イメルダ・メイ

2023年5月 4日 (木)

イメルダ・メイ Imelda May 「11 Past the Hour」


愛を通して人間の真相にも迫らんとするイメルダ・メイの冒険性の結晶
(変身第2弾)

<Rock, Jazz, Blues>

Imelda May 「11 Past the Hour」
DeccaRecords / Import / B0033471-02 / 2021

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Back Musicians : Tim Bran(p,g,b), Charlotte Hatherley(g), Cameron Blackwood(k,Prog),Davide Rossi(Str), Charlie Jones(p,b),Matt Racher(d)

 どうもこのところ女性ジャズ・ヴォーカルもののリリースが量と中身が若干低調、そんな中で充実感と迫力でお気に入りだつたアルバムはやはり遅まきながら購入に至ったのでここに取り上げる。

Imelda_may_2018w  これは英国(と、言ってもアイルランド)のSSWのイメルダ・メイImelda Mayの6枚目のスタジオアルバムである。2021年4月のリリースで既に2年の経過があるが最近はストリーミングにより聴いていた。しかしやっぱり手元にCDとして置いておきたい思う濃いアルバムであり、意外に取り上げられていないのでここに紹介する。
 彼女に関しては、ここで何度か話をしてきたが、ジャンルはジャズというよりはロックだ。しかしジャズとして聴ける曲も多く、とにかく歌がうまい。私としては"アイルランドの美空ひばり"と名付けて以前から注目してきた。近年ではジェフ・ベックとの共演の"Cry me a River","Lilac wine"等が出色。そして、出産、離婚後の変身が凄くて前作『LIFE.LOVE.FRESH.BLOOD』(2017)でビックリ、その後のライブ活動も凄く、このアルバムも変身後の2作目で注目度も高かった。

  全曲彼女が共同プロデューサーであるティム・ブランとストリングス・アレンジャーのダヴィデ・ロッシらと共作しており、作詞も彼女自身による。そしてロニー・ウッド、ノエル・ギャラガー、マイルズ・ケインといったミュージシャンに加え、女性フェミニスト思想家、政治活動家ジーナ・マーティンなど驚きの顔ぶれが参加する。彼らをフィチャーした曲では、敢えてロックンロールを展開し問題提議しているのだ。
 バック・ミュージシャンは今盛んな多くが参加、曲により変化を付けているのも彼女のしたたかな冒険性である(末尾クレジット参照)。

 アイルランドにルーツを持つことの意義、かってあの反骨の歌手シネイド・オコナーをも仲良く良い意味で圧倒した彼女のパワーは健在だ。ここにはかってのバンドの拘束から切り放たれた彼女自身そのものの真の姿が浮き彫りされているところに魅力がある。この充実感高いアルバムは、自分の真の姿やアイルランドのルーツ、物語を伝え、魂を込めた愛の歌を展開いる。

(Tracklist)

01. 11 Past the Hour
02. Breathe
03. Made to Love(feat.Ronnie Wood etc)
04. Different Kinds of Love
05. Diamonds
06. Don't Let Me Stand On My Own(feat.Niall McNamee)
07. What We Did in the Dark(feat.Miles Kane)
08. Can't Say
09. Just One Kiss(with Noel Gallagher, feat.Ronnie Wood)
10. Solace
11. Never Look Back

 私はM1."11 Past the Hour"のタイトル曲(UKのSSWであるPedro Vitoとの共作)が大歓迎だ。ロカビリー色の欠如で彼女のファンからは異論があっただろうが、アダルトコンテンポラリーの世界は確実に魅力を倍増した。パワフルなゴスペル調(描くは失った人への思い)の曲で、Imelda Mayの圧倒的なヴォーカルが際立つ。ダークでちょっと暑いバラードだが、彼女の声がかっては考えられない重さでのしかかってくる。中盤からのきしむようなギターがこの曲の一つの焦点で悲しみと不安を描く。
 この曲は、失った世界から新しく旅する自分を赤裸々に訴えて、愛する人を失った人々に向けた慰めと希望を与える世界だ。背景には、社会から疎外されているコミュニティや制度的不平等に取り組む組織を支援することを目的にアイルランド政府の立ち上げた「Rethink Ireland」キャンペーンのために、彼女が書いた「You Don’t Get To Be Racist and Irish」という詩が、世界的に注目を集めた状況を思い出すと単純でない諸々が見えてくる。 重大なものを失った人々にその悲しみと孤独を共有し、同時に、時間が癒しの力を持つこと。しかし時間が過ぎ去っても、人間的思い出を忘れないでいることの重要性を訴えている。とにかく強い歌声と、力強く美しいメロディが圧巻。彼女の音楽性は、ロックやブルースをベースにしながらも、ジャズやソウルなどの要素を取り入れた独自のサウンドが結実している。

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ここに彼女の言葉を記す・・・・
「“11 Past the Hour”は私の真実です。私は常に意味を持って、心を込めて詩を書いています。それぞれの特別な瞬間に、自分の物語を介して人々と繋がることこそが私が書く理由であり、だからこそ、たとえほんのひと時でも、人々と繋がれることを願っているのです。私たちが折にふれて感じるものを、言葉や音楽にすることができるのだと思いたい。私たちは皆、笑い、歌い、愛し、泣き、踊り、キスをし、他人を大切に思っています。私たちは皆、欲望、怒り、喜び、心配、悲しみ、希望を経験します。時には静かに全てを抱え込み、時には踊りながら吹かれる風の中に全てを投げ出すこともありますが、一つだけ確かなことは、私たちは共にこの人生を歩んでいるということ。それぞれの歌は私の人生の瞬間です。それぞれの人生は時代の一瞬。一分一分が大切なんです」

その他一連の曲は・・・
M2."Breathe"
M3."Made To Love"(LGBTQ) とエネルギッシュでポップな曲が続く(Ronnie Woodをフィーチャー)
M4."Different Kinds of Love" 情緒豊かなヴォーカル
M5."Diamonds" ピアノのバックに叙情的スローバラード、深く美しき感謝の訴え(真純なる愛に感謝)
M6."Don't Let Me Stand On My Own" Niall McNameeとのデュオ、民族的、牧歌的世界
m7."What We Did in the Dark " Miles Kane とのデュオ。アップ・テンポで典型的ロックだがどこか切なさが・・・
M8." Can't Say" 説得力の優しさあふれるバラード。彼女の訴えの歌い上げが聴き応え十分。歌詞は重く印象的な曲。
M9." Just One Kiss" 典型的な懐かしロック(Ronnie Woodをフューチャー)
M10."Solace" かなり品格のあるバラード、彼女の美声に包まれる。人生の光明をみつけて・・・
M11."Never Look Back" 祈りに近い訴え

  このアルバムは、イメルダ・メイが、U2、ルー・リード、シネイド・オコナー、ロバート・プラント、ヴァン・モリソン、ジャック・セイボレッティ、エルヴィス・コステロら、各種そうそうたるアーティストたちとデュエットを果たし成功してきたこと、近年ではジェフ・ベック、ジェフ・ゴールドブラム、ロニー・ウッドらのアルバムやライヴ・ツアーにも参加した。こんな経験から。幅広い音楽的影響を反映した、ひとつの折衷主義作品となった。それは想像するに、彼女は、過去のロックンロール一途では国際的発展性に割り込むのはむずしいと判断したこともあり、又彼女自身のブルース、ジャズ、ラテン音楽など、多様なジャンルの要素を持ち合わせたことの創造結果かと思う。
 そしてアイルランドにルーツを持つ複雑な社会的経験が重なっての彼女のSSWとしての能力がこの重厚な内容のあるアルバムが作り上げられたと思う。ヴォーカル・アルバムとしはその中身の重さに、そして曲の多彩さに感動するアルバムであった。
 最近、女性ヴォーカルものが低調であるので、日本ではどうも一般的でないアルバムでありながら中身の濃いところを紹介した。

(参照 Credit)  クリック拡大

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(評価)
□  曲・演奏・歌  90/100
□  録音      87/100

(試聴)

*

 

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2018年6月18日 (月)

なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演

 特別な意味は無いのだが、昔からなんとなく好きな曲(歌)があるもので・・・・そのうちの一つにもう60年前の曲で、今でも女性ジャズ・ヴォーカルのアルバムにはよく登場する「Cry Me A River」だ。

 

 この曲は、近年ロックの大御所にもなりつつあるジェフ・ベックもギター・ソロで演じたりと、登場は延々と今日に繋がっているのだ。そこで取り敢えず最近この曲を唄いあげた歌姫を聴き比べてみようと、手元にあったアルバムから取り出して並べてみたところ十数曲となった。

         ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

Jl1 もともとこの曲は1955年にジュリー・ロンドンJulie London(1926-2000 (→))の歌唱で米国で大ヒットしたものだが、作曲・作詞者はアーサー・ハミルトンArther Hamilton(1926-)である。この曲も意外に難産で、当初は映画音楽(「皆殺しのトランペット」)として作曲されたのだが却下され、なんと映画企画者で監督・主演のJack Webbがこの曲を惜しんで、自分と離婚したばかりのジュリー・ロンドンに紹介したというのである。そしてジュリーは、ギターとウッド・ベースのデュオをバックに唄いあげてヒットとなったものだ。これによりB級女優であったジュリーは一躍歌手として脚光を浴びることになったというもの。

 私が昔初めて聴いた当時は、当然このジュリーの唄ったものだが、歌の歌詞の内容などは特に理解もせず気にもしないで聴いて気に入っていたのだが、一度は裏切りながら復縁を乞う恋人に向かって”いまさらもう遅い、川のように泣くがいい”といういやはや”恨み節”と言えるバラード曲なんですね。しかし究極はそう言いながらも受け入れる女心を臭わせるのが良いのかも。

 

  そして1956年には映画「女はそれを我慢できないThe Girl Can't Help It」にジュリーは特別出演してこの曲を登場させ、世界的ヒットとなった。

 

         ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

そこで私が作製したCD(勿論、私のプライベイトのもの)

「CRY ME A RIVER」 selected by photofloyd

 

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1. Jeff Beck
2. Imelda May
3. Julie London
4. Nicki Parrott
5. Cheryl Bentyne
6. Diana Krall
7. Ilse Huizinga
8. Lyn Stanley
9. Hetty Kate
10. Barbora Mindrine
11. Alexis Cole
12. Halie Loren
13. Tierney Sutton

 

 

 

 

 

 

 

  どうですか、結構興味深いメンバーが集まりました。

Imeldamay_30 ”さあ、皆うまく歌えよ・・・・”と言う感じで、Jeff Beckの演奏からスタートさせた。そして歌姫トップは、ジェフとのコンビの私が言うところのあちらの美空ひばりImelda Mayの歌から始まる(実は美空ひばりもこの曲を日本語歌詞で歌っていますが、良い音源が手元に無し)。このイメルダはロックでもジャズでも何でもこなす、上手いです。そしておもむろにJulie Londonの登場、今聴いても情感の表し方は古くさくなくお見事。そして続いて今や花形のヴォーカリストを登場させるというパターン。いやはやそれぞれ皆個性ありますね。

 

NickipCheryi_b3Dk3Lynstanley






 Nicki Parrottは無難に唄っていますが、ちょっと情感が少ないかな。Cheryl Bentyneはバックのトランペットが効いてジャズっぽい。Diana Krallはやっぱり独特のクラール節。Ilse Huizingaはやや大人しいかなぁ、ちょっと既成のイメージとは違う。Lyn Stanleyはバックのサックスと共に大人ムード。Hetty Kateは情感抜きの異色派。Barbora Mindrineはバックこそ違ってもジュリー派。Alexis Coleは唄い聴かせる派。Halie Loren は小節を効かしての自分派。Tierney Suttonはまさに彼女の世界で歌い込む、別の曲かと思わせる。

 こうして並べて聴いていても、それぞれに個性があって飽きないところが味噌。従ってまだまだ多くの女性ヴォーカリストがこれからも聴かせてくれることが楽しみな曲である。

 

Cry Me A River
             (Arther Hamilton)

Now you say you're lonely
You cry the long night through
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you

Now you say you're sorry
For being so untrue
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you

You drove me, nearly drove me, out of my head
While you never shed a tear
Remember, I remember, all that you said
You told me love was too plebeian
Told me you were through with me and

Now you say you love me
Well, just to prove that you do
Come on and cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
I cried a river over you
I cried a river...over you...

 

 今頃になって あなたは「淋しい」なんて言うのね
一晩中 涙に暮れながら
だったら たくさんお泣きなさい
川のように泣くといいわ(涙が川になるまで泣いてみせて)
私だって あなたの為に たくさん涙を流してきたんですもの

今さら 「すまない」なんて謝られてもね
自分がどんなに不実だったかを
だったら たくさんお泣きなさい
川のように泣くといいわ
私だって あなたの為に たくさん涙を流してきたんですもの

あなたが涙しなかった時も
私はどれほどあなたに夢中だったことか
忘れもしないわ あなたが私に言った事
恋なんて バカらしいとか
私とはもう終わっただとか

それなのに
今さら あなたは「愛してる」なんて言うのね
だったら それを証して見せて
川のように あふれる涙で
        (ネット上でみた日本語訳を拝借)



(視聴)

 

* Imelda May

* Diana Krall

 

 

* 美空ひばり

 

 

 

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2017年5月27日 (土)

大変身のイメルダ・メイIMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」

”アイルランドの美空ひばり”(私の独断的命名)
~相変わらずの抜群の歌唱力は健在~

<Jazzy Pop,  Blues , Folk>
IMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」
DECCA / EU / 5714901 / 2017

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Prodused by T Bine Burnett
Written by Imelda May

Vocals : Imelda May
Gest Player : Jeff Beck (Guitar M2),  Jools Holand (Piano  M9)
Marc Ribot : Guitar
Jay Bellerose : Drums
Zachary Dawes : Electric Bass
Dennis Crouch : Acoustic Bass
Patrick Warren : Keyboad


 これはイメルダ・メイのメジャー四作目、アルバム・タイトルが凄いですね、まさに彼女の生き様そのもの。彼女は私に言わせると”アイルランドの美空ひばり”だ。何を唄わせてもトップ・クラスのヴォーカルを聴かせてくれる。とにかくそうは言っても今まではやっぱり”ロカビリー歌姫”が看板。ところがここに来て驚きの大変身。大体髪型を現代風に変え、化粧もそれにそってかってのロカビリー時代風とは全くの変身、女性ってこんなに変化するんですね。あの彼女をお気に入りのジェフ・ベックも驚いたでしょう。

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          ↓↓   (見よ!この変身)

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 それも彼女をそうさせたのは、やっぱり離婚でしょうかね。彼女のロカビリー・バンドのリーダー格のギタリストDarrel Highamと18年の結婚生活にピリオドを打ち、離婚が報じられたのはもう少々前の話(2015年)。しかしその後ここまで変身とは全く信じられないところ。

  私は、彼女をここで何回と取りあげたのはやっぱりファンだからです。とにかくロカビリーは勿論だが、ジャズを唄わせても最高です。ジェフ・ベックとの共演での”Lilac Wine”、”Cry me a River”なんかは一流のジャズ・シンガーをも圧倒する(アルバム:Jeff Beck 「EMOTION & COMMOTION」(WPZR-30373/4,  2010))。

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 そしてこのアルバムにみるように、唄うはその曲調も大変化、なにせあのロカビリーの”Johnny Got a Boom Boom ”からの変化ですからね。まあとにかくお得意のロカビリーも顔を出すが、もう完璧な大人のシンガーへ変貌を遂げてみせ、ジャジー・ポップから、ブルース、フォーク、ロック、ソウル、ゴスペル、ジャズにまでに渡っている。これぞ彼女の芸達者の極地。そしてこの曲群、やっぱり全曲彼女の手によるオリジナル曲である。彼女に言わせると”自分の日記みたいなもの”と表現されている。
 レコーディングはLos Angelesにて7日間で行われたもの。

(Tracklist)
1.  Call Me
2.  Black Tears
3.  Should’ve Been You
4.  Sixth Sense
5.  Human
6.  How Bad Can A Good Girl Be
7.  Bad Habit
8.  Levitate
9.  When Its My Time
10.  Leave Me Lonely
11.  The Girl I Used To Be


Imagew_2 まずオープニングのM1.” Call Me”とM3.”Should’ve Been You ”で驚きますね。この2曲は今回の変身の代名詞的曲。みごとな二種の現代風ジャージー・ポップに感動です。
 又二曲目のリード・トラックM2.”Black Tears ”はジェフ・ベックのギターが登場。彼女の内と外の真実の心の姿をバラードで歌いあげる。これは1-2年前からお目見えしていた曲。ロカビリー時代のスローバラードですね。そしてやっぱりジェフのギターは心に染み込みます。
  M6. ”How Bad Can A Good Girl Be ”これは又聴きやすい親密感あるメロディーで一皮剥けた彼女を知ることになる気が休まる曲。
  M7. ”Bad Habit ” やっぱり出ますね、ロカビリー調の軽快な曲。
 M8.”Levitate ”親近感のあるメロディー、説得力のヴォーカル、そして隠れた色気まで臭わせて、一緒に唄いたくなるような曲。
 M9. ”When Its My Time ”こんなカントリー・ブルースっぽい曲も登場。昔、プレスリーが激しい曲の後にしっとり唄い上げた姿とダブリますね。上手い。 
 とにかく全体的に非常に聴きやすい説得力十分の曲とヴォーカル。ソフトであるが、やや陰影のあるところが味噌だが、決して暗くない。そして軽快な曲も交えてのまあ見事なアルバムに仕上げている。

 彼女は1974年7月10日生まれ(実はどうでも良い話だが、偶然私と生まれた月、日は一緒)、と言うことで40歳を過ぎている。アイルランドのダブリン出身のシンガー・ソングライター。本名はイメルダ・メアリー・クラビーImelda Mary Clabby 。2008年にアルバム『ラヴ・タトゥ』でメジャー・デビューしている。2012年8月に娘を生んでの母親でもある。
 このニュー・アルバムで”ロカビリー歌姫”から、”落ち着いた雰囲気の大人なシンガー”へ変貌を遂げてみせ、新たな挑戦に踏み切った。それでも印象は30歳代と言ってもよい十分の若さを感じさせる。

 このアルバム・リリースはこの4月。それを知らないで居て、ブログ「ロック好きの行き着く先は...」のフレさんに教えられました。サンキュー。


(視聴)

       ”Black Tears”  ( 2016 )↓

      ”Cry me a River” with Jeff Beck   ( 2010 )↓

     ”Danny Boy”  with Jeff Beck  (2010) ↓

 

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2011年2月 8日 (火)

ジェフ・ベック Jeff Beck : とにかく楽しい「Rock'n'Roll Party」

1950-60年代の楽しかったロックン・ロールの再現

Rocknrolldvd 「Jeff Beck / Rock'n'Roll Party ~honoring Les Paul  ジェフ・ベック ライブ・アット・イリディウム」 DVD eagle vision YMBA-10235  ,  2011

 今、こうしてロックン・ロールをジェフのギターで聴いてみると、ほんとにあの時代は楽しかったのを思い出す。
 今回のライブは、ニュー・ヨークの中心街にあるもともと100人程度の収容のレス・ポール所縁のイリディウム・ジャズ・クラブのもの。前回のライブものも、あの小さいロニー・スコッツでのものであったし、どうゆう訳か?ジェフは近年そんなライブものをオフィシャルにリリースする。

 ゲスト参加は、イメルダ・メイ(Vo.)、ダレル・ハイアム(Vo.  Guit)、トロンボーン・ショーティー(Trom.)、ゲイリー・US・ボンズ(Vo)、ブライアン・セッツァー(Guit.)で、キーボードのジェイソン・リベロも登場。
 バンドはイメルダ・メイ・バンドの面々だ。2009年にロンドンのTheO2のインディゴ2での共演で息はピッタリ合っている。
 主力のロックン・ロールの曲目は、イメルダ・メイとの共演を既に私はO2アリーナのライブ・ブートDVD(このブログの20010.4.8-9で紹介)しっかりみているため、大きな驚きはなかったが、しかしこのオフィシャル盤の映像とサウンドですっかり堪能してしまった。

Rocknrolldvd2  このライブの一つのポイントは、なんと言ってもジェフがアルバム「Emotion & Commotion」で共演したイメルダ・メイだ。とにかく彼女の唄うパフォーマンスは圧巻だ。彼女は”アイルランド”の歌姫と言われるロックン・ロールの実力派。私は彼女を”アイルランドの美空ひばり”と命名しているが、それはあるところで喝采を浴びた。実は発声も似ていると思うし、唄がうまいところは、まさにそんな感じなのだ。

Jeffbeckimelda  そしてこのDVDの見せどころは、ロックン・ロールの楽しさは勿論だが、やっぱりジェフの操るギター・テクニック。数種のギターのオンパレード。まずはギブソンのES-175、そしてディオ・ジェット、テレキャスターそしてレス・ポールとギターをとっかえひっかえして楽しませる。やっぱりストラトキャスターは当然登場させる。ジェフのゲストと共演のリラックスした姿は、彼の円熟をも物語っているのであろう。
 50年以上前のあらゆる社会情勢が上昇していく環境がこうしたロックン・ロールの世界を造り出した。そんな中でリアル・タイムにエルビス・プレスリーを楽しんだり、レス・ポールのサウンドに酔ったりの時代が蘇ってくる。
 とにかく懐かしい曲がどんどん出てくる。”Apache”は、私は好きな曲で1960年代の流行当時キャバレーと言われる場所で流したらひんしゅくをかったことのある思い出の曲だ。まだまだ日本では少数派だった。
 イメルダ・メイは”cry me a river”のようにしっとりと歌うのも良いし、”Walking in the sand”のような曲をもののみごとに歌い上げる。彼女はまさに花である。

 このDVDは、27曲収録しているが、視聴しているとあっという間に終わってしまうほど楽しさいっぱいである。このライブ映像は、無条件に歓迎しましょう。

1. baby let's play house
2. double talkin'baby
3. cruisin'
4. Train kept a rollin'
5. poor boy
6. cry me a river
7. my baby left me
8. how high the moon
9. sitting on top of the world
10. bye bye blues
11. the world is waiting for the sunrise
12. vaya con dios
13. mockin'bird hill
14. i'm a fool to care
15. tiger rag
16. peter gunn
17. rocking is our business
18. apache
19. sleep walk
20. new orleans
21. walking in the sand
22. please mr.jailer
23. casting my spell on you
24. twenty flight rock
25. the girl can't help it
26. rock around the clock
27. shake, rattle & roll

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2011年1月26日 (水)

ライブで健闘のジェフ・ベック Jeff Beck

ライブで楽しむジェフ・ベック

Rcknrollparty  アルバム「エモーション・アンド・コモーション Emotion & Commotion」のヒット以来、各地でのライブの成功が話題になっているジェフ・ベック。
 近々、2010年6月8日、9日にニュー・ヨークのレス・ポールにゆかりの深いイリディウム・ジャズ・クラブで行ったスペシャル・ライブのステージの模様の映像アルバムがリリースされる(「Jeff Beck / Rock'n Roll Party honouring Les Paul」) 。左のスリーブ・デザインで見るとおり、ギブソンのES-175や名機レス・ポールを弾く姿が拝めるということもあり注目されている。
 近年ロカビリー軍団のイメルダ・メイ・バンドとの共演など(既にここでも取り上げたが)ジェフの活動は多岐に及んでいるが、このステージでもゲストとしてイメルダ・メイが参加しているし、その他多彩なゲストの名が挙がっている。

 こんなジェフ・ベックの話題が尽きないところであるが、先日LAのグラミー・ミュージアムで行ったライブ音源を収録したCDを手にしたので、ここで取り上げておく。

Grammymuseum 「JEFF BECK / LIVE AND EXCLUSIVE from the grammy museum」 ATCO R2-526419 , 2011

2010年4月22日、LAのGrammy Museum で行われた公演のライブ音源。当初この音源は、ネット配信(iTune Music Store)でのみということで、不満が巷にあったが、その後CD-Rでの販売があったりしたもの。しかしこの盤はしっかりしたCD盤。

 この時は、親しい仲間を集めての小ホールでの限定ライブで、そのうち8曲が収録されている。又アルバム「Emotion & Commotion」とはメンバーが異なっていて、2010年4月の来日メンバーと同じだ。キーボードは、Jason Ribello で変わっていないが、ドラムスはかっての仲間 Narada Michael Walden が久々の登場。そして可愛い女性ベーシストのタル・ウィルケンフェルドに変わって、これまたベテラン女性ベーシストのRhonda Smith という陣容だ。

(収録曲)
   1.corpus christi carol
   2.hammerhead
   3.over the rainbow
   4.brush with the blues
   5.A day in the life
   6.nessun dorma
   7.how high the moon
   8.people get ready

 この8曲であるが、来日時の演奏と基本的には変わっていない。しかしアルバムより一歩進化した印象を受けるのは、ウォルデンのドラムスによってパワー・アップした感があり、又スミスのベースもJazzyなタルとは若干異なってロックそのもののエネルギーを感ずる。
 しかし、ライブものはスタジオ盤と違ってのその場の変化や迫ってくるパワーが違って素晴らしい。それはこの好録音も見逃せないところだ。
 さて、この盤の印象を語れるのは、やはりジャパン・ツアーの内容を体験しているからに他ならない。又そんな意味でもこの良質のブートも巷に流れていることをチェックしておこう。

Tokyo1 「JEFF BECK  International Forum, Tokyo, Japan 13th April 2010」 Bootleg , 2010

2010年4月13日の東京国際フォーラム全曲オーディエンス収録2枚組ブート・アルバムである。
 これがなかなかクリアなサウンドで、ここまでブートで演奏22曲全曲聴けるのであるから嬉しいことだ。さすが日本、オーディエンスは比較的良好な態度だ。肝心の演奏はしっかり聴いている。録音に全くの支障ないところが立派。
 上の Grammy Museum の演奏と比較しても決して手を抜いていないのが解る。

2010tokyolive_3  Jeff Beck はかってはライブもののリリースを拒んでいた経過があるが、近年逆にライブものに結構力が入っているようにも見える。
 そして今回は、メンバーの影響もあるのかとも推測するが、演奏そのものにもウォルデンのパフォーマンスが明るくパワフルで、ジェフ本人は結構楽しんでいるようにも見えし、66歳になった彼が一歩も二歩も我々に近くなってくることに嬉しく思うのは私だけではないであろう。

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2010年4月 9日 (金)

ジェフ・ベック とデヴィット・ギルモア、イメルダ・メイの競演

2009年7月:ジェフ・ベック英国ツアー(ロイヤル・アルバート・ホール)

今年も又日本公演のジェフ・ベックであるが、2009年の活動も盛んであった。そのうちの英国ツアー最終日はロンドンはロイヤル・アルバート・ホール(7月4日)であった。メンバーはあの可愛い女性ベーシストの Tal Wilkenfeld の参加で話題になった2007年以来変更無し(Jason Rebello(keyb), Vinnie Colaiuta(drums))。これも又ブートによるチェックをしてみよう。

Royalalbert1 「JEFF BECK / ROYAL NIGHT 2009」 Live at Royal Albert Hall LONDON 2009  VIDEOSMASH VS-104R

 このライブでは、殆どあのRonnie Scott's ライブと曲目は同じだ。ただしゲストとしてピンク・フロイドのデヴィット・ギルモア、そして今回のベックのニュー・アルバムに登場のイメルダ・メイの競演があった。このブートは完全収録でその様子はしっかり見れる。
 ギルモアとのギター競演の曲は”Jerusalem”だった。両者はお互いに認め合ってのギター・テクニックで、いかにも楽しそうに演奏する。ギルモアはこの画面見る限り、若干肥満はとれたように見えるが、どうもスキン・ヘッド状態。そこにイメルダ・メイが再登場して、なんと曲”Hi-Ho Silver Lings”では珍しくベックのヴォーカルも入ってギルモア、イメルダ・メイと3人で歌い上げる。これで盛り上げてこのライブは終了となるが、最後に例のごとくベックの”Where were You?”で幕を閉じる。
09davidgilmour2 09_imeldamay_gig2  このライブは、途中でイメルダ・メイのヴォーカル曲”Lilac Wine”が登場し、彼女の円熟した歌声が聴ける。ベックは彼女の実力をかっているのであろう。
 又楽しいのはタルがベースを弾きながら前に出てテクニックを披露するが、そこに左サイドにベックが立って、曲”Freeway Jam”では、タルのベースに手を出して2人で一つのベースを演奏するという芸も見せた。
 ただし、いかんせんこのブートは正面からの映像で捉えているが、やはり画像は不十分。又音も落ちる。まあこんな雰囲気だったと観るところで収めておかないと不満が残る。

Royalalbert2  このブートDVD、実はおまけがありまして2009年10月30日のホール・オブ・ヘイム25周年記念コンサートが、ニューヨークMSGで開催された模様を、USTVバージョン収録もので5曲収められている。
 こちらは画像はバッチリで、スティング、バディ・ガイ、ZZトップを招いてのジェフ・ベックの競演が観れる。なかなか貴重だ。
 バック・バンドは、こちらも、タル、カリウタ、リベロが登場する。Ronnie Scott's は2007年ですから、既に2年近く過ぎているせいか、タルはかなり大人っぽくなっているように見える。
 ”A Day in the Life”はゲストなしの彼らだけの演奏で収録されている。その後に追加映像としてスティーヴィ・ワンダーと彼らのバンドにベックが加わって”Superstition”の演奏も収録されていて、取り敢えず視聴価値がありこのあたりは一応納得のブートである。

(ブート評価 ★★★☆☆ 3/5)

 

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2010年4月 8日 (木)

ジェフ・ベックとイメルダ・メイ・バンドの競演

イメルダ・メイ・バンドに客演としてのジェフ・ベックの味

 

最近、少々ブートから離れていましたが、やはり私の関心のあるミュージシャンのライブ活動が盛んであると、ついついそっちの方面にも手がでてしまう。ジェフ・ベックのニュー・アルバムとの関係で、このブートを紹介する。

 

Shakerattleroll1 「JEFF BECK LIVE / SHAKE RATTLE & ROLL with IMELDA MAY BAND」 Live at Indigo2,The O2,London U.K. Sept.21st 2009  NTSC JBD101cd

 アイルランド出身の女性ロッキン・スウィンギン・シンガー・ソングライターのイメルダ・メイとジェフ・ベックの競演が2009年9月にロンドンはO2アリーナで行われたが、その模様を収録しているCD2枚+DVD1枚のブート。
 ここでは、ベックのギターとイメルダ・メイ・バンドが、まさにスウィングし、特にリラックスしたジェフのロカビリーやジャズ・スタンダード・ナンバーのギター演奏が楽しい。

Shakerattleroll2  このCD盤2枚のほうには、当日演奏された25曲が完全収録されている。(左収録曲リスト、クリックにて拡大)
 一方DVD盤は、客席からの人影の間からの撮影で、かなり無理もあるが、何とかクローズ・アップも行われ、ステージの様子は取り敢えずは収録されたといった代物である。ベックやイメルダ・メイの表情も一応解るので、良いとしておこう(22曲収録)。

 サウンドは、オフィシャル盤とまでは行かないが、それなりに厚いサウンドで、ブートとしてはまあ良い方だ。
 とにかく、イメルダ・メイ・バンドは50年以上前のロカビリー・スタイルを現代に生かすことによって、新鮮味を持たしたことは恐れ入る。そしてイメルダ・メイの歌唱能力の高さと魅力のある声が売り物と言っていい。ベックがこのバンドのライブに客演したものであるが、殆どの曲にベックのギターの音が、いつものベックのライブとは明らかに緊張度が違って、かなり気持ちよく楽しんでいるという雰囲気が伝わってくる。しかし客演と言っても、ベックのライブそのものの活躍ぶりである。

 今回のベックのニュー・アルバムの”corpus christi carol”、”lilac wine”も登場する。更に日本盤ボーナス・トラックの2曲も登場して、特に”cry me a river”はイメルダ・メイのヴォーカルが入る。比較してみると面白い。又、イメルダ・メイのアルバム曲”Love tattoo”なども当然登場。しかし、こうして映像で観ると、彼女はアイルランドの人気ロカビリー歌手というだけあって貫禄十分にベックと渡り合っている。
 その他、なんと懐かしの”Apache”が登場して驚いた。これで私の若き時が甦った。こんな曲も忘れていた曲の一つだ。そして最後は例のごとくベックのギターで”over the rainbow”で幕を閉じる。

(ブート採点=★★★★☆(4/5)) 

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2010年4月 5日 (月)

ロカビリーを唄いこなすイメルダ・メイ IMELDA MAY

何故かジェフ・ベックと の競演が最高だ


今回のジェフ・ベックのニュー・アルバム「EMOTION & COMMOTION」に、ヴォーカル登場するイメルダ・メイIMELDA MAY。彼女は最近注目のアイルランド出身のシンガー・ソングライター・ロカビリー歌手。英国では絶賛を浴びているところとか。ということで、彼女のアルバムに接してみた。目下は2007年リリースの一枚のみであるが、既に彼女のためのバンド・メンバーも構成されていて、彼女の歌唱力とかっての1950年代を彷彿とさせるビートによって、50年以上も経っての現代に新風を運んでいる。

Imeldamay 「Imelda May / LOVE TATTOO」 Ambassador Records B0013082-02 , 2007

 まさに、オープニングの”Johnny Got A Boom Boom”から、こりゃー確かにロカビリーだ。ベースのリズムが快感で、恰好良いリズムが押し寄せてくる。懐かしさも手伝って圧倒されそして感動ものだ。歌声は新進歌手ということだが、なかなかのテクニック。それもそのはず既に1974年生まれと言うから今年で36歳(このアルバム録音時は33歳か)。私は既にこの曲はお気に入りの一曲として自分に登録してしまった。

Imeldaspain01 (収録曲)
    1.johnny got a boom boom
    2.feel me
    3.knock 123
    4.wild about my lovin'
    5.big bad handsome man
    6.love tattoo
    7.meet tou at the moon
    8.smokers' song
    9.smotherin'me
   10.falling in love with you again
   11.it's your voodoo working
   12.watcha gonna do

 彼女は幼いときからロカビリーもの(多分ピェアロカビリーの時代のもの)に凝って、聴きこんできたらしい。 自ら作曲し、そしてヒーカップ唱法もこなし込んでいる。更に3曲目の”knock 123”では一転してスロー・ナンバーをピアノ、ギターをバックにしてのいわゆるJAZZYな歌いこなしは見事。
 彼女のバンド・メンバーは、Al Gare(Double bass,Bass guitar) 、Dean Beresford(Drums)、 Darrel Higham(Guitar) 、DavePriseman(Trumpet,Flugelhorn) 、Danny McCormack(Piano)という布陣だ。そして彼女はこのメンバーのDarrel Higham と結婚している。
 その他のロカビリー曲はそれなりに聴かせるんですが(アルバム・タイトル曲”love tattoo”は、その典型的ロカビリーで高音部に彼女の独特の声が聴きどころ)、私の好みはやっぱりスローなジャズ的ナンバーですね。そんな意味では更に7曲目”meet you at the moon”,10曲目”failing in love with you again”なんかが気に入りました。これらを聴くと彼女の巧さと声の良さが実感できる。

Imeldagrammy04  いずれにしてもジェフ・ベックとの関係も注目だ。2000年に7月にはロイヤルアルバートホールで競演しているし、2010年第52回グラミー賞表彰式でのジェフ・ベックのレス・ポール追悼演奏に競演して、その評価を高めている。このあたりはブートにて視聴できるので、次回に取り上げたい。
 とにかく、ベックの今回のニュー・アルバムはヒットしているし、そこに登場して、又注目度を上げたのは事実だ。特に日本盤のボーナス・トラックの”poor boy”は、ベックのギターと彼女のヴォイスのマッチングもよく、ムードも最高、私のお気に入りでもある。

 (視聴).johnny got a boom boom

 

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2010年3月31日 (水)

ジェフ・ベック Jeff Beck ニュー・アルバム「Emotion & Commotion」

7年ぶりのスタジオ・ニュー・アルバムは変身?

Emotioncommotion 「JEFF BECK / EMOTION & COMMOTION」 Deuce Music WPCR 13816 , 2010

 ジェフ・ベックの久々のスタジオ・ニュー・アルバムだ。まず残念なのは、このジャケ(左)のセンスはちょっと頂けない。なにか変ですね。それはそれとして、2003年アルバム「ジェフ」以来で、もう既に7年経過しているんですね。先般のライブ・アルバム「Live at Ronnie Scott's」で、間を埋めてくれていたので、なんとかひどい欲求不満にはなっていなかったんですが・・・。
 
 さて、このアルバム、まずはちょっと驚かされた。なんと殆どの曲がストリングスを中心としたオーケストラとの競演である。又、全体の印象が、アグレッシブという面はなくちょっと枯れたニュアンスを感じた。そもそもこれはワーナー・ミュージック移籍第一弾ということで、トレヴァー・ホーンのプロデュースによるもの。その為の変化とも言えるのか?。
 (収録曲)
    1.corpus christi carol
    2.hammerhead
    3.never alone
    4.over the Rainbow
    5.I put a spell on you
    6.Serene
    7.lilac wine
    8.Nessun Dorna
    9.There's no other me
   10.elegy for Dunkirk

 オープニングの1曲目は、非常に静かな聖歌をギターで歌い上げる。オーケストラのバックも静かだ。そして2曲目になってジェフ・ベックらしい熱いギター・サウンドが展開。バックは例のライブでお目見えのTal Wilkenfeld のBass、Vinnie Colaiuta のDrums、Jason Robello のKeyboards が支える。フュージョンっぽいロックといっていいのか。
 3曲目、これも哀愁のギターだ。そして4曲目にはなんとあの「虹の彼方に」であり、こうゆうのは期待している人は、ジェフ・ファンにどの位いるのでしょうか?。
Jossstone そして5曲目は、お待たせとばかりにジョス・ストーンJoss Stone (左)がヴォーカルで登場。私にとっての1960年代のロックへの入り口になった Jay Hawkins の曲で、CCRがヒットさせた”I Put A Spell On You”だ。いっや~~、懐かしい。そして又、ジェフのギターにマッチングしてジョスが熱唱。これは頂き。これだけでもこのアルバムを買った価値はある。
Ccr ちょっと余談ですが、今、懐かしのCCR(CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL)ものを聴くには左のアルバム(「CCR / CHRONICLE」FANTASY FCD-CCR2-2)がある。
 特に、私のお気に入りは”SUSIE Q”であるのだが、この”I put a spell on you”もよく聴いたもので、今回ジェフ・ベックには40年以上も前を思い出させて頂いて感謝感激といったところか。
 いずれにしても、このアルバムではジョス・ストーンが9曲目の”There's no other me”にも登場して、フュージョンっぽい世界を展開。これでは例のメンバーのバックも乗っていて楽しい。このアルバムのポイントにもなっている。
Imeldamay2  更に、ジョスに続いて、アイルランド出身の人気ロカビリー女性シンガーのイメルダ・メイ Imelda May(左) が7曲目の”Lilac Wine”に登場。語りかけるようなヴォーカルにジェフのギターがゆったりと流して美しいブルース調の曲に仕上がっている。
 8曲目の”Nessun Dorma 誰も寝てはならぬ”は、プッチーニの曲で、サラ・ブイトマンがよく歌ってヒットした曲。これもオーケストラとジェフのギターが聴かせる。しかしこうした曲を取り上げるジェフのアルバムも珍しい。
 10曲目は、このアルバムを締めるにふさわしく、オーケストラとジェフのギターが美しくも哀愁を持って終わる。

 さてこのニュー・アルバムは、ちよっと大人っぽいと言うか枯れた雰囲気で仕上がったアルバムだった。しかし、なかでもやはり光るものはある。それはやはり、ロックそしてフュージョン流の曲であったというのは間違いない。ジェフの世界はしかし今挑戦というよりは、こうした安定期なのか?。

Bonustracks  ここで、一つ追加しておかねばならない。実はこのアルバムは日本盤は左の2曲が追加されている。”Poor Boy”は、イメルダ・メイが登場して、彼女のバンド・メンバーと共に何とも言えないスウィング・リズムが素晴らしい。又もう一曲”Cry Me River”もジェフの得意の聴かせもののブルース調のギターの調べ。感動ものである。
 と、言うことで今回は絶対にこの2曲のボーナス曲の入った日本盤(少々高いが)がお勧め。いずれ映像DVD付の輸入盤も登場するが、今回ばかりは日本盤だ。

(視聴) Poor Boy

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