プログレ色がやや後退している。
 又、ツアーギタリストのMike Abdowがソロパートでゲスト出演して味付けに厚みをだし、M9."When Snow Falls"ではPORCUPINE TREEのGavin Harrison(Dr)がゲスト出演、これもちゃんと曲の色合いに変化と味わいを付けていて、単調さを回避している。
 久々に、プログレ・メタルの世界が、高度化した演奏と曲の良さで堪能出来るアルバムに仕上がっている。

( 参考 Fates Warning : Discography)

『ナイト・オン・ブロッケン』 - Night on Bröcken (1984年)
『スペクター・ウィズイン』 - The Spectre Within (1985年)
『アウェイクン・ザ・ガーディアン』 - Awaken the Guardian (1986年)
『ノー・イグジット』 - No Exit (1988年)
『パーフェクト・シンメトリー』 - Perfect Symmetry (1989年)
『パラレルズ』 - Parallels (1991年) 
『インサイド・アウト』 - Inside Out (1994年)
『プレザント・シェイド・オブ・グレイ』 - A Pleasant Shade of Gray (1997年)
『ディスコネクテッド』 - Disconnected (2000年)
『FWX』 - FWX (2004年)
『Darkness in a Different Light』 (2013年)
『セオリーズ・オヴ・フライト』 - Theories of Flight (2016年)
『ロングデイ・グッドナイト』- Long Day Good Night (2020年)

 
(評価)
□ 曲・演奏・ヴォーカル  88/100
□ 演奏          85/100

(視聴)


*

 

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2014年9月11日 (木)

フェイツ・ウォーニングFates Warning 「DARKNESS IN A DIFFERENT LIGHT」

9年ぶりのアルバム~再びメタル色が濃くなるが・・・・・

 プログレッシブ・メタルと言われるフェイツ・ウォーニングとのお付き合いも、考えてみるともう30年近いのである。ちょっとこの月日の流れの速いのには驚きというか、むしろ恐ろしさを感じてしまう。
 私が彼等のアルバムに気合いが入ったのは「NO EXIT」(1988年)からで、詳細はこのブログの過去の記事に譲って、この彼等の最も直近のアルバムは昨年2013年リリースした「DARKNESS IN A DIFFERRENT LIGHT」であり、遅まきながらここで取り上げる。

   (参照)「フェイツ・ウォーニングのプログレッシブ・メタルの道」
  http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-cab7.html
    http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-c8c6.html

<Rock>

 FATES WARNING 「DARKNESS IN A DIFFERRENT LIGHT」
          INSIDE OUT  0524-2, 2013

Darkness

 このアルバム・ジャケは折り鶴と日の丸様の赤い丸で、なんとなく日本をイメージしているかに見えるが、この黒い鶴が少々気になる。このあたりが一連の彼等のアルバム・ジャケの特徴で、暗示的なところがミソ。

 どうしても9年ぶりとは思えないのですが、そうなんですね・・・あの2004年の「FWX」以来ですから、長い間を経てのリリース・アルバム。
 

Fw2
ジム・マテオス(Jim Matheos) :ギター
レイ・アルダー(Ray Alder) :ヴォーカル
ジョーイ・ヴェラ(Joey Vera) : ベース
フランク・アレスティ(Frank Aresti) : ギター
ボビー・ジャーゾンベク(Bobby Jarzombek) : ドラマー

 このメンバーを見て解るとおり、私が最も気になるのは前作そして今作とキー・ボードが無くなっていることだ。ドリーム・シアターを脱退したケヴィン・ムーアが努めた2作「A Pleasant Shade of Grey」(1997)、「Disconncted」(2000)は、結構ドリーム・シアターを越えてお気に入りだったんです。そして今作はツイン・ギターとなって登場。それだけにメタル色の復活とヘヴィさの増強は十分感じられる。しかしやはりそうは言っても、レイ・アルダーのヴォーカルと歌詞からは現代社会の暗部の愁いがここにも描かれる。
Darknesslist

Tracklistは左の10曲(この他に4曲入りのボーナスCD付き)。相変わらす殆どマテオスとアルダーの手によっている。
 曲によってはアコースティック・ギターも入り落ち着いたムードをとりまぜ、又ツイン・ギターとベースでヘヴィ・メタルの唸りを聴かせる。とにかく彼等の看板である変調子、浮遊感、哀愁ムードとスリリングの交錯、そしてドラマチックな展開はお見事である。このアルバムの充実感はやはりドリーム・シアターのお手本であったバンドとしての面目躍如といったところだ。

(視聴)

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2009年9月30日 (水)

フェイツ・ウォーニングのプログレッシブ・メタルの道(4)

 

 

ヘヴィ・サウンドは決して失わないプログレ・メタル・バンド

 

 あの「PERFECT SYMMETRY」(1989)以来、このバンドは Jim Matheos (G)を中心に、Ray Alder (Vo), Mark Zonder (Drum) の3人体制で進化してきた。そして9thアルバム「A PLEASANT SHADE OF GRAY」では、彼らのプログレッシブなアプローチを完成させたと言える。そして3年の経過で、10thアルバムの登場となる。

 

Disconnected 「DISCONNECTED」 MetalBlade Records VICP-61156  2000

このアルバムも前作の好評の中の一連とみれる。バンド・メンバーも変わらず、今作もキー・ボードに「PERFECT SYMMETRY」で協力のあったドリーム・シアターのケヴィン・ムーアが前作に続いてゲスト参加している(既に彼はドリーム・シアターからは脱退している)。

   Disconnected Part 1
    One
    So
    Pieces of Me
    Something From Nothing
    Still Remains
    Disconnected Part 2
 
  とにかく、オープニングから不安感を誘うギターの唸り音で、一瞬にして引き込きこまれる。”One”は後にも良く演奏されるヒット曲で、ヘヴィの中に説得力あるメロディーを挿入して先への展望を感じさせる曲として聴かせる。しかしそれに続く曲”So”は、それに引き替えかなりマイナス気分を訴えて、なかなか難解な展開だ。
 一方”Something Frome Nothing”などのスペーシィーな曲作りは現代版ピンク・フロイドといってもいいが、後半はメタル・バンドの面目躍如。”Still Remains” は、ケビンのキーボードが生きているし、ベースのリズムを刻む手法が面白い。しかしこの曲は全体的には、前作よりは一歩ヘヴィな因子を増幅させた構成で、ジム・マセオスのギターも納得の演奏で16分の大作。最終章はスタートのギターの唸りにキーボードが支えての曲を再展開させ、ロジャー・ウォーターズの「死滅遊戯」のごとく語りを入れて閉じる。このあたりはかってのプログレ・バンドにも通ずる幕締めだ。まさに私の好むタイプであるが、見方によってはH/Mバンドとしては少々物足りなかったかも知れない。


Fwx2 さて、4年の間をおいての近作はこの「FWX」 MetalBlade Records 3984-145000-2   2004

久々のフェイツ・ウォーニングという感じだった。左に見るごとくのスリープ・デザインも如何にも自然現象への哲学的アプローチを感ぜさせるもの(クリックにて拡大)。このアルパムでは、前作ではゲスト参加であったベースのJoey Vera  は正式メンバーとなり4人バンドとなる。今回はあのキーボードのケヴィン・ムーアはいない。ただし一部の曲にジム・マセオスがキーボードを入れるが、全体的にはキー・ボード・サウンドは後退している。
 コオロギの鳴く音にアコースティック・ギターが語りそしてヘヴィ・サウンドの幕開けという手法をとる。どう見てもこのアルバムは”既にやりたいことは前作および前々作でやった。今回は我々のスリリングなヘヴィ・メタル・サウンドを聴いてくれ”と言わんばかしの曲構成。変拍子も惜しげ無く披露して、重く、あの暗さも持ちつつ、その中にも疾走するパワー全開の展開に圧倒される。しかし締めくくり曲の”Wish”は哀愁と美しさを聴かせてくれる。これぞ、現代プログレ・メタルと言いたげだ。

Athensdvd  こうした彼らの流れの中で、「FWX」発表後のライブ映像が、この「LIVE IN ATHENS」 INSIDEOUT 2005 (参照:私のこのブログにて2006.12.31に取り上げている)

 2005年2月20日ギリシャはAthensに於けるライブ映像。ここではジム・マセオスにフランク・アレスティを加えてのツイン・ギターで、圧倒的なヘヴィ・メタル・サウンドを展開。SET LISTを見ると、この「FWX」からの曲もあるが、やはり「A Pleasant Shade Of Gray」、「Disconnected」の2アルバムからの曲も多い。

    one
    a pleasant shade of gray partIII
    Lift in still water
    simple human
    heal me
    pieces of me
    face the fear
    quietus
    another perfect day
    a pleasant shade of gray part XI
    the eleventh hour
    point of view
    monument
    still remains
    nothing left to say

 彼らも、実験的曲作りによるプログレッシブなアプローチ、それはロックの過去の遺産への回帰とともにHM/HRのスタイルに新しい方向性を探究し、ややダークな中に哲学的思想を感じさせるバンドとして成長してきた。彼らの20年の経過は、けっして恵まれたバンドとは言えない。特に日本に於ける評価はヨーロッパに比べるとかなり低いと言わざるを得ない。多分、現在も多くの難題にぶつかってはいると想像する。しかし、内容の濃い貴重なバンドであることはまちがいなく、これからの道に光りが指すことを期待している。

(試聴)

 

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2009年9月29日 (火)

フェイツ・ウォーニングのプログレッシブ・メタルの道(3)

プログレッシブHMの彼らの第2の頂点に・・・

 アルバム「Perfect Symmetry」(1989),「Parallels」(1991) にてプログレッシブ・メタルという世界の一つの頂点を築いた彼らではあったが、続く「Inside Out」(1994)のリリースまではジム・マテオス主導の同一メンバーでのかなり実験的そしてテクニカルな奏法による一連の音楽作りをしてきている。

 

Apeasantshadeog  そして3年後の1997年、あのラッシュを手がけたテリー・ブラウンを再びプロデューサーに迎え、ジム・マテオスの新たなる試みが始動して、更なる頂点を目指した。

8thアルバム「A PLEASANT SHADE OF GRAY」 Metalblade Records VICP-60051  1997

 なんと言っても、それは更なるプログレッシブなHMの実験的試みの新展開を果たすことになる。メンバーにあのドリーム・シアターを離れたケビン・ムーア Kevin Moore (Key boards)を招聘、ベースはジョーイ・ヴェラにチェンジしている。
 曲はなんとアルバム全体を12の組曲的構成による約50分の1曲で仕上げた。曲の印象はキーボードの流れに、それぞれのメンバーが丁寧な演奏を乗せて盛り上げて行く。その展開はまさにプログレッシブな感覚に裏打ちされた説得力のある演奏とメロディー、そして一つ一つの音をここまで大切にした作りは出色である。HMのギター・リフも散りばめてはいるが、トータルの曲の構成の中ではそれがメリハリとなり、一方ピアノの音の流れも加わって明らかにドリーム・シアターとは一線を画すタイプのプログレッシブ・メタルの極致を知らしめる。
 ビンク・フロイドを代表として、曲の展開と流れにロックというジャンルを超えた音楽性を構築するバンドを好む私にとっては、当時彼らの持ち前のダークさをもっての精神性を追求するサウンド作りに久々の感激を持って迎えたアルバムであった。

 そしてこの作品は、ヨーロッパで圧倒的な支持を得て、彼らは1998年ヨーロッパ・ツアーを展開。この”A Pleasant Shade of Gray” の全曲と過去のヒット曲を聴かせてくれた。
Stilllife その模様が、彼らの初のライブ・アルバム :
「STILL LIFE」 Metalblde Records VICP-60509-10 1998
に収められている。
 キーボードの加わった曲展開は、ヨーロッパでの支持を受けた大きな因子であったのかも知れないが、ここに過去の変拍子を構築してきた実力が加わっての成果とみたい。ただし、ライブではキーボードは、ムーアに変わってジェイソン・キーザーが担当している。


Dynamodvd  この当時の映像は、2000年リリースのDVD 「Live at the DYNAMO」 で観ることが出来る。
 これは1998年5月30日の”the Dynamo open air festival ”にての収録映像。
 いつぞや書いたことがあるが、どうもこのバンドは、ライブの姿が今ひとつ私のこのバンドに持つ印象の世界と違うのだ。強いて言えば、メタル・バンドという建前を前面に出すためか、ステージのパフォーマンスと曲やアルバムのどちらかというとダークな、そして哲学的なイメージとが異なっているように感ずるのだ。私は、このフェイツ・ウォーニングは、アルバムをトータルにジックリ聴く事の方が好きだ。

 

 このバンドの最高点に位置する「A Pleasant Shade Of Gray」まで言及できたが、次なる彼らの「DISCONNECTED」と近作の「FWX」の2アルバムについて、更に次回に検証したい。

(視聴)

 

 

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2009年8月23日 (日)

フェイツ・ウォーニングの魅力(2)

 物語がある世界が魅力

Parallels  フェイツ・ウォーニングの前回取り上げた5thアルバム「PerfectSymmetry」(1989)に続いて、2年後に6thアルバムが登場した。

「Parallels」 Metal blade 9 26698-2 1991

 この2枚はジャケからみると、共通性があり、ある意味では2部作であったのか?、いずれにしてもメンバーは前作のRay Alderのヴォーカル、そしてリード・ギターと全曲作曲しているJim Matheosと他3人の変動なく、このバンドのある意味での頂点にあった作品とみる。このメンバーは次作まで継続するわけで、この3作は、彼らのロックにおけるHM/HRを造り上げてきたバンドとしての発展方向に、プログレッシブな感覚と手法を導入、そしてここに彼らの世界の一つの形を造り上げたといっていいのだろう。いずれにしても Jim Matheos=フェイツ・ウォーニングのパターンが確立している。
 複雑なテクニカルにすぐれた曲づくりと、醸し出す知性的なムードはプログレッシブ・メタルと表現される原点であろうし、けっして忘れていないヘヴィメタル奏法を展開するところもにくいところだ。この頃になると、私は彼らの新作を楽しみにするバンドの一つになっていた。そして何にも勝る彼らの曲には、私はlyricsの理解は不十分ではあるが、なにか物語を感ずるところであると断言する。当時は彼らに触発されたと思われるドリーム・シアターが成功の道を歩んでいるところで、その影になっていたところであるが、作品的質は高い。

Insideout_2  7thアルバム「INSIDE OUT」 XRCN-1148 1994

この作品を聴くと、前作に比して聴きやすくなってきたことがわかる。 そして面白いことにRayのヴォーカルも初期のハイトーンのスタイルが変化して語りかけるものに変わりつつある。全体にヘヴィメタル・スタイルは後退している。前作はラッシュを手がけたことのあるテリー・ブラウンのプロデュースによるものであったことにもよるのか、不思議にこの作品になって、ふとラッシュを思い起こすところが見え隠れするところが面白い。多分彼らのどこかにはラッシュの姿は当然あるのであろうし、それは不思議なことではないと想像する。
 曲では”inward bround”という2分少々のインスツゥメンタルのギターをゆったり聴かせる短い曲も挿入されていたり、それに続いての”Monument”では、テンポのあるそしてテクニカルな演奏で聴かせる曲を展開させ、彼らの力みのない余裕を感じさせる作りとなっている。
 しかし私の好みからは、プログレッシブ・メタル感覚の強い前作アルバムの「Parallels」 のほうになる。

 どうも彼らを語ると多くなってしまう。このあとに彼らのバンドも一つと言わず、少なくとも二つの山がある。そのあたりは又次回に譲ることとする。

 参考までに、フェイツ・ウォーニングの1984年のオリジナル・メンバーは以下の通りである。John Arch (Vo), Jim Matheos (G), Victor Arduini (G), Steve Zimmerman (Dr), Joe DiBiase (B) 
 そしてこの91年,94年の2枚のアルバムでは、Jim Matheos(G), Joe Dibiase(B)の二人 のみが残っており、vocal は4thアルバムからの Ray Alder、 もう一人の Guiter は Frank Aresti で、drums は Mark Zonder という布陣になっている。
  

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2009年8月17日 (月)

ネオ・プログレッシブ・メタルの雄:フェイツ・ウォーニング(1)

地道な歴史を踏むことになったプログレッシブ・ヘビー・メタル・バンド

 

 プログレッシブ・メタルと言われるドリーム・シアターがニュー・アルバムを発表した事で、日本ではファンも多い彼らを先日取り上げた訳ですが、と・・・・なると、やはりフェイツ・ウォーニング FATES WARNING を改めて考察しておかなければ・・・と思うのである。今こうして彼らとの接点は何だったのか?、と思い起こしているのであるが・・・どうしたことか思い出さない。オリジナル・メンバーは5人のツイン・ギター、ドラムス、ベース、ヴォーカルとオーソドックスな構成だ。
Awakentheg  とにかく、私がこのフェイツ・ウォーニングは、あのマリリオンと共に愛してきたことは事実である。その入り口は、左のアルバムだった。

 

「Awaken The Guardian」 Metal Blade Records 1986

 彼らは米国コネティカット州出身のヘヴィメタル・バンドと言っていいのだが、既に変調子を駆使して異様なバンドとして知ることになった。考えてみるともう20年以上前の話で、当時あまり情報もなく外盤で接していた。

 

Noexit_2  そして私をして虜にしたのは、4thアルバムだ。

「NOEXIT」 Metal blade records 1988

 
これも外盤で手に入れ、特に”In A Word”という曲がメタルでありながらも、旋律とリズムの綾に聞き惚れた。そして”The Ivory Gate Of Dreams”の8パート分かれた22分にも及ぶ大曲に、プログレッシブなアプローチを感じさせられたのだ。このアルバムからヴォーカルは現在のレイ・アルダーに変わるが、最近のライブから比較してもかなり当時は立派な高音の持ち主だ。
 ここで、何故彼らを取り上げるのか?と言うと、今やプログレッシブ・メタルという分野もある意味では確立している。そしてその代名詞的バンドがクィーンズライク(当初は日本ではクィーンズライチと言った)であり、ドリーム・シアターであるが、その両者に多大な影響を与えたと言われるのが、このフェイツ・ウォーニングなのだ。

 ここで、彼らのディスコグラフィーをみてみると

  ① Night On Bro"cken   1984
   ② The Spectre Within    1985
   ③ Awaken the Guardian 1986
   ④ No Exit                    1988
   ⑤ Perfect Symmetry    1989
   ⑥ Parallels                  1991
   ⑦ Inside Out                1994
   ⑧ Chasing Time (compilation) 1995
   ⑨ A Pleasant Shade of Gray  1997
   ⑩ Still Life (live)          1998
   ⑪ Disconnected          1998
   ⑫ FWX                     2000
   ・・・・・・と、なる。(近年ライブもののDVDアルバム「LIVE IN ATHENS」を出している)

 

Perfectsymmetry  そして彼らのアルバムを期待して迎えるようになったのが、この5thアルバム。

「Perfect Symmetry」Metal blade Records 1989   Pccy-00007

 彼らのアルバムをネオ・プログレッシヴ・メタル・バンドとして、その進化に期待しつつ待って迎えたこの5thアルバム。そしてポニー・キャニオンから日本盤もリリースされた。
 (メンバー)
   Ray Alder : lead Vocals
   Jim Matheos : Guitars
   Frank Aresti : Guitars
   Joe DiBiase : Bass
   Mark Zonder : Drums
            
 曲では”at fates hands”とか”Chasing TIME”(弦楽器なども入る)などが印象に残る。そして私にとっての極めつけは最後の8曲目の”nothing left to say”だ。これぞ彼らの典型的美しいギター・サウンドと激しいリズム隊の交錯。Alderのヴォーカルも説得力がる。見事であった。
 このアルバムにて、彼らのバンドとしては第2期を極めたと言っていい。
 彼らのプログレッシブ・アプローチは、その哲学的なところが魅力的で、内容は奥深い。又、このスリーブ・デザインもそんな意味からも引きつける優れものだ。しかし全体の印象としてどうしても暗い印象が出てくるバンドで、それがこの時代、日本ではヒットに結びつかないで来たのかも知れない。
 
 このバンドは実はメンバーの入れ替わりも多い。脚光を浴びたというものでない苦難の歴史の中ではやむを得ないところか。いずれにしてもバンド結成以来のメンバーは実は現在では、ギタリストのジム・マテオスのみであるのだ。

 

 このアルバム以降も、ご当地では一目も二目もあるバンドとして評価されているが、それにも関わらず日本では脚光はあまり浴びずに今日に来ている。しかし私に言わせるとなかなかの名盤が更にリリースされている。それは次回に検証する。

(試聴)

 

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2006年12月31日 (日)

2006年 記憶に残る音楽DVD(ROCK)   -2-

「LIVE IN ATHEN」 / FATES WARNING  INSIDEOUT 2005

Fates1_1  なかなか、いいジャケです。彼らの11枚目になるのかな?アルバム「FWX」発表後のライブ映像だ(2005.2.20)。ここでは"a pleasant shade of gray"も上手く取り入れていて、ベスト曲ライブという感じです。
 彼らはなんとなく哲学的アプローチを感ずるグループ作品(アルバム)が多いのですが、ここに来てキーボードの位置が薄れている。最近ケビン・ムーアが時としてゲストとして登場している彼らのバンド構成ですが、このライブではキー・ボードなしの構成でちょっと淋しい。ヴォーカルのRayはどうも映像的にはプログレ・メタルのイメージに合わず、私自身は彼らはCDアルバムで聴いているほうが、どうもイメージはいい。しかしライブ映像も、こうして見てみたいのは、私は長い彼らのファンの一人であるからだ。
 ドリーム・シアターとよく比較されるが、むしろ彼らに影響を与えた大御所であるが、その風格はそれほどない。ライブ会場も馬鹿でかいところでなく、メタル・バンドの親近感も出ている。このDVDもそうは売れているというシロモノではないと思うが、私にとっては「AWAKEN THE GUARDIAN」とか「NO EXIT」とかの頃が懐かしく、今も彼らのニュー・アルバムを楽しみにしている。

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